あ!ゲートから野生のドータクンがとびだしてきた! 作:でかすぎ史郎
「ごぉん」
「傷大丈夫?」
私はドータクン。転生者だ。そしてなんやかんやあって意味不明なファンタジー世界に来た。…まあポケモン世界も大概だけど。
色々と大変だった。門をくぐったらたくさんのファンタジー軍団がいてさあ大変。自慢の『じんつうりき』で敵の陣を突破し逃げれたはいいものの、余りにも戦い過ぎて傷ついてしまった。流石にオヤブンポケモンの私といえでも物量には耐えられなかった。つまり瀕死になってしまった。
そして私はコダ村に流れ着いた。今はそこに住むレレイという少女とカトー老師とかいうお爺さんの所でお世話になっている。半分実験体、半分ペットといったところだろうか。
「ご!」
「大丈夫ということ?」
ここのファンタジー言語も何とか習得し自分がドータクンと言う名前であることも相手に伝わった。そして私が戦っていたのは帝国というこの地を治める国家で日本を侵略しに来たが無事敗北したという情報も入手した。
「貴方は一体なにもの?」
「ごん!」
ポケットモンスター縮めてポケモンです。
まあ伝わるわけないか。
俺達がコミュニケーションのようなものをしているとカトーのお爺ちゃんが慌てた様子でこちらにやってきた。
「大変じゃ。レレイ、ドータクン。炎龍が出たぞ。避難するぞい」
炎龍なんだそれ?名前的には炎ドラゴンタイプっぽいけどバクガメスみたいな感じか?それともドラゴンタイプじゃないけどリザードン的な?
「炎龍は危険な生物。ドータクン、馬車に物資を運ぶの手伝って」
私は『じんつうりき』のサイコパワーを使って物資輸送のお手伝いをした。
そうしてレレイ達は馬車で逃避行を開始した。
「じゃあ師匠。行こう」
「そうさの」
「ごぉん」
そうして私達はコダ村の人間達と避難を開始した。そこまではよかった。問題はその道中に出会ってしまったのだ。炎龍ではない。自衛隊にだ。
いきなり銃口向けてきた連中じゃないか。やべぇよ。やべぇよ。とりあえず馬車の後ろに隠れよう。
「え?あれって銀座の謎銅鐸」
バレた即効でバレた。
まあそりゃバレますわな。私はオヤブンポケモンでおそらく体長2m超えてるもんな。
「ドータクン。知り合い?」
「…ごぉん」
私がどうしようかと思索を巡らせていると1人の自衛官が近づいてきた。
すると片言のファンタジー言語でこちらに話しかけてきた。
「えっと、その、鐘?いったいなに?」
私はスッとレレイの方を向く。レレイは嫌そうな顔をした。事情を説明するには仕方ないのだが。
「私は嫌。師匠が依り代になって」
「…仕方ないの…てょわわわぁ~ん」
私は『じんつうりき』をカトー老師に向けて発動した。今回の『じんつうりき』は念動力ではない。相手に憑霊する、乗っ取る感じタイプだ。
『じんつうりき』、漢字で書くと神通力となるだろう。神に通じる力、神って宣託を伝える為にイタコみたいに人に乗り移って会話したりするイメージがある。その要領で相手を乗っ取っている。
バドレックスがピオニーの体を乗っ取れるなら私も出来るだろうの精神だ。私もエスパータイプなのでそういうのはお手の物なのだ。
それはさておき私は日本語で自衛官に挨拶をした。
「こんにちは。私の名前はドータクン。この老師の体を一時的に借りて話をさせてもらっています」
「日本語!?ああ、どうも。私の名前は伊丹二等陸尉であります」
伊丹さんは敬礼をして此方に挨拶をする。
おお、軍隊っぽいな。というか二等陸尉ってどれくらい偉いんだ?まあいい、話を続けるか。
「ご丁寧にどうも。端的に言いましょうか。私は日本で帝国軍と戦いました」
「やっぱそうなんですね。ネットとかでも銀座の謎銅鐸として話題になってますよ。…あネットというのはですね「存じてます」ああ、そうですか」
伊丹さんが「ネットを知る銅鐸とは一体?」と困惑している。まあそこは転生者なんで。
しかし日本か。私がドータクンになる前にいた国だ。そこにはポケモンというゲームもあって…そういや謎銅鐸として話題になってるとか言ってたな。ドータクンじゃなくて。じゃあポケモンがない世界線の日本か。まあ日本には変わりないだろう。それにポケモン扱いされてないということはトレーナーがいない世界だ。
ばんざい!ようやっとトレーナーとかいう集団ストーカーがいない世界にたどり着いた。
じゃあ行くしかないな。私の
「私としては日本に行ってみたいものですね」
「いやそれは上に確認しないことにはなんとも」
「そうですか。まあ気長に待ちましょう」
私達が会話しているといきなり別の自衛官が割り込んできた。
「伊丹二尉、大変です!ゴスロリ少女がいます!銀座事件で連れ去られた娘かもしれません。対応願います」
「了解した。ドータクンさん、すまないが話は後でいいですか?」
「わかりました」
ゴスロリ少女?それは私も気になるしな。カトー老師への『じんつうりき』を解いて自衛隊に同行する。なんか自衛官に変な目で見られているが無視だ無視。
「えっと伊丹二尉 謎銅鐸がついてきてるんですが」
「ドータクンだ」
「え?」
「謎銅鐸の名前、話が通じるらしい」
「了解?」
そうして私達は件のゴスロリ少女の元に到着した。…ッ!これはヤバい!私のポケモンとしての勘かエスパータイプ特有の力かは知らないが彼女はやばい。生存本能が告げている。コイツに逆らったらマズいと。これはアレだ。準伝説や伝説のポケモンの『プレッシャー』に近い。つまり彼女は間違いなく伝説に連なる存在。
「貴方はぁ、なにものぉ?」
「…ごぉん」
「特地の言葉…じゃあ銀座で連れ去られた子じゃないか」
ゴスロリ少女は此方に近づいてきた。…なんのようだろうか。正直、怖い。
「神の気配が感じないような感じるような不思議な存在ねぇ」
「…ごぉん」
何だコイツ。
「そうねぇ名前を名乗ってなかったわねぇ。私はロゥリィ。この世界の神よぉ」
コイツ、思考を読まれた。しかし神か。道理で強い『プレッシャー』を感じたわけだ。
「あら威圧しちゃってごめんなさい。じゃあ私はぁ向こうに行こうかしらぁ」
そう言ってゴスロリ少女ことロゥリィは他の避難民の所へと向かった。
ふう。どっか行ってくれて助かる。
レレイの元に戻って適当にプカプカ『ふゆう』するか。
そうしてプカプカして数時間経ったときだろうか、突然として辺りが騒がしくなった。
「…ん?向こうが騒がしいのう?」
始まりは突然だった。
コダ村避難民の一部が騒いでいる。そして一筋の声が響いた。
「炎龍だぁ!」
炎龍、私達が逃げる原因のお出ましか。
私は炎龍の方を見る。炎龍はバクガメスもリザードンにも似つかわしくないフォルムをしていた。どっちかというとモンハンに出てきそうだ。
炎龍は炎のブレスを吐いて避難民を火あぶりにする。これはいかんな。
「ごぉぉぃん!」
私は『あまごい』を発動し場を雨状態にした。
これでほのお技は半減かつ延焼も防げる。どうだ!私の特性は『ふゆう』。『たいねつ』ではない。だからほのおポケモン対策に『あまごい』を仕込んでいるのさ。
「GYAAAAA!」
「怪獣と戦うのは自衛隊の伝統だ。やるぞ!」
そしたら炎龍は爪で避難民を殺し始めた。差し詰め『きりさく』といったところか。
だがこちらも負けてはいない。自衛官達が発砲して対応をしている。
「クソッ!突然の雨で撃ちにくいぞ!」
あ…ごめん。ここは汚名を挽回しなければ。
私は『ウェザーボール』を炎龍の頭に打ち込んだ。『ウェザーボール』は天候によってタイプが変わる技。そして今の天候は雨。つまり水タイプの技だ。ドラゴン複合かは知らないがほのおタイプは確定だろう。つまりは等倍以上は確定。
案の定、攻撃は効いたのか炎龍は怯んでいる。
「目だ!目を狙え!」
自衛官の1人が何かを察したのか目を狙い始めた。いいぞ互角に戦えている。
よし!私も更なる追撃をするぞ。『じんつうりき』で炎龍を拘束!からの必殺の『ヘビーボンバー』!
完璧に決まった。タイプ一致技を2つも喰らえばいくら炎龍だろうと「GYAAA!」なにっ!
炎龍は尻尾を振り回しそれを私に直撃させる。『ドラゴンテール』か、私ははがねタイプなので半減で大したダメージはないが技の効果で遠くに吹き飛ばされてしまった。
くっそ『ウェザーボール』と『じんつうりき』は効いていたのに『ヘビーボンバー』だけ全く効いてなかったぞ。
…そういや『ヘビーボンバー』は自分が相手より重いほど与えるダメージが変わる技。見た感じ炎龍は1トン以上はありそうだ。そしてポケモンというものは謎に軽い生物である。一般ポケモン界最大のホエルオーの体重ですら1トンどころか500kgもないのだ。いわんやそれより小さい私も500kgはなさそうだ。…とにかくこの世界では『ヘビーボンバー』は産廃技なんだな。技忘れしようかな。
まあいい。技を忘れるのは後にしよう。よしっ!じゃあこっから反撃だ!と息巻いて炎龍の方へ向かった。そしたら炎龍はいなかった。レレイに話を聞いた限りでは自衛隊が「コホウノアゼンカクニ」という呪文をとなえて炎龍を爆撃し追っ払ったとのこと。自衛隊が魔法を使うわけないしロケランでも使ったのかな?
とりあえず私達の勝ちだ。だがかなりの数の人間が死んだ。…元人間として感じ入るとこはあるがこれも自然の摂理、仕方ないとこもあるな。
そうして後は何事もなく私たちの逃避行は終わりを告げた。
「生存者の大半は近隣に避難するそうです」
「残りは身内が無くなった子供に老人、怪我人、後は違う理由で残った変わり者。あわせて25人と1体?か。」
自衛官達が何やら話し合いをしている。私は自衛隊達についていくことにした。私は帝国に喧嘩を売った身分、帝国領で生活するのは難しいだろう。だからこそ日本に行きたい。
私は、いや私達は不安な目で自衛隊を見る。連れてって欲しいが本当に連れてってくれるのか。そういう目だ。
その意図を組んだのか伊丹さんが此方を向いてはにかんだ。
「大丈夫。まかせて」
批判民たちに笑顔がともる。仮にも敵国の人間だろうに、助けるとは。いい人なんだな伊丹さんって。
こうして私達は特地の自衛隊キャンプのお世話になることになった。
ノ||◎皿◎||\ノ||◎皿◎||\ノ||◎皿◎||\
ここは帝国領内のとある村のとある酒場。そこでは衝撃的な話が出回っていた。
「炎龍が撃退されたって?」
「ああ。俺は見たんだ間違いない」
「本当かよ」
「私も見たよ。炎龍だったよあいつは。間違いない」
炎龍が撃退された
口々に討論が交わされる中、それを冷静に見る者達がいた。帝国の騎士ノーマ、ハミルトン、グレイ、そして帝国皇女たるピニャだ。
「騎士ノーマ、どう思われますか?」
「これだけの証言があるのだ。嘘と断じることはできないだろうな。だが一部信じがたい話があるな」
「本当だよお客さん。緑の人と緑の鐘は実在したんだ」
避難民だった女給は騎士ノーマに反論する。それをノーマは笑って返す。
「ハッハ!面白い話だが騙されんぞ女給」
女給が顔をしかめる。それを見たハミルトンは女給にチップを払いながら女給をなだめた。
「私は信じるから緑の人と鐘の話、もっと聞かせてくれないかな」
「ありがとうよ若い騎士さん。じゃあとっておきのを披露するよ」
そう言って女給は咳ばらいをする。酒場の人間も空気を読んで黙り込んだ。
「炎龍が現れた時に、もの凄い速さの荷車で助けにきてくれたんだ。数は10数人。緑の人達が魔法の杖で炎龍を攻撃してもまるで効きやしなかったんだ。そうして炎龍のブレスが吐いた瞬間、緑の鐘から凄まじい轟音がしたんだ。そしたら急に雨が降り出したんだ。それでブレスの延焼を防いだんだ」
酒場の全員は食い入るように女給の話を聞く。女給は呼吸を整えると続きを話した。
「そっからは一方的だったね。緑の人の頭目が鉄の逸物を持ち出して呪文を唱えると、とんでもない音と共に炎龍の左腕が吹っ飛んだんだ」
そうして女給の話は終わった。
そしてハミルトンは口を開いた。
「鉄の逸物…名称はともかくとして、この話の真偽、いかがでしょうかピニャ殿下」
殿下と呼ばれた赤髪の女性ピニャは思案する。そして1つの結論を出した。
「異世界での戦いの報告で緑の鐘の報告がある」
「…まさか!」
「そうだ、緑の人と鐘は異世界の軍隊である可能性がある」
「それは厄介ですな。噂とはいえ敵がたった10数名で炎龍以上の強さを持っているとは」
グレイはそういって頭を抱える。
「緑の鐘の方も問題ですよね。二ホンに出征した軍の報告によれば攻撃が全く効かなかったとのこと。そして雨を降らせる奇跡。まるで神のようですね」
ハミルトンは別の角度から話を切り込む。日本は神を味方につけている可能性がある。神が味方であれば炎龍を撃退できたのも合点が行く話になる。
「そうだな噂と推測が全て事実であれば、帝国はグリフォンの尾を踏んだことになるな」
ピニャの言葉に3人の表情はますます曇る。
帝国に暗雲が立ち込めようとしていた。
・ドータクンの技
『ヘビーボンバー』『じんつうりき』
『ウェザーボール』『あまごい』
炎タイプ対策に『あまごい』と『ウェザーボール』を仕込んでいる。ゴーストと悪タイプには全力で逃げる。