そんでまあ寝た、で起きた後にシドにストレッチを誘われたからやった。
手の届かない部分を伸ばせてよかった、それとやっぱシドも前世持ちっぽいんだよね?多分格闘技か何かをしてたと思う。
...本気で戦ったら負けますね、彼の温情に助けられました。
因みにクレア・カゲノーさんに途中で引っ剥がされました、曰く歳の近い男女が密接するなんてはしたないだと。
無礼にも程がある、ただの訓練だぞ。
...何この家マジで怖い、流石のシド君もキレたみたい。
「姉さん無礼にも程があるよ!!王女様だし家の客人でしょ!!」
...って、彼はよくできた子である。
まあ当たり前だ、多分中身は俺と同じオッサンだし。
流石の弟パワー、でも姉は折れなかったので三人でストレッチする事になりました。
なんて不可思議な空間なんだって思う、見るも奇妙な光景だ。
そんでまあ軽く剣でチャンバラして朝の運動は終わり、って事で着替えて内務に移った。
「朝お早いですね男爵様」
「殿下こそ、我が子達と練習していただき有難うございます。
あの子達にはいい刺激となったでしょう」
「いえいえ、私にとってもとても刺激的なものでした。」
「それではこちらの確認を...」
出されたのは地図である、そして盗賊と誘拐された人の数か。
...こりゃ大変な数だ、手当たり次第に誘拐されてる。
てか子供と同じぐらい大人の男も消えてるな、でも女はそんなに狙われてないね...どういう事だ。
狙うなら女だろ?酒以外の楽しみになる訳で...それを必要としてない?
...誘拐組織は肉体労働を必要としてるって事か、何の為に?決まっている森の開拓の為にだ。
「面倒ですね...男手が奪われるのは...」
「はい...」
このまま領地が肥大化し続けて中身はスカスカになるな...
今は大丈夫だが獣人や魔物の襲撃に対処できなくなる、他の領は人死は気にしないけど人間大事にのこの領じゃ死活問題だなこりゃ。
騎士団や雇った冒険者の被害が中々だな、美味しい仕事にしてるから数は足りてるみたいだけど...サボタージュの報告が多過ぎる。
資源のおかげで今はバブルだから大丈夫みたいだけど、これが数年続いたらマズいな。
「何でこんなサボタージュの報告が多いんですか?斡旋所もといギルドに問題があるのでは?」
「それが...
実は賊と魔物が徒党を組んで襲撃してきているのです、故に避難誘導するだけで精一杯です。」
「ただ守るだけなんですか?」
「はい、討伐隊は別に居ますので。」
ああなるほど、頭いいな無駄に死人を出さないようにしてるのね。
...それサボタージュじゃなくね?
でもそれじゃ賊は狩れないだろ?って思う、俺らには盗賊を探す目がない...だがあまりにも盗賊と討伐隊のエンカウント数が少な過ぎるのは確かだな。
動きが強か過ぎるが...気の所為か?
「盗まれたであろう資材や資産はどこに行ったかわかりますか?」
「領内では一切、そういったモノの取引はしておりません。
ですが他の領で...」
手際が良過ぎるでしょ...
私掠行為だな、裏切り者がいる。
盗賊が襲撃して大量の資材を掻っ払って、その資材を搬送業者が買って隣の領で売ると。
軽装備の盗賊を重装備の騎士団が捕らえる訳がない、てかそもそも...その盗賊を招き入れているのは誰だ?って話になる。
その盗賊を招き入れたのは聖教?
それはない、流石にそんな馬鹿じゃないだろう...内部からの反発が必至だろう?だよな?国からも領からも男爵からもお布施をたんまり貰っているし必要性がない。
なら魔剣士協会か?それもない、聖教と同じ理由である。
冒険者?無駄な仕事を増やす気はないだろう、一般人も同じである...そもそも彼らは高給取りだからそんな事をする意味がない。
搬送業者みたいな商人...いやない絶対にない自分達が被害を被るからね...
なら搬送業者は居ないのか、やはりその搬送用の人手は誘拐して確保か手に負えん。
騎士団の中に裏切り者は居ないだろう、彼らは男爵の忠臣である。
...苦楽を共にした戦友である男爵を裏切る理由がない、お人好しの男爵の事だ賃金未払いの可能性もないだろう。
その男爵と敵対する可能性がある存在...消去法で街や村の税を抜いてくる男爵が嫌いな代官だ、代官なら騎士団の捜索ルートを知る事は簡単な筈だし盗賊の隠密性が優れ過ぎている事の説明もできる。
「そうですね村や街の代官を変えてみてください、多分被害が減る筈です。」
「代官ですか...?」
「そうです、領主として税を徴収するのが気に入らないのでしょう。」
「動機が乏しいと思うのですが、景気はいいですし税は月の収入の5%ですから大した額ではありません。」
確かに...
「では男爵はどう見ますか?」
私ポンコツでした、プロの意見を聞こうじゃないか。
「分かりません」
「「...」」
「「アッハッハ」」
「ダメジャネーカ」
「私では解決困難な題目の様でして...」
「困ったねぇ...」
案の定である、笑えねぇ笑うしかねぇ。
「昼時ですなアレクシア様、昼はレストランでも如何ですか?そのまま領内視察といきませんか。」
「...そうですね、これ以上紙と睨めっこしても何も分かる事はなさそうですし。」
ん〜どうしたものか...
良い閃きは、良いインスピレーションは飯時とかリラックスしてる時間で浮かんでくるのだ。
...飯を食えば何か分かるかもしれない、決してサボりではない。
肉料理店か、私も魔剣士だし生きてるだけでエネルギーをよく使う...いいチョイスだな男爵。
「如何ですかなアレクシア様、我がカゲノー男爵領のレストランは。」
「綺麗に食べるわねアンタ...食事の所作だけ美しいって本当だったのね?」
魔境にもこの噂届いてる...もう貴族じゃ知らない人居なさそう...
「...どうやら元気が有り余ってるみたいねクレア?
午後はいつもの二倍、いや三倍のメニューをこなしてもらいますからね。」
「何でもありません母様!!それだけは勘弁してください!!」
仲がいい家族だね...それに実母か...
「仲のいい家族ですね」
「はい」
シドは変わったモノを食べてるな、まさかの昆虫料理である。
...流石魔境何でも食うらしい、いや嘘そんな事ないわ絶対にシドだけだわ。
そんでまあ今は視察中、並行して怪しい人も探してるけど見当たらないや。
でも少し気になる事がある...あの聖職者みたいな服を着た剣士は誰だ?
「男爵様、あちらの魔剣士達は?」
「ああ、聖教の聖騎士ですな。」
聖騎士?初めて見た...
「初めて見ましたね...」
「王都には居ないのですか?」
「剣を下げている神父は剣の国ミドガルなのでよく見るんですが、あの様な本職の聖騎士は初めて見ましたね。」
人数も多いな40人か...想像以上に...
「そうでしたか、彼らにも協力してもらっているのですがよく働いてくれています。」
「そうかよく働いてくれるのか...」
あの聖教だ、怪しいにも程がある。
...何の為だ?あの金にしか興味のない連中が騎士を率いて盗賊と戦う?冗談キツイ、末端の騎士は聖職者の鏡だが上に立つ奴らは産業廃棄物以下なのだ。
その聖教が貴重な正規の聖騎士を奉仕活動に?あり得ない...聖教は何を考えている?
「きっと男爵様の、民を第一とした方針に感銘を受けたのでしょう。」
末端はそうなのだ、でも聖教の上層部が何でこの領地に聖騎士を沢山派遣してるか...その理由が問題なのだ。
「光栄です、アレクシア殿下にそう仰って頂けるとは。」
事実なんだよなぁ...ただの世辞と考えてそうだけど...
んでまあ、視察している間に自分達をつけてる人間が居たからどう捕らえようかなと考えていたんだけど...シドがボタンで倒して金髪蒼眼のエルフが回収して行ってた。
...率直にすげぇって思ったよ、特殊部隊じゃん冗談抜きでプロ顔負けだよ。
そしてまあ案の定、コッチでも石を投げられました。
将来乱心しちゃいそうだ...