美鶴「さて佐藤…この前見せた君のあれについて、説明してもらおうか」
俺は現在、山岸風花の体調が治るタイミングで、全員が涼に集まっている。もちろん俺もだ。んで、山岸が特別課外活動部に入部するのが決まった後、この話だ。
翼(ま、見せた時点でいつか来るとは思ったけどな…)
美鶴「私と岳羽を助けた時のあの動き…そして、明彦達と出て来たあの薄気味悪い物体」
薄気味悪いって…まあ、俺もあれに関しちゃそう思うけどさ。
紫『アレのどこが薄気味悪いのよ!皆して失礼しちゃうわ!』
って以前アイツが言ってたな…
翼「まあ、別に説明してもいいんですけど…」
明彦「なんだ?何か都合が悪いのか?」
翼「都合と言えば都合ですね。こっちの秘密を話すなら、そちらも隠してる事を、ここにいる全員に話すべきでしょ?」
「「「!?」」」
「「「「??」」」」
俺の言葉に美鶴と真田先輩は驚きの表情をする。理事長も驚いた顔は見せたが、若干殺気も出て俺を睨んでいた。俺以外気付かないがな。やっぱ理事長、何か隠してるな。
ゆかり「秘密って…どういう事?翼君」
翼「おかしいと思わなかったか?影時間に適応して尚且つ、ペルソナが使えるお前達に聞くが、何故この影時間の消滅に協力する?」
琴音「それは、無気力症が増えてるからで」
翼「確かにその通りだ。けど、シャドウに対抗できる武器等を作れる程技術があるんだぞ?桐条グループには。なら、影時間に対応してる人も数人はいるはずだ。子供の俺等じゃなく、理事長みたいな大人が、本来なら対応するはずだが?」
俺の言葉に、琴音やゆかり達はハッとした顔をする。
理事長「それを言われれば、我々大人は立場がないけどね…」
言葉は普通だが、俺への殺気が強まったな。顔や態度は普段通り。だが、血液の流れや呼吸音、心拍数は誤魔化せないぞ?理事長さんよ…
美鶴「…そうだな。確かに君の秘密を聞くなら、まずはこちらの事をきちんと説明するべきだな」
明彦「いいのか?」
美鶴「ああ。いずれは話さなければいけない事だからな」
そして美鶴は話し始めた。
美鶴「落ち着いて聞いてほしい。影時間が発生したのは…桐条が原因なんだ…」
「「「「「!!?」」」」」
話せとは言ったけど、いきなりとんでもない爆弾放り投げてきたな!そして美鶴が話し終わると、それぞれ意見を言う。
翼「10年前に、桐条グループの実験で大量のシャドウが集められ、そこで事故が起こり影時間が生まれたと…」
ゆかり「なんですか…それ…」
琴音「ゆかりちゃん…」
ゆかり「桐条先輩は当然として、理事長や真田先輩も知ってるんですよね?」
明彦「…ああ」
理事長「そう…だね」
ゆかり「なら、それを知ってて、私達を利用したって事ですか?」
ゆかりはワナワナ震えている。
美鶴「それは違う!私は…決して君達を利用など…」
ゆかり「けど!今まで説明もなしに、私達を戦わせていたじゃないですか!巫山戯ないで下さい!!」
順平「ちょっ!落ち着けってゆかりっち!」
ジュンペーがゆかりを宥めるが、今は逆効果だ。
ゆかり「順平は何も思わないの?この人達は、自分達の目的の為に、私達を利用してたんだよ!」
順平「いや…そう言われるとなんとも…」
翼「落ち着けゆかり」
俺はゆかりの頭を撫でながら、前に出る。理事長、美鶴、真田先輩を見つめる。
翼「美鶴、お前は話しの中で、自分の父親の贖罪の為に助けていると。なら、さっき俺が言ったみたいに、ここにいないで四六時中父親の側で守れよ。真田先輩も事情は知ってるんだろ?なら真田先輩だけ手を借りろよ。理事長にも武器を持たせろよ。他にも数人影時間移動できる人達いるんだろ?」
美鶴「そ…それは…」
理事長「ま、まあまあ佐藤君。これ以上美鶴くんを責めなくても…」
翼「理事長…少し黙っててもらえますか?」
俺は理事長、美鶴、真田先輩に覇王色の覇気を意識が保てる程度まで抑えて睨む。
理事長「い、いや…その…」
明彦「くっ…何が起きた!?」
美鶴「わ、分らん…だが…」
美鶴は睨んでる俺を見る。
翼「ゆかりを始め、琴音、ジュンペー、山岸。ペルソナが使えるコイツらに説明もせず、ただただ出てきたシャドウとタルタロスを攻略させる。巫山戯るなよ?一歩間違えれば、あの時みたいに命の危険だってある。それを理解して黙ってたのか?」
美鶴「……」
翼「理事長なんだろ?生徒会長様なんだろ?天下の桐条グループなんだろ?俺達より頭良いはずだろ?今時小学生でもできることが、何で大人や大人に近い人達ができないのか」
俺はわざとらしく煽りながらそう言う。
ゆかり「ちょっと…翼君」
風花「さ、流石にその言い方は…」
翼「ならお前らは許せるんだな?全員が許せるなら、今の言葉を謝罪する」
ゆかり「そ、そう言われると…」
風花「う〜ん…」
琴音「私は…別に」
順平「オレっちも許すけどな」
お前の場合は、その力が使えて嬉しい方が勝ってるだけだろ。現に、ゆかりと山岸は悩んでるぞ。
美鶴「…確かに翼の言う通り、説明をすればよかった。だが、最初に説明してしまうと、協力してもらえないと思ったのだ。だが、今になってそれが間違いだったと気付かされた。すまなかった」
美鶴は俺達に頭を下げた。
「「「「……」」」」
琴音達は顔を見合わせた。そして頷いた。
ゆかり「…分かりました。騙された気分はよくないですけど、私達も協力します」
美鶴「…ありがとう」
翼「ま、ゆかり達が許すなら、俺はこれ以上何も言いません」
美鶴「すまない」
翼「その代わり、当分の間は俺の力の事は教えませんので」
美鶴「…仕方ない。元々は我々の落ち度だからな」
明彦「そうだな」
渋々だが、美鶴と真田先輩は納得した。理事長は何も言わないので放っておく。ま、後日接触されそうだが…
翼「さて、それじゃあいい時間だし飯でも作るか」
俺は作戦室を出て、1階のキッチンに向かった。
翼「強力粉、塩、砂糖、パン種と水を混ぜこねる。固まりになるまで混ぜてくれ」
全員で固まりになるまでこねる。
翼「ここでオリーブオイルを加える。そして、生地の端を持って、叩きつけるようにこねる」
バチン!バチン!
「「「「……」」」」
ゆかりと真田先輩は、いい音を出しながらこねている。ゆかりの場合は、怒りの矛先を生地に向けてるだけだろうが…
翼「綺麗に伸びるようになったら、一次発酵だ」
暫く放置してると、生地が膨らんだ。
翼「2倍ほどに膨らんだら、均一に分断して形を整える」
それぞれで形を整えていく。
ゆかり「……」
翼「二次発酵…しっかり膨らんだら、弱火で片面ずつ焼いて…少し蒸らし、蓋を開ければ…パンの完成だ!」
順平「へ〜。普段何気なく食ってるパンって、あんな感じにできるんだな」
美鶴「ああ。それにあのやり方なら、タルタロス内でも同じ事ができる」
翼「ま、流石に二次発酵までは外で作っといた方が良さそうだけどな」
【野菜と鶏のキャベツ煮〜パンとご一緒に〜】
・パン
・ピリ辛鶏と丸ごとキャベツ煮
・クレープ
翼「パン作ってたら、すっかり朝方だな」
琴音「少し早いけど朝ご飯だね」
「「「「「「いただきます!」」」」」」
琴音「美味しい…辛っ」
ゆかり「けどピリ辛で美味しい!」
順平「前に翼が作ったキャベツ煮と、同じ食材なのに全然違う料理になってら」
明彦「俺はもう少し辛くてもいいな」
風花「パンもモチモチで、凄く美味しいです♪」
「「「「「「「ご馳走様でした!」」」」」」」
順平「ふぁ〜…今日が休みでよかったぜ…」
ゆかり「そうだね…流石に…ファ…私も眠い」
美鶴「そうだな。全員徹夜明けになったからな。佐藤、君も空き部屋でいいなら泊まっていくといい」
翼「そうですね…じゃあ遠慮なく…」
【意見は違えど、腹が減るのは皆同じ。たかが食事…されど食事…】