赤龍生徒のマーセナリー! 気になるアイツは異世界帰還者 作:傭兵企業赤龍帝
気まぐれ更新になるとは思いますが、頑張っていきたいと思っております!
……夢を見ていた。
あれは三年ちょっと前。中学一年生の春休み。
俺はモテたくてたまらなくて、ちょっと町まで行ってナンパを試みた。いつも同じようにモテたい悪友たちもいたけど、三人がかりなのが悪いんじゃないかと思って一人でだ。
結果は撃沈。見事に撃沈。正直ちょっと立ち直れなくて、気づいたら夜の九時になっていた。
慌てて携帯で親に電話して、説教されてから帰ろうとした、その時だ。
……俺と同じぐらいに男の子が、大学生ぐらいの女の人の手を引っ張って、橋の欄干に片手と足で器用にしがみついてた。
十秒ぐらいぽかんとしてたけど、女の人は男の子と言い合いながら、片手で引きはがそうとしてる。
そこまで来て、俺は慌ててその手をつかんだ。
「ちょ、何やってんですか!? 落ちますよ!?」
「落ちようとしてるんだよ!? ほら、だから引き上げるの手伝って……そろそろ背中と腕が悲鳴をぉおおおおおっ!?」
男の子に言われて、俺はようやく「女の人が落ちそうになってパニックになってる」じゃなくて「飛び降りようとした女の人を、男の子が引っ張り上げようとしてる」ことに気が付いた。
正直信じられなかった。そのお姉さんはきれいだし、彼氏とかには困らなさそうな人だったからだ。
え、なんで!? 自殺する理由がさっぱりなんだけど!?
「いいから離してぇっ!! もうだめなの、今じゃないと……死ねないっ!!」
「「いやだから死なないでください!!」」
もう何が何だかだけど、本当に何が何だか。
女の人は運動でもやってたのか、橋の欄干を蹴って俺たちを引きはがそうとするけど、本当に引きはがされそうだし。
男の子のほうは男の子のほうで、結構限界だったのか、体中プルプル震えてるし。それでも頑張って離さないでいるんだからすごい奴だよ。
時間が時間で、俺も無視機にとぼとぼ歩いていたのか人があまり寄り付かないような場所だった。そのせいで結構騒いでるのに誰も来ないし。
「お願い死なせて!! もう死ぬしかない……今死ぬしかないの!!」
「いやいやいや!! むしろお姉さん、今からが人生本番でしょ!? 絶対女ざかりってやつでしょ!?」
なんで目の前でこんなきれいなお姉さんを死なせなきゃならないんだ。
あれか、彼氏に不倫されたとかか? こんなきれいなお姉さんを傷つけて、死にたくなるぐらい追い詰めるやつがいるのか? なんて奴だけしからん!!
そう思った俺は、とにかく励ましたほうがいいと思った。
「人生まだこれからッスよ!? お姉さんなら男選びたい放題だし、何なら俺が付き合いたいぐらいなんですから―」
そう励ましたと思った時、思いっきり引っ張られて俺は欄干から半分ぐらい身を乗り出してた。
「うぉおおおおおおおっ!? お、落ちる!?」
「ぁああああああああっ!? ごめんなさいごめんなさい! 今死ぬから、すぐ死ぬからぁああああああああああっ!?」
俺は今、何かひどいことを言いましたか!?
もう自殺じゃなくて心中になりそうだけど、それでもお姉さんを離さないのは俺のスケベ根性が強いからか。
手を離したらすぐにでも飛び降り自殺になりそうだ。それだけは絶対にだめだと、こんなきれいなお姉さんにそんなもったいないことさせれるか。本能がそう叫んでたんだろうなぁ。
でも半狂乱のお姉さんは、もう俺たちを振りほどくんじゃなくて強引にでも飛び降りたいと願ってる感じでやばい。
「落ちる落ちる落ちる!? いや、でも手は離すかぁああああああっ!?」
「離して! ここで死ななきゃ……私はまた裏切るの!」
俺が死に物狂いになっていると、お姉さんはもう半狂乱だ。
「ごめんなさいおばあちゃんごめんなさいお父さんお母さんごめんなさいみんなごめんなさいごめんなさい!」
「その言葉はまず直接言ったほうがいいと思いますよ!? 生きてる人いるでしょ多分!?」
男の子のほうがそう言って説得しようとし、そして歯を食いしばってなんとかこらえてる。
「無理よ!? 言えない……言えるわけがない!」
でもお姉さんはそういって、とにかく落ちようと必死だった。
「今更なんで、こう思えるのかわからない!? 私はまたああなる!! またみんなを信頼を裏切って弄んで、そのままあいつらの玩具でいるのが幸せになる!!」
涙を流しながら、お姉さんは絶叫してた。
「だから今死ななきゃならないの……今しか死ねないのよぉおおおおおおおおおっ!!」
……この時は、さっぱりそれがわからなかった。
ただ、とんでもなくひどい目にあったんだって、そんな風にしか思えなくて、俺は何も言えなくて―
「……ふざけんな。だったらせめて、筋を通してから死ね!!」
―ブチ切れた男の子に、思わず二人してぎょっとした。
「そんなクソ野郎がいるっていうなら、今すぐに警察にでもマスコミにでも駆け込ん出から死ね! でなきゃそいつら、いつまでたってものさばっちゃうじゃないか!!」
どこから力が出てるのかわからないぐらい、男の子は力を入れて少しずつ俺事お姉さんを引き上げていく。
……思わずビビるぐらい、すごい剣幕だった。
「少なくとも、僕はする。そしてあっさり自分から死んでなんてやるもんか」
まるで自分に言い聞かせてるように、そいつは力強く言い切った。
「死ぬならせめて、誰に対しても胸を張れる形で死んでやる! 許しにしても恨むにしても、そうしがいのあるやつになってから死ぬべき……だ!」
そしてそのまま、俺たちごと引き上げ切ろうとして―
ゴゴゴゴゴゴゴッ!!
バキィッッッ!!!
―その時、震度6弱の地震が起き、さらに老朽化してた欄干が限界になってへし折れた。
気づいたとき、俺たちは全員浅い川ぞこに真っ逆さま。
「「「ぇええええええええええっ!??!!?」」」
こんな形で死ぬのぉおおおおおおおおおっ!?
「はっ!」
そして、俺は目が覚めた。
「久しぶりにあの夢見たな。……結構見てるけど」
割と人生最大級の出来事だったからなぁ。一年に一、二回ぐらいは見てる気がする。
目を覚ましてから周囲を見ると、そこは俺の部屋じゃない。
カプセルみたいなドームがついているベッドに、カプセルが開いた状態で俺は起き上がる。
SFみたいだって? ま、そうだよな。
だってある意味でSFだし。
『イッセー君、処置は終わったのでかえっていいですよ。転移準備もしてあります』
「オッケーっす! いつも助かります」
俺は係員の人にそう言ってから立ち上がる。
俺はは兵藤一誠。駒王学園高等部に通う高校二年生。
そして、傭兵部隊フォース・デリバリーのメンバーだ。
家に新しく作った地下室に転移してから、俺は軽くストレッチをしながら一回に上がる。
「ただいまー。父さんも母さんも、今日は家にいるだろー?」
「あらイッセー。ちょうどいいタイミングで帰ってきたわね」
母さんがすぐに気づいてくれて、リビングから顔を出してくれる。
思えば、あの後家に帰るまで二週間はかかったんだよなぁ。
死にかけたし、帰り方も大変だった。ま、電話は何とかつなげられたんだけど。
なんで色々大変だったし、何なら今では傭兵やってるんだけど。
「あとちょっとで晩御飯よ。もうダイニングで待ってて頂戴?」
「オッケー。いや~、おなか減ってるし楽しみ楽しみ♪」
俺はそういってから、ダイニングに入る。
……なんていうか、あんな夢を見たからちょっと懐かしいかも。
「あれ? イッセーどうしたのさ?」
亜麻色の長い髪を一つに結んでる、俺と同じぐらいの男子。
名前は
「そうね。何かあったの?」
つややかな黒髪を同じように一つに結んでいる、二十代のお姉さん。
名前は
かつて一緒に死にかけたりした二人は、今俺ん家に居候……いや、フォース・デリバリーの一員として収入でお金は入れてくれてるけど……してる。
どっちも三年近く世話になってるから、勝手知ったるって感じでくつろいでる。
俺と二人、そしてもう一人を入れた四人が、この兵藤家で活動してるフォース・デリバリーのメンバーだ。
で、もう一人はご飯ともなればすぐにでも来るはずだけど―
「イッセーユースケ雪美も大変!!」
―なんか、ドタバタしてやってきた。
茶髪をポニーテールにした、俺と同じぐらいの女の子。
こっちでは兵藤星奈《ひょうどう せいな》で通している、異世界に転移して死にかけた俺たちを救ってくれた命の恩人は―
「ここが冥界にばれたって! 計画、一気に進っぽいよ!?」
「「「はぁあああああああっ!?」」」
―とんでもないことを言ってくれたなぁ!?