あ!ゲートから野生のドータクンがとびだしてきた! 作:でかすぎ史郎
最初はイタリカという町が例の炎龍に襲われてるのかと思った。だがどうやら違うようだ。兵士vs兵士、つまりは人間同士の殺し合いだ。
片方は自衛隊と戦って負けた兵隊の残党が盗賊化したもの、もう片方は純粋に帝国側の兵士と町を守る衛兵らしい。まあ衛兵といっても民兵くらいのもんで前者の盗賊(元熟練の兵士)と違って練度に大きな差があるとのこと。
「というのが今の町の現状だ」
「緑の人と緑の鐘よ。そなたらが敵である異世界の人間であることは分かっている。だが恥を忍んで頼みたい!我らに助力を願えないか!」
ピニャは伊丹さんに頼み込んだ。私が自衛官なら断るな。軍人として利敵行為はするわけがないし銀座事件での恨みもあるだろう。他の自衛官達も断りたそうな空気感を醸し出している。だが
「わかりました。要請を受けましょう」
「隊長!」
伊丹さんの部下の倉田という人が止めようとしている。まあ一般人が危機に陥っているとはいえ所詮は敵国の人間、自分達の体を危機にさらすのは憚られるしこの反応は当たり前だ。
「ここの住民を守るためさ」
「それは本気で言ってるのぉ?」
意外にもロゥリィとかいう亜神が口を挟む。神様なんだから人を守るべきとかいいそうなもんだけど…いや
「住民を守る。これは嘘じゃない。だけどもう1つ理由がある。自衛隊と喧嘩するより仲良くした方がいいとあのお姫様にわかってもらうためさ」
「いいわねぇ!恐怖!彼女の魂を恐怖で満たす。そういうことなら協力するわぁ」
やっぱ神って碌なのいねぇわ。
「倉田も他のみんなもそれでいいか」
「ええ、了解しました」
「ごぉん!」
「えっと…恐怖…動悸はともかく協力してくれるならそれで構わない。よろしく頼んだ伊丹殿。貴公らには侵攻が予想される南門を担当してもらおう」
そうして私達は町の防衛戦に参加することになった。
「ごぃん!ゴギ、ゴガ、ギガ」
「伊丹隊長!ドータクンが謎の金属音をあげてますが」
伊丹さんの部下の栗林という人が私の異常を報告する。
いや違うんすよ。これには深いわけがある。
いつものように伊丹さんを依り代に弁明しようとしたらレレイが代わりに答えてくれた。
「練習」
「え?」
「人間の言葉を話したいから話す練習をしてる」
そう、どこかのニャースみたいに言葉を話したいのだ。今はそれの練習中だ。依り代話法は一々『じんつうりき』を使ってしまうのでPPの無駄使いでしかない。
「話すも何も隊長を使えばいいのに」
「それはごめんだよ栗坊。アレにどんな悪影響があるのかわからないのに」
「まあいいんじゃないですか悪影響出た時は出た時でそれで」
結構、毒吐くね栗林ちゃん。まあ悪影響はないんだけども。
いやぁ、しかし暇だ暇すぎて話す特訓を始めるくらい暇だ。
そうこうしてると別の門から火の手と声が聞こえてくる。…あれぇ?侵攻が予想される南門を担当するとか言われてたのに違うじゃないか。
「どうします隊長」
「統率が乱れるのもアレだし静観かねぇ」
「んっ、あっ、くぅ」
静観を決め込んでいると、いきなりロゥリィが喘ぎだした。うわぁ。
やっぱ神って碌なのいねぇわ。
「やべーよタッちまった」
「俺もだよ」
自衛官の男勢が目のやり場に困っている。私は別に気にしない。ドータクンには性別がない。もはや性欲とは関係ないクリーンな体になっているのだ。まあ金欲と食欲と睡眠欲はばっちりあるけどな。しかしなぜこんなことに。
レレイにそれとなくジェスチャーで聞いてみると「
「流石にマズくないですか?」
「うーん。ロゥリィ、暴れに行ってもいいぞ栗林。ドータクン。すまないがバックアップを頼む」
あ、私も行くんですね。まあ銀座では帝国軍相手に無双してたし妥当な采配か。けど疑問もある。栗林ちゃんを行かせてることだ。ただの自衛官の女の子だろ。大丈夫かぁ?
結論から言おう、大丈夫だった。栗林ちゃんめっちゃ強い。ロゥリィが強いのは雰囲気から分かるんだけど彼女はなぜこんなに強いんだ。マサラ人が先祖にいたり?
敵陣に入っていき彼女達は無双を開始していった。彼女らはぴょんぴょんとはねながら首を狩る。私の
これは…負けてられないな。私だって天冠の山麓のオヤブン。キングやシンオウ様には及ばないが強いんだ!
私は『にほんばれ』を使った。さっきまで夜だった辺りが明るく照らされる。
「え?ええ!?」
「何が起こった!」
周りの賊共は突然の変化に動揺して動きを止める。ポケモン的に言うならひるませてやった。何事も使い方次第だな。
その隙をついて私は早業『じんつうりき』で賊をぶっ飛ばす。銀座の戦いで学んだことは私の攻撃は基本オーバーキルであるということだ。だから威力を抑えても大丈夫。手数で攻める為の早業だ。
ヒスイ時代の古豪の強さを思い知るがいい。私は次々と賊を蹴散らしていった。
「やるね」
「そうねぇ」
「ごぉん」
栗林ちゃんがそう言う。
「おーい、もうそろそろヘリが来るぞ!退避しろ」
後ろにいる伊丹さんが忠告をしてくれた。私達はそれを聞いて後方へと避難した。そして仕上げはお母さんと言わんばかりにヘリからの掃射攻撃が始まった。結果、賊共の大半は銃火器によって
ノ||◎皿◎||\ノ||◎皿◎||\ノ||◎皿◎||\
戦い後のイタリカと自衛隊の交渉は終わり私達は本題の交易をしに来た。レレイ達は竜の鱗、私は木の実だ。それを貨幣にしに来た。交易相手はリュドーというヒト種の商人だ。
「こちらは金貨200枚、銀貨については4000枚ですが、えっとですね最近は貨幣不足でして…銀貨が1000枚分ほど不足しておりまして…」
「わかったリュドーさん。銀貨1000枚分引く代わりに依頼をしたい」
「ほう?」
「各地の市場の相場情報の収集、出来る限り詳細に広範囲に」
「情報を買うのですな。委細承知」
「そして、これも買ってほしい」
レレイがリュドーにオレンの実とモモンの実をそれぞれ1つ差し出す。試しに食べてみろという合図だ。
「ほう、これは珍しい果実ですな。…味も中々」
「これは異世界からの作物。まだ出回ってない」
「ほほう!珍しい!しかし量が少ないですな。まずはあいさつ代わりに銀貨30枚でどうですかな?」
ポケモン世界の木の実は育て始めて日が浅い。だから数十個しか栽培できなかった。農業とは一朝一夕に行かないものである。
「それでいい?ドータクン」
「ごぅん」
「商談は成立」
レレイ達は金貨200枚、銀貨については4000枚。一方のこちらは銀貨30枚。うーんこの、差がついたな。日本との交渉といい、ままならないものだ。
まあいい。こっちの戦略目標は嗜好品の入手の為の資金集め。目標は完遂してるから成功だと思っておこう。
そうして私達は帰路についた。レレイ達、三人娘は疲れたのか眠りについている。…私も寝るか
ンゴゴゴゴ…ンゴッ!
なんか起こされた。…なんでも伊丹さんが攫われたらしい。帝国軍の騎士に。なんで?聞くところによると協定が結ばれて拉致誘拐みたいなことはしてはいけないと聞いたのだが。なにかの手違いでも起こったのか?…それはともかくとして早速奪還しにいくか。私は鐘を鳴らしやる気をアピールする。
「いやドータクンは目立つから留守番ね」
「ゴゲ?」
私は留守番となった。隠密行動で伊丹さんを奪還するらしく巨体で目立つ私はいらないとのことだ。正論だな。こういう時に私をモンスターボールに収納とか出来れば便利なんだけどなぁ。異世界に来てあれだけ嫌いだったモンスターボールの有用性に今更ながら気づいた。
しかしバトルは栗林ちゃんが目立って商談はレレイに劣り奪還作戦はハブにされる…なんかいいとこなしだな私。
ヨシッ!もっと頑張るか!
ちゃんと活躍させますよ