~転生したら王女様だった件~   作:アクト(act)

30 / 78
我らはシャドウガーデン

応接室では少人数での話し合いが行われている、そう例のアーティファクトが議題として上がっている。

 

 

「王国一の頭脳と名高いあなたにこのアーティファクトの解読を頼みたい、シェリー・バーネットさん。」

 

 

「アーティファクトの解析ですか...」

 

 

「あなたの研究成果は国内外に広く知られています、この分野であなたに...シェリー・バーネットに勝る研究者などいないでしょう。」

 

 

「そうですね、私に勝る研究者が居ない...ですか。」

 

 

「「...」」

 

 

「いい機会だ、受けてみてはどうだね」

 

 

シェリーの、彼女の背中を押したのは初老の男性。

 

 

「ルスラン・バーネット副学園長...」

 

 

「父と呼んでくれても構わんのだぞ」

 

 

「ですがお父様...」

 

 

ルスランは娘の言葉を言葉を遮る、ニコリと笑って言葉を話し出した。

 

 

「シェリー、君はいずれ世界に羽ばたく研究者になる。

アイリス王女からの依頼は君の輝かしい将来につながるはずだ、受けてみるといい。」

 

 

「ですが私は...」

 

 

「いつも言っているだろう?自信をもちなさい、君ならやれる。

...否、これは君にしかできない仕事なんだよ。」

 

 

ルスランはシェリーの細い肩に手を置く

 

 

「謹んでお受けさせて頂きます、ですが安請け合いはできません。

...アーティファクトの確認をさせて頂きませんか?」

 

 

「はい、問題ありません。」

 

 

アイリス第一王女からシェリー・バーネットにアーティファクトが手渡される、そのアーティファクトを手持ちの機械で簡単な解析を始める。

 

 

「古代文字ですか...それも暗号で書かれているしこの機構...

問題ありません、謹んで御受け致します。」

 

 

「ディアボロス教団と名乗る宗教団体の施設にあったものだ、おそらく古代文明の研究をしていると思われるが詳細は分からない...そして暗号も古代文明と関連がある筈だ。」

 

 

「確かに、どこまでも私向けの依頼ですね。」

 

 

シェリーはアーティファクトの、その奥を見つめるかの様に眺めた。

 

 

「それとですが、アーティファクトの警備に騎士団から人を出したい。」

 

 

「警備とは...?」

 

 

アイリスの言葉に、ルスランが反応する。

 

 

「実はこのアーティファクト、ディアボロス教団という宗教団体に狙われているのです。」

 

 

「それはそれは...物騒な話ですね...」

 

 

ルスランとシェリーは眼光を鋭くする

 

 

「元々このアーティファクトもディアボロス教団の施設から押収したものでした、当然これだけでなくほかにも多くの資料や物品を押収し保管していました。

...しかしお恥ずかしい話になりますが先日何者かの手によって保管庫が焼失、残ったのはこのアーティファクト一つだけです。」

 

 

「ああこの前の火事ですか、そういえばアイリス様が新たに騎士団を設立したのはその後でしたね。」

 

 

「そうですね、まだ小規模ですが皆腕に自信のある者ばかりです。」

 

 

「確か...

紅の騎士団

でしたか、本日も紅の騎士団でのご来訪ですね。」

 

 

「はい」

 

 

「...それほど既存の騎士団は信用できませんか?」

 

 

ルスランの鋭い問いに、アイリスは答えない。

 

 

「ふむ、2名までならば許可しましょう。」

 

 

「2名ですか、私が警備に当たれば問題ないですがそうはいきませんしね。

...そうですね、マルコとグレンを護衛として派遣したいと思います。

グレン、警備は一任しますね。」

 

 

「お任せ下さい」

 

 

グレンは同意する

 

 

「改めてアーティファクトの件、よろしくお願いしますシェリー・バーネットさん。」

 

 

「お任せ下さいアイリス様、ところでアレクシアさんは居ないんですか?」

 

 

彼女は素朴な疑問を口にする...無論その疑問を持っているのは彼女だけではないが...

彼女を知る者にとってはここ最近、それらしくない行動をとり続けているのだから。

 

 

普段は姉の威を借りるなりして事件の解決及び、丁度良い落としどころを見極めて実行するのが彼女だ。

 

そんな彼女が静観の構えを取るのは初めてと言ってもおかしくはない...

普段は何が有ろうと介入してくるのが彼女である、例え自分の命が狙われていると知りながらも危険を顧みず。

 

 

この言葉は互いに受け取り方の変わる、意図の違う問いだ。

 

 

シェリー・バーネットからしたらただの元友人に話を通しておきたいだけの言葉だった、だがその他の者達にとっては..

「アレクシアが居なければ解決できない」

と言われている様なモノなのだ。

 

 

「...はいやる事があると言われてしまいまして、申し訳ありません。」

 

 

「そうですか、少し残念です。

もう少し話したかったのですが...」

 

 

この応接は終わった、片方は不満をもう片方は不安を抱いて。

 

 


 

 

「我らはシャドウガーデンと名乗る辻斬り?」

 

 

「はい」

 

 

「そりゃ珍妙な事が起きてるね、一応聞いとくけど内部分裂の線はないよね。」

 

 

「当然です」

 

 

シャドウガーデンを騙る何者か、という事だねイメージダウンをさせたいのかな?それかただ彼女達を釣り出したいのか。

 

 

今俺が会話をしてるのはシャドウガーデンのナンバーズ...

ミツゴシ商会ミドガル王国王都支店所属、元ミドガル王国貴族ニコレッタ・マルケスその人だ。

 

 

俺はこの人の事を知った時に思った、エ◯ゲみたいだよね。

...あんまエ◯ゲに詳しくないけど()

 

 

数年前の話だ、色々とあって関係は続いている。

...シャドウガーデンと私にとって彼女の存在は非常に都合がいい、双方のストッパー足り得る存在なのだから。

 

 

「まあそんな柔な組織じゃないもんね、私も探してんだけど被害位置が散発的過ぎるからさ?こういった事柄に使える人手が少ない私はどうしようもないんだ。

...でも君達の方では見張りは居るんでしょ?その何人かを借りたい、お願いできるかな。」

 

 

「...申し訳ありません、実は今回部下をつけて頂けませんでした。」

 

 

「...ゑ?」

 

 

「人員を回す余裕が無いと言われまして...」

 

 

マジか、まあ仕方ないか...本隊を探す事に注力してるんだろうな。

 

 

「じゃあ私とニューの二人か、まあ仕方ない。

...人員を騎士団から抽出してもいいんだが協力できそう?」

 

 

マルコグレンジャー、彼の説得は可能だろう。

...だがまあ、その彼女にその気はないのだが。

 

 

「ないです、論外です。」

 

 

コイツ、実はマルコにゾッコンなのだ。

...まあ公私混同はしないから正体がバレたら普通に殺しに行くと思うけど、唯一悪魔憑きになった自分を助けようとしてくれた人間だからね特別な感情を抱いて貰っている。(私が手助けしました)

 

 

私がマルコを巻き込もうとするとこう意固地になるんだ、巻き込まない為に自分が倍働こうとしてくれる。

便利なお姉さんですよね...

 

 

まあこの人優秀だからね、俺はシャドウガーデンとの友好の為にマルコを生贄に捧げて親密になりたいんだが...残念ながらそう上手くいかないんだ。

 

 

んでそのまま無事人斬りシャドウガーデンを捕らえた、ニューの拷問でゲロったらしい。

...ディアボロス教団員の基地の場所を吐かせた、シャドウガーデンが突入すると言ってたがまあ一度止めた。

 

 

折角だから確かめたいんだ、ディアボロス教団の魔剣士を相手に我が軍はどれ程戦えるのかをね。

 

 

「初めて教団に積極攻勢を行う、爆撃機が1機と護衛機が2機で十分だろう...期待しているよ?アンネローゼ。」

 

 

「お任せを、気力は充実しており彼ら彼女らは最大限の力を発揮できる事でしょう。」

 

 

世界初の戦術爆撃だ、期待しているよ?これまで注ぎ込んできた金額分の働きをしてもらおうじゃないか。

 

 

これまで数千億数十兆何百兆の金を使ってきたんだ、正規戦でも戦える事を証明して貰おう。

 

 


 

 

「数百年前のミドガル王国でこの日、この廃城に史上初の戦術爆撃が行われました。」

 

 

「目的は不明ですが戦果のみ書かれていました、発見された当初は軍事行動及び記録収集行動を仮想した訓練書だと考えられていました。

...ですが保管されているアンネローゼ・フシアナスの別荘で新しい書類が発見されたのです、非常に綺麗に補完されたカラー写真です。

その写真に写っていたのです、今に至るまで謎とされてきたディアボロス教団その紋章が。」

 

 

ホログラムの中の少女からテロップが表示される、そこには数十名の死体と瓦礫の山が映っていました。

 

 

「彼のアレクシア・ミドガルによって開発された世界初の爆撃機による強襲です、堅牢な石造りの城を標的として城の破壊能力と魔剣士の殺傷能力を試したのだと思われます。

この写真で分かるだけで数十名の死体が転がっています、そこら中で石材と人体が混ざり合っています。」

 

 

司会はそのまま話しを続ける

 

 

「ミドガル王国...いえアレクシア・ミドガルはこの頃から爆撃機を製造し、実戦投入可能な部隊を用意していたのです。

記録では

4式対物ミサイル

1tの爆弾が20発投入されていた様です、城砦の跡地だったとは言えただ一つの建物に。

400kgもの炸薬が封入されていた1tの徹甲爆弾が20発も使われたのです、その結果がこの惨状です。」

 

 

そして司会は話を続ける

 

 

「この数日後に、ディアボロス教団によって例の学園襲撃事件が起こされました。

...あの襲撃事件です、記録上では邪教に通じていたルスラン・バーネット副学園長の起こしたと言われています。

ですが、この作戦で戦力を失っていた為に失敗しました。

最後の生き残りとなった首謀者は何者かに殺されて...

 

 

 

 

 

ああ恐ろしや王国の女神アレクシア、きっと彼女の手の間諜の仕事は完璧だったのでしょう。

 

 

 

 

 

アレクシア・ミドガルの功罪の数と規模は明らかに異常です、当時の世界においてあらゆる分野で頭一つ...いいえそれ以上に抜きん出ています。

相手が悪かったとしか言えません、自業自得ではありましょうが...この惨状に巻き込まれた彼らには同情せざるを得ません。」

 

 


 

 

「報告をお願い、アンネローゼ。」

 

 

「損耗無し、我が軍初の正規作戦は成功しました。

...確認できただけで邪教徒を43名殺害、ですが叛逆遊戯のレックス及び首謀者であろう何者かの遺体は発見できませんでした。」

 

 

上々だな、大成功と言えるだろう。

...教団が数多の財を注ぎ込んで育てた兵達をたった1発の爆弾で無数に処理できると判明したのだから、まあオーバーキルだったなとは思うけど。

 

 

「大成功だな、想像以上の功績を上げたな。」

 

 

「全てアレクシア様の手腕と、兵達の日々の努力によるものです。」

 

 

「そうだね、本作戦に参加したパイロット達には休暇と望むだけ嗜好品を出してやれ。

作戦立案者や整備士を含む関係者にも名誉と少々の嗜好品を用意しろ、そっちは一任するとしよう。」

 

 

「ありがとうございます、兵達も喜びます。」

 

 

そしてアンネローゼ・フシアナスは退室した、今この部屋に居るのは私とニューだけだ。

 

 

「アレクシア様、少し宜しいでしょうか。」

 

 

「何かな?」

 

 

「見事な作戦でした」

 

 

「ありがとう」

 

 

「...その力を何に使う気ですか?」

 

 

「決まっているだろう?」

 

 

君達とそのトップと同じだよ

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。