~転生したら王女様だった件~   作:アクト(act)

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休題

この世界の日常

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

カゲノー男爵領

 

 

「掘ったら掘った分だけよく売れる!!いい時代だな!!」

 

 

「男爵様のおかげで毎日腹一杯食える、そんで辺境の何でもない平民の俺達にこんな大仕事をくれる王都のお姫様...俺達は恵まれてるな。」

 

 

「それに男爵様が用意してくれたこのマスク、採掘の時に着けてから呼吸が楽になった。」

 

 

「そうだな!!おかげでいくらでも掘れるぜ!!」

 

 

と本日も鉱石を掘り続けるカゲノー男爵領の鉱夫達、そしてそこに一つの怒号が響き渡った。

 

 

「鼠だ!!今日は黒鼠が出たぞ!!

"頭"を狙え!!安全を確保したその後"腕"を狙うぞ!!」

 

 

カゲノー男爵領で採掘した鉱石を違法に持ち出そうとする連中の隠語、因みに鉱夫達の基本スペックは体重90kg身長180cmである。

...このゴリラ達から逃げる人々は、そして人の操れる範疇の魔獣は鼠と変わらない。

 

 

「ヒャッハー!!まずは1匹ィ!!」

 

 

鉱夫の鶴橋が杖を持った人間の頭を叩き割った、他の鉱夫もその杖を持った人間の連れてきた魔獣を鶴橋で叩き殺す。

 

 

「"頭"と操られた魔獣は殺したぞ!!"腕"はどこだ?!」

 

 

「おいあそこ見てみろよ、みっともなく逃げてやがるぜ。」

 

 

「あ〜ありゃぁ...森の落人に狩られるな...」

 

 

「それに森には魔人が居る...おっかねぇ...」

 

 

そう2〜3km先に居る黒フードの人間を見て鉱夫達は話す

 

 

「死者は居るか!!」

 

 

「居ません!!ですが鼠の"腕"に3名刺されました!!」

 

 

「よし医務室へ連れて行け、持ち出された鉱石の量は!!」

 

 

「ありません!!敵は荷物を捨て逃亡した模様です!!」

 

 

「そうか、みんなよく戦ってくれた。

仕事が終わった後!!今日は飲むぞ!!」

 

 

「「「「「「オォォォォォーー!!」」」」」」

 

 


 

 

そして哀れにも生き残ってしまった鼠の護衛、その末路。

 

 

「教団の命令でも御免だ!!何だあの化け物達は...

ただの鉱夫じゃなかったのか?噂は本当だった!!」

 

 

「逃げよう...上に報告だ...」

 

 

「敵前逃亡で処刑されるぞ!!」

 

 

「どっちみち死ぬんだ...薬で死んだ方がマシだ...」

 

 

そう言う、黒に包まれた魔剣士が3人...いや3匹。

 

 

そこにふと近付いてくる銃口、一人の頭が吹き飛ぶ。

 

 

息をする間もなく前に倒れる、血を海綿体を地面に撒き散らす。

 

 

「いやぁぁぁあ!!」

 

 

「魔獣の方がマシだ!!逃げるぞ!!」

 

 

半狂乱になり1人が森の奥へ逃亡する、だが残った彼は勇敢だった。

 

 

ディアボロス教団チルドレン2nd、教団内ではゴーストと呼ばれていた。

 

奇襲や撹乱そして搦め手を得意とし、使える物なら何でも使う暗殺者。

 

サバイバルを得意とし何度死に掛けようが堅実に生き残り、確実に標的の油断を突き任務を達成してきた。

 

 

純粋な魔剣士としても優秀な彼には銃弾が効かない、一定以上の魔力を持つ魔剣士は魔力を纏う事で銃弾や弓矢などの飛び道具を跳ね返す事ができる。

彼が魔力を纏えば銃弾を完全に無力化できる、銃弾では魔力で強化された肉体を銃弾が貫く事はできない。

 

一度折れてしまった心を再び奮い立たせる、彼は諦めずに死ぬ気で喰らい付く事で生き残ってきた。

 

 

これまで通り、今日も生き残ると彼は自分を奮い立たせた。

...ディアボロス教団チルドレン2ndゴーストとしてのプライドを守る為に、目の前に居る人間を殺す。

 

 

果敢に突撃する、目の前の敵が放った銃弾をいつも通り正面から弾き返した。

 

そのつもりだった...

だが何故か銃弾を弾き返す事はできなかった、魔力がエンチャントされた銃弾はミスリルの剣を砕き彼の胴体に幾つかの穴を開ける。

 

体に纏った魔力を銃弾に貫かれたのだ、これは有り得ない筈の事だった。

 

 

だがその程度のハプニングならリカバリー可能だ...

教団に支給された赤い錠剤を飲み無理矢理傷を治す、銃弾を再度込めるのには時間がかかると彼は読み特攻する。

 

...だがポンプアクションによって高速装填された銃弾が彼を襲う、頭を散弾で吹き飛ばされて彼は死亡した。

 

 

カゲノー男爵領によく居る、ただの落人狩りによってディアボロス教団チルドレン2ndゴーストは殺されたのだ。

 

 


 

 

彼はディアボロス教団チルドレン2nd剛槍、鉱夫2名を負傷させたチルドレン2nd切っての実力者だ。

 

魔剣士を、槍で剣ごと貫く。

 

 

彼はチルドレン2ndゴーストに並ぶ実力者だった...

だが今の彼は鉱夫によって槍を破壊され武器を失っている、今は武器を持たないただの素人。

 

 

そんな彼が森の奥に入り過ぎた、凶暴な魔獣が無数に蔓延る森の奥へ。

 

...今の彼は無数の魔獣に追い掛けられている、足が止まる前に無理矢理錠剤を摂取して足を動かす。

 

 

彼の人体から溢れた魔力を感じ取ってた魔獣が集まる、現在彼は十数匹の魔物に追われている。

 

 

既に錠剤を使い切り今にも倒れそうな足取りだ、疲労でいつ動けなくなってもおかしくない...そしてその絶体絶命の彼の目に人間が映る。

 

 

生き残った、自分以外の人間が居たと安堵した。

 

だが目の前の得体の知れない人間に縋るほど衰弱していたのが運の尽きだった...

 

 

「ん?ああ凄いね君!!

落人狩りから逃げ切ったんだね...う〜んこういう時はどういう反応をすればいいんだろう?

まあいいや、魔力で体が変質してるし君もう助からないよね。」

 

 

「頼む...助けてくれ...」

 

 

「ん〜面倒臭いや、そうだね〜楽にしてあげるよ。」

 

 

そして彼は瞬きする事もなく、たった一つの自分の命を失った。

 

 

「今日はハズレかぁ...食べ物は魔力で腐食してるしその他売れそうな物は何もないね...」

 

 

カゲノー男爵領の森の奥に魔人が居る、その正体はカゲノー男爵令息シド・カゲノーその人である。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

王都

 

 

ミドガル王国の王都に居る教団員達の間でとある噂が広がっている、曰く夜道に気を付けろ。

...白色又は黒色のくねくね動く存在が王都を徘徊している、そしてその正体を知ると精神に異常を来すらしい。

 

 

「何だそりゃ、そんなのよりあのアレクシア・ミドガルの方が恐ろしいぞ俺は。」

 

 

「話題に事欠かないなお姫様が生まれてから、そのお姫様の裏に魔人が居るとかそんな噂なら俺でも聞いた事があるぜ。」

 

 

「謎を探ったチルドレン1stのチームが悪魔憑きを発症し捨てられていたとか、それがその魔人の仕業なんだと...おっかない噂だ。」

 

 

「実験する側が実験される側になったって話だろ、ただ教団に似た組織が王都に居るんだろ?あの何だっけか?シャドウガーデンとかいう。

...モルモットを弄ってた連中がモルモットにされてたって訳か、でもどうせ事実無根の噂話だろ。」

 

 


 

 

「魔力を吸収させた魔物に中性子を照射する?魔物の変質具合を調べろ...ねぇ、何考えてんのか本当に分かんねぇな。」

 

 

王国法スレスレだ、魔力を変質させる実験を禁ずる。

...あんな可愛らしい顔して中身はとんでもない、人は見かけによらない。

 

魔物を変質させる実験のつもりが、間違えて魔力を変質させてしまいましたごめんなさい...とか陛下にバレた時は報告するんだろうな。

 

 

照射装置にスライムを入れた後に、魔物の沈静化の為に周囲を液体窒素をいつでも流し込める様にして実験を開始する。

 

 

時間は5分程、この場に居る2人は暇を潰す為に雑談を始める。

 

 

「アレクシア様って年端も行かない子供なのに、そうとは思えない程頭がいいわよね。

...透き通った声で人々を弄ぶ、正しく魔女ね本当に恐ろしいわ。」

 

 

「俺も...あの可愛らしい顔と美しい声で何度騙されたものか...」

 

 

「ただの噂だけど社交会に参加した令嬢を、令息を悉く誑かした話は新しいわ。

何でそんなモテるかを冗談混じりで聞いたら自分の声が1/F揺らぎがどうのこうのよく分からない事ばかり...

子供は間違いを起こすものだから見守らないといけないのに、あの子だけは見守りたくない。

アレクシア様の悪口でも何でも考える前に自分を見つめ直す事から始めちゃう...

精神性も知見も異質過ぎる、あの人にはこの世界がどんな風に見えているのかしらね。」

 

 

「...何で君はアレクシア様の下で働いているんだい?」

 

 

「金の為ね、借金までして研究したのに成功しなくてね...でもアレクシア様の融資とアドバイスで成功したわ。

その時に給金も出してくれたしね、そのままズルズルしていって今に至るわ。

あと3年アレクシア様の下で働けば借金は返せる...あなたは?」

 

 

「僕も同じだ、アレクシア様に研究を手伝ってもらってね。

おかげで特許は取得できたし、特許料も得る事ができているんだけど開発に使った金と比べたら些細な額でね。

...でもアレクシア様の下であと6年働けば金を返せる、そうすれば自由の身だ。」

 

 

「世知辛いわね...研究者はリターンが少な過ぎるわ...」

 

 

学者は世知辛いらしいですね、給料は低いし開発費を特許料で賄えないと中の人の知り合いが言っていました。

...それと特許にも維持費があるらしいですね、彼は泣いていました。

 

 

「その点、アレクシア様の場合は結果がリターンでいいから楽だ。

...余計な事も考えないでいいし研究者にとっては楽園だよ、金や人に気を配らず研究できるのは本当に有り難い。」

 

 

アレクシア・ミドガルの紐は硬くない、それどころが希望した金額をいつでも捻出してくれるガバガバ仕様なのである。

 

 

「いくら持っているのでしょうね...」

 

 

「国庫の半分はアレクシア・ミドガルのものらしい、ただの噂話だが。

...膨大な額なんだろうな、貧乏研究者の俺達には想像すらできない様な。

そういえばボーナスなるものがあるらしいぞ、あのスライム狂が言ってた。」

 

 

「あの人ね...

王女様のお気に入りだもんね、そういえばこの実験で使われるスライムもあの人が用意したものね。

そうねぇ...それとボーナス貰えたら何に使う?それとボーナスって何かしら?」

 

 

「まあ望む物を用意してくれるんじゃねぇか?

俺は年金が欲しい、オッサンになったら魔獣の居ない山奥で鶏や馬と一緒にゆっくり暮らしたい。」

 

 

「私は...アレクシア様に頭撫でて欲しいかもいい子いい子って...

何よその目!!別にいいじゃない!!」

 

 

これが男27歳と女29歳の会話である、まだ5つ程若ければ苦じゃない...まだマシな会話だった。

 

 

「いやすまん、予想外の回答が返ってきてな...すまん忘れてくれ。

...確かにあんなんでも一国の王女様だもんなぁ、それも悪くなさそうだ。」

 

 

「待って生体反応の数がおかしくない?スライム1体の筈なのに、他に3つあるわ。」

 

 

「...分裂したか?緊急事態だ!!液体窒素注入!!その後確認作業に入るぞ!!」

 

 

「分かった...すごい魔力反応ね...何かしらこれ...」

 

 

液体窒素注入後10秒、2人は魔力に強い耐性を持つ金属で編まれた布で作られた防護服を着て確認作業に入る。

 

 

「これって...人間だよな?!」

 

 

いつの間にか紛れ込んだ3名の死体...

いや死んではいない、その彼らは悪魔憑きになっていた。

 

身体中の細胞、魔力回路含む全てがズタズタになり今にも死にそうだ。

...肉体が魔力に順応する為に、反射で体を作り替えて酷い事になっている。

 

 

「そうね...何かしらこの紋章?

聖教のみたいだけどなんか違うわね...知ってる?」

 

 

「最悪だ!!まさかの教団か...」

 

 

「何それ有名なの?」

 

 

「私の前の雇い主達だ、しまった森に投棄するの手伝ってくれ。」

 

 

「何言ってるの?!この人達も人間よ?アレクシア様の人の命を大事にという命令は...」

 

 

「コイツらは存在しない筈の人間だ...時間との勝負だぞ...

悪魔憑きなら、魔力暴走なら誤魔化せる。」

 

 

「ああ...もしかして噂の聖教の暗部?!

まあ確かに報告する訳にはいかないわね、後でアレクシア様には然りげ無く報告しましょう。」

 

 

翌日ミドガル王国近辺の森で、三つの肉塊をディアボロス教団が発見した。

 

 

だが完璧な隠蔽が施されており、全ての器官を破壊された後に凍結処理され投棄された事しか判らなかった。

 

 

いくら検証してもそれしか分からない、その実地捜査に来た彼らはそんな偶然だという事も知らず王都中を検証を重ね推論を出す事に成功した。

 

そして...魔人の住処を突き止めた時、くねくね動く存在に接触した。

 

 

現れたのは、アレクシア・ミドガル。

...くねくね動く存在、それはスライムだった。

 

 

「気付かなければよかったものを...

まあ君は中途半端に優秀だったせいで死ぬんだ、来世は上手に立ち回るといい。」

 

 

アレクシア・ミドガルは姿を消す、残されたのは1匹のスライムと1人の人間だったモノだ。

 

 

彼はスライムの分泌する毒を吸った、意識混濁目眩そして吐き気そして麻痺...動かなくなった獲物を前にそのスライムは捕食に入った。

 

 

魔力制御器官を破壊し身体中の器官も破壊する、そして指向性の組み込まれた魔力を操り真空気化冷却で−196度まで冷却し消化の間に腐らない様にする。

 

この生態のスライムを創り出した研究者曰く、調整には相当苦労したとの事。

 

 

そしてそのスライムが増殖し教団施設を襲い始めた、だがナイツオブラウンズ第五席フェンリルによって掃討された。

 

 

起こされた災害の原因がスライムの為、今災害の原因が一度アレクシア・ミドガルの可能性が浮上した。

 

だが彼女はスライムの使用に重きを置いている為可能性は低いと判断された、教団は現在進行形で今災害の首謀者を捜索してる。




チルドレンの格落ち感が半端ない...全てはカゲノー男爵家が魔境なのが悪いんだ!!
怖過ぎるよこの世界、ネタじゃない魔境がネタにしかならないバランスもおかしい。
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