【TF3ブルー万丈目回の鬱エンドを打破すべく続きを書いてみた】   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

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デュエル終了、そして……

 会場は、一瞬にして歓声に包まれた。

 その全てが、コナミの勝利に喜ぶ声なのは言うまでもない。

 

『勝った! コナミが勝ったんだ!』

『やったッス! やったやったぁっ!』

『これでデュエルアカデミアが万丈目グループに買収される事も無くなった』

『私のクビも繋がったノーネ』

『一時はヒヤヒヤしたザウルス』

『何はともあれ、これにて一件落着ね』

 

 業火に焼き尽くされ、万丈目のライフは尽きた。

 更に互いの手札はゼロ、ライフも殆ど残らなかった接戦の末の決着。故にここでデュエルの腕やデッキの構築で勝因敗因を語るのはやめておく。

 万丈目の負けた理由は“デュエルを見てなかった事”だ。

 自分の覇道の道具としか見ず、グループの駒としてしか戦わず、挙句にカードは紙切れという発想しかない。彼は常に勝利の後の栄光にしか目を向けておらず、過程は面倒な障害程度にしか思っていなかった。デュエルに真摯に向き合う事をしなかった者に対し、カードが応える事は無い。

 

「さて、約束だったな。俺が勝ったらお前らは手を引く。まさか今更反故にするなんて言わねぇよな、エリート様?」

「ぐ、く……ぅっ!」

 

 文句無しの敗北。往生際の悪い彼とて、流石にここで負け惜しみを吠える程では無かったようだ。

 そして当然、横槍を入れるのは彼の兄達だった。

 

「準、ここで敗北するとは何というザマだ!」

「お前、この局面で失敗する事が何を意味するか分かっているのか!」

「それは……っ!」

「もう良い! お前に期待した我々が愚かだった!」

「兄者、今からでも学園の買収を――」

「そこまでだぜ、お兄さん達よ」

 

 だからコナミもまた横槍を返した。

 敗者に無意味な追い打ちを入れさせないために。

 

「万丈目は、弟さんは立派に戦った。戦って負けた。勝負の場に立たなかったアンタらにあーだこーだ言われたくないね」

「口を出すな小僧! これは我ら兄弟の話だ!」

「いいや出すね、俺だって当事者だ。それとも何だい、アンタ達はレアカードを送るなりデッキレシピに口出しするなりしたのか? そのデッキは3人で作ったものなのかい?」

「それは違う! だが準は我々の未来を背負って――」

「俺はさっき言った筈だぜ?」

「何?」

 

 

 

 

 

「デュエルが始まったら、血統もエリートも関係無い。デュエリスト同士の戦いでしかない、ってな」

 

 

 

 

 

 デュエルに必要なものは多くある。

 強いカード、確実に勝てるようなデッキ、本人の運、戦術、揺れないマインド、熱い血潮。

 だがそこに血筋や金は無い。政界と財界を支配する彼らには分からないだろうが、デュエルに運命を託すとはそういう事なのだ。

 

「戦ってない奴が口出しをするのは、フーリガンやクレーマーと何も変わらない!」

「撤回しろ! 今のを撤回しろ貴様!」

「悔しかったらアンタらがデュエルディスクを構えろよ、ここはデュエルの学園なんだぜ?」

「もうやめろコナミ!」

「万丈目……?」

「やめてくれ……」

 

 万丈目は悲痛な表情で歯を食い縛り、次男とコナミの口喧嘩を止める。

 敗北の悔しさ、勝者に庇われる屈辱、それ以上に兄と対戦相手の争いは何よりも精神に堪えたようだ。

 

「……良いだろう、これ以上は何も言わない。どの道、約定でアンタらのグループはもう学園に干渉できないんだからな」

「分かってる……、そういう条件でデュエルしたからな……」

 

 ふらりと立ち上がる三男坊。

 その目には未だコナミへの敵愾心と、次は勝つという闘志があるのが分かった。

 

「強くなって、別のデッキになってまた勝負しに来い。次はもっと面白いデュエルにしようぜ」

「……ふん、デュエルが楽しい等という世迷言、次こそ言えないようにしてやる」

 

 その台詞だけ捨てるように吐くと、万丈目は黙って歩き去った。その後を2人の兄が追いかける。

 背中には「二度と来るな」「クソ野郎」「デュエリスト失格」等の罵声がかけられるが、それを意に介する事無く男は姿を消した。

 

「悪いな、万丈目」

 

 そんな彼の心中は如何程のものか、コンビを組んだコナミですらも推し量る事はできない。

 あいつはいつだって自分の野望とグループの発展を求めてはいたが、己の胸中を曝け出した事は一度だって無かったのだ。

 故にコナミは彼に同情しない。万丈目が同情を求めていない事は確かだったし、やった事は他者への弾圧に他ならない。パートナーだったとしても、それを揉み消す事は叶わないのである。

 タッグパートナーを失ったコナミは、静かに独り言ちた。

 

「相棒として、お前が悪の道に落ちるのだけは止めたかったんだ。どうしようも無いお前と組んで改心させられないまま今まで来てしまった、俺なりの責任って奴だ」

 

 コナミにとって重要なのは楽しくデュエルができる、それだけである。

 だから本音を言えばアカデミアが万丈目グループの物になろうが、海馬コーポレーションが手放そうが、それはどうでも良いのだ。

 それでも、このまま買収が進みきれば待っているのはエリート養成学校となったアカデミア。そこに楽しいデュエルは無く、アカデミア関係者は万丈目達に怒りを向けるだろう。その時、万丈目は再び『エリートとしての(楽しくない)デュエル』を行う。それは、あまりにもデュエルを知る者としては見過ごせない事である。

 世界のどこか、自分の手の届かない場所でそれが発生するなら仕方ないと割り切れた。だがよりにもよってそれが目の前で、パートナーの手で起きてしまうのは止めたい。

 

(デュエルが出来れば、俺は何でも良い。嗚呼、逆説楽しくデュエルが出来ないってぇのはお断りなんだ。例えばパートナーが道を踏み外すのを止められない後悔を抱え続けるとかな。それが万丈目、テメェみたいなアホでもだ)

 

 自分の中で結論を下すと、コナミは右手の親指・人差し指・中指を束ね、万丈目が去った方へと突き出した。

 

「ガッチャ。次はお互いにとって楽しいデュエルをしようぜ、万丈目」

 

 

END




コナミ君は良く言えばデュエル馬鹿、悪く言えば刹那的かつ後先考えないタイプの人間(多分)です
ルートによっては、楽しいデュエルができるのなら未来や仲間すら切り捨てる非情さを持ったデュエリストです

少しでも未来に頭を働かせれば、或いは頂点にまで上り詰めたブルーサンダーと戦う楽しさに目を付けられれば、こういった未来に行けるのではと思い、何年も前に執筆しました
少しでもお楽しみ頂ければ幸いです
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