今日も今日とて
ゆかり「なんで…何でタルタロスにあれがいるのよ!」
琴音「知らないよそんなの!」
順平「それより追っかけて来てるぞ!」
美鶴「喋ってないで走れ!」
何故か俺達は今、絶賛幽霊から逃げている。
風花「あそこが上に続く階段です!」
俺達は階段めがけて走る。だがそれでも追いかけて来ている。
翼「やはり簡単に死人からは逃れなれないみたいだな」
ゆかり「なら早く行こうよ…って、何してるの?」
翼「霊を追い払うための魔除けを用意する」
明彦「魔除け?」
翼「聖水だ」
順平「んなの持ってんのかよ!?」
翼「いや、今から作る」
ゆかり「作るって…」
琴音「翼君って聖職者なの?」
翼「いや?けど、世界には様々な魔を祓うための伝承がある。例えば火。暗闇を祓い、生み出す力にも奪う力にもなる火は、古今東西より魔除けや神聖なものとして用いられてきた。」
美鶴「それは確かだが、ロウソクの火等では幽霊は」
翼「1つ1つの力は小さくとも、数が揃えばそれなりの力となる。例えば黄金の甲虫。その習性から、太陽とその神を象徴するとして崇められた。例えば酒。神に供える物としては欠かせないし、殺菌作用もある。例えば塩。厄除けや身を清める為に用いられる。と、似ている砂糖も一応入れておくか。効き目が薄そうだから量を多めに…」
順平「めちゃくちゃ適当だな!」
翼「他にはハーブだとか、生き物の内臓だとか、これらに火の力を加えれば…聖水の完成だ」
【特製♪無国籍風聖水】
キャハハハハハ!
すると壁をすり抜けて幽霊達がやって来た。
ゆかり「き、来た!」
翼「聖水を詰めた瓶はしっかり密封し」
順平「密封!?使わないのかよ!」
翼「まあ待て。紐で縛って…」
順平「うっ…」
ゆかり「このままじゃ…」
俺以外の皆は、霊に取り憑かれ意識を失った。だが…
翼「仲間に手ぇ出してんじゃねぇよ!」
俺は聖水の入った瓶を振り回す。すると霊は見事に消えた。
順平「ぶはぁっ!!!」
ゆかり「今、亡くなったお父さんが川の向こうで…」
美鶴「な、何だあれは…」
風花「聖水の瓶に触れた霊が霧散していく…」
翼「よっ、ほっ、やっと」
琴音「効果あるんだね…あの聖水…」
順平「あんなのでいいのかよ」
そして、霊は全部霧散したのだった。
翼「はぁ…はぁ…うし、終わり!」
琴音「お疲れ様」
ゆかり「うわっ!凄い霜ついてる」
翼「こうやって使う方が、まき散らすよりも効果がいいだろう」
美鶴「確かに壁をすり抜けるなら瓶の蓋も関係ないな」
俺は霜だらけの瓶の中身を確認する。
翼「ん?けどこれは…」
俺は中の聖水を一口食べてみた。
『!?』
…うん、思った通りだ。
翼「アイスができた」
【厄よけ祈願!除霊ソルベ】
順平「霊に触りまくった物なんか食べて平気なのか…」
風花「あんなに力の強い聖水を口に入れるのも、問題がありそうな気が…」
明彦「今日は砂糖を取りすぎな気がするな」
琴音「あむ…あ、美味しい。ホントにアイスだ」
流石はリーダー。相変わらず率先して食うな。
ゆかり「あむ…ホントだ!美味しい」
風花「凄く爽やかな味」
順平「余り怨まれずに除霊できたみたいだな」
ゆかり「うんうん♪」
美鶴「生き物の内臓とは、何が入っているんだ?」
翼「マーヤを削って入れた」
琴音「だから少しプルプルしてるんだね」
ゆかり「舌触りがまろやかでいいわね」
順平「これは…あれだな。影時間がなかったら、今頃こんな旨いの食べられなかったな♪」
『……』
バカの言葉に、俺達全員黙ってしまった。
風花「えっ?」
ゆかり「それって…影時間ができて良かったって言ってるの?」
琴音「ジュンペーそういう事言うの?!今!?」
順平「あれ?いや、俺はただ…」
明彦「口にしていい事と悪い事があるぞ」
美鶴「処刑だな」
順平「ちょっ!」
翼「本当に冷えたのは、仲間との絆だったか…」