あ!ゲートから野生のドータクンがとびだしてきた!   作:でかすぎ史郎

9 / 15
9話 vsドラゴン前編

 さてと、討伐だ。炎龍討伐。

 私達はエルベ藩王国のシュワルツの森に到達した。

 

「待っておりました緑の人、緑の鐘」

 

 ダークエルフの長老がそう言って私達を歓迎する。

 歓迎はどうでもいい。テュカの症状は旅と共にひどくなっている。今は炎龍討伐を優先したい。私と同じ気持ちなのか伊丹さんは口を開いた。

 

「歓迎は結構です。炎龍がいる場所はどこですか」

 

「火山の近くに巣をつくっております」

 

「そうですか。では休憩の為に一泊だけさせてください。その後に炎龍を討伐致します」

 

「わかりました。その時は里の者を何人かつけましょう」

 

「厚意に感謝します」

 

 私達はシュワルツの森で一泊することとなった。

 さてと、炎龍だ。この世界の600族。並大抵の相手ではない。まずは技を見直そう。

 

 私の技は『じんつうりき』『きんぞくおん』『あまごい』『にほんばれ』

『じんつうりき』はタイプ一致技なので意味がある。

『きんぞくおん』は相手の特防を下げる。特殊型の私的には補助技として意味がある。

『あまごい』は炎龍の『かえんほうしゃ』を半減できるから意味がある。

 いらないのは『にほんばれ』だな。むしろ『かえんほうしゃ』の威力をあげてしまう。

 

 次に炎龍のスペックだ。ほのおドラゴンタイプではなさそうだ。だってアイツはポケモンじゃないしな。相性関係とは無関係だろう。だが私はポケモンだ。だからこそ私の力が一番発揮できるタイプ一致技で攻めるのが得策。とはいえこれでいいのか。

 いや、いいはずだ。これを覚えよう。1...2の...ポカン!

 

 朝になった。

 目の前には私達以外に何名のダークエルフたちがいた。

 それを聞いたヤオは私達に説明をする。

 

「カレラ、ハ?」

 

「里の者です。此の身を含め9名がお供いたします」

 

 彼らは挨拶をした。

 まあいいか。戦力は多い方がいい。

 伊丹さんは鉄の逸物ことLAMの説明を彼らにする。

 

 そうして私達は火山に炎龍の巣の目の前に到着した。

 

「さてと、ロゥリィは外で見張っててくれ」

 

「はぁい」

 

「ドータクン、お前が俺たち中の人間の要だ。頼んだぞ」

 

「ごぉん」

 

 ロゥリィは外で見張り私は内で待機だ、炎龍に勝てるかもしれない2トップを分ける判断は悪いんじゃないか。…いや見張りできるのはロゥリィくらいなもんか。他だと見張りしててもそのまま伝える前に殺されるだけか。

 

 私達は洞窟に入る。炎龍がこの中にいるかもしれない。ハラハラするな。

 

「ここが巣か?炎龍はいないようだな。そして剣の山…これ全部炎龍にやられた連中の」

 

「そう、遥か昔から炎龍に挑んだ者達の物」

 

「じゃあやろうか」

 

 伊丹さんは用意を開始する。

 作戦としてはC4爆弾を巣の下に仕込んでおいて炎龍が帰ってきた所を「ドカン」という感じだ。

 

「ロゥリィ、外の様子は?聞こえてる?…繋がらないな。みんな空に気をつけてくれ」

 

 伊丹さんがトランシーバーでロゥリィと通信を取ろうとしていると通じてない。

 岩で電波が遮られているのか…いや何かサイコパワーを感じる。そのせいか?

 

「イタミ、サイコパワー、カンジル」

 

「え?なにサイコパ「GRRRRR!」

 

 獰猛な獣の唸る音がする。…いや獣じゃない炎龍だ!

 

「う、うわああああ!」

 

 ダークエルフの若者の1人が声をあげる。炎龍はそれに反応して彼を切り裂いた。さながら『きりさく』だ。

 私は炎のブレスを軽減させるために『あまごい』をする。

 

「鉄の逸物だ、鉄の逸物を使え!」

 

 そう言って彼らはLAMを使って攻撃する。だがそれはかわされた。

 

「GRRR!」

 

 炎龍は私とダークエルフの女に向けて『かえんほうしゃ』を放ってくる。効果は抜群だ。だが問題はない。私の持ち物はオッカの実、炎タイプの技を半減させる。そして場の状態は雨なので炎技半減効果でダメージはほとんどない。

 だがダークエルフの彼女は大丈夫だろうか。私と違ってオッカの実をもってないだろうし。いや今は心配してる場合ではない!

 私は『じんつうりき』で攻撃して炎龍を怯ませる。

 

「イマダ!」

 

「うおおおおお!みんなの仇ぃ!」

 

 そうしてLAMが炎龍に命中する。炎龍は悶えているようだ。これで死なないのかよ。

 切り札を使うか?いやまだだ。ここで使って倒しきれなかった時が怖い。

 

「もっとだ!もっと撃てぇ!」

 

 チィッ、炎龍も私達の強さに気づいたのか攻撃を躱し始めている。戦況は互角だが…まだどうなるかはわからない。

 

「死ね。クソったれの蜥蜴野郎」

 

 そう思っているとレレイが剣を飛ばした。剣はそのまま炎龍の鱗を貫いた。…銀座で見た魔導士の魔法よりも威力が上じゃないか?いや今はそんなこと考えている暇はない!炎龍は今の攻撃でひるんだ。今なら確実に当てれる。くらえ『きんぞくおん』!からの!

 

 力業『てっていこうせん』!!!

 

 全身から集めた鋼を光線にして激しく打ち出した。体力(HP)の半分を持っていく威力140の大技だ。

 

「GYAAAA!!!」

 

 光線は炎龍の体を巻き込みそのまま火山ごと抉る。『きんぞくおん』で特防2段階下がってるからよく聞くだろう。

 

「ナン、トカ、タオセタ、ナ」

 

それ(てっていこうせん)最初から使えば良かったんじゃ」

 

 伊丹さんが呆れ顔でそう言う。

 

「ソウモ、イカナイ」

 

 まず素の『てっていこうせん』だけで倒せるか分からなかったのが1つ。威力をカバーするための『きんぞくおん(命中不安技)』が当たるかどうかが2つ。意外と不確定要素が多い戦いだった。タイマンだったらかなり厳しい戦いになっていただろう。

 

 とにかく倒せたからよかった。…さてと、次は医療だな。私は『じんつうりき』で持参したバッグの中から木の実を持ち出す。

 

「セイミィ!セイミィ!起きてくれよ」

 

「あ、う、」

 

 セイミィというダークエルフの少女は炎龍の『かえんほうしゃ』のせいで重度の火傷を負っている。このままだと死ぬだろうな。私は『じんつうりき』で彼女の口にチーゴ(やけど治し)の実を投げ込んだ。すると火傷はきれいさっぱりとなくなった。

 

「あれ?治ってる?」

 

「チーゴノミ、ノ、オカゲ」

 

「貴方が治してくださったんですねありがとうございます」

 

 セイミィが礼を言ってくる。

 やっぱポケモン世界の木の実ってチートだわ。重度の火傷すら治してしまうんだから。

 

「此の身からも同胞を救ってくれたことへの礼を言いたい」

 

「レイハ、イイ、サッサト、オレンノミ、タベロ」

 

「了解した」

 

 ヤオは嬉しそうにオレンの実にかじりつく。

 ダークエルフたちにとっては仇を倒せてハッピーエンドだろうな。

 さてと、問題は…テュカだ。

 

「やっつけたな」

 

「うん」

 

 伊丹さんがそう言うとテュカがそう返す。どうだ。治ったか?

 

「もう父さんって呼ぶなよ」

 

「いや」

 

「なんで?」

 

「言い慣れちゃったから」

 

「そか…」

 

 とりあえず。大丈夫そうだ。安心した。彼女は組合初期からの付き合いだからな。

 もう後は帰るだけだな。私は周りを見渡す。目的は死体の回収だ。…死体は1つだけ見つかった。つまり他は全員生きているということだ。

 意外と生き残ったな。死んだのは最初に切り裂かれた人だけだ。まさしく奇跡。

 同じことを思ったのかダークエルフの少年?もはしゃぐ。

 

「ノッコが死んだのは残念だけど、これはハーディ様のご加護のおかげだ!1人だけの犠牲で勝てたんだ!」

 

 まあそうだな。やはり私が来て正解だったな。私がいなかったらもっと多くの犠牲を出していただろう。…ッッッ!次の瞬間、悪寒がした。そして「そう上手くはいかないわよ」という声が聞こえた気がした。

 

「へへん。死体になっちまえば怖くないぜ。もうドラゴンなんていないッ「ガブキラァ!」ウヘェ!」

 

 洞窟内に炎龍よりも大きな声が響いた。調子にのっていった少年は驚いて尻もちをついた。

 そして岩かげからある存在が出てくる。奴はシュモクザメと恐竜を合わせたような姿をしていた。

 コイツは…マッハポケモン。

 

「ガブリアス!」

 

 思わず声が出てしまう。

 なぜシンオウの600族がここに。

 

「え?ガブリアス?とりあえず敵なんだな」

 

 私は威嚇の為にオヤブンの咆哮+『きんぞくおん(1体選択技)』で指向性のある咆哮を放った。相手は回避できずモロに咆哮を受けた。よし特防2段階ダウンに加えて怯ませてやった。

 

「くたばれ!」

 

 伊丹さんがアサルトライフル(はがね物理技)で掃射する。だが効いている様子はない。レベル差があり過ぎて攻撃が碌に効いてない。ガブリアスはお返しとばかりに爪を地面に突き刺した。そして地面が揺れ始める。これは『じしん』だ。私の特性は『ふゆう』だから効かないが…伊丹さんたちには効く。私は『じんつうりき』でみんなのことを浮かす。だがそれを見逃すガブリアスではない。

 

 突っ込んできた。そして『ほのおのキバ』で私に噛みついてきた。痛った!体の一部が溶ける。私も負けじと『じんつうりき』で相手の体をねじって相手を怯ませる。『てっていこうせん』は…放てる体力(HP)じゃなさそうだ。

 

「イタミ、サン、ワタシ、ゴト、ウメロ」

 

「埋めるって…爆弾か。でもそんなことしたら」

 

「ダイジョウブ」

 

 ドータクンは土の中で2000年以上眠っていても大丈夫なんだ。だから大丈夫だ。

 

「…わかった、必ず戻って来いよ」

 

「アア」

 

 そうして伊丹さん達は炎龍の巣穴から出ていき。信管のスイッチを入れる。そして『だいばくはつ(ノーマル技)』が起こった。私ははがねタイプなので半減で受けれるが相手は等倍で受けるはずだ。これでかなりのダメージを入れたはずだ。そのまま私達は瓦礫に埋もれる。

 

 さてと、埋まったわけだが。問題はない。なぜなら私にはサイコパワーがある。ひ弱な人間とは違うのだよ。私は『じんつうりき』で体を操り上にぶっ飛ぶ。そうして地上に出てきた。

 

「ドータクン!良い所に来てくれた!」

 

「あ?なんだお前は?」

 

 伊丹さんが嬉しそうにはにかむ。

 地上にいるのは伊丹さん達とダークエルフ達だけではないなんかドラゴン娘と小さい炎龍みたいなのが2匹いる。誰?

 

「クルゾ!」

 

「何がだ?」

 

 聞こえてたんだ。私が地上を目指している最中に地面を掘る音が。

 

「ガブキラァ!」

 

 ガブリアスが瓦礫を掘り進んで地上から出てきた。

 やはり生きてたか。

 

「あー、誰かと思えば主上さんが異世界から呼びだしたドラゴン?か。おい協力するぞ」

 

 主上さん?誰だか知らないが目の前のドラゴン娘はロゥリィと同じ気配(プレッシャー)だ。つまり亜神だな。そして口ぶりからしてガブリアスの味方…これは詰んだか。

 

 そう思っているとガブリアスはドラゴン娘のお供の小さい炎龍2匹を『ドラゴンクロー』でミンチにした。味方じゃないのかよ。同感だったのかドラゴン少女がガブリアスに向けて叫んだ。

 

「見境なしかよ!」

 

「みんな!この隙に逃げるぞ!」

 

 伊丹さんがそう言った。私もその判断が正しいと思う。レベルが違う。正直、万全の私達でも勝てる気はしない。

 私達は全力で逃げ出した。

 

「…な…私にだけ押し付けんじゃねぇよ!」

 

「ガブキァ!」

 

 ドラゴン娘が私達を追うのと同時にガブリアスも迫って来る。

 相手は高い素早さ(102)を持つポケモン、私の素早さ(33)じゃいずれ追いつかれるぞ。

 そう思っていた矢先、ミサイルが飛んできた。そしてガブリアスに直撃した。…自衛隊の戦闘機だ。自衛隊の援軍がやってきた。

 

 次々とガブリアスにミサイルが飛んでくる。耐久ポケモンの私ですらあの攻撃には耐えられないな。だが奴はそれを耐える…大した強さだ。奴がマッハで飛行できることを考えれば間違いなく自衛隊に被害が出るな。これは同じポケモンとして見過ごせない。

 

 だがガブリアスを倒すことはできない。だからガブリアスを封じ込める。

 その為に私はバッグの中をまさぐる。あった…モンスターボールだ。炎龍に効くかと思ってきて持ってきたんだ。そしてガブリアスはポケモン、間違いなく効くな。いくら奴が強くても喰らった攻撃は相当なもんだ。かなり弱っているはずだ。きっとモンスターボールに入ってくれるだろう。

 

 私は『じんつうりき』でモンスターボールを移動させる。そして戦闘機に気を取られているガブリアスの後頭部にモンスターボールをぶつけてやった。

 

「ポゥン」「ポゥン」という音が辺りに響き渡る。そして「カチッ!」という音がした。

 やったー! ガブリアスをつかまえたぞ!ポケモンがポケモンを所有するという初めての行為だ。…しかしあれだけ捕まるのを拒んでた私が捕まえる側に回るとはな。皮肉なものだ。

 

「なんだ?なにが起きたぁ?」

 

「ツカマエタ、ガブリアス、コノナカ」

 

 伊丹さんの疑問にモンスターボールを目の前に差し出して端的に答える。

 

「くそ!三つ巴でごちゃらせての勝ち筋もねぇか。覚えてろ!」

 

 ドラゴン娘の亜神がそう捨てセリフを言い残してどこかへ行く。

 炎龍も倒した。テュカの病気も治った。ガブリアスもボールの中に封印できた。

 とりあえず私達の完全勝利だな!

 

 自衛隊のヘリが私達の近くきた。おっ、迎えのヘリだ。

 そこにはどこかで見た自衛官がいる…私が炎龍討伐の件で相談した自衛官だ。

 自衛官はヘリから降りてきて私に説教を始める。

 

「ドータクンさん!あれだけ、行くなと言いましたよね!」

 

「スミ、マセン」

 

「すみませんで済んだら自衛隊はいらないんですよ。ほらこんなケガして」

 

「イヤ、キノミ、タベレバ、ダイジョウブ」

 

「大丈夫なわけないでしょう!」

 

「ハイ」

 

「本当に心配したんですよ」

 

「ハイ」

 

「分かってます?」

 

「ハイ」

 

滅茶苦茶に怒られた。…それとボールの中にいるガブリアス、どうしよう。




 なぜドータクンが教え技の『てっていこうせん』を覚えているのかというと、オヤブン個体は教え技を覚えていることがあるからですね。原作再現要素です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。