琴音達は現在、美鶴や真田先輩が言ってた仲間候補である人物の事を探している。俺も色々と調べてみる。すると、別の噂を耳にした。ウチの学校のE組の【山岸風花】って女子が、どうやら虐めにあってるようだ。
翼「高校生にまでなって虐めとか…」
まだガキから大人になれないんだろうな。
(精神年齢を既に数えられない人の言葉である)
んで、その山岸風花が最近登校していないらしい。家にも戻ってなく親が捜索願いを出したそうだ。だが、周囲では山岸は死んだことになっており、その怨霊が、虐めてた女子を襲ったとか。んなわけあるはずもないが…
翼「けど、これだけ探して見つからないとなると…いや、あの場所はまだ探してないな」
俺がまだ言ってない場所。それはポートアイランド駅前の裏通りだ。
翼「あそこの噂も色々と聞いたが…ま、俺だけなら大丈夫だろ」
俺は家を出て、ポートアイランド駅前の裏通りに向かった。んだが…
翼「何で彼奴等がここにいるんだよ」
裏通りに入る琴音達を見て、俺は頭痛を覚えるのであった。俺は急いで琴音達を追い掛けた。
「あちゃ〜。彼女今『サイテー』とか言ったよね。ヒゲ男くんも大変だ。こんなアグレッシブなコと一緒だと…サ!!」
順平「ぐっ!痛って…」
ゆかり「順平!」
「「「「アハハハハハハ!!」」」」
ジュンペーの奴が殴られたのを見て、周りの連中は笑っていた。
翼「…おい」
俺は頭にきて、殴った男の前に立つ。
「ん?何なの君?この子達の仲間?」
翼「ああ。ウチの連れが世話になった…な!」
俺はジュンペー殴った男の顔面を、ヤクザキックで蹴り倒す。
「グヘッ!!」
「なっ!?このヤロー!」
「調子に乗んなよ!!」
翼「テメェ等もああなりたいか?…失せろ!!」
俺は裏路地にいた連中全員を睨み付ける。覇王色出してないが、それでもこの辺にいる連中なら充分だった。
「その辺でいいだろ」
すると、ニット帽を被った男が出て来た。
「知らねえで来てんだ。俺が追い出す。いいだろ、そんで」
「バァカかテメーは」
俺が睨むのを止めてニット帽の男を見てたから、他の連中も元に戻っていた。
「今更そんで済むかよ!テメェもヤんぞ、コラ!」
するとニット帽の男は、叫んでた男に頭突きをする。
「うおっ…つ、つええ…」
いや、お前が弱いだけだろ。
「テンメェ…今三途の川、渡ったぞ!ただで帰れると思ってんのか!?」
翼「なんだ、駄賃が必要か?なら俺がお前を含めた全員に支払ってやろうか?」
俺は片手で骨をポキポキと鳴らして見せる。
「い、いや、特に…」
「「「きゃははははっ!ダッセー、ちょーウケるっ!」」」
翼「テメェ等も少し黙ってろ。女でも…俺は容赦しね〜ぞ?」
俺がそう言うと、女達も黙り込んだ。
「テメェ…確か『荒垣』とかいったな…そうだ、『荒垣真次郎』…!テメェも確かツキ高だな?」
「チックショ〜!おっぼえてろよ!!」
そういう残して、琴音達に絡んでた連中は逃げて行った。さてと…
順平「スゲーッス!先輩、つえ〜ッス!」
ゆかり「翼君もありがとう」
翼「お前等…」
真次郎「その顔…お前ら、アキの病室にいた…バカ野郎が!帰れ。お前らの来るトコじゃねえ」
ゆかり「待って!」
ゆかりが荒垣先輩を呼び止める。そしてここに来た理由を話し出した。暫く黙って聞いてると、荒垣先輩があることを言い出した。
真次郎「その山岸って奴、死んでるかもって。もう1週間かそこら、家にも戻ってねえって話だ」
翼「やっぱりそうか…」
俺はポツリと呟く。
琴音「翼君、やっぱりってどういうこと?」
翼「ああ。俺も美鶴からメール来てたんで色々と調べてみたんだよ。仲間候補のこと。けど、その前にウチの学校のE組の山岸風花が不登校になってるって噂を聞いてな。まさか家にまでいないのは予想外だったが」
家にも帰ってない事も知ってたが、俺は敢えて嘘をついた。
真次郎「そうか、アキの奴…あの日出来なかった事の『代わり』ってか?ったく…過去を切れねえのは、どっちだってんだ…」
ゆかり「…?」
真次郎「なんでもねえ…」
過去…か。真田先輩や美鶴に何かあったなこりゃ。俺個人で調べれる範囲調べてみるか…
真次郎「知ってんのは、そんだけだ。…もういいか?」
翼「ええ、ありがとうございます」
そして俺達は荒垣先輩と別れ、寮に戻った。さて、戻ったら説教の時間だな…寮に戻った俺達は、ラウンジでバカ3人をソファの前で正座させた。俺はソファに座ってる。
翼「そんで、美鶴や真田先輩、俺にも相談なく、何の準備も無しにあの路地裏に行った理由を聞こうか?まあ、理由は分かってるが、何でそんな行動になったかを事細かく聞かせてもらえますか?」
順平「いや〜…その〜…」
琴音「最近噂になってた怪談の話を調べてまして…」
ゆかり「それで、行ってない場所があの場所だった訳でして…」
翼「この…ばっかもーん!!!!!」
俺の大声が寮全体に響き渡る。
翼「岳羽!伊織!お前らはあの場所が危険だって知ってただろ!汐見は転校して間もないから知らないとは思うが!」
順平「で、でも!なんとかなったし!」
翼「それは荒垣先輩と俺が助けに入ったからだろうが!!」
ゆかり「で、でも!翼君もあの場所に1人で行こうとしてたんでしょ?」
翼「確かに岳羽の言う通りだ。だが、現に俺はあそこにいたチンピラ連中に負けたか?」
ゆかり「うっ…負けてないです」
琴音「むしろ返り討ちにしてました」
翼「そうだ。だが、お前等がいた分無茶できなくなった。汐見や岳羽が、人質にならなくて安心したくらいだ。けど、手も足も…まして何も準備してないならあんな場所に行くな!万が一があったらどうする!!」
美鶴「そ、そこまでにしたらどうだ翼」
美鶴がそう言うと、俺は美鶴と真田先輩を睨む。
翼「そもそも、年上の2人が寮にいたならこいつらの行動を見るべきでしょうが!2人もラウンジにいて、どっちもついて行かないなんて…」
明彦「それは…」
俺は真田先輩…いや、真田と美鶴も正座させて、更に説教をする。
翼「だいたい美鶴や真田には、年上としての自覚が…」
そこから俺の説教は、影時間まで続いたのだった…影時間になり、説教が終わると、全員フラフラになりならが、各自の部屋に帰って行った。因みに女性員は涙を浮かべており、若干だが罪悪感が生まれた瞬間でもあった。翌日、今日の昼休みに山岸の事を確認する為、職員室に集合となったそうだ。んで昼休み。職員室には俺、美鶴、琴音、ゆかり、ジュンペーが集まった。先生と向かい合わせで顔黒茶髪ギャルが、頭を抱えて座っていた。
美鶴「先生、事情を伺いに参りました。『山岸風花』という生徒について…」
「違うのっ!」
すると茶髪ギャルが突然叫んだ。
「違うのよ…こんな…こんな事になるなんて、思わなかった…風花…」
ゆかり「あれ…あなた、確か、前に…」
美鶴「山岸をどうしたんだ?」
江古田「おいおい、桐条君、そんな言い方ないだろう?森山も困ってるじゃないかね。なぁ、森山。話したくなければいいんだぞ。お前が余計な事を言って、山岸が変に思われてもいかんよ」
森山「風花ってさ…ちょっと突っついただけで、いつも世界の終わりみたいな顔すんだ…すぐ分かったよ…コイツ優等生のクセに、根っこ、アタシらと同じだって。どこ踏んづけときゃ立てないか…アタシには丸分かりだった。…だから!あの日もほんの遊びのつもりだったの!5月29日…風花を体育館に連れてって…外から鍵かけて…」
順平「ちょっ、おまっ、閉じ込めたっつ〜事かよ!?」
琴音「どこが遊びなの!」
森山「夜中んなって、自殺とかされるとマズいからって、マキが1人で学校行ったんだ…でもマキ帰って来なくて、翌朝…」
ゆかり「校門で倒れてるのが見つかった、か…」
森山「風花を出さなきゃって体育館に行ったら、まだ鍵が掛かったまんまで…ヤバいってすぐ開けたんだけど、そしたら風花、消えちゃってて…アタシら皆ビビって、次の晩から夜な夜なあの子を探しに行ったの…でもその度、行った子が帰って来なくて…皆次々、マキみたいに…!」
美鶴「なるほどな…ところで、連日の山岸風花の欠席を、先生は『病欠』と届けていらっしゃる。だが実際は行方不明で、先生はそれをご存じだったはずだ。…どういうおつもりです?」
江古田「何を言ってる。生徒の為にした事だよ。皆色々、将来の為に都合があるんだ。子供の君らには分からんだろうがね」
美鶴「失踪して警察沙汰になる問題児など、ご自分の組にはいないという事ですか」
江古田「ほ、本人の為だ。こんな事で学歴に傷がついてはいかんだろ?親御さんも、そういう話で納得してんだよ!」
美鶴「保身の為には、教職の本文すらも捨てるか。下衆め…!」
江古田「ゲっ…いや…そんな風に…言わなくたってさぁ…」
翼「いや、下衆以外何があるんだよ」
俺は言わなくていい言葉を江古田に投げつけた。
翼「警察沙汰になる生徒は見て見ぬふり。親御さんに話を付けた?どうせ学校の方で捜索してますとかなんとか、嘘言ってんだろ?」
江古田「う、嘘なんかじゃ…」
翼「あんたの言葉、誰が信じると思う?言ってみろよ?江古田先生??」
俺は江古田の真正面に立ち、顔を近づけそう言う。
江古田「そ、それは…」
翼「会長も言ってたが、自分の保身の為に教職の本文すら捨てる。そりゃそうだよなあ!警察沙汰になった生徒は、嫌でも警察の人達は過去を調べる。となると、その時担任だった江古田先生の名前も分かってしまう。自分の教師経歴に傷なんてつけたくないですよね?」
江古田「あ…う…」
翼「こんなのが教師になるなんて世も末だ。担任や授業を受ける生徒が不憫でならない」
俺は敢えて、職員室中に聞こえるように言う。江古田が知ってるんだ。最低でも学年の先生や校長、教頭の耳には必ず入るはずだ。すると案の定、同じ学年の先生達は焦った顔をする。ウチの担任の鳥海先生だけは、江古田を睨んでいた。なんだかんだでちゃんとしてたみたいだ。
美鶴「翼、もうその辺でいい。江古田先生、もう結構です、外していただきたい。後は我々が」
江古田「い、いや、しかし…」
翼「あんたはいなくても必要ないんだよ」
美鶴「…この件については、追って沙汰があるでしょう」
江古田「はぁ…」
ため息を吐いて、江古田は職員室を出ていった。
翼「因果応報、自業自得だな」
美鶴「病院へ運ばれた君の友人について、なにか気付いた事は無いか?どんな細かな事でもいい」
森山「……『声』だ…自分を呼ぶ『声』…そうだ…皆病院送りになる前の晩…そういえば同じ事言ってた…気味のワルい『呼び声』を聞いたって…」
順平「声…?」
ゆかり「先輩…もしかして、今回の事件って!?」
美鶴「間違いない…ヤツらの仕業だ。誰が影時間に落ちるかを事前に知る方法は無いとされていたが…なるほど、『声』か。つまり影時間へは『落ちる』ではなく、ヤツらによって『落とされる』という事だな」
いや、普通に森山がいる前で話してるけど…大丈夫か?んで、放課後今度は生徒会室で話し合う事が決まった。やれやれ…
生徒会室…
美鶴「…よし、揃ったな。今夜、この学園への潜入作戦を行う。目的は『山岸風花』の救出だ」
順平「あの、イマイチ分かんないスけど!山岸って学校の中にいるんスか?」
ゆかり「しかも、何で夜に?0時になっちゃったら、学園は…」
美鶴「その通り。山岸もそうやって、タルタロスに迷い込んだんだ」
ゆかり「じゃ、まさか山岸さんって、体育館に閉じ込められてからずっと…」
翼「おそらくそうだろうな」
順平「そんな!10日も前の話じゃないッスか!それ…どう考えても…」
翼「ジュンペー、それ以上は言うな」
俺はジュンペーを睨んで、出そうとした言葉を引っ込めさせる。
翼「確かにお前の言う事は、普通に考えればそうだろう。だが、助ける前からマイナスなイメージを持つな」
美鶴「翼の言う通りだ」
明彦「それに、タルタロスは影時間の間にしか現れない。なら山岸風花は、日中は何処にいると思う?」
琴音「どこにも居ない…?」
ゆかり「言われてみれば…」
明彦「こいつは仮説だが、恐らく山岸は、あの時からずっと影時間にいるんだ。つまり10日と言っても、山岸にとっては影時間を足し合わせた分しか時が過ぎてない。生存の可能性はある」
順平「おおっ、マジっスか!?」
真田先輩の仮説を聞いて、少し表情が明るくなる。
順平「あ…でも影時間って、慣れたオレらでも、
いるだけで結構バテるじゃないスか。あれを10日分ぶっ通してのは…」
ゆかり「そう言えば、そうね…」
翼「なら「なら、このまま見殺しにするのかっ!」」
俺のセリフに被せて、真田先輩がそう叫ぶ。
明彦「方法はある。山岸と全く同じ方法で中に入るんだ。同じ場所へ行って、0時を待つ。そうすれば短時間で辿り着ける」
ゆかり「その方法で大丈夫なんですか…?」
翼「なら逆に聞くが、他にいい案があるなら言ってくれ」
ゆかり「そ、それは…」
俺の言葉に、ゆかりは顔を背ける。
美鶴「正直に言えば、私はこの作戦には諸手を上げて賛成はできない。最悪、二重遭難という可能性もある。しかし…」
明彦「助かる可能性があるのに、放っておくなんて俺にはできない…後悔したくないんだ。お前らが行かないなら、俺1人で行く」
こりゃ絶対過去に何かあったな。
美鶴「…分かった。危険は承知だが、このまま放置するわけにもいかないからな」
こうして俺達は、夜の学園に忍込み、山岸と同じ方法でタルタロスに挑むことになったのであった。