敵連合のエンターテイナーは陰の実力者の相棒? 作:ジェイ・デスサイズ
とりあえずメモストックの分を出そうと思い投稿しました。
他の小説もあるのでとりあえず3話目まで。
本当、ミスター良いキャラですね。
それでは本編どうぞ。
こうして一旦シャドウと俺&七陰は別れて活動する事になった。
シャドウが王都へ行く迄の2年、組織はかなりデカい物となった。山奥に《アレクサンドリア》っつう名前の本拠地を作ったり、その本拠地を作る為に《霧の龍》とシャドウが戦って勝ったり・・・リューキュウよりもデカかったぞ、あの龍。流石ファンタジーと言うべきかねぇ?更に龍様がシャドウを気に入って本拠地の周りに結界を張ってくれたりと、場所だけじゃなく護りまでくれるとは。いたせりつくせりだぜ。
んで、人数もかなり増えた・・・600人。いや、増えすぎだろ!?600人だぞ!?俺なんて100超えた辺りから数えるのは止めた。今じゃ七陰の下、云わば幹部クラスなんて《ナンバーズ》って呼ばれてるし。それより下の子達は数字が名前。実力が無ければ名すら許されない・・・って感じなのかねぇ?
「実力が条件だとしたら、俺も数字が名前になっちまうなこりゃ」
「・・・マスター。失礼を承知で申し上げますが、それは有り得ないと私は思いますよ?」
数字が名前の子達の鍛錬を眺めながら思ったことを口にしたら、即否定された。イプシロンが最初に解呪した褐色肌のエルフ《ラムダ》だ。
「そうか?ラムダ、俺は逃げ足と欺くことが取り柄なんだぜ?」
「それは存じておりますが、シャドウ様と互角と謳われるマスターがそれだけが取り柄とは考え難く思います」
「待て待て誰だそんな事言ったやつ」
「アルファ様です」
「アイツ・・・余計な事を」
「この《シャドウガーデン》内でアルファ様を《アイツ》呼び出来る時点で、マスターの立場が上位なのは確定しますからね」
ラムダの正論パンチに反撃が出来ない俺は唸る事しか出来なかった。すると、更に2人訓練場へ現れた。
「主様の負け、ですね。主様の力を目の当たりにした事がある我々なら、尚更です」
「カイの言う通りです、あんな事が出来るのは主様以外無理でしょう。シャドウ様でさえ」
ナンバーズの1人で、イプシロン直属の部下のエルフ。右眼は失明して眼帯を付けており、前髪で隠している《カイ》。
そして同じくナンバーズでイプシロン直属の部下の褐色肌のエルフ。右顔と右半身にタトゥーを彫っており、右眼が緑で左眼が黄色のオッドアイが特徴的な《オメガ》。
色んな所の調査中、俺が治した子達だ。まさかこんなに強くなるとは夢にも思わなかったぜ・・・ってか、元々素質はあったな。
「お前達まで・・・煽てても出てくるのは花くらいだぜ?」
手をクルッと回し、ポンっと音と共に3輪の花を出し、それぞれに合った色の花を渡す。
「私達3人共、本心ですよ。主様」
頬を赤らめながら微笑むカイ・・・くそっ、可愛いなおい!
「オメガ様、それは聞き捨てなりません!」
ほんわか空間をぶち壊しに来た娘が1人、誰だ?
「559番!口を慎め、マスターに対して無礼だぞ」
559番・・・確かシャドウが七陰以外に治した悪魔憑きの子、だったかな?人増え過ぎてお兄さん把握しきれないよ。
「しかしラムダ教官!この仮面がシャドウと互角と言うだけでも信じられませんに、あのシャドウ様に出来ない!?それこそシャドウ様に対する侮辱です!」
「貴様・・・!」
「まぁまぁ、落ち着けってラムダ。559番、だっけ?言いたい気持ちは分かるが、悪いが事実だ。実際俺の技をアイツは真似出来ない」
俺は武器用にストックしているビー玉を取り出し、軽く手品をしながら答える。
「そこまで言うのなら・・・私と手合わせ願えますか?」
559の発言にカイ・オメガ・ラムダは一瞬濃度の高い殺気を出したが、直ぐに手で制した。
「俺は別に構わないぜ?それで納得するなら、な?それと1つ忠告、俺は本気を出さない。理由は『お前が死ぬ』からだ」
『お前が死ぬ』の言葉を聞いた途端カイ・オメガ・ラムダは背筋が凍る程ゾッとしたが、それに気付いていない559。
「そうですか。では本気を出さなかった事を後悔させてあげましょう」
「おぉ、怖い怖い。んじゃラムダ、合図頼めるか?」
「わ、分かりました・・・では両者、構え!」
俺は右手で杖をつき左手を腰に添える。559番はスライムソードを俺へ向ける。
「・・・始め!」
ラムダの合図と同時に一気に距離を詰め突きを繰り出す559、しかも喉元目掛けて。
―狂犬かよ・・・てか普通に殺気ダダ漏れだし。死ぬのはゴメンなんでね―
559の突きが届くと思われた瞬間、コンプレスの姿が
「は?・・・ぐはっ!?」
そして559はコンプレスを完全に見失い、その瞬間に背中に激痛が走り地面に叩き付けられた。答えは唐突に現れたコンプレスが559の背中目掛けて踵落としをしたのだ。
他の子達も何が起こったから分からず動揺しており。コンプレスを慕っている3人は結果は分かってはいたが満足気に頷いていた。
「そこまで!勝者、マスター!」
「な、何が・・・」
「多分だけどさ。お前達は俺の能力を知らない、もしくは簡易な説明しかされてないんじゃないか?」
559の背中に立ちながら相手に問い掛ける。
「知っていたとしても。触れたものを圧縮、そして任意の解除。くらいだろ?俺は一言も『自分自身は圧縮出来ない』なんて言ってないぜ?」
そう。コンプレスは攻撃が当たる瞬間に自分を圧縮して回避、即解除し攻撃に転じたという事だ。
「油断大敵だぜ、559ちゃんよ。まっ、本気を出さないのは他にも理由はあるけどな」
背中から降り、屋敷へと向かうコンプレス。すると途中で振り返り
「あっ、ラムダ。別に罰とか与えなくて良いからな?運動に付き合っただけってことで」
手をヒラヒラとさせながら、そう言い残し館の中へ入っていった。
そして残されたナンバーズ達。そして―――いつの間にか居たイータ。ナンバーズ達が居るのに気が付くのはイータから殺気が溢れた為だ。
「い、イータ様!?」
咄嗟に姿勢を正すナンバーズに対し、イータの視線は559を捉えていた。
「・・・愚か者。マスターが罰の事を言わなかったら、私が手を出していた」
普段の彼女を知っているからこそ、この時のイータはとても恐ろしく見えた全員。
「・・・特別に見せる、マスターの本気の1部」
イータは壁に小型の装置を向けると光が飛び出し、とある絵が現れる。
「これは『陰の叡智』の1つ、その時の出来事をそのまま記録に残せる機械。そしてこの記録はカイを助けた際に記録した物―――はい、スタート」
イータの合図と共に絵のコンプレスが動き、全員が目を奪われる。その記録とは―――コンプレスが敵の幹部以外を触れただけで相手を塵にした記録だ。コンプレスの活躍で敵幹部のみ撤退して行った。
「なっ!?こ、これは!」
「これがマスターの本気の1部。ついでに言うと、魔力を使ってない」
魔力を使っていない、この言葉に知らない者達は驚きの表情を隠せなかった。
「シャドウ様を信仰するな、と言ってる訳じゃない・・・でも、覚えて。マスターもまた、シャドウ様同様人智を越えた力を持っているということを」
膝から崩れ落ちる559を横目に真実を告げ館へ戻るイータ。他のナンバーズも館へ戻って行った。
―――
「意識改善、成功・・・ブイ」
「イータ。お前したのは改善って言うか・・・いや、何でもねぇよ」
自室に戻ったコンプレスはベッドに腰掛けており、そしていつも通りと言わんばかりに平然とコンプレスの膝枕を堪能しながらVサインをするイータ。
「そんなことより、マスター。今、2人っきり・・・仮面、外そ?」
そして可愛らしく小首を傾げ、コンプレスの仮面に手をかけるイータ。普段なら触れられるのを嫌がるコンプレスだが、心を許した相手なら構わない。
「それ何処で覚えてきたんだよイータ・・・まぁ、良いけどさ」
イータが仮面を外し、コンプレスは目出し帽を外す。
「やっぱり、この方が、好き」
コンプレスの素顔を見た途端、柔らかく微笑むイータ。
―クソッ、可愛いなイータ!もしアイツらが居たら絶対弄られるな―
『よぉ、おっさん。未成年とのイチャコラはどうだったよ』
『ネタは上がってんだ、正直に話せミスター』
『ふふ、ミスターも隅に置けないのです』
『羨ましいぜミスター!後悔しろ!』
『勝手するのが俺達の本領・・・とは言ったが、外し過ぎんなよミスター』
『良いミスター?女の子は繊細でか弱いものなのよ。だから―――』
―やべ、想像したけどマジで言ってきそうだわ―
「マスター・・・?」
「いや、何でもねぇよ」
苦笑を浮かべながらイータの頭を撫でるコンプレス。そして撫でられ嬉しい表情を浮かべるイータ。そして聞こえるノック音。
「失礼するよ、主・・・って、またイータを膝枕してるの?主が優しいのは知ってるけど、甘やかし過ぎも毒だよ?」
入って早々、状況を見て若干呆れ顔をしながら指摘するゼータ。それに対し
「在宅勤務の勝利、ブイ」
勝利のVサインを決めるイータ。
「いや私が言ってるのは勝ち負けじゃなくてね・・・」
「お疲れさん、ゼータ。調査の方は順調か?」
コンプレスは空いてる隣をポンポンと叩きながらゼータに問い、その意図を汲み取ったゼータは耳をピンと立て尻尾を振りながら隣に腰掛ける。
「うん、滞りなくね。この後アルファ様に報告に行けば少しは休暇を貰える事になってるんだ。その間は私に構って欲しいな?」
スリスリと頭をコンプレスの肩に押し当て甘え、最後にはトドメの上目遣いを仕掛けるゼータ。
「分かった分かった、ゼータに休みを捧げますよ」
優しく頭を撫でると耳がへにゃっと折れ尻尾も左右に揺れる。
「そういやイプシロンはどうした?」
「イプシロンは、作曲系統を、進めてる。【オリアナ王国】に、取り入る為の、布石」
「まぁ本人はそれとは別でピアノが好きになってるみたいだから、尚更彼女に向いてる仕事って事だね」
「芸術系統が認められれば、OKらしいもんなぁ。俺から言わせれば平和ボケしてんじゃねぇかと思うがね」
片手でイータ、もう片手でゼータの頭を撫でながら思った事を口にするコンプレス。
「マスターも、やろうと思えばやれる、と思う。凄腕マジシャンとして、名を、広めれば」
「確かに好きだが・・・何と言うか、性にあわないからな。表舞台は」
「まぁ、主らしいも言えばらしいけど」
陰の実力者達とは思えぬ程、ホンワカとした時間を過ごす3人であった。
如何だったでしょうか?
それでは次回お会いしましょう。