【完結】楽園の名を持つ少女に惚れた俺は、彼女の為に命を懸ける 作:塊ロック
律者とは。
崩壊の使いとされ、人類と文明を破壊し尽くす超常の存在。
基本的に単独で現れるがあまりにも強力過ぎる為戦闘になれば毎回決戦となるという。
現在は第十一律者までは討伐出来ていたらしい。
第一律者、理の律者。
最初に接触した律者で、想像、理解による万物の創造が能力だとか。
第二律者、空の律者。
かなり大苦戦したらしく、多数の犠牲者が出て最終的にエリシアが討伐したらしい。
第三律者、雷の律者。
第四律者、風の律者。
十三英傑第九位、「旭光」のコズマが火を追う蛾に入るきっかけになった。
第五律者、氷の律者。
十三英傑第六位、「鏖滅」の千劫が瞬殺。
第六律者、死の律者。
……通常、律者の依り代となった人間は意識を失い崩壊の意思に支配されてしまう。
しかし、彼女は辛うじて人間としての意識を残していた。
当時の第一小隊が追い詰めたが、その様を見て躊躇してしまい……戦場となった街が壊滅。
最終的に十三英傑第一位、「救世」のケビンが引導を渡した。
第七律者、炎の律者。
……この律者は、なんと火を追う蛾のメンバーから現れた。
第五小隊長、卑弥呼。
彼女が律者として覚醒し……オーストラリアを火の海へ変えてしまった。
しかし、火を追う蛾もその間手をこまねいて居た訳ではない。
この時に融合戦士第一号の実験が成功した。
……その第一号が、メイ博士の恋人であるケビンだった。
これにより律者は討伐。
続いて専用兵装の開発もスタートした。
第八律者、識の律者。
この律者は初めて火を追うがを明確に狙った律者だった。
これのせいで、非戦闘員にも多数の犠牲が出てしまった。
これ以降、明確な意図を持つ律者が現れる。
第九律者、岩の葎者。
ブラックホールを発生させ、ムー大陸を消滅させた。
これもケビンによって討伐された。
第十律者、支配の律者。
なんと1~9までの律者の劣化した能力を持つ千人の個体が現れた。
これも火を追う蛾が総力を挙げて応戦したらしいが……メイ博士が膨大な崩壊エネルギーに被爆。
彼女ももう長くない体になってしまった。
そして……第十一律者、約束の律者。
後に約束の惨劇と呼ばれる……火を追う蛾が壊滅一歩手前まで追い詰められてしまった。
この惨劇により量産され盤石となっていた融合戦士たちがほぼ殉職。
現在の十三英傑と呼ばれるまでに減ってしまった。
これが、俺たち人類の敵。
俺はこの約束の惨劇以降に入隊した人間なので……まだお目にかかった事はない。
果たして俺に相手が務まるのだろうか。
……俺も融合戦士になるべきだろうか。
ただ、その技術も失われているらしい。
それに、メイ博士も病床の身だ。
――――――――――
火を追う蛾北米支部……いや、もう本部か。
ここに来てから暫く経つが未だに道に迷う。
「ここ何処だよ!」
整備されていない区画なのか照明も薄暗くちょっと不気味。
俺は食堂を目指して歩いていたのにいつまで経っても辿り着けないでいた。
この前の任務で搬入する資材は全て運び終わり、俺は取り敢えず少しだけ休みを貰ったのだが……。
こうも広くては歩いてるだけで休みが終わってしまいそうだ。
さて、都合よくここの地理に詳しい奴が通り過ぎたりしないだろうか……。
「呼んだー?」
「パルド……?!」
視界の端で猫の尻尾が揺れたと思えばパルドフェリスが現れた。
肩に乗ったちょっと太り気味の緩い猫がにゃーと鳴いた。
「なんでこんな所に」
「それはこっちのセリフだよガンズ」
「……迷ったんだ」
「え?そうなの?仕方ないなぁ。私が案内してあげるよ」
「本当か?助かるよ……この辺ちょっと不気味でさ」
「……同感。まぁあの人が居るからね」
「あの人?」
「ニアのねえちゃんがこの辺りに住んでるんだ」
「ニア?誰だそれ」
「それは……」
「こんにちは」
「「うぎゃあああああああああああ!!!!?」」
突然割り込んできた第三者の声で俺たち二人は悲鳴を上げて抱き合った。
「……驚かせてしまったかしら」
振り向くと、一人の女性が立っていた。
最初は教会のシスターかと思ったけどこんな煽情的な出で立ちのシスターがいるものか。
「に、ニアのねえちゃん……」
「え、この人が?」
「ええ。私はアポニア」
「アポニア……え、十三英傑の!?」
アポニアというのは十三英傑第三位……「戒律」のアポニアの事だろう。
融合戦士の中でも特に珍しい精神感応型らしい。
俺も詳しいことは何もわかってない。
「えっと……初めまして?」
「ええ、初めまして。ガンズ・ロック」
「……俺を知ってんの?」
なんか既視感あるな。
「エリシアから聞いているの」
「あー……」
あの人、色んな人に俺のことをしゃべってるのか?
「……この辺りで迷ったのね」
「ああ……情けないことに」
「そう。お茶を淹れてあげましょう。少し休憩してから帰り道を教えるわ」
「本当か?ありがたい」
なぁパルド、と振り向いたら彼女の姿はすでに無かった。
逃げた……?
この後、アポニアとお茶を楽しんだのだった。
「エリシアの事、好きだそうね」
「ぶっ……!なんでそれを」
「サクラから聞いたの」
「サクラァ!!」
「……ふふふ」
「なんすか……」
何か可笑しなことがあったんだろうか。
「いいえ。恋をする人間はいつの時代も強いものよ」
「は、はぁ……?」
「ただ……エリシアは……」
「ハーイ、アポニア。あら、ガンズもいるのね!」
「えっ」
「いらっしゃい、エリシア」
「お茶の最中?ガンズもなかなか隅に置けないわね」
「いやそういう訳じゃ……」
「あたしも応援してるわよ!アポニアも結構やるわね!」
「ま、待ってくれ!」
「お邪魔虫は退散するわ!また後で聞かせてね」
止める暇もなく彼女は去ってしまった。
……しかも、とんでもない誤解を抱いて。
「……終わった」
「大変ね」
「あんたも何とか言ってくれよ!!」
どうしよ、これから。
ガンズ、エリシアに誤解される。
さて、これからどう解消していくのか。