赤龍生徒のマーセナリー! 気になるアイツは異世界帰還者 作:傭兵企業赤龍帝
僕、木場祐斗は主であるリアス・グレモリーの眷属として、はぐれ悪魔の討伐に向かっていた。
この世界。様々な異形や異能の勢力は、基本的ににらみ合いいがみ合っている。
例えるなら、多種多様な勢力のほとんどが、自分たち以外を敵として鎖国状態になっているといってもいい。悪魔の場合も大して変わらず、契約を行う魔法使い組織以外とはやはり敵対している状態だ。特に聖書の神が率いる天使や教会、堕天使による
だが、三大勢力と呼称されるこの勢力はその戦いで大打撃を受けた。特に悪魔は、トップである四大魔王や政治に携わる上級悪魔の多くを失うこととなった。
その後、種の滅亡すらあり得る状態で戦争を継続しようとした旧魔王派を追放したのち、その戦乱で活躍した最強の悪魔達四名に魔王を襲名。そのうちの一人であるアジュカ様が作り出した、
これはある程度功を奏した。それどころか優れた他種族が最上級悪魔となり戦力も獲得し、チェスの駒を模したことから、レーティングゲームという競技となり経済の活性化や娯楽の提供もなされている。
だが純血の貴族を尊ぶものも多く、転生のさせ方やその後の待遇が劣悪な場合もある。魔王様はそれを憂慮しているが、若い悪魔だったこともあり発言力に限度がある。加えて問題の悪魔は名門の貴族であることも多く、権限が大きくなっているため大変だ。
さらに悪魔の駒は駒に合わせた特性を上乗せしたうえで種族を悪魔にする都合上、大抵が転生前より強くなる。これも重なった結果、主のもとを脱走するはぐれ悪魔が出てくるわけだ。
今回の半藤小昏は、間違いなく図に乗ったタイプだろう。もともと聖書の神が作り出した人に宿る異能、
その後の足取りがつかめなかったらしいけど、何人かの人を連れてこの町の廃ビルに入ったことが判明。リアス部長に討伐命令が下された。
そういった要請は何度か受けているけど、急がないとね。
はぐれ悪魔の中には、人間を餌として食い殺すものもいる。小昏は元人間だからさすがにそれはしないだろうけど、人間を殺すといったことをする可能性は十分ある。
できれば犠牲はないほうがいいからね。手早く済ませないと。
そう思った時、先行していた部長の眷属である、塔城小猫ちゃんが足を止めた。
どうしたんだと思った時、緊張の面持ちで小猫ちゃんが振り返る。
「部長、戦闘がはじまってます」
「なんですって?」
リアス部長がけげんな表情で様子をうかがうと、結界が張られている廃ビルの様子がおかしい。
最低限の人払いをしているようだけど、欺瞞のほうがいまいちだ。おかげである程度様子がうかがえるけど、確かに戦闘が行われているようだ。
「……潜伏している堕天使ともめたのかしら? いつまで仕事をしてるのかしらね」
「まったくですわね。悪趣味な形でいたぶることもありますし、うんざりですわ」
朱乃さんがため息を吐きながら、いら立ち紛れに髪をかき上げる。
さて、それはともかくだ。
「どうしますか、部長?」
「決まっているわ。殴りこむわよ」
僕の確認に、部長ははっきりと言い切った。
「この駒王町が私の管轄なのは、この国からもきちんと話を通しているわ。そんな場所で勝手に争うなんて、黙ってみている通りもない」
おっしゃられると思っていました。
我らが主は誇り高いお方で、責任感も強い。
堕天使の侵入そのものは彼らの仕事だろうから慎重な向き合い方だったけれど、彼らの仕事の範囲外での活動には厳しい態度で臨むだろう。
故に、僕も剣を抜いてうなづいた。
「ではいきましょう。これ以上の狼藉は許せません」
「ええ、行くわよ私のかわいい下僕たち!!」
「「はい、部長!」」
意を決して突入し、そして僕は目をむいた。
「ちぃっ! ここでリアス・グレモリーだと!?」
「乱戦とかふざけんな!?」
明確に僕たちを理解して、狼狽するのは服装から見て半グレとかいうギャングだろうか?
二十人近い彼らはいま、たった三人の者たちと対峙して苦戦していた。
数の利を生かし、さらに稲妻を纏って戦っていたが、6倍以上の人数差があってなお、追い込まれ気味といってもいよかった。
そして乱入者と思われる三人組は、堕天使ではなさそうだ。
SF作品の戦闘用装甲服を思わせる格好をまとった三人組は、それぞれが独特だった。
一人は黄緑に輝く光のマントのようなものを羽織っている。一人はオーラを放つ二刀流。
問題は最後の一人。左手を覆う赤い籠手を身に着けている。
すさまじいオーラだ。もしかすると、僕たち全員でかかっても勝てないかもしれない。
ただ、それだけの勢力がこの町にいる。これを無視するわけにはいかない。
「さて、私たちははぐれ悪魔を討伐しに来たのだけれど……どういうことかしら?」
疑問符を浮かべてはいるが、しかし表情は厳しい。
最悪まとめて相手どる必要もある。むしろその覚悟すら見せている。
だが同時に、小さく移動していて小猫ちゃんが隠れている。ついでに小猫ちゃんは携帯を取り出していた。
この町には、悪魔としての活動こそとなり町が主体だけれど、もう一人上級悪魔が眷属を連れて常駐している。あの人たちの援護を受けることができれば、十分勝算はあるだろう。そういう想定だった。
……だがそこで、メンバーの一人が片手をあげて僕たちを制する。
「リアスせん……リアス・グレモリーですよね? 俺たち、そっちと戦うつもりはありません!」
「……っ」
リアス部長が妙に反応をしているけど、そのうえで籠手を着けた彼は相手のほうを見る。
「俺たちはフォース・デリバリーです。今回依頼を受けて、はぐれ悪魔が率いている半グレ集団をぶちのめしに来ました」
二刀流の人も言うと、マントを羽織ったほうもうなづいている。
「どうも神器保有者を数十人ほど囲っているみたいなの。おそらくだけど、あなたたちを倒せば箔がつくとでも思っているんじゃないかしら?」
なるほどね。
神器保有者を十数人も囲う。そう簡単にできることではないけれど、できたのならば相当油断できない戦力になるだろう。
そして、その戦力をもってしてリアス部長を倒す。確かにそれは名が広まるだろうけれど、悪い意味でだ。
リアス部長は悪魔としても穏健派で善良。そんな彼女を犯罪組織が害するなど、多くの組織にとって不利益でしかない。日本政府も本腰を入れて対応するだろうし、冥界だってただで済ますわけがない。
「半グレらしい甘い考えですわね。うふふ……お仕置きのし甲斐がありますわ♪」
朱乃さんも起こっているね。ただでさえ彼女はドSなのに、いたぶる理由を与えるとは相手も愚かな。
「舐めてくれた礼はしっかりとします」
小猫ちゃんもボキボキと指を鳴らしている。半グレたちはまるで勝てるみたいな雰囲気だけど、無知は罪とはよくいった者だね。
そして、リアス部長もかなり激怒している。
すでに魔力が漏れており、相当お冠だ。
「私の縄張りをそんな理由で荒らすだなんて……まとめて滅するわよ?」
これは完ぺきに起こっておられるね。半グレたちには哀れみを覚えるよ。
元から容赦する気もなかったから、問題ないか。相手が人間だと場合によっては下限が必要だけど、はぐれ悪魔の配下に成り下がっているなら人間側にも言い訳が立つ。かわいそうだけど死者が多発するのは間違いないね。
「なら、共同戦線と行きましょう。いいわね、兵藤君?」
「はい、大丈夫です!」
互いに意見が通ったこともあり、ここにフォース・デリバリーとの共同戦線が成立した。
……ついでに、リアス部長はカマをかけ、兵藤君は見事に引っかかっている。
赤い籠手の子が兵藤君だったようだ。これは収穫かな?
とはいえ、ほかの二人はちょっとあきれて至り引いているけど、特に何も言わないあたり、ばれることは織り込み済みらしい。
「……では、細かい話は家まで来てください。おもてなしの準備は頼んでおきます」
「ありがとう。建設的な話し合いを願ってるわ」
「……あれ?」
女性のほうとリアス部長が話を詰めているときになって、ようやく兵藤君は気づいたらしい。
「イッセー、さらりと鎌をかけられたのにまだ気づいてないの?」
「……うっかり屋さんですね」
最後の一人や小猫ちゃんにつつかれて、ようやくすべてを理解したらしい。
兵藤君は割と愕然としている。
「あまりぼさっと突っ立ってちゃだめだよ? 相手もチャンスとみなすからさ!」
「ぐあぁっ!?」
と、右手からそれなりに強い炎を放とうとした半グレの右肩に、僕は剣を投げつけて動きを封じる。
それから一分後、半グレは全員が叩きのめされた。
全員が蒼い雷を纏い、さらに神器と思われる異能を振るう。身体能力も下級悪魔レベルには引き上げられていて、神器を持っているだけというわけでもなさそうだ。
幸か不幸か全員死んではいない。最も、放っておいたら死ぬようなけがをしている者が何人かいるけどね。
「……さて、いっそのこととどめを刺しておくべきかしらね?」
「その辺はご容赦を。後で連絡が届くと思いますが、日本政府からも「なるべく捕縛」といわれてますので」
と、女性のほうがリアス部長をなだめたうえで、深手を負っているものに近づいた。
何をするのかと思ったら、光るマントがさらに広がり、そしてそれをかぶせている。
……傷が回復していってるね。回復系の異能は神器を含めて貴重だけど、祖の持ち主かな?
「とりあえず、死なない程度に回復しておきます。ほかの拘束は頼んでもいいですか?」
「かまわないわ。引き渡しの手続きは……まぁそちらに任せていいでしょう」
と、リアス部長はあっさりと言い切った。
とはいえ、それはまぁ問題ないか。
「どうやら、半藤はいないようね。タイミングが悪かったのかしら?」
「そのようですね。まぁ、そっちはほかのメンバーに任せるということでいいでしょう」
そう答えると、女性のほうは立ち上がったうえで全身が光に包まれる。
同時の二人も光に包まれ、すぐにその強化服が消え去った。
そしてそこにいるのは、長い黒髪を一つに結んだ女性に、兵藤君ともう一人。
確か、兵藤君たちの保護者のように見られている右藤友助君だったかな?
と、兵藤君が元気よく片手をあげる。
「えっと、どうも! フォース・デリバリーやってる兵藤一誠でっす!」
……緊張しているね。まぁ、無理もないのかな?
「イッセー、もうちょっと冷静に立ち回ってね?」
呆れ気味の友助君だけど、こっちは落ち着いているけど困り顔だった。
そして二人の前に出て、女の人がこちらに一礼する。
「初めまして。私は左京雪美といい、後ろの二人とともにフォース・デリバリーのメンバーを務めています」
そういったうえで、彼女はまっすぐにリアス部長に向き直る。
「上級悪魔リアス・グレモリーさんとお見受けします。よろしければ、現グレモリー卿クラスの方を踏まえたうえでお話ししたいと、フォース・デリバリー総帥から言付かっておりますが……よろしいでしょうか?」
……これは、かなり大ごとになりそうな予感だね……っ!
ようやくリアスたちと合流! さて、少しずつ話は進んでいきますよー?