【完結】楽園の名を持つ少女に惚れた俺は、彼女の為に命を懸ける   作:塊ロック

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7話

 

「おい」

「ヒェッ」

 

思わずそんな声が出た。

だって目の前に腕組んで立ってる大男が居るんだもん。

 

仮面を付けてはいるが、明らかに機嫌が悪いと分かる。

彼は千劫。

十三英傑の一人だが……。

あまりにも素行が良くないという噂を聞く。

 

「な、何の用だよ」

「来い」

「は?」

 

それっきり何も言わずにズケズケと歩いていった。

 

「えぇ……??」

 

疑問符を浮かべまくりながら帰っていいかなとか考えて流石に怖いので後に続くのだった。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

着いて行った先は訓練場だった。

そもそも実戦に激戦続きでここを利用する兵士はめっきり減ってしまった為無人だった。

 

「構えろ」

「えっ……マジで言ってんの」

「サクラからお前についてはある程度聞いている」

「サクラから?なんでまた」

「お前の話をたまにするからだ」

「というか……サクラと千劫って喋るんだ」

「元々同じ部隊に所属していた縁だ」

「そうなんだ」

 

あれ、思ってたより喋るんだコイツ。

聞けばちゃんと答えるし。

何か印象とは全然違うな……。

 

「本気で来い。死にたくなければな」

 

前言撤回。

一気に部屋の温度が上昇、熱による汗だけじゃなくて冷や汗まで出てる。

 

俺はすぐさま壁にかけてあった訓練用の柄だけの槍を手にして構えた。

 

「灰燼に帰せ!!」

「難攻不落ッ!!」

 

炎と岩のシールドがぶつかり合う。

ヤバいヤバい火力がおかしい!!

競り負ける!!

 

「うおおおおおお!?」

「そうだ!闘争心を剥き出しにしろ!」

「こなくそ!!喰らいやがれ!!」

「何ッ!?」

 

シールドに火力を集中していたので背後から訓練場に撒かれた砂を集めてぶつけてやる。

多少消化され、少し意識が逸れる。

 

「オラァッ!!」

「ぬぅ!!」

 

岩の防壁を前面に展開し千劫に突撃する。

衝撃、千劫は……その場から動いていない!

 

「この馬鹿力が!」

「お前のが力強いだろうが……!」

 

馬力だけなら千劫の方が上なのだ。

俺は岩を操るとはいえやってることはパワー勝負。

正直相手にならない。

俺に出来ることは……。

 

「フンッ!」

「うおわっ……うげっ!?」

 

思わず千劫の拳を槍でガードしてしまい、真っ二つに折れた。

やっべ。

 

「クソっ……」

「お前、何故そんな戦い方をする」

「は?何が……」

「自分に耐えられる武器がないなら自分で生み出したらどうだ」

「自分で……あ」

 

そう言われて、思い付いた。

武器が壊れるなら、能力を使って武器を作れば良いのでは?

なるほど、一理ある。

試してみる価値はある……が、

 

「そんな時間くれねぇだろお前!!」

 

飛んでくる炎を躱し拳に岩をぶつけ千劫に折れた槍をぶん投げて新しく剣を手に取った。

 

「どうだ……!」

 

剣に岩石を纏わせて鈍器っぽくしてみた。

ひどく不格好だがこれで殴られたら痛いだろう。

 

「オラァッ!!」

 

そのまま振り回して千劫をぶん殴る。

 

「甘いッ!!」

 

普通に拳ひとつで砕かれた。

何なんだよこいつ。

 

「クソがっ!!」

 

毒づいても仕方ない。

何か、明確にイメージしないと強度が出ないのか……?

ふと、サクラが聞いてた音楽のことを思い出した。

 

(あー……ギターがいい仕事してたっけな)

 

その時、勝手に剣に岩石がくっついていく。

 

「えっ……おお?!」

「ほう……!」

 

なんとまぁ、ちょっと大振りなギターみたいな形になった。

弦とか付いてないけどパッと見これは確かに岩でできたギターだ。

 

「っし……!うぉらぁっ!!」

「来い!」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

俺は床に倒れ伏して肩で息をしていた。

無理だって。

勝てないって。

千劫はというと涼しい顔して水を飲んでいた。

いや、表情分からないけどさ。 

 

「ガンズ」

「何さ」

「あの女はやめておけ」

 

あの女?

この話の流れからするとエリシアのことか。

 

「嫌だね」

「あのクソ女のどこが良い」

「クソ女だと?聞き捨てならねぇな」

「フン、ならまたかかってこい」

「クソが、身体が動かねぇ……」

「とにかく、あの女……アポニアはやめておけ」

「え?アポニア??」

「あん?」

 

あ、千劫のヤツまさかエリシアの話鵜呑みにしたのか?

 

「ちげーよ、アポニア気があるわけじゃねーよ」

「そうか」

「ったく……どいつもこいつも」

「フン。そんな浮ついた気分の奴がもう居ないからな」

「……それもそうか」

 

滅びるかどうかの瀬戸際で男女の駆け引きしてるやつなんか逆におかしく見えるのだろうか。

 

「お前は、そのままでいろ」

「何でさ」

「そういうやつは必要だからだ」

「……そうか」

 

千劫、案外良いやつなのかもな。

そこへ、

 

「ハァーイ、千劫。探したわよ。あら!ガンズも一緒なの?貴方達仲良かったかしら」

 

ちょっと来てほしくないタイミングでエリシアが来てしまった。

 

「何の用だエリシア」

「この前壊した備品の始末書がまだよ」

「そんなもの……どれの話だ」

「……そこの訓練用の武器も追加かしら」

「………………」

 

俺達はふたりとも黙った。

 

「所でガンズ。あれからアポニアとはどうかしら」

「えっ。あっ、それは……」 

 

誤解なんだ、と弁明しようとして。

 

「貴方はちょっと奥手な所があるものね。こういうのは真正面からぶつかるべきよ?アポニアも好意には慣れてないでしょうし押せば行けるかも♪頑張ってね」

 

そう言って去ってしまった。

 

……俺は床に膝を着いて崩れ落ちた。

 

「……難儀だな」

「うるせぇ……」

 

 

 

 

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