あれからも俺達は、タルタロスをどんどん登っていく。道中にもシャドウはいたが、浅い階層では同じシャドウしか出現しないようだ。同じ食材だと、作れる料理に限りがある。それでは結城達を飽きさせる。それは俺のプライドが許さない。似たようなのは出すが、同じのばかりにはしたくない!
翼「んで、現在俺達は21Fから上の【タルタロスの切れ目】に来ていたのであった」
ゆかり「どうしたの佐藤君?急に説明口調になって」
翼「いや、何故か無性に説明しなければという概念に駆られた」
ゆかり「??」
まあ、俺が受けた謎の電波は無視して、今日はここで解散。特にめぼしいシャドウもいなかった。そして数日後…今日は満月で、いつもよりシャドウが活発になるそうだ。そう言われれば、確かにそんな感じだった気がする…んで、何時ものように特別課外活動部の寮に到着すると、中から汐見、岳羽、伊織が慌てて出て来た。
ゆかり「よかった!丁度佐藤君を呼びに行こうとしてたとこなの」
翼「そんなに慌てて、何か合ったのか?」
順平「外にデカいシャドウが出たんだよ!んで、桐条先輩の指示で、お前と合流してから駅に迎えってさ」
駅?また何で…
翼「まあ考えても仕方ない。んじゃ取り敢えず駅に向かいますか」
汐見「そうだね」
そして俺達4人は駅に向かった。到着して暫く待つが、一向に桐条先輩が来ない。
ゆかり「まだかな…」
順平「すぐ来んだろ」
ゆかり「今夜は満月か…なんか、影時間に見ると不気味ね…」
まあ、岳羽が言いたい事も分かる。空は緑色っぽくて暗い。その中の月だ。不気味なのは同意する…
ブロロロロロ!
順平「…ん?なんだぁ!?」
するとバイクの音が聞こえてきて、振り返るとバイクを運転してきた桐条先輩が到着した。
美鶴「遅れてすまない。いいか、要点だけ言うぞ。情報のバックアップを、今日はここから行う。君らの勝手はこれまで通りだ。シャドウの位置は、駅から少し行った辺りにある列車の内部。そこまでは線路上を歩く事になる」
順平「え、線路歩くって、それ危険なんじゃ…」
伊織の言う通りだ。線路上を歩いたら、あっという間に挽き肉確定だ。
美鶴「心配ない。影時間には機械は止まる。無論列車もだ。動くはずはない」
ホントかよ…
翼「なんだか嫌な予感がするな…これ」
俺の感って、こういうときハズレたことないからな〜。
順平「や、でもそのバイク…」
うん…普通に動いてたよな。
美鶴「これは特別製だ。それに、状況に変化があったら、私が逐一伝える。よし、では作戦開始だ」
佐藤「あ〜…」
美鶴「ん?どうかしたか佐藤」
翼「…いや、なんでもないです。自分で気付かなきゃ意味ないしな」
『??』
こうして俺達は、駅のホームからシャドウがいる列車に向かって走っていった。
順平「うわ、高!何かスースーする…」
ま、男にしか分らん気持ちだよなかな。んで、目的のシャドウがいるモノレールに到着した。
ゆかり「これ…だよね?」
美鶴『4人とも、聞こえるか?』
ゆかり「あ、はい。大丈夫です。今着いたんですけど、パッと見じゃ、特に…」
美鶴『敵の反応は、間違いなくその列車からだ。4人とも、離れ過ぎないように注意して進入してくれ』
ゆかり「分かりました」
順平「へへッ、腕が鳴るぜっつ〜か、ペルソナが鳴るぜ!」
ゆかり「じゃ、乗り込みますか!」
先に岳羽がモノレールに乗り込む。
ゆかり「…ノゾかないでよ」
順平「へいへい、ノゾかねえっつの。……つか、見えたらしょうがね〜よ?」
ゆかり「…汐見、佐藤君。順平、ここに埋めていこうか」
サラッと恐ろしい事言うな岳羽の奴。
翼(あ、ピンクだ…)
ご、ごほん…俺達4人は列車中に入った。
順平「これ、人間…つか、乗客だよな?」
列車の中には、いくつかの棺桶が立っていた。
順平「この【象徴化】ってやつ、やっぱ不気味っつ〜か…でも、フツーの人らには、今の時間、無い事になってんのか。ま、こんなんなっちまってるとか、知らねえ方が幸せ…」
すると、先程まで開いてた列車の扉が閉まった。
ゆかり「あっ!?」
順平「ちっくしょ…開かねぇ!」
ああ、やっぱこうなるのね…そして俺達は、桐条先輩の指示の元、列車の先頭車両を目指す。その途中で、シャドウが出てきたが一匹だけで、それをあろうことに伊織のバカが自分1人で倒せると言って追い掛けていった。
翼(はぁ…そこまでしてリーダーになりたいのかね〜)
俺は頭を抱えながら汐見に言う。
翼「とにかくあのバカを1人にする訳にはいかない。汐見、お前が追い掛けてくれ」
俺がそう言うと同時に、背後からシャドウが出現する。
琴音「で、でも…」
翼「さっさと行け!あのバカを死なせたいのか!!」
俺が怒鳴りつけて、汐見は伊織を追い掛けていった。
翼「ったく…あいつもあいつで」
ゆかり「けど、流石にあの言い方は…」
翼「その話は後だ…!?あぶねぇ!」
シャドウが岳羽に攻撃してきたが、俺は持ってた鍋を素早く盾代わりに使う。
翼「そんなチンケな火じゃ、この鍋は温まらないぞ。無事か岳羽」
ゆかり「う、うん…ありがとう…」
そして俺と岳羽で、出て来たシャドウ…偽りの聖典と炎と氷のバランサーを相手にする。
ゆかり「お願い…イオ!」
翼「やれやれ…今回は流石に俺もやりますか」
岳羽はペルソナを出現させ、俺は拳で相手をする。まだこいつらに特典の力を見せるわけにはいかない。
翼「バランサーだかバル◯ンだか知らないが、今回ばかりは邪魔なんだよ!」
俺はバランサーを根本からへし折った。
ゆかり「うそ…」
俺の力を見て、岳羽は驚きの顔をする。
翼「ボサッとするな!」
ゆかり「ご、ごめん!」
そして岳羽も、偽りの聖典に攻撃をした。くそ!偽りの聖典の足は、鶏ガラ代わりになるからいい出汁が取れるんだが…
翼「流石に今は刈り取ってる場合じゃないな。さっさと汐見達を追い掛けるぞ!」
ゆかり「う、うん!」
俺達も先頭車両目指して進む。2車両進むと、汐見と伊織が敵と戦っていた。
ゆかり「あ、いた!」
岳羽もそのまま合流し、シャドウを倒したのだった。
ゆかり「言わんこっちゃない!佐藤君が琴音を向かわせたからよかったものの!で、大丈夫?」
順平「大丈夫に決まってんだろ!?」
琴音「なんとかやってたけど、正直来てくれて助かったよ」
ゆかり「全く…」
美鶴『おい、気をつけろ。敵の動きが急に静まった。警戒を怠るな!』
すると、本来動くはずのない列車が動き出した。やっぱ言わんこっちゃない!桐条先輩からも指示があり、俺達は先頭車両に向かった。到着すると、今まで見たこともないほどデカいシャドウがいた。後すんげ〜髪長い。
琴音「皆!急いで倒すよ!」
翼「流石に今回は俺も参加するか」
そしてシャドウ、プリーステス。その取り巻きの増悪のティアラ、不信のティアラ、失望のティアラとの戦いが始まった。俺は取り巻き3体を相手する。残り3人は、ボスのプリーステスの相手だ。
翼「さて…その髪置いてけ〜!」
俺がそう言いながら、不信のティアラのティアラを掴む。恐怖を覚えたのか、ジタバタ暴れ出す。だが、俺は素早く包丁を取り出し、3体のティアラ髪を回収し、残ったティアラを壊した。
順平「お前…そんなに強かったのね」
ゆかり「っていうか、あれ普通の人が見たらホラー映像だからね…」
琴音「アハハ…確かに少し怖かったね」
言いたい放題言いやがって。俺はそう思いながらも、プリーステスの髪を回収していた。列車?んなもん汐見の奴が止めたよ。本人曰く『ゲームセンターのと同じだった』だそうだ。さて、このプリーステスの髪…
翼「あむ」
順平「ちょっ!?」
ゆかり「なに生で食べてんの!?」
琴音「お腹壊しちゃうよ!」
翼「安心しろ。今までもこうやってきたし、いざとなれば薬もある」
「「「安心できるか!!」」」
怒られてしまった。しかしこの食感…パスタに似てるな。他のティアラの髪だが、それぞれうどん、素麺、きしめんに似ていた。
汐見「と、取り敢えず駅に戻ろうか…」
俺達は電車を降りて、疲れた足取りで桐条先輩がいる駅に戻ってきたのだった。
美鶴「よくやった。全員が無事で安心した」
昭彦「凄いなお前等」
真田先輩も合流していた。
ゆかり「真田先輩!?」
琴音「いつの間に」
昭彦「少し前だ。シャドウとの戦いが終わったんだ。なら、佐藤が飯を作ると思ってな」
その詞を聞いて、桐条先輩は頭を抱え、俺以外の3人は苦笑いしていたのだった。
翼「なら、さっさと作ってしまおう。まず先程採ったプリーステスの髪を1度熱湯で茹でる。その間に、フライパンにオリーブオイルをひいて、前に獲ったアイスレイヴンのベーコンと玉ねぎ、歩きキノコを炒める。火が通ってきたら、チーズを入れチーズが柔らかくなったら、先程茹でたプリーステスの髪を入れる。塩、胡椒で味付けをし、割りほぐしたアイスレイヴンの卵を全体にかけ、手早く絡める。後は火を止め予熱で混ぜ、卵が全体に馴染んだら…完成だ」
【プリーステスとレイヴンと歩きキノコのカルボナーラ】
ゆかり「うわ〜…」
琴音「さっきの卵、普通の卵ではあり得ないほど黄身あったね」
順平「ああ。まさか黄身が10個もあったのはビビったぜ」
昭彦「おおっ!今回も美味そうだな!理事長も来ればよかったのに」
ゆかり「流石に理事長にこれを食べさせるのはどうかと…」
美鶴「…ふむ。相変わらずの腕前だな、佐藤」
琴音「ホントだね〜。凄く美味しいよ♪」
ゆかり「普段行くお店のカルボナーラより美味しいのが、また腹立つわね…」
順平「まぁいいじゃね〜!旨いもんに変わりはねぇんだしよ」
そして俺達は食事を済ませ、俺は自分の家へ。他の連中は寮へと戻ったのだった。流石に今回は中々濃い影時間だったな…