暗殺教室 〜LAST MISSION〜 作:robertjr
コンッ、コンッ、コンッ、コンッ、コンッ…………
既に午後の授業が本校舎では始まっているので、たまにすれ違う教師を除いて、2人だけが廊下を歩いていた。その間にも浅野は広木に対して気さくに話しかけてくる。そういう状況が5分ほど続いた後・・・
「………いやぁ、E組の生徒を呼んで欲しいって理事長先生が急に言って来るからビックリしたけど、君なら納得だね。僕は外国の友達もたくさんいるんだけど、ロシア人の知り合いはまだいないんだ。良ければ連絡先を交換しないかい?」
「・・・あぁ、構わない」
一見気さくな少年が広木を褒めて、友人となろうとしたているように見えるが、広木は警戒心MAXで冷たくあしらっていた。
・・・コイツはヤバい。
普通に見える『様に』してるだけで、しれっと俺がロシア人である事を知ってると言ったり、隙あらばE組について聞いてくる。多分だが『勘づいてる』な………
クソッ、マズイ奴に出会った。こういう奴はさりげなく聞いた質問で知りたい情報を導き出せるから、下手に答えると直接言わなくてもバレる。どう言って誤魔化すか・・・
「そうそう、所で聞きたい事があるんだけど………」
ほら来た・・・こっから先まで全て前置き、これが本題だ。
「E組担任の鳥間先生の事についてなんだ。あの人遠くから見たけど凄い鍛えてるね、前は体育の先生だったのかな?」
「ん?…………
・・・
・・
・
(……まだ鳥間さんとは話してない様子だったが、俺の素性を知ってるなら彼の履歴書も見たはずだ。下手な嘘言ってもバレる。だが本当の事を言ったとして、『情報漏洩阻止のために偽の経歴を渡した』としたら1発KOだ。そして『聞いてない』と言ったら………
段階一 担任教師の事を全く知らない。
↓
段階二 担任と関わることはあまりない、だが授業はほぼ休まずに参加している。
↓
段階三 イリーナは英語専門だから、他の先生がいる。
↓
結論 E組の真の担任教師が何故か秘密になっている、その存在が謎の正体。
………クソッ賭けるか、バレたらすみません鳥間さん)
・
・・
・・・
「………いや、あの人は元々自衛隊員だったそうだ。だけど教師になるのが長年の夢だったから、教員免許受けて教師の勉強した後、ここが初勤務になるってさ」
質問からここまで、現実時間にしてわずか5秒である。
・・・どうだ?
「……へぇ、そうだったんだ!いやぁまさか自衛隊員だったなんてねぇ」
一瞬も躊躇ったり詰まったりした様子を見せずにそう浅野は答えた。感情が読みずらい……期待した答えを得られなかったか、それとも期待した通りの答えを聞けて満足してるのか・・・よし、理事長室に着いた。これ以上質問は来ないはずだ。
「理事長先生、連れてきました」
「分かった。ありがとう浅野君、入って来なさい」
そう言われたのでドアを開けると、薄暗く妙に広い空間の真ん中に、久しぶりに見たあのスーツを着込んだ赤髪の男性が座っていた………浅野と似てるな。
「やぁ、お久しぶりだね広木君。改めて自己紹介しよう、私がこの椚ヶ丘私立中学校理事長を務める浅野学峰です。よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします理事長・・・ところで」
「?」
浅野………そういう事か。
「あぁ、そういえば君は今年から転校し、尚且つ旧校舎にいたから知らないのも無理はないね。隣の子、浅野学秀は私の一人息子だ。仲良くしてくれたまえ………浅野君、私は彼と2人きりで話をしたいから、君は教室に戻りなさい」
「はい、分かりました・・・」
そういうと、思ったより素直に部屋から出てドアを閉めると、廊下から聞こえる足音が完全に聞こえなくなると、再び理事長が声をかけてくる。
「随分仲が良い様子だったね、浅野君とはどのような事を話したんだい?」
「E組の教師の事です。『タコ』の事は話してません………それと一つお聞きしたい事が」
「ん、なんですか?」
「………彼はどこまで知ってますか?私の履歴書が見られていたようなのですが」
「あぁ、その事については安心しなさい。この学校の生徒会長は全クラスの生徒及び『正規に採用した』教師の履歴書にアクセスできる権限を持っています。おそらく新しく来た転校生に興味でも持ったのでしょう…………………では談笑はここまでにして、本題に入りましょうか。あぁ、そこまで身構えなくて結構です、君とここで戦ったとしても、君が勝てばあの教師との約束を破ることになると同時に学校にいられなくなり、万が一私が勝ったとしてもタダでは済まないでしょう。この選択は君や私にとっても非合理的でリスクが高い」
「ではなぜ私をここに?」
「今後の方針で問題となる疑問を晴らすため・・・それと個人的な好奇心もありますね。では単刀直入にお聞きします。あなたは殺し屋ですね?」
ん?もう話して___________なかったな。そういえばロヴロさんが俺の銀行から勝手に1億パクって口止めしてたから、配慮として敢えて何も聞かなかったのか。だけどそれじゃあなんで今更そんな事を聞く?取り敢えず答えておくか。
「・・・はい、確かに殺し屋で『ありました』」
「ん、現役ではないのですか?」
「今の私は『教師を殺してと政府に言われた』ただの学生です。それ以上でもそれ以下でもありませんよ」
「フフッ、そうですか・・・私が本来したかった質問はこれだけなのですが、あなたに興味が沸いたのでもう少し話し合いませんか?そうですねぇ…………
3分・・・いや5分ほどよろしいですか?
・・・
・・
・
「というわけで、この計算式がわからないというそこのアナタ!今から教えるこの方法が役に立ちます?」
渚は会話を聞きながら、空席になっている後ろの机に目をやる。
・・・遅いなぁ、どうしたんだろう