あ!ゲートから野生のドータクンがとびだしてきた! 作:でかすぎ史郎
終わった。国会が。マージで質問攻めだったね。劣化版とはいえ門を作れる存在だから当たり前っちゃ当たり前なんだけど。
国会参考人招致後に本来止まるはずだった宿は放火されて使い物にならなくなってしまった。公安っぽい人の言うこと曰く某国の示威行動らしい。…うんこれは私が原因だね。帝国からの使節に特地の人間までなら珍しいくらいで拉致しても悪いことはないが良いこともないはずだ。
だが私は違う。私の身柄を奪取できれば異世界に通じれる。いわば私は動く
今は伊丹さんの元奥様の家でお世話になっている。安全面とか大丈夫なのかとみんなから言われたが伊丹さん曰く「何より意表をつける」とのことだ。勿論私はボールの中だ。元奥様の家は狭く私は入りきらなかった。
そして一夜がたった。私達は富田さんはピニャ殿下の付き添い、伊丹さんは単独行動、残りで分かれて東京観光をしている。
「このクレープってのおいしい!」
テュカが嬉しそうにクレープを頬張る。
本当だ。おいしい。やっぱ生地が違いますな。
「そういや4人ともお金は大丈夫なの?」
伊丹さんの元奥様、梨紗さんがそう言う。私は『じんつうりき』で浮かせた万札を見せびらかす。木の実の売買やウルトラホールの実験での謝礼でおこづかいは十分だ。
「あらぁ?おごってくれるのぉ?ドータクン」
「ごぉん!」
ロゥリィがとんでもないことを言ってくる。待て待て待て。
「おごり、ありがと」
「ありがとうねドータクン」
「
クソッ、上手く発音できない。
冗談だから良かったけど話せないのがここまで不便だとは。…東京観光で話し方トレーニングの本でも買うか。
私達は東京観光を満喫する。
そうして私達は宿である山海楼に行くことになった。
今は風呂に入ろうとしている、すると伊丹さんが不意にこんなことを言ってきた。
「そういやドータクンって性別どっちだ?」
「ご?」
性別、そんなものはないが。
「銅鐸だから性別はないんですかね?とりあえず男湯に行かせますか」
「ご!」
女湯の方が賑やかそうだけど男湯もまあそれはそれで乙だろう。
そうして私達は湯船でゆっくりたっぷりのーんびりすることになった。
「あー異世界もいいけど日本の湯船もいいねぇ」
「ですね」
「ごぉん」
「おっ!ドータクンも分かるか。銅鐸すら分からせるんだから日本の湯は世界一だね」
「しかし不安ですね伊丹隊長」
「…確かに。初日の宿は燃やされたしね」
「ですね」
富田さんが不安そうにうつむく。割とナイーブな一面があるのね富田さん。
「けど大丈夫。日本を信用しているだもんな。ドータクン」
「ごぉん」
まあ仮にもアジアの大国、日本だ。流石に守ってくれるだろう
ノ||◎皿◎||\ノ||◎皿◎||\ノ||◎皿◎||\
場所は変わり中華人民共和国、北京。そこには中国トップ、薹徳愁主席とその側近が議論を交わしていた。
「なぜ門が…最高の開拓地が…日本の手に。忌々しい。北京に門が開いてくれれば良かったのだが」
「その通りです。薹主席。異世界利権を西側陣営に独占されることだけは阻止しなければ」
「うむ。日本政府には有効的な外交で対応しつつ、その行動に制約を課すように工作を行う。それが今までの方針だったね」
「はい、そうです。ですが情勢は変わりました。コードネーム青铜钟…ドータクンの存在です」
「異世界への門を開く存在。そして我が中国にとって必要な存在」
中国としては最高の
「かつて我が国は帝国主義の時代に大きく後れを取った。百年国恥、これの再来だけは避けなければいけない」
薹徳愁は恐れている。異世界から生み出される利権を西側に独占されて、またしても中華が屈辱の歴史を歩むことを。
「丁度、日本にドータクンがいる。特地では身柄を捉えるのは難しいが日本では違う!そうだろう?」
「はい。ドータクンが泊まる宿は既に特定済みです」
「よろしい。彼を北京に招待しようではないか。多少、手荒な手段を使ってもいい必ず捕まえろ」
薹徳愁は指示を下した。
彼はドータクンを拉致しようとしていた。自らの国益の為に。
またしても場所は変わりアメリカのホワイトハウス。そこにはアメリカのトップ、ディレル大統領とその側近たちが議論を交わしていた。
「特地は最高のフロンティアだよ。どれほどの可能性が詰まっているか想像したまえ。手つかずの資源・新しい市場・汚染の無い自然・異世界生物の遺伝情報。まさしく宝の山だ」
「そうですね大統領。そして幸運なことに特地に繋がる門が出来たのは同盟国である日本、利益は我が国にも…」
「そうだが私としてはもっと積極的に関与すべきだと思うのだよ。門以外の面でね」
門以外、ディレル大統領がそう発言すると側近達は意図を察したのか静かに口を開いた。
「Code name.Bronzong…ドータクンのことですね。彼は国会で異世界へ繋がる門を作れることを証明した」
「そうさ!いわばフロンティア発生装置。なんとしても手に入れたい」
「しかしよろしいのでしょうか?日本は友好国です。刺客を送るとなると関係の悪化が予想されますが」
側近の一人が異論を唱える。だがディレル大統領は意に介さない。
「フロンティアスピリット。我らの祖先から受け継がれる精神。それを失えば衰退あるのみさ。最近は中国も力をつけてきている。ここらで決定的な差をつけるべきだとは思わないかね?それに中国も我らと同様に強硬手段に出てドータクンを拉致するかもしれない。ならばスパイ天国の日本ではなく我らUSAでドータクンを管理することこそが最良なのではないか?それにこちらには切り札もあるしな」
ディレルは
彼はドータクンを拉致しようとしていた。自らの国益の為に。
こうして米中両国の2トップがドータクンの身柄を狙うこととなった。だがそれを座してみる日本政府ではなかった。
「クリア!アーチャー、目標
「よくやった。しかし今の戦争がこんなだとは思わなかったぜ竜崎二佐」
「そうですね大臣。昔のような戦争は終わったのです」
ドータクンが泊まる宿、山海楼を守るのは自衛隊の特殊作戦群である。彼らは特地問題対策大臣、嘉納太郎の指示の下、米中の刺客と対峙する作戦に従事していた。作戦の成果は上々、国内という地の利を活かして米中両方の戦闘員たちを排除している。
彼らは強く優秀な兵士、彼らに対処できない問題の方が少ないだろう。しかしそれは戦闘での話。もっと上、政治の問題を対処する能力はない。
「prrrrr」
電話の着信音だ。着信音の元は嘉納大臣のポケットだ。
「はい。嘉納太郎です」
「本位だ。嘉納くん。君に言いたいことがあるんだ」
相手は内閣総理大臣、本位慎三だ。
「嘉納くん。作戦を中止してくれ」
「作戦を中止!?どういうことですかい総理!」
「ディレル大統領に内閣の弱みを握られた」
話は少し戻り数分前、アメリカ大統領ディレルが本井総理に連絡をしてきた。そしてFAXで
紙束の内容は大臣や官僚の不正や汚職の数々。内閣を揺るがす一大スキャンダルになることは間違いないだろう。ディレルはこれを「日本の新聞社に持ち込まれる寸前に押さえたんだが」と説明した。一見すると日米トップの友情のストーリーに見えるかもしれないが実際は違う。
直後にディレルは「Bronzong、いやドータクンを米国に招待したい」と言い出した。
これは脅しであり交換条件だ。
ドータクンが宿泊している山海楼を守護する特戦群をどかす代わりに紙束の内容は黙ってやると言う内容の。
「アメリカが脅し!?友好国でしょう!…いえそれほどまでにドータクンは魅力的に映ったということですかい。しかしですな。ここでドータクンを奪われればどうなるかは分かっているでしょうに」
日本政府がドータクンを確保している意味は大きい。
銀座の門がなんらかの要因で破壊された時の
「私だって悔しいんです。だけどここまで内閣のスキャンダルを握られては」
「だからって国益を手放すことですかい」
「分かってます。ですが私は政府としてドータクンを引き渡すとは約束してません…私は総理大臣を辞任します。政権を投げすれば全てがご破算、握られた弱みも無価値になるでしょう」
「本位さん。あんた…そんなことしたら」
「嘉納さん。後は頼みます」
電話は切れる。
責任の放棄では断じてない。弱みを無意味にする手なのだ。
「えっと…どうしますか嘉納大臣」
部下の自衛官がそう聞いてくる。嘉納大臣は1分1秒を無駄にしない為にすぐさま気持ちを切り替え指令を下す。全ては
「作戦はすべて中止だ。そして伊丹に電話を掛けろ。すぐさま山海楼を抜け出せと命令を下せ!…後は伊丹とドータクンに任せる。彼らは銀座事件で強さを証明した猛者だ切り抜けれると信じよう」
そうして全ての期待はドータクン達に託されることになった。
ノ||◎皿◎||\ノ||◎皿◎||\ノ||◎皿◎||\
えっと…守ってくれないらしい、日本政府。なーにが日本を信用してるだ。
伊丹さんによると宿にいる護衛(自衛隊)が政治的配慮で消えるらしい。だから逃げるとのこと。
逃げないと中国の工作員による拉致パーティーが始まる。…いや中国に配慮する必要はないはずだ。もしかしたらアメリカによる犯行かもしれない。まあどっちにしろ鉄火場だ。
敵の目標はウルトラホールを開けれる私だよな。神様・エルフ・魔術師・帝国の使節を拉致しても旨味はそれほどないだろうし。申し訳ないな。日本が守ってくれると信じたばかりにみんなを危険に晒した。私が甘かった。国会でウルトラホールを開けると言わなきゃよかった。全ては私が招いた事態だ。
全く不甲斐ない。
だからこれは罪滅ぼしだ。私は敵がいると思われる宿の庭園に行こうとする。
「おいドータクン。敵がいるかもしれない。逃げるぞ」
伊丹さんに止められる。だが私は止まらない。彼らを巻き込むわけにはいかない。
そう思っていたらロゥリィが伊丹さんを止めた。
「違うわよぉ。敵を倒すんでしょぉ。私も参加するわぁ」
これは私が悪いんだ。私のみで戦う必要がある。だからロゥリィが戦う必要はない。
「私は狂気の神に連なるもの。闘争は大好きよぉ。そんな気持ちにならないでぇ。楽しくやりましょうよぉ」
まさに、『おみとおし』か。ありがとう。じゃあお言葉に甘えよう。
私達は庭園にでる。
「There it is. It's Dotakun」
「
英語と中国語が聞こえる。案の定、敵は米中か。いいだろう。望むところだ。
銃が私に向けて掃射される。だが無駄だ。私は『じんつうりき』を発動して銃弾を止める。そしてそれを早業で打ち返す。
「ouch!」
「
サイコパワーで加速された銃弾は彼らの防弾チョッキ軽々と貫く。これで敵の前衛は全滅した。
まずは挨拶代わりだ。
「みなさまぁ。こんな夜中にわざわざご苦労様ぁ!」
「ごぉぉぉんんん!」
ロゥリィが動いた。彼女は身軽に飛び回り敵をハルバードで両断していく。
私も負けじとオヤブンの咆哮で敵を吹き飛ばす。だがこれだけは攻め手にかける。特に遠くから狙撃してくる後衛がうっとおしい。しかも夜闇に紛れてどこにいるのかわからない。
じゃあ晴れにしよう。『にほんばれ』を使った。おお、よくみえる。さながら『フラッシュ』だ。
狙撃には狙撃で対抗だ。私は
さてと、仕上げだ。力業『じんつうりき』!生きてるもの、死んでるもの問わず私は肉塊を宙に浮かべる。そしてそれを全力で遠くに吹き飛ばす。それはロケット団の三馬鹿の如く吹き飛んだ。ただし彼らと違って「やな感じ―」では済まないだろう。そのまま落下死だ。
そうして私達は敵を一掃した。
すると伊丹さんが声を張り上げた。
「やばい!警察が来たら面倒だ。それにこいつらの仲間も近くにいるはず…今すぐずらかるぞ。自衛隊組は使えそうな武器をそれ以外は荷物をまとめて出発の準備を。それとロゥリィ、ドータクン、ケガはないか?」
「ごぅん」
銃弾は少し喰らったが
ロゥリィはどうだろうか。そう思って彼女の方を見ると彼女は怪我をしていた。銃創が痛々しい。
「ごぉん!」
「大丈夫よぉ、ほらぁ」
そう言うと傷口から銃弾が出てくる。そして彼女の体は修復し始める。なるほどホウオウと同じ特性『さいせいりょく』というわけか。ロゥリィは「シャワーで返り血を落としてくるわぁ」と言い残してどこかへ行く。
米中の銃持ちに無双してたしやっぱり強いな。間違いなく準伝説のポケモンクラスの強さを持っている。これで亜神、半端者だというのだから末恐ろしい。正神はどれほど強力な力をもっているのか。伝説のポケモン並みなのだろうか。
青铜钟とBronzong
ドータクンの中国名と英名はコードネームとして登場することになりました。
これらの名前はドータクンの名前が参考人招致で公表されるまで暫定的に彼らの中で使われてた呼び名です。要は銀座の謎銅鐸と同じノリです。
原作なら伊丹達を狙う国にロシアがいたはずですが本二次創作でいないのはもうそんな力のある国じゃないと個人的に思ったので排除しました。