あ!ゲートから野生のドータクンがとびだしてきた!   作:でかすぎ史郎

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13話 vsドラゴン後編

 時間は巻き戻り、銀座側の門が占拠されてまもなくこと。

 内閣総理大臣の森田は動揺を隠せないでいた。

 今、彼は安全保障会議を開いている。

 

「一体、何が起こっているのですか」

 

「国際NGOを名乗る団体が門を占拠しました。奴らの要求は門を国連の管理下に置くこと、さもなければ門を破壊する」

 

「しかしですね。そう簡単に門を占拠できるものなのですか?」

 

「自衛隊が投入しにくい東京ならではの環境故でしょうな。それと中国とかかわりの深いデモ隊に対する締め付けが甘かったんじゃないですか?」

 

 嘉納大臣がそういって悔しそうな表情をする。

 すると森田はこう反論する。

 

「そんなことしたら独裁政権と変わらないじゃないですか」

 

「まあそれはともかくとして、別に壊されてもいいんじゃないですか?ドータクンだけならまだしもこっちにはレレイがいる。」

 

「それはそうですね。ですが解せませんね、このNGOは中国主導のもの。彼らが門を壊して終わりとは思えませんが」

 

 彼らが思考を逡巡していると政府の官僚が次々と入ってきた。

 

「防衛省より報告、尖閣諸島沖に大量の中国の漁船が領海侵犯をしてきました」

 

「経産省より報告、円の大量買い付けによって急激な円高になりました」

 

「総務省より報告、大手メディアの放送がジャックされました」

 

 次々と官僚による国難の報告が上がってきた。

 これはますます怪しくなる。

 

「な、これは」

 

「間違いなく第二派、本命がありますね」

 

 そして最後に入ってきたのは外務省の官僚だ。外務省の官僚は緊張した面持ちでこう話した。

 

「外務省より報告。中国の大使が首相に会談を申し込みたいと。なんでもレレイ氏の件についてとのことで」

 

 遂に来たかと森田総理は思った。だが問題はない彼ら(日本)には門をもう一度作れるレレイがいるのだから。しかしその余裕は数時間後に打ち砕かれることになる。

 

「さてと、為替操作や領海侵犯に対しての説明はあるのでしょうね」

 

 官邸に来た中国大使は森田の剣幕を余裕を保った表情でいなしある物を森田総理へのプレゼントとして置く。

 

「これは杖です。名前はなんでしたかな?レレイ…そうレレイ氏の物です」

 

「なぜあなたがそれを?」

 

 嫌な予感が森田によぎる。

 レレイが誘拐された?どうやって?だがそれの疑問を無視して中国の大使は話を続ける。

 

「単刀直入に言いましょうか。中国政府としては銀座の門は国連の管理下に置くことを改めて勧告いたします」

 

「なっ、これは拉致ですよ。問題ですよ。それに銀座の門のNGO、貴方達の手引きですね」

 

「なんのことやら。私はレレイ氏の行方については存じ上げませんし、NGOのこともよくわかりません。ただ、銀座の門は国連の管理下に置くことを薦めます。ただ、それだけを言いに来ました。」

 

 ただ、それだけを言いに来ました。そんなわけはない。これは脅しだ。はっきりとは言わないが、「銀座の門の身柄は預かった。門を国際管理下に置け。ちなレレイ(門発生装置)は中国の手にあるから作り直しはできないぞ」という意図を感じる。

 森田は窮した。だが彼も内閣総理大臣。ここで怯むわけにはいかない。

 

「我が国にはドータクンがいます」

 

「そうですか。ですが銀座の門が壊れた場合は二度と同じような運用は出来ないでしょうな」

 

 正論だ。ドータクンの生み出すウルトラホールは小さすぎる。そして固定化できない。つまり使い勝手が悪いのだ。仮に門が壊されてもドータクンのおかげで自衛隊自体は帰還できるが異世界利権は大幅に削減することになるだろう。そしてレレイを有する中国は異世界の利権を貪り放題。

 これは問題だ。ただでさえ中国に経済力も武力も超えられてるのに…異世界利権で差を付けられるはマズい。

 

「まあ、お答えは時間をかけて考えてください。私からは以上です」

 

 そうして中国大使との会談は終わった。森田は外務大臣の嘉納に会談内容を説明する。それを聞いた嘉納は絶望した表情で森田に言葉を投げかける。

 

「な、なんという。…杖が偽物の可能性は?本人の写真を送ってこなかったことはそういうことなのでは?」

 

「それも可能性として考えられますが最悪を想定しないで政治家はできません。楽観的に先を見てどうなったかは先の大戦で学んだでしょう」

 

「最悪の想定をすると特地での利権がほぼ失われてしまうことになるな」

 

「ええ、ドータクンがいたおかげで自衛隊の帰還ができるのは不幸中の幸いですが確かに痛いですね」

 

「とりあえずはレレイ嬢がいたであろう特地と連絡を取りたいが…NGOが銀座にいて電波を遮断しやがった。クソったれ!中国め!」

 

 彼らが苦悩しているとまたしても官僚の1人が入ってきた。

 

「内閣官房より報告!ドータクン様…いえドータクン氏が官邸に来ました。どういたしましょう」

 

「ドータクン氏が?どうやって?」

 

 森田は驚いた。ドータクンは特地にいるはずだ。そして特地と日本を繋ぐ門は世界に1つだけで、その1つは中国(NGO)の手に落ちているのだから来れるはずがない。

 

「森田総理、まずは招こう」

 

 そうしてドータクンが官邸に招かれる。

 ドータクンは依り代を提供され森田と嘉納と急遽会談することとなった。

 彼らはお互いに情報を交換しつつ話の本題に入る。

 

「森田総理、嘉納外務大臣。会談にお招きいただきありがとうございます。それで、レレイが誘拐された疑惑ですか。すみませんが今日、レレイの事を見ていません。ですがそこの杖、木目的にもレレイの杖で間違いないかと」

 

「そうですか。では、こちらに来てもらって恐縮ですがレレイ嬢の確認の為に世界を経由して特地世界に戻ってきてもらえませんか」

 

「わかりました」

 

 そう言ってドータクンは官邸を後にする。

 残ったのは

 

「さてと、俺らはどうします森田総理」

 

「見守る。それしかないでしょう。嘉納さん」

 

 日本の反撃が始まろうとしていた。

 

 ノ||◎皿◎||\ノ||◎皿◎||\ノ||◎皿◎||\

 

「それでなんで俺がいるの」

 

「レレイ、タスケタイ、デショ?ソレニ、ヒメ、タスケル、ニハ、オウジ、ヒツヨウ」

 

「いやまあ呼んでくれたのには感謝してるけど。姫ってまだ攫われたかどうかも分かってないでしょ」

 

 日本に来た私は伊丹さん(身柄の引き渡しの件で母親の後見人との調整で日本にいた)を連れてポケモン世界経由して特地世界に行くことになった。

 

「ヨシイクゾー」

 

「待ってくれ。あのマッシブな蚊(マッシブーン)とかがいない世界にしてくれよ」

 

「シンパイ、ムヨウ、ワタシ、イタ、セカイ、トオル。ダカラ、アンゼン」

 

 ウルトラビーストみたいな危険生物がいる世界は通らない。安全な私がいた世界を通る。…私がいた世界って村ひとつがキビキビパニックになったりギャラドスに集落が壊されたりとかもあったよな。まあ私が守ればいいか。

 そうして私達はウルトラホールを通ってポケモン世界に突入した。

 

「ここがお前の世界か」

 

「ソウ」

 

「うおっ!見たことない生き物が沢山いる。凄いな…っていやいや、そんなことしてる場合じゃない。ドータクン早く特地に繋がる門を開いてくれ」

 

「リョウカ「ぱるぱるぅ!」

 

 この声は!まさか!

 

「おい!安全じゃなかったのか。なんだコイツは」

 

「…スマン」

 

 コイツはくうかんポケモン、パルキアだ。なんのようだ。

 

「ぱるぱるぅ!(貴様だな。ここ最近、何度も我が世界に穴を開け世界の理を乱す輩は)」

 

 いやそれは違う。ガブリアスとかはハーディのせいだ。…そういや私もポケモン界の木の実とかをウルトラホールで入手してたな。というか木の実ガチャとかいってたくさんウルトラホールたくさん開いてたしハーディよりも悪質だな。

 とりあえず嘘でもいいから違うと言おうか。

 

「ごぉん(違う!)」

 

(いいや現行犯だ。死ぬが良い)

 

(待ってくれ。お願いだ。もうしないから)

 

(問答無用!)

 

「おい、どうすんだ。ドータクン」

 

「ニゲル」

 

(させるとでも?)

 

 クッソ、パルキアのバカヤロー!!

 完全に誤算だ。ここでパルキアが出てくるなんて。ウルトラメガロポリスみたいな安全かつパルキアの管轄外の世界でも経由していくべきだった。いやそれは結果論だ。メガロポリスに行っても一般通過ネクロズマに干渉される可能性もあっただろうし。

 それはともかくだ。やるしかない。私が時間を稼ぐうちに伊丹さんだけでも特地に行かせる。…いやそれだと本当にレレイが中国に拉致されていた場合に森田総理に伝える手段がなくなる。クッソどうすんだよ。こんなの聞いてないぞ。

 

(考える暇があるのか?)

 

 パルキアが『はどうだん』を撃ってきた。私は避けようとしたら弾が追尾してきた。そういや『はどうだん』は必中技だったな。私は『じんつうりき』を使って押しとどめる…が無理!そのまま喰らった。

 

「ドータクン!」

 

 痛い。超痛い。不一致等倍技でこれかよ。『じんつうりき』で防御してなかったら一瞬でひんしにされてたぞ。だが何もしないわけには…私はオヤブンポケモンの咆哮+『きんぞくおん』の指向性のある咆哮を放つ。

 

(効かんよ)

 

 どういうことだ。全く効いてない。せめて『きんぞくおん』くらい効いてくれよ。

 

(さてと、問おうか。そこの人間は無関係なのか?)

 

(ああ、無関係だ。だから彼を送り出すくらいはしてやってくれ)

 

(断る。なぜ我がそこまでしてやる必要がある?)

 

 ああ、絶望だ。勝てるわけもない、逃げれるわけもない。そして伊丹さんを逃がせれるわけもない。

 そう思った時、聞き覚えのある大きな声が響いた。

 

「ガブキラァ!(ヤケモーニンwww元主殿www)」

 

 コイツは…マッハポケモン。

 

「ガブリアス!」

 

 思わず声が出てしまう。

 なぜここに。

 

(声が響いてましたなwwwここは加勢する以外ありえないwww)

 

 パルキアには効いてなかったがガブリアスは聞いてたようだ。あながち無駄でもなかったな。あの咆哮は。

 

(なんだ貴様は)

 

(通りすがりの役割論者ですなwww此度の相手はヤルキアwwwやるきがありまくりですなwww)

 

(そうか、歯向かう気か。ならば容赦はせぬ)

 

(ドラゴンダイブですぞwww)

 

(ぬぅっ!)

 

 パルキアが弱点を喰らいよろめく。流れ変わったな。

 それにドラゴンダイブだと。アイツ確か前はドラゴンクロー止まりだったはず…強くなったんだな。

 

(ガブリアス、聞け。私達は異世界に行きたいだけだ。私達が異世界に行ったら全力で逃げろよ)

 

(了解ですなwww元主殿www従う以外ありえないwww)

 

(させてたまるか!これ以上、世界の理を乱そうとするな!)

 

「何だか知らないが喰らえ!」

 

 伊丹さんも銃をパルキアに向けて掃射して対抗する。3対1、しかし3の方に勝ち目はなし、1こそ神という絶望的な状況だがやるしかない。

 私はパルキアに意図がバレないように特地の言葉で伊丹さんに話しかける。

 

「イタミ、3ビョウゴ、ゲート、ヒラク、イイナ?」

 

「了解」

 

 私はパルキアに向けて牽制目的で『じんつうりき』を放つ。そして3秒が経った。私は特地に繋がるウルトラホールを開いた。伊丹さんがウルトラホールに向けてダッシュする。

 

(そういうことか!させるか!)

 

 そう言って遅ればせながらパルキアが門に向けて『あくうせつだん』を放ってくる。だが対応が少し遅かったな。私は門の前に立ちはだかった。

 亜空を切断する技といっても要はドラゴンタイプ、私にとっては半減だ。だからなんとか耐えきれるはずとの目算だ。そして耐えきり私はウルトラホールに逃げ込む。これが私達の勝ち筋だ。

 強大なエネルルギー波がこちらに迫って来る。そして私の体に当たる。

これは!耐えきれない。半減技とか関係なく世界を切り裂いてるんだ。やばいこのままだと死ぬ。けど後ろにはウルトラホールに入ろうとする伊丹さんがいる。逃げるわけにはいかない。

 

 うおおおおおおお!!!!!

 (ドータクン)は伊丹さんを悲しませまいともちこたえた!

 

(なに!私の『あくうせつだん』を耐えるだと!?)

 

 パルキアが動揺している。今だ!既に伊丹さんはホール内に入っている。ガブリアスは適当に逃げてくれるだろう。

 後は私が逃げるだけだ。

 

(なら2発目はどうだ?)

 

 パルキアの『あくうせつだん』。それが目の前にある。

 反則だろ。ポケモンはターン制だろ。パルキアの攻撃を耐えて私のターンだったはずだ。…いやそれを覆すのが神か。走馬灯という奴だろうか…今までの人生が全て出てくる。ドーミラーの時の記憶・トレーナーに捕まりそうになった記憶・銀座事件の記憶・自衛隊と組合のみんなの記憶・炎龍とガブリアスの記憶。

 

 そして気が付くと私の目線は2つに割れた。いや違う、割れたのは目線じゃなくて私だ。真っ二つに私は割れている。ガブリアスが悲しそうな表情をして泣いている。ああ、これは死んだ。




●ガブリアスの解説②
・説明
 再登場した役割論者。レベルはドータクンと戦った時よりも更に上がり82にまでなっている。

・技
『ドラゴンダイブ』『じしん』
『アイアンヘッド』『ほのおのキバ』 

 10話のガブリアスの解説①では『ドラゴンクロー』だったのがドラゴンダイブになってより役割論理に適した技構成になった。なお役割論理ではガブリアスはボブリアス(使いづらいポケモンの意味)な模様。

・特性
『さめはだ』

・性格
 いじっぱり
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