暗殺教室 〜LAST MISSION〜   作:robertjr

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EP 3 自分の道

「はぁ、はぁ、はぁ………冗談だろ?」

 

 

クソ、1発も当たんなかったのか?

 

 

「はい、遅刻者ゼロですね。そして初の暗殺は一斉射撃と………広木くん以外のほぼ全員射撃の能力が低い事を考慮して、朝のHRで集まった時に決行した。素晴らしい!相手が『普通』の人間であれば間違いなく殺せたでしょう。ですが先生にはその手は通用しませんよ?ヌルフフフフ………」

 

 

ウゼェ、確か緑の横線って「舐めてる」って事だっけ。ていうか………

 

 

「先生、一つ質問が」

 

 

「にゅ?」

 

 

広木がそう言って手を挙げていた、確かに先生は早い。だが本当に当たっていないのかという疑問が頭に残っていた。

 

 

「先生、本当に1発も当たってないんですよね?」

 

 

「もちろんですとも」

 

 

「烏間さんもそう言ってますが、俺たちこの弾丸が効くのかどうかまだ疑ってるんです。ですから………」

 

 

 

 

 

ガチャ

 

 

 

 

 

 

「今撃つ弾、避けないで下さい」

 

 

 

 

 

 

パァン!!!

 

 

 

 

そう言って放たれた1発の弾が指先に吸い込まれるように命中すると、当たった所が文字通り弾けた。それを見た生徒達が動揺する。

 

 

「みなさん、これで疑念は晴れましたか?この弾丸は人間には無害ですが、先生に触れれば細胞を豆腐のように溶かす特殊な弾なんです。まぁ数秒ほどで復活しますが」

 

 

そう言うと、さっき吹っ飛ばした指先は一瞬で生えてきた。早い上に不死身………何でもありだな。

 

 

「ただ、君たちも目に入ると危ない。なので授業中の暗殺は禁止とします!」

 

 

と言って授業を始めるが、中村莉桜だっけ?そいつが早速最初の授業で背中を向けてる「アイツ」に発砲して、後ろに立たされた。あれを避けれるんだったら、近距離で仕留めれる可能性は低いな。なら……………あれ、俺のノートどこ_______「広木君!」あっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………このエアガンの射程距離間違えてますよ、正確には56mです。ただあなたの探している強力な奴ならもっと飛ばせるでしょう」

 

 

一瞬で俺のノートが取られていた。

 

 

「ふむ………では丁度歴史の授業をやっているので、箸休めとしてここで暗殺に関連した問題です。この2.26事件で反乱を起こした部隊は、本来の目的である『首相の暗殺』に失敗しました。それはなぜか?広木君、答えてみて下さい」

 

 

「………殺した影武者を本物だと勘違いしたから」

 

 

「正解です!教科書には書かれていませんが、このとき命を狙われた岡田首相の義弟、松尾は首相と顔が似ていることを利用して自ら囮となり、その為首相は無事脱出に成功しました。よく「影武者はフィクションの出来事」と言われますが、実際には効果抜群な結果をもたらすこともあるのです」

 

 

その後は普通にノートを返されて授業が続けられ、昼休みになった。

 

 

 

 

 

 

 

「では昼休みなので、先生札幌ラーメンを食べにちょっと行ってきます」ビュンッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

「えーと・・・・・ここから札幌まで840kmくらいだから、マッハ20だと2分か」

 

 

 

 

昼休みね、ここ1週間ロヴロさんに連絡してないから電話するか………ん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しくじんなよ、渚くん?  ハハハハハ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「渚、どうしたんだ?」

 

 

「広木君………ううん、何でもないよ」

 

 

 

 

「そうか____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このおもちゃの手榴弾、改造されてんな

 

 

 

 

 

「え?なんでその事…………あっ」

 

 

渚の持っていたはずの手榴弾が、いつの間にか広木の手に渡っていた。

 

 

「火薬を入れてる。これならあのタコも避け切れずにやれるだろうが……………下手したら大怪我負うぞ」

 

 

「分かってる、でも………………」

 

 

でも寺坂君には逆らえない、と言う前に口を閉ざしてしまった。それを悟ったのか、広木は階段に座って話を続けた。

 

 

「わかった。だが自分の人生だ、他人には決して委ねない方がいい」

 

 

「………知っなふうな言い方、やめてくれない?」

 

 

「自分が一番不幸だなんて思わない方がいいぞ、もっと酷い生き方をした奴もいる」

 

 

「例えば?」

 

 

「はぁ・・・わかった、その話をするよ。あるガキンチョが、一人の男に振り向いて欲しくて大勢の人間を殺した話だ」

 

 

そう言うと広木君は、その子供の話をしてくれた。青空を見て、どこか懐かしそうな顔をして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昔………といっても5年前の話だが、ある9歳の少年はマフィアの抗争に巻き込まれ、隣に住んでいる奴と間違えられて親を目の前で殺された。そして自分も口封じに殺されかけた時、その隣に住んでいた1人の男に助けられました。

 

 

その男は殺し屋で、彼自身は単に自分が狙われたから戦っただけなのですが、少年は助けられたと勘違いし、その男に憧れを持ちました。その後は『助けてくれた恩返し』と称して彼について行き、また彼も囮にはなるとついて来ることを許し、その奇妙な関係はしばらく続きました。

 

 

 

………ですが、段々と少年はその男が自分に興味を持っていない事を悟りました。そして初めて会ってから3ヶ月後、少年はこう男に言いました。

 

 

「どうしたら僕を認めてくれるの?」と・・・すると男はこう言いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私を殺せたら認める』と。

 

 

男は冗談半分で答えたでしょうが、その少年は真に受け、その男を殺すほどの力を身に付けるために男の元を離れ、殺し屋としての道を歩みました。最初は適当な依頼を受けては殺し続けるだけでしたが、段々とその力が裏社会に知れ渡る様になり、次々と困難な仕事を依頼される様になりました。さらに殺し屋の世界で有名な男に弟子入りして技術を磨きました。

 

 

……そして別れてから4年後、今ならその男に勝てると力に自信を持った少年は、男を探しました。だが……………」

 

 

広木はしばらく黙り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………その男は死んでいた。少年が探し始めるたった1ヶ月前、弟子に裏切られてだ。それで少年は敵討ちとして弟子を探すが手掛かりは見つからず、生きる目標である「先生」を失い、一年後に失意のうちに殺し屋を引退しましたとさ。たった一人に認めてもらいたくて240人もの人間を殺したのに、その結果は『実はもう先生は死んでました』だ。そんな事になるなら、知る前に死んでしまった方が良かった」

 

 

全てを語り終えると、広木くんはこっちを向いた。

 

 

「世の中こういう人生を送る奴もいるんだ、お前はまだマシな方だろ?精一杯生きて、自分のために生きていけばいい」

 

 

 

 

 

 

「…………広木くん、もしかしてその話って_____ッ!」ゴオオォォォォン!!!!

 

 

 

 

突然突風が吹き、目の前に先生がミサイルを持って現れた。

 

 

「おや、お二人ともどうされたんですか?」

 

 

「いえいえ!ちょっと先生をどうやって殺そうかって話を…………先生そのミサイルどうしたの?」

 

 

「あぁ、ちょっと自衛隊に待ち伏せされましてね、これはその土産です」

 

 

「返したらどうですか?それ『サイドワインダー』ミサイルですよね、一発で5000万円するやつ」

 

 

「え、そんなに!?」

 

 

渚が驚きの声をあげて広木の方を向いた。

 

 

「ニュルフフフ。よく知ってますね広木くん、まぁ機会があれば返すとしましょう。ささ、授業が始まりますよ」

 

 

そう言って先生はミサイルを持って校舎に入った。僕も教室に戻ろうとすると、広木が声を掛けできたので振り向くと、さっき取った手榴弾を返した。

 

 

………紐が括り付けられて。

 

 

 

 

「これ遠隔操作で爆発する仕組みになってるから外したといたよ、その紐を引っ張って3秒ほど経つと爆発する様にした。それと……おもちゃとはいえ火薬が仕込まれてるから、投げたらすぐに目と耳を覆ってその場で伏せろ。いいな?」

 

 

 

 

「・・・うん、わかった」

 

 

そう言って渚は校舎に入ると、教室ではなく職員室に入った。ドアを開けると、やはり先生がいる。

 

 

 

 

 

「………ん?渚くんどうしたのです_______にゅや!?

 

 

 

 

先生は昼休みぐらいから、顔が薄いピンク色になる時がある。その時は反応速度が遅い!

 

 

渚は広木に言われた通り、紐を引っ張って投げると、すぐに目と耳を塞いで伏せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、そういえば先生って名前名乗ってないよね」

 

 

「確かに、なんでだろ?」

 

 

「名乗る名前がないからじゃね?」

 

 

「うーん……………」

 

 

 

 

 

 

 

ドオオオオォォォン!!!!!!!!

 

 

 

 

 

「な、なんだ!?」

 

 

「職員室から聞こえたよ!」

 

 

クラス全員が廊下に出ると、職員室から煙が出て、渚が入り口付近で伏せていた。

 

 

「渚!?どうしたの、何があったの?」

 

 

カエデがそう声をかけると、渚は職員室の方を向き、そして笑った。

 

 

「ハハ………やった」

 

 

「やったって…………まさか」

 

 

全員が職員室を覗くと、あのたこ足が力なく倒れていた。

 

 

 

 

 

 

 

「す………スゲェ!倒せたのかよ!?

 

 

 

 

「やったじゃん!100億円だよ!!」

 

 

「ハハハ……」

 

 

みんなに褒められて照れたのか、若干顔を赤らめて広木の方を見た。渚と目が合うと、静かに広木は頷く。だが、その瞬間声を荒げる男が出た。

 

 

 

 

 

 

 

ふ、ふざけんじゃねぇ!!

 

 

 

 

 

 

途端に全員が声をがした方を向くと、寺坂が顔を真っ赤にして立っていた。囲んでいるクラスメイトを押し除けて目の前に来ると、渚を睨みつける。

 

 

「おい渚、どういうつもりだよ?」

 

 

「どういうつもりって…………」

 

 

「テメェだけが100億円独り占めしようとしやがったんだろ?なんで授業中に俺が爆発させるまでまたねぇんだよ!?ふざけんじゃね_____『おい、寺坂だったか?』あ?なんだテメ____ッ!?」ゴッ!

 

 

後ろを振り向いた瞬間に寺坂は広木のアッパーカットを喰らい、その場で一発KOとなった。

 

 

「…………広木くん?」

 

 

「コイツ渚に爆弾を持たせて、自爆テロまがいなことやらせようとしたんだよ。他にも2人いたよな?」

 

 

そう言って広木が振り向くと、村松と吉田が冷や汗をかいていた。その2人を獲物を見つめる獣の様にしばらく見続けると、すぐに優しい顔に戻って渚を見た。

 

 

「おめでとう渚、100億円ゲットだな。さーてと、ちゃんとこのタコは死んで…………ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おかしい、やけに萎んでないか?まるで抜け殻の様に_______「なるほど、そういうことだったんですね」

 

 

!?

 

 

次の瞬間、全員が真上を見ると、そこには先生が張り付いていた……………ちょっと、怒ってる?

 

 

「実は先生、月に一度ほど脱皮をします。先生の奥の手の一つです…………まぁ、今回は流石に4~5発ほど喰らってしまいましたが」

 

 

そう言うと、先生は広木を見た。

 

 

「広木くん、渚くんにその事をさせようとしたのは、寺坂、村松、吉田の3人ですね?」

 

 

「…………そうです」

 

 

「なるほど…………では3人には後ほど手入れをするとして、渚くん」

 

 

「は、はい………」

 

 

 

 

 

「………………………………素晴らしい!先生ここまで追い詰められたの初めてです、脱皮後だったら確実に殺られてました。そして、広木くんの様な友達に支えられつつ、自分の選択を他人に委ねずに自ら行動した、これも加点部分です。ただ、火薬を詰めて威力を上げるのは自分や周りの人を巻き込む危険があるので、今後禁止とします!」

 

 

「は、はい・・・・」

 

 

僕がそう返事をした瞬間、広木くんが先生にこう言った。

 

 

「えぇ?自分が殺されるかも知れないから怖がってるだけじゃないの?」

 

 

「にゅや!?け、決してその様なことはございません、決してありませんよ!?」

 

 

 

 

 

「「ハハハハハハハッ!!!」」

 

 

 

 

その後、先生が名前を持ってないということでカエデが『殺せんせー』と名づけ、僕らの奇妙な学校生活が改めて始まった。ただ………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………広木くんの話した『物話』が、どうしても頭から離れずにいた。もしかしたらその話の少年は___

 

 

 

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