【完結】楽園の名を持つ少女に惚れた俺は、彼女の為に命を懸ける 作:塊ロック
火を追う蛾が再編された。
後から知ったが、俺が入る前に起こった災害で火を追う蛾が半壊していたらしい。
拠点を北米の支部に集約するとかで、俺は生まれて始めて外の世界を目にした。
……それは、世界と言うにはあまりにも荒廃していた。
聞くところによると世界の95%の都市が壊滅状態だという。
そこまで人類は追い詰められていた。
そして、火を追う蛾も追い詰められていた。
崩壊獣の因子を人体に埋め込み超人へと作り変えられた存在。
結構な数が居たらしいのだが……。
前の戦闘……第十一律者、約束の律者との戦闘でほぼ壊滅してしまったらしい。
現在は13人まで減ってしまった。
現在は火を追う十三英傑として再結成されている。
何が一番驚いたかってあのパルドフェリスが英傑の一人として在籍している事だった。
しばらくしてあいつに猫の耳と尻尾が生えてたのは何事かと思えば、融合戦士手術を受けたかららしい。
火を追う十三英傑、序列十三位「空夢」のパルドフェリスとして、アイツは戦っていた。
俺も負けてられないと今日も前線で戦うのだった。
今日の任務は物資輸送の護衛。
数人の兵士と……今日は心強い味方がいた。
「難攻不落ッ!」
俺の展開したエネルギーシールドが目の前の崩壊獣の群れが放つブレスを受け止める。
「今だ!」
「応とも!」
その瞬間、背後から飛び出したピンクのシルエットが一閃。
時間が止まったのような錯覚。
錯覚が収まった時、目の前の崩壊獣達は全て細切れになっていた。
「流石」
「大したことはない」
手にした刀を振り、血糊を払う女性。
ピンクの長い髪に、パルドフェリスと同じ様に長いウサギの耳が風に靡いている。
彼女は十三英傑第八位、「刹那」のサクラ。
今日は何故か彼女が同行していた。
「いやー、助かったよ。俺達だけじゃ大変だった」
「気にするな。同じ志を持つ同志じゃ」
パルドフェリスと仲が良いらしく、その関係で話す事もそこそこあった。
意外にも音楽が好きらしく、首にヘッドホンを掛けてるのも其の為らしい。
今度どんな音楽聞いてるのか訊ねてみよう。
そういや彼女には妹が居るらしい。
最近は連絡を取り合えて無くて心配していた。
今度俺やパルドとも会いたいと言っていたと嬉しそうに語っていた姿を思い出す。
「そう言えば気になっていたのじゃが……汝は何故こんな死地へ?」
荷物の搬入が終わり、各々が一息ついた頃。
唐突にサクラが俺に聞いてきた。
「え?何でって……」
……真面目に話すのも、ちょっと気恥ずかしいな。
「……誰にも話してないからちょっと話すのは恥ずかしいな」
「妾は口は堅いぞ?」
サクラは元々あまり明るい部署では無い所の所属だったらしいと言うのを小耳に挟んだことがあったので笑えなかった。
「……うーん。じゃあ良いか……惚れたんだ」
「ほう?意外じゃな」
「えっ、そうか?」
「うむ。あまり他人に興味は無さそうじゃからな、汝は」
「酷くない?それ本人に言う?」
「済まないと思っている」
「じゃあ出来ればさっきのも思うだけにしてほしかった」
「それで?惚れたとは?」
「この流れで続き促すのか……俺は死にかけたところを助けてもらったんだよ」
「ほう……」
「その時に目にした姿がずっと脳裏に焼き付いてるんだ。どうせ失くなる命なんだ……だったらせめて、その人の思い出に残れるように死にたい」
「……そうか、汝の寿命は」
「あと2年ちょっとってとこかな。ここのところ戦いずくめだったし」
首元にあった傷跡が、今では頬を超え目の下まで伸びている。
下も既に胸元まで迫っていた。
目か、心臓に到達するとまともに動けなくなるかもしれない。
「そうか……」
「気にすんなって。元々は崩壊エネルギーの被爆で死んでたんだ」
「……して?その惚れた相手とは?」
「あー、聞いちゃう?まぁ気になるよな……」
しかし、正直に答えるかどうか。
「エリシアじゃろ」
とか思ってたら普通に看破された。
「汝は態度に出過ぎじゃ。エリシアが居る時に口数は少なくなるしすぐに去ろうとする」
「そりゃ……」
「エリシアも言っておったぞ。お前がすぐに消えると」
「はい……」
「一度話してみたらどうじゃ?」
「考えとくよ……」
ただ、エリシアを前にしてちゃんと話せる気がしないんだよね……。
次回は律者についての説明フェイズも入れないと……。
あと英傑全員と絡まないと……。