「面白い勝負ですね、剣での決闘なんて。いいでしょう、乗ってあげます」
お互い剣を抜いて構えている。使う得物はどちらも三十年式銃剣だ。使う武器が同じなら技量・身体能力で上回る方が有利だ。お互い風が吹き終わった瞬間に切り込む。普通にかち合っては打ち負けるので回転を加えた。火花が起こるほど激しい鍔迫り合いが起こる。俺がわざと力を抜き右回りで回し蹴りを打つも狐坂はこれを姿勢が崩れた勢いを使った前転で避ける。両者は連撃の打ち合いにシフトする。お互いの強打がぶつかり剣が弾かれる。狐坂は衝撃になすがまま隙が晒され、俺は逆に利用し切り上げを繰り出した。面に斜めの切込みが入り割れ素顔が晒される。
「潮時、ですわね」
「なんだと?」
「あら、聞こえないんですの?」
よく耳を澄ませるとキャタピラが回る音…それだけじゃない、随伴してるであろう歩兵の軍靴も聞こえてくる。
「さぁ皆さん、後始末は頼みましたよ?」
そういうとワカモは去っていった。
『前方から戦車―――クルセイダー一型と随伴歩兵一個小隊が接近中です!各員付近の土嚢や障害物を利用して迎撃してください!!』
火宮の通信機から先生の声が聞こえる。土嚢に身を隠して百式機関短銃を再展開、弾倉を取り付けようとした時、クルセイダーの6ポンド砲が火を噴いた。即座に俺が狙われたと判断して屈んだ姿勢からダイブの要領で飛び込んだ。やはり俺が狙われたようで吹き飛んだ土嚢からこぼれた土が俺にかかる。歩兵の追撃を考慮し素早くリロードを行い伏せ姿勢のままでいる。
「!?馬鹿な、あいつら役割を放棄して突貫してきたぞ」
奴らどうやら俺が6ポンド砲で吹っ飛ばされたものと勘違いして止めを刺しに来たらしい。
呆気にとられていると早瀬と守月が横やりを入れて助けに来てくれた。
「京介さん、こんな所でやられないでください」
「そうですよ、お怪我はありませんか?」
早瀬は「ロジック&リーズン」を2艇、守月は「セーフティー」のセレクターをフルバーストにセットしていた。爆音が聞こえ衝撃がやってくる。どうやら羽川が「インペイルメント」でクルセイダーの弾薬室を打ち抜いたらしい。
「おいおい、俺はあの攻撃食らってないぜ?」
「「え?」」
―――シャーレ・部室―――
俺たちは二手に分かれて建物内に侵入したゴロツキを始末して回っていた。俺とタッグを組んだのは火宮だった。もう一方は三人で行動している 。
「どうやら、侵入者は全て始末できたようですね」
『「シャーレ」部室の奪還完了を確認、私も、もうすぐ到着予定です。建物の地下で会いましょう。』
「あれ、先生は?」
「どうやら先行して地下に向かったようですね、私たちも向かいましょう」
―――シャーレ・地下―――
「うーん……これが一体何なのか、まったく分かりませんね。これでは怖そうにも……あら?」
迂闊だった、生徒を置いて先に来たのが間違いだった。京介さんと互角に勝負していたワカモさんと鉢合わせるなんて…
「あら、あららら……し、し…失礼いたしましたー!!」
そういうとワカモは一目散に外へ向かっていった。
「お待たせしました…?何かありましたか?」
リンさんが話しかけてきたらしい。すぐに感情を切り替える
「いえ、大丈夫です」
「……そうですか。ここに、連邦生徒会長の残したものが保管されています。幸い、傷一つないようですね」
そういってタブレット状の物を差し出す。
「受け取ってください。これが、連邦生徒会長が先生に残した物。「シッテムの箱」です」
私は無意識にどこかで聞いたことがある、っと感じていた。
「普通のタブレットにも見えますが、実は正体の分からないものです。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みのすべてが不明。」
その後もリンさんの話は続いた。要約するとこれはサンクトゥムタワーの権限を管理している物であり、私ならこれを起動できるかもしれない、ということだった。ここまで説明した後、彼女は邪魔にならないように、と去っていった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「七神代理、合流できたんですね。」
地下室へ向かう道中、俺たちは七神代理と合流していた。
「えぇ、目的の物は渡せました。あとは先生に任せるばかりです。」
そうこう話してるうちに七神代理の携帯に連絡が入る。
「サンクトゥムタワーの制御権の確保が確認できました。これからは連邦生徒会長がいたころと同じように行政管理を進められますね。」
こうして、シャーレの奪還とサンクトゥムタワーの制御権は取り戻された。その後はシャーレについての説明や協力してくれた人たちからの宣伝、俺からは余裕がある時に財団本部に挨拶に来るよう伝えて解散となった。さて、帰ったら報告とシャーレの建物に駐屯地を置くよう要請しなきゃな。俺は帰った後の報告や対応を考えながら帰路に就いた。
次回、閑話(間話)