シャドウって食べれるんだ   作:シャト6

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オムレツ/タルト

満月に現れた巨大シャドウを倒してからは、今のところ平和な日々が続いている。だが、そんな中伊織だけはこの世の終わりかみたいな顔をしている。

 

順平「やべ〜よ!もうすぐ中間テストじゃんか!」

 

ゆかり「あ〜そういえばそうね」

 

琴音「色々あったからすっかり忘れてたね」

 

翼「普段からやってれば分かるだろ?」

 

全員席が近いので、座ったまま話す。因みに俺を中心として前に汐見、左が岳羽、汐見の右が伊織である。

 

順平「おまっ!今のオレっちに、その言葉は弱点ヒットだぞ!」

 

翼「知るか!」

 

ゆかり「ま〜翼君が言うことも分かるけどさ。けど私も今回はあまり自身がないのよね〜」

 

琴音「あたしも〜。というか、そろそろ私達の事、名前で呼んでよね。あたし達は呼んでるのに…」

 

そう。あのモノレール事件以降、桐条先輩と真田先輩以外の連中が俺のことを名前で呼んでくるようになった。だが、俺は未だに全員名字呼びだ。

 

翼「いいだろ別に」

 

琴音「ぶ〜!」

 

ゆかり「まあまあ琴音。急に言われてもさ。けど、私も呼んでほしいな」

 

翼「…分かったよ」

 

俺は渋々だが折れることにした。

 

翼「琴音、ゆかり。これでいいだろ」

 

琴音「うん♪」

 

ゆかり「改めてよろしくね♪」

 

順平「って、オレっちは!?」

 

翼「お前は当分の間名字かバカだ」

 

順平「酷くね!?」

 

翼「あの時の勝手な行動。俺が許してると思うか?」

 

順平「うっ…それを言われると…」

 

列車での、このバカの行動を俺は未だに許していない。話さない事はないが、暫くの間は名字かバカ呼びだ。

 

翼「ま、行動で示すんだな伊織(バカ)

 

順平「今絶対変なルビ打ったよね!」

 

伊織の顔を見て、俺やゆかりで琴音は笑うのだった。因みに、年上だが当然桐条先輩にも、あの後文句を言ったのは言うまでもない。んで、中間テストの為、俺達は集まって勉強会をすることになった。んで、俺以外は全員寮に住んでるので、俺が寮に出向きラウンジで勉強会をするのだった。そしてテスト期間に突入。

 

 

 

 

 

6日後…

 

 

 

 

 

 

 

 

ようやくテストが終わった。伊織の奴は…まあ、顔見やらだいたい想像できるわ。残りの連中は、ボチボチって感じっぽいな。

 

翼「っと、メール?」

 

テストが終わったと同時にメール。桐条先輩からか。

 

翼「何々…『まだ完全にではないが、新しく仲間が見つかった。交渉はしていないが、君達と同じ2年生だそうだ』ね。なるほど…ってか、俺達の年代に偏りすぎじゃね?」

 

ま、週末は流石に疲れてタルタロスには行かんだろうし、今日明日は俺もゆっくりするか。

 

 

月曜日…

 

 

 

「お〜い!成績表、張り出されたぞ!」

 

何で態々張り出すかね〜。ま、一応見に行きますか。成績表を確認すると、琴音の名前が10位以内にあった。へ〜、結構頭いいんだな。ゆかりの奴も、なんだかんだで20位以内はキープしてるな。伊織は…俺は何も見ていない。うん…あ、俺?適当に手を抜いたからゆかり10位以下15位以上とだけ言っておこう。んで5月も終わりかけの日に、久々にタルタロスに行くことになった。

 

明彦「さて、ようやくだな。お前達には負担をかけたが、それもここまでだ。今日からようやく俺も合流できる」

 

どうやら今日から真田先輩も一緒に行動できるようだ。んじゃ、さっさと行きますか。新しい階層は森になっていた。

 

明彦「俺達が探索してた場所と、随分雰囲気が変わったな」

 

美鶴「ああ。だが、明彦の言う通りだ。タルタロスの切れ目がこうも変わるとは…」

 

順平「いや、ここ俺達の学校ですよね?元は…」

 

琴音「そうだよね。森は流石に驚いたね」

 

ゆかり「流石タルタロスってことかしら」

 

それぞれ感想を呟く。

 

美鶴「取り敢えず、気を抜かずに進もう」

 

そして俺達は、21階層の探索を始めた。進んでいくと当然シャドウが出るが、笑うテーブルとか食えんわ!ブラックレイヴンは食えるが、鶏肉が嵩張る。そんな事を考えながら歩いていると、見覚えのある実を見つけた。

 

翼「これは…」

 

琴音「どうしたの?」

 

俺が脇に逸れたのを見て、全員が追い掛けてきたそうだ。

 

琴音「それって…」

 

順平「きゅうり…だよな?」

 

ゆかり「けどタルタロスで出来たきゅうりだよ?」

 

不安そうに言うゆかりだが、俺は1本もいで食べる。すると、音楽のようなかじった途端出た。

 

順平「うわっ!音出た!」

 

琴音「ホントだ!面白そう!」

 

そう言い琴音ももいで食べると、やはり音が出る。

 

琴音「面白い♪でも、味は普通のきゅうりだね」

 

翼「そうだな(これって完全に【メロディきゅうり】だよな…)」

 

皆もそれぞれもいで食べる。何故か順番に食べていきドレミファソラシドの音符が出来上がったのだった。

 

順平「ん?なあ、あれなんだ?」

 

きゅうりを食べながら歩いてると、ある草が目に入った。

 

美鶴「なんだあれは?」

 

明彦「人参…いや、大根か?」

 

ゆかり「また野菜ですか!?」

 

琴音「抜いてみたら?」

 

順平「んじゃ俺がいっちょ!」

 

伊織が近付き、葉を掴んで引っこ抜こうとする。メロディきゅうりをもいで戻った俺は、その光景を見て焦る。

 

翼「バカ!それを抜くな!」

 

順平「へっ?」

 

が、俺の言葉は遅く、バカは抜いてしまった。

 

翼「コルクボイス!」

 

俺は自分で耳を塞ぎ、バカ以外はコルクボイスで耳を塞いだ。

 

琴音「えっ!?」

 

ゆかり「なにこれ!?」

 

「ああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

抜いたマンドレイクから、物凄い叫び声が辺りに響き渡ったのであった。ようやくマンドレイクが叫び終わり、俺はバカ以外にしていたコルクボイスを解除した。

 

美鶴「いったい何が起きたんだ?」

 

明彦「分らん」

 

翼「それよりまず、このバカだ」

 

俺は話題を変えて、バカを見る。

 

ゆかり「順平無事?」

 

順平「…はい。わたしはたいへんけんこうです」

 

琴音「いや、駄目じゃん!」

 

翼「悲鳴を聞いたからな。話し掛け続ければ、段々はっきりしてくる」

 

ゆかり「もう…翼君の言う事ちゃんと聞かないから…」

 

順平「おんなのこにリーダーをゆずり、ぜんかいのこうどうであせりをかんじ、おめいばんかいしたいとおもい、こうどうしました」

 

ゆかり「あ、言葉はいつもの順平だ」

 

明彦「汚名は返上するもんだぞ」

 

美鶴「前回の…あの列車での出来事か」

 

琴音「伊織君。人には得手不得手があるんだよ。私は直接見てないけど、翼君も本来なら戦える。でも、戦いまで任せたら、私達の体調管理や栄養面も面倒見てもらってるのに、更に負担をかけちゃう」

 

翼「琴音の言う通りだ。前回の事をまだ思ってるんなら、次から気を付けて行動しろ。そこら辺の草木とかに関しては、お前より俺の方が詳しい。誰かに聞くのは恥じゃない。聞かないで今回の様に行動する方がより迷惑がかかる」

 

ゆかり「そうだよ。順平は順平で頑張ってるじゃんか!」

 

俺達はバカ…伊織に話し掛ける。

 

順平「今の言葉…もっかい言ってゆかりっち」

 

ゆかり「正気に戻ってんじゃないのよ!」

 

翼「どうどうどう。気持ちは分かるが落ち着け」

 

俺はジュンペーを殴ろうと暴れるゆかりを、羽交い締めにして止めるのであった。ま、伊織の奴も元に戻ったし、先に進むとするか。道中で人食い植物がいたが、割愛させてもらう。

 

順平「まだないのか?転送装置…」

 

琴音「今回は中々見つからないね」

 

明彦「美鶴、俺はいいがお前や汐見達は辛そうだな」

 

美鶴「ああ。少し言えばそうだな」

 

翼(仕方ねぇ…エコーロケーション・反響マップ)

 

俺はエコーロケーションを使って、安全地帯を探した。

 

翼「ん?そこの角部屋、シャドウいないみたいですね」

 

俺は先に行き、わざとらしくそう言う。

 

美鶴「…そうみたいだな。なら、少し休憩するとしよう」

 

桐条先輩が、自分のペルソナを出して確認した。

 

ゆかり「あ〜やっと休める〜!」

 

順平「だは〜!俺もう駄目…」

 

翼「なら、さっき採ったマンドレイクと、人食い植物から採った木の実を使って料理するから待ってろ」

 

火を起こして、早速調理にかかる。だが…

 

翼「ん?この1本だけ色合いが違う」

 

琴音「本当だ」

 

明彦「頭が残ってるから、伊織が採ったやつだな」

 

翼「ふむ…」

 

俺はいつも叫ぶ前に頭を落としているから、こうやって頭が残ってるのを扱うのは初めてだ。昔は俺も抜こうとしたが、見聞色でマンドレイクと知り、頭を切り落とす事にしたのだ。

 

翼「マンドレイクをみじん切りにし、ベーコンの油でよく炒める。それを卵でとじてふっくらとさせたら…完成!」

 

 

【マンドレイクとレイヴンのオムレツ】

 

 

ゆかり「出たよ」

 

翼「こっちが俺が採ったマンドレイク。そっちが伊織…ジュンペーの採ったマンドレイクだ」

 

順平「これ以上追い打ちかけないで…」

 

琴音「まあまあ」

 

明彦「あむ…うん旨い!」

 

美鶴「ああ。伊織の採った方が渋味がなくてまろやかな味だな」

 

翼「おそらく、叫ばせる事で何かアクが抜けるんだろう。ひと手間かけることで味が良くなるのは料理の基本。どうやら、俺は効率ばかり求めてたみたいだ。久々に初心の心を思い出せた。礼を言うジュンペー」

 

順平「んな、気にするなよ」

 

翼「これはほんの気持ちだ。一番美味い所を食ってくれ」

 

俺はそう言いながら、マンドレイクの頭をジュンペーにあげた。

 

順平「気持ちなら、もっと別のにして!」

 

そしてオムレツを食べ終わり、今度はデザートだ。

 

翼「まず軽く蒸す。ヘタにそって丸く切って、少し捻り引っ張ると綺麗に種が取れる。皮を剥きそれをよく叩いて柔らかくし、フライパンに敷き詰める。未熟果をすり潰し、マーヤと少しの死甲虫汁を入れ、粘りが出るまで混ぜる。滑らかになったら、残りの死甲虫汁と乱切りにした木の実を投入。ザックリと混ぜた後、フライパンに流していく。しばし加熱…表面がふつふつしてきたら、残りの実をのせる。よし…完成だ」

 

 

【人食い植物のタルト】

 

 

 

ゆかり「タルト?」

 

翼「見せかけだけだがな。皮は焦げ付き防止だ。残していい」

 

順平「ん?塩味だ。想像してた味と違ったな」

 

琴音「うん、おいしい♪」

 

そして食事をし休憩を終えた俺達は、ようやく転送装置を見つけて、今日の探索を終えるのだった。

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