ナチュラル   作:レイジー

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第二十二話 データ採取

『なぁ、なんか面白いことしろよ』

『なんだその宴会の無茶振りみたいな話は』

 

 作業中。ヒナの意識が脳に直接届いた。

 視界に重なって見える光景。

 整備する生徒たちや、元親の設計図。そして暗い彼女の部屋。

 そしてその両方に、ヒナの姿がある。

 

『この部屋、てかパソコン。一見ゲームできるように見えるじゃん? いや、実際できるんだけどさ……』

『できるなら良くね?』

『良くないって。ネットに繋がってないせいでオンゲができないんだけど?』

『だろうな』

『わかってんならどうにかしろって。オマエはコンコードとしてヒナを楽しませる義務がある!』

『なんだよコンコードって。変な言い回ししやがって』

『……わっかんねー。なんとなくそう思っただけだ』

『英語で一致とか調和、友好協定。ラテン語で同じ心、とかだっけか? 一心同体だし、間違ってはねーか。まあ、もう少し待てば良いモンやるよ』

 

 視界から彼女の部屋が消える。

 脳の並列処理で分けて認識していたため特に問題はなかったが、情報が減るのは楽には変わりないと元親は意識を設計図に向け、ISの機能を通じて見せてくるヒナの幻影に向けて図面を指さした。

 

『言っとくけど。ヒナ、それっぽく見せてるだけで周囲の光景なんてIS越しにしか見えてないからな?』

『俺の目ぇ使えば良いだろ』

『良いのかよ。そういうのって普通気にするんじゃない?』

『そんなん気にするタマだっけ、ヒナ。それに一心同体だし別に気にせんよ』

 

 この会話が始まった時もだし、普段も。

 ヒナは流石に最低限の空気は読むが、それ以外では脈絡もなく語り掛けてくるし、光景を重ねてくる。

 そもそもが光景を二重に見せている時点で目を借りるなど大して気にする問題ではない。

 

『そ。なら遠慮なく――ゴメン、ヒナこういうゴチャゴチャした回路とか見せられてもわかんないんだけど』

『あ~、全体図の方がわかるか』

『……コレって』

『ま、そういうこった。てなワケで、ヒナにはしばらく付き合ってもらいたいんだよね~。データ収集とかあるし』

『えぇ……メンドクサイ』

『でもコレを終えたら楽しいぞ?』

 

 自分のことになるのは理解しつつも面倒だと嫌そうな顔をするヒナ。

 だが、結局断ればヒマでイヤになるだけ、と渋々承諾する。

 

『けどさぁ。さっきも言ったけどヒナ、ISから出られないんだけど?』

『そこは平気。ISの外部ツール……武装の一種として追加すればイケるし。容量もそこまで取らんでしょ』

 

 ISの部分展開。

 そもそも目的として遠距離である必要がないからそこに関してはあまり考えていない。

 

『あ~、ねえ』

『どった?』

『BTってあるじゃん? アレみたいにネットワーク接続できたら……ムリ?』

『BT兵器ってワリと最新の技術だからなぁ、情報公開がされてないんよ。ただまぁ、発想としては悪くない。単純にネット接続――ヒナってパソコン得意だよなぁ?』

『そうだけど?』

『ハッキングして違法ダウンロードとか、データ改竄とか。やめろよ?』

『あ~……ちょっと接続が悪いっぽいわ~』

 

 図星らしく、ヒナは目を逸らすと姿を消した。

 

「はぁ……子どものスマホに閲覧制限かける親の気持ちをこの歳でわかるとは……」

 

 不健全はともかく違法なモノ。

 どうにも倫理観というべきか、そのあたりの認識に齟齬があるヒナ。

 確かに彼女は精神性を除けば人間ではなく、解明のされていないISコアであり、ある種法律の適応されない存在だ。

 けれどそれは合法というよりかは脱法。

 どうにかして法に順応させられないかと考えつつ、作業を再開する。

 

「あれ、元親?」

「織斑……」

 

 タイミング悪く一夏が訪れた。

 

「そういえば元親はよくここに来てるんだっけ?」

「ああ。織斑は?」

「ほら、俺の白式って燃費悪いじゃん? どうにか機体を弄る方向でも燃費よくできないかなって」

「下手に弄って性能落とすより技術磨け。仮にも束の作った機体だ、その方が良い」

「そうだよな~……ところで今は何してんだ?」

 

 一夏のいう燃費の悪さ、というのは本人が技量を上げればかなり改善される。

 機動の際のふかし過ぎ、射撃の無駄撃ち、零落白夜の起動し過ぎ。

 それらは今やっている元親と楯無の訓練次第でどうとでもなるのだ。

 

「武装とは関係ない趣味の工作」

「……なんかスゴイ配線だな」

「色んな機能をコンパクトにするとどうしてもな」

「多機能なんだな」

「機能はな。正直やろうと思えばもう少し配線減らせるけど金も材料もない。自作は大変だからそのうち」

 

 実際に組むのはまだ先のことだが、できる部分は済ませてしまおうと元親は配線を整理する。

 

「一応他の先輩たちに聞いてみるわ」

「ん。明確な改善はされないだろうけどな」

 

 一夏を見送る。

 

『あー、ヒナさん? そろそろこっち戻ってきてくんない? 実験できない』

『……わかった』

『とりあえず、まずはカメラの感覚だろ? で次に音声感知に、重力感知システムに――――』

『多い……もう少し減らないの? ヒナ退屈なの嫌いなんだけど』

『すぐ終わる。具体的にはそれぞれ二分か三分』

『なら良いけど……』

 

 ヒナの注文に元親はニヤリと一人でしたり顔になった。

 

――――――――――

 

「ねぇ? すっごい気になるモノがあるんだけど??」

「作った」

「気になるモノっていうか……どういえばいいの?!」

「作った」

「あ、貴方ねぇ!?」

「頑張りました」

 

 自室で一夏の訓練に関して話し合おうと。そう集った元親の部屋。

 そこにはヒナがいた。

 

「趣味は否定しないけど学園でそういうことするのは流石にダメよ!」

「おっと、未成年アウトな想像してらっしゃる?」

 

 正確には『ヒナの姿を模したヒューマノイド』だ。

 現状、表皮として扱える被覆がないため素の構造に立体投映でリアルタイム反映している状況。

 

「オマエら、うるさい。ゲームに集中できないだろ」

「ふむ、表情――いや、喋る時の口の開き具合が見たのと違うな。調整調整」

 

 元親の持ち込んだゲームで遊ぶヒナ。

 その様子に楯無は面白いほど驚愕していた。

 

「喋ッ?!」

「中身に関しては俺のISコア人格です」

「……貴方に関していちいち驚いてると一生分の驚きを使い果たす気がしてくるわね」

「へへっ」

「照れないで……」

 

 不完全にもほどがある。

 そんな完成度に元親は終始不満げにヒナを見ていた。

 そして、様々な不満を解消する手段について思考を巡らせる。

 

「ちなみに、なんで作ったの?」

「暇つぶし?」

「――」

「あと、ヒナを現実で動けるようにしたら一緒にゲームできると思ったから。ゲームできる友達いないんですよね~」

 

 多少のゲーム付き合いはあったが、基本的にすぐに途絶えた。

 基本的にゲームは浅く広く。モノによっては深くまで入ることがあるが、基本的に元親が深くまで入るのはゲームの設定部分やソロコンテンツ。

 とことんネットでの交流としては相性が悪かった。

 コンテンツについて語れる友人を探したことがあるが、運悪く当時のフレンドはそういったことに興味がない人間だったため、ネットにおけるそういう類の繫がりは諦めている。

 

「趣味が合うなら語ってもいいぜ? ただし、ヒマな時だけな」

「それでいいよ~」

「……メンタルケアができるならそれで良いわよ、もう」

 

 諦めた様子の楯無。

 ヒナは無関心といった様子で。元親は何かを考えている。

 

「それで、織斑の訓練の話でしょう?」

「そうね。一夏くん、ちゃんと成長してるわ」

「じゃなきゃ困ります」

 

 わざわざ苦手な顔と毎日訓練をしているのだ。

 成果がなければ流石に怒りたい、と。

 

「元親くんの訓練内容が良いみたい」

「先輩の教え方が上手いからでしょう? 俺、正直誰かに対して言語化で教えるのって苦手なんで先輩の教え方は実際スゴイと思います」

「あら、高評価ね。嬉しいわ」

 

 実際のところ。

 元親は無意識に説明を諦めている。

 なぜならば、幼少期からずっと感じていた自分の感覚と周囲の感覚の違い。

 説明すれども共感は得られず。自分が理解した流れで物事を解説しても理解してもらえない。

 簡単にいえば『言っても無駄』であり。

 であるがゆえ、元親は無意識的に感覚の端的言語化を捨てた。

 端的にいえば自分の感覚に他者は追随できず、修飾すれば冗長に感じるが伝わる。 

 が、冗長になれば話の長さから他者は聞く気を失う。

 元親が他者に対して教えられるとすれば、それは脳筋じみた感覚派の相手だ。

 

「たまにだけど、良い動きを見せるようになってきたの」

「たまに、ですか。足りないですね」

 

 元親は一夏を苦手と言うが。

 その実、教えるという一点においては相性が良いのである。

 

「普通に比べたら充分よ?」

「比較対象が普通の時点でダメでしょう?」

「まあ、ね……」

 

 両者は肩をすくめた。

 

「それでなんだけど、こっちの時間を増やしたいからそっちの時間を貰えないかしら?」

「良いですよ~、どのタイミングが良いですか?」

「そうね、とりあえず今週の水曜日と金曜ね」

「明日と明々後日ですか。オッケーです」

 

 スマホのスケジュールに記入する元親は、ふとカレンダーの最後の部分に目を向けた。

 学園祭の日だ。

 

「招待券……使わなくていっか」

「あら、使わないの?」

「家族を呼んで人目にさらすのも申し訳ないですし、そもそも一人分の招待券じゃ家族は呼びにくいでしょ」

「それもそうね」

「あ~……でもどうせだしヒカルノさんでも呼ぼうかな? ……やめとこうかな?」

 

 夏休みのことだ。

 簪に付き合う形で元親は倉持技研を訪問。

 そこで第二研究所所長の篝火(かがりび)ヒカルノと出会ったのである。

 

「また質問攻めに遭うわよ?」

「や~、それは未だに連絡来ますので今更っていうか……」

「そ、そう……」

「単にセクハラがウザいのと、テンションがメンドクサイっていうか……」

 

 思い出すだけでも疲れるほどの夏休みの記憶。

 実際にそこに行ったのは三日ほど。

 けれど、夏休みで負う疲労をそこに凝縮したのかと思うほど、疲れたのだ。

 

「好きにすればいいと思うわよ。貴方の権利なんですもの」

「そうします」

「じゃ、話は終わったけど。ついでだし料理でもしていこうかしら」

「ん~、なら一緒に食べましょうよ。ヒナの味覚エンジン開発のサンプルとして脳波データ欲しいんで」

「貴方が良いなら良いわよ」

「ヒナ、食事もできるようになるのかよ。ドラえもんじゃん」

 

 当然だが、ヒナの体内に原子炉はないし。

 現状では食事したモノを100%エネルギーに変換するということもない。




 なあ、私はなんで『気まぐれ更新』のくせにほぼ毎日更新してるんだ?
 お、おかしい……本来なら「どうせぼざろ二次の時とかオリジナルの時と同じでロクなUAつかないだろうな~。自分の性格的にダレて更新滞るだろうな~」って感じだったのよ!
 あるぇ? なじょして?

 あ、現状だとヒナが食べたモノっていうのはISの量子変換(インストール)技術の転用で体内から排除されてる状況ね
 その後どうするかは元親は色々考えてる途中
 今はまだ食事機能は付いてない。ついてるのは視覚・聴覚・触角の3つ
 あと二つは色んな人からのデータ採取中
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