約半年ぶりに、小説を投稿いたしました。
今回のお話では、セラの戦いまで書き切ろうとしたのですが、力尽きたので、次回に回したいと思います。
そのため、今回セラの出番はほとんどないです。すみません。
また、予定話数がずれたため、このエバルー屋敷でのお話は、後2話続くと思います。(断言はできないです。すみません)
「素手でよく粘るね!でも...!」
ヒュン
「っ!」
11体のルナに対し、避けては武器を奪い、その武器を振るうが、時間がかかるほどにセラの体には擦り傷が増え続けていた。
そのような激闘を繰り広げる中、一方、ルーシィ達は....
<????>
「「「ぐっ!?」」」
身に乗り掛る衝撃と、2つの声で目が覚める。
身をよじりながら乗り掛る何かから抜け出し、周囲に目を向けると、そこには広大な空間が広がっていた。
左右の壁には、壁一面に扉が何個も取り付けられ、前後の壁には特段大きな扉が聳え立っていた。
そんな景色に圧倒されながら、先ほど身に乗りかかっていた正体は何かと目を見やると、
そこには、見知らぬ二人のメイド少女がもぞもぞと動いており、今まさに起き上がろうとしていた。
「ん?」
(あれ?確か...私、ナツとハッピーと一緒にいたはずじゃ..)
「んー....ハッピー、ルーシィどこだ...?」
「...あい?」
目の前の少女達に困惑しつつ、二人の声を聴いて、もしかしたらと
言葉を紡ぐ。
「..ナツとハッピー....?」
少し、小声になったせいで聞こえていなかったのか、片方の少女は、背中をペタペタ触りながら、体を震わせていた。
「えっと...どうしたの?」
「...オ、オイラのお魚が!?」
ない!と必死に背中をカキカキしていた。
「ふー‥。あなた、ハッピーよね?
じゃあ、こっちがナツ‥」
と言いながら、もう片方の人物に目を向けると
「なんか、すげぇ胸が苦しいぞ‥!」
今まさに、服の胸部分を引きちぎるメイド少女(多分ナツ)の姿が
「ぎゃー!?何やってんのよ、アンタ!」
「へぶっ!?」
目の前の変態を成敗andこの体の持ち主の名誉を守るためにナツの頬に鉄槌を下す。
自分の力が強くなったのか、ナツが弱くなったのか分からないけど、想像以上に吹っ飛んでいったナツは、
いつの間にか目の前に立っていた体格の良い女性によって受け止められた。
「お、目覚めたのか」
その女性は、こちらを睨んでいるわけではないのに威圧感を放っており、声をかけれずにいると
「よし。じゃあ、行ってこい。」
「てめぇ、離しやがっ!?」
「え?」
そう言いながら、ナツを片手で軽々しく後ろに放り投げたかと思うと、一瞬で私たちの目の前に現れ、私とハッピーの胸ぐらを掴み、壁一面が扉になっている方へと投げ飛ばす。
(やっば!ぶつかる!!)
扉に体がぶつかる瞬間、突然扉が開き、その中にある暗闇に飲み込まれる。
完全に飲み込まれる間際、ナツが手を伸ばしていたが、
その手は届かずに、人を招くことができた扉は満足そうに門を閉じ、鍵のかかる音が響いていた。
「あいつらをどこに連れていきやがった!」
「そう、焦んな。ただ、エバルーの相手をしてもらうために移動させただけだ。
あいつらを殺そうなんて考えてねエよ。」
ナツは信じられるかと、反論しようとした時、先ほどの暗闇が脳裏に浮かぶ。
ひたすらに暗く、引き込まれそうなほどの漆黒。
あれを見たのは初めてではない。確か、自分が倒れてすぐ、朦朧とする意識の中であの暗闇を漂っていたはずだ。
それなら...
「....オレ達をここに連れてきた時と、同じってことか」
「ああ、そういうことだ。
....だがまあ、俺達を倒さねぇ限り、体は元に戻らねぇし、魔法も使えねぇ。つまり戦うしかねぇってわけだが。」
そう言いながら、彼女はにやりと笑うと、「かかってこい」と手招きする。
「!燃えてきたぞ!」
ナツは、湧き上がる闘志と共に、彼女に向かって地を蹴る。
ヒュンッ ヒュンッ ドンッ!
闘いは互角だった。
始めこそ、魔法も使えず、慣れない体で苦戦していたナツだったが―—
持ち前の戦闘センスでコツを掴み、次第に彼女と互角に渡り合うまでになっていた。
‥いたのだが、時間が経つにつれ、彼女の拳はますますキレと力を増し、ナツを大きな扉の方へと追い詰める。
「どうした!避けてばっかりで反撃がこねえなぁ!」
矢のようなラッシュをなんとか躱し、受け流すナツだったが、突然ナツの足がよろめく。
「!」
その隙を見逃すことなく、彼女が拳を振りぬこうとしたその時――
突如、視界に、ふわりと舞うエプロンが移る。
コンマ何秒の困惑があったが、すぐさま、隙をつきにくるだろうとカウンターに切り替え、今か今かとエプロンに隠された向こう側に意識を向けていると、
そこには、突っ込んでくることなく、地面に足をつけて、腕を引き絞り構えるメイド服の少女(ナツ)の姿が。
彼女の『エプロンを投げたと同時に突っ込んでくるはずだから、カウンターを打ち込む』といった予測にズレが生じたことにより、予測より遅れたナツの拳に対応できずに、拳は彼女の腹へと迫る。
「これでも―――喰らえッ!!」
「ぐっ!」
ナツの渾身の一撃は、綺麗に溝に入った。・・・ように見えたのだが、
寸前で、カウンター用の腕とは逆の腕を滑り込ませ、拳を受け止められる。
「っ....!まだだああぁッ!」
それでもナツは力任せに拳を押し込み、筋肉質な彼女の腕をミシミシと軋ませる。
「ぐっ!!さすがだなッ...魂がでけぇやつの拳は響くッ..がッ!!」
ナツの拳を腕で受け止めていた彼女だったが、
今度は逆に、その腕を前へと押し出し始めた。
彼女の腕から更なる悲鳴が響く中、彼女はそんなことお構いなしとばかりに、更に腕に力を入れ続け、
「まだァッ! 俺をォ! 倒せるほどじゃねぇぇッ!!!」
グリッ――。
「くっ!」
腕が折れ曲がりながらも、彼女はナツの体をのけぞらせ、そこへ拳を叩き込もうとした、その刹那、彼女の視界に移ったのは、ナツの体からぽつぽつと溢れる黄緑色の光の粒だった。
のけぞらされたナツの目の前には、折れていない方の拳を構え迫りくる者の姿が。
その者が迫りくる中で、ナツは、体内の魂から何かが溢れ出すのを感じる。
(この感じは...)
それは懐かしくも温かい感触で、魂の奥底からしずくのように零れ落ちる
そのしずくは、自身の魂を圧迫していた高密度の魔力を解きほぐし、魔力の形、つまりは体そのものの形が変化していく。
「おいおい..」
その姿は、もはやメイド服の少女ではなく、
「火竜の――」
「あいつ、まじかよ...!」
「咆哮!!!」
桜色の髪に、鱗のようなマフラーを身に着けたナツ本来の姿であった。
激しい炎が舞う中で、ナツは自身の体に目を向けると、体はどんどん薄れ、先ほどのメイド少女の体が透けて浮かび上がっていた。
限界が近いことを理解したナツは、視線を前に向けると、笑みを浮かべながら仁王立ちする者の姿があった。
「まだ、全然足りねぇなあ! 全力でぶつけてこい!!」
「ああ―—、全力でぶっ倒してやるよ!」
ナツは、右手と足に炎を宿すと、スピードを上げ、彼女に拳を叩きつける。
「火竜の鉄拳!!!」
拳の爆炎と共に、後退し、息を大きく吸い込む。
「火竜の咆哮!!!」
両腕に羽のような炎を纏うと、漂う爆炎の中に向かって飛び込む。
「火竜の翼撃!!!」
彼女の体は宙へと跳ね上げられ、同時にナツの姿は、再びメイド少女へと戻っていた。
「・・・」
「・・・」
両者は、沈黙していながらも、いまだその瞳に闘志を灯しており、
跳ね上がっていた彼女は、地面に踵を叩きつけ、足を地面にめり込ませると
そのまま腰を落とし、片手で地面を掴み、猫のように体を丸める。
その丸まった体からは、先ほどの比にならないほどに、ブチブチと筋肉が軋む音が響く。
体を翻してその姿を見たナツは、両足を肩幅に構え、拳を握りしめると、息を大きく吸い込み、目を瞑る。
もう残り火もなく、あるのは、今も圧迫されている魂一つ。
それでも――全力を引き出すため、自身の体内に意識を移す。
先ほどは手助けもあったが、実際に魂からの魔力を知覚し、引き出すことができたのだ。
なら、その体験を生かしてもう一度――再現して...
(いや、再現だけじゃ足りねえ...!
もっとだ!もっとでかく、もっと熱い、魂そのものをぶつけてやるッ!!)
ナツはただひたすら、自分自身を、自身の魂を燃え上がらせる。
魂を手でいじくり回しているような、奇妙な苦痛を伴いながらも、集中を切らさず、自身を燃やし続ける。
(っっ!!!)
始めはただそこにあるだけの魂だった。
だが、だんだんとその強い想いと熱によって、魂が揺れ、膨れ上がり、
炎のようにナツの体外まで燃え広がる。
「火竜の...!」
体から噴き出す炎を、拳ひとつ、ただ一点に集中させる。
吹き出る炎が拳に凝縮されるにつれ、揺れ動く炎は、赤から青へと変色していく。
ガリガリ...
一方、その青い輝きを放っているナツの声と共に、彼女も足と腕に力を入れ、地面はえぐれるように沈んでいく。
そして...
バゴンッ!!!
轟きと共に、まるで弾丸のように、飛んでくる彼女に対し、
ナツは、一歩も動かずに、その場で構える。
彼女が間合いに踏み込んだ瞬間、ナツは一層、拳に宿る魂を燃え上がらせ、
渾身の叫びとともに、拳を彼女の拳へと突き出した。
「
拳同士がぶつかると、衝撃が両者の腕や肩を震わせる。
一歩でも退けば負けだと、互いの全力を押し付け合う。
「「うおおおおッ!!」」
二人の咆哮が重なり、衝撃がさらに増す。
足元の地面は砕け、炎の渦が二人を包み込む。
だが、次の瞬間──
ナツの拳に込められた熱が、ナツの咆哮に反応するように膨れ上がると、
「おおおおおおッ!!!」
彼女の拳を押し返し、その身体ごと吹き飛ばす。
轟音と共に彼女は、大きな扉に叩きつけられ、崩れ落ちるように倒れ込む。
一方、ナツも拳を下ろし、熱気を吐き出すように息を整えると、力が抜けたようにその場へ崩れ落ちた。
そのまま、まぶたを閉じる最中、先ほど力を貸してくれた彼女を思う。
(,,,ありがとな、セラ。....お前なら、―—ぜってぇ、勝て...る....)
残った炎を託すように、彼女へエールを送ると、ナツの意識はゆるやかに途切れていった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
次のお話の構成としては、セラとルナの決着と、扉の中にある暗闇空間でのルーシィ達のお話について、書ければと思っております。
次回も読んでいただければ幸いです。