~転生したら王女様だった件~   作:アクト(act)

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え~皆の衆、伝説であるシドの「我々はシャドウガーデン関わるな」回はありません。

全ては出番を奪った世界最強クラスの蛮族のせいです


誰しもセンチメンタルになる人間だもの


「今から生徒会選挙の候補者と応援の生徒会長の演説があるので、みんなまだ席を立たないように。」

 

 

先生が先走る生徒たちに言った。

 

 

「どうでもいいけどよ、三年って今どこ行ってんだ?」

 

 

「さぁ、僕は知りません。」

 

 

隣のヒョロの適当な問いに、ジャガは答えた。

 

 

「三年生はねぇ今週は課外活動で...」

 

 

と僕が話しはじめたとき、教室の扉が開いて二人の女生徒が入ってきた...入れ替わりで先生が出ていく。

 

 

そのうち一人は知っている顔、先日僕が戦ったローズ・オリアナ生徒会長である。

 

 

普通の制服姿なのに、オシャレな人が着ると謎のオシャレオーラが出るのは何なのだろう。

 

そう僕は常々疑問に思っている...

アレクシアもどんな服だろうが着熟すからね、素材の差を感じる

 

 

「えっと...本日は先生に貴重な時間をいただきまして、生徒会選挙のー...」

 

 

こういう演説が頭の中をスルーしていくのは僕だけなのだろうか。

 

 

ヒョロと一緒にぼけーっと演説を聞き流して欠伸する。

 

 

ジャガは何かメモを取っているようだ、何の為か知らないけど熱心なのはいい事だと思う。

 

 

ふとその時生徒会長と目が合ったような気がした、一回戦で無様にやられたモブを覚えているとしたら大したものだ。

 

 

「おい、生徒会長俺のこと見てたぜ。」

 

 

「そだね」

 

 

「おいおい、生徒会にスカウトされるかもな」

 

 

「そだね」

 

 

「おいおいおい、めんどくせーのは嫌いなんだけどよ」

 

 

「そだね」

 

 

 

 

 

その時ふと、僕は魔力の違和感に気づいた。

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

 

「どうしたよ」

 

 

「シドも気が付いたか」

 

 

「アレクシア...」

 

 

僕は常に微細な魔力を体内で操り制御の訓練をしているのだが、その魔力が突然練れなくなったのだ。

 

 

魔力の流れを何かが阻害しているような感覚、強引に抉じ開けるかさらに細くすれば練れると思う。

 

 

そんなことを考えていると、何かが教室に近づいてくる気配を感じた。

 

 

「来るッ!!」

 

 

なんとなく言ってみた、その瞬間凄まじい爆音が轟いた。

 

 

教室の扉が吹き飛び、クラスは騒然とする。

 

 

抜剣した黒ずくめの男たちが乗り込んできたその瞬間、アレクシアの放った散弾が彼らの頭を吹き飛ばした。

 

 

「全員動くな!!我らはシャドウガーデン、この学園を占拠するー...」

 

 

彼らはそう叫んで、地面に倒れた。

 

 

「嘘だろ...」

 

 

僕のつぶやきは、周囲のどよめきにかき消された。

 

 

動ける生徒はいなかった。

 

 

これが訓練なのか、いたずらなのか...それともまさか本気だったのか。

 

 

魔剣士学園が襲撃されるという現実を、ほとんどの生徒が正しく把握できないでいたのだ。

 

 

ただ僕とアレクシアだけが唯一、この現実を完全に把握していた。

 

 

彼らが本気だということも、魔力が阻害されているということも...他のクラスで同じことが起こっているであろうことも。

 

 

「すっげぇ...」

 

 

僕の口から自然と感嘆の言葉が零れた、こいつらやりやがった。

 

 

マジでやりやがったのだ、世界中の少年が夢見たアレを。

 

 

僕らの青春妄想の一ページを飾ったアレを、学園がテロリストに襲撃されるアレを本当にやりやがったのだ。

 

 

僕は感動に震えた、いったい何度この状況を妄想しただろう。

 

 

数百...数千...数億...

え切れないほどのパターンを妄想し、夢見た瞬間がついに訪れたのだ。

 

 

「初めましてシャドウガーデン、そしてさようなら。」

 

 

アレクシアは裏切ったのだ、そんな彼らを無慈悲にも葬ったのだ。

 

 

黒ずくめの男たちは玄人好みだと思った、彼らはテロリスト側を選択したのだ。

 

 

しかしやはり定番は生徒側である...どうする?どう動く?

僕の前に無限の可能性が広がっていた、なのにアレクシアは全てを葬ったのだ。

 

 

「ヒャッハー!!脳髄晒せやぁぁ!!」

 

 

今日僕の青春妄想の一ページを叶える機会は、アレクシアに葬られた。

 

 


 

 

「...ああ君強いね」

 

 

魔力無し縛りだったがこれまでは問題なく魔剣士の脳髄を撒き散らせてた、わが愛用のショットガンは素晴らしい性能だと思う。

 

 

だけどコイツはこの武器じゃ殺せない、宝玉さえあれば誤魔化しが利くんだが生憎持っていないんだ。

 

 

「悪いが捕らえさせてもらうぜ、死にたくなかったら武器を下しな。」

 

 

「そうですね~降参します」

 

 

「そうか愚かだnー...は?」

 

 

「降参するよ?」

 

 

「「...」」

 

 

「チッ、いけ好かねぇ王女様だ。

...まあ痩騎士さんには生かしたまま連れてこいって言われてるからな、運がよかったな奇天烈王女。」

 

 

奇天烈王女って...

どう解決していこうかな、戦力がないから時間が経てば先細りして自滅する筈なんだがなぁ。

 

 

まあでも情報は抜ける分だけ抜くか、どうしたものかねぇ。

 

 

「名前を聞いておいていいかな?教団の剣士さん」

 

 

「俺か?叛逆遊戯のレックス様だ」

 

 

ああニューから貰った情報の、じゃああの日の生き残り?マジかやるやん。

 

 

「雨の日に生き残れたんだね」

 

 

「あれアンタがやったのか、あの時は死んだと思ったぜ。」

 

 

マジかあの中で生き残ったのか、内臓の損傷とか大丈夫だったのかな?かなり頑強な魔剣士だな。

 

 

「...参考までにどうやって生き残ったか聞いてもいいかな?」

 

 

「まあこれから死ぬ人間には何を言っても構わねぇか

網だな、網で受けた。」

 

 

「網?爆風は平気だったのか?」

 

 

コイツ頑丈過ぎるだろと思った、雑兵は爆風で殺せても精鋭は直撃しないと殺せないらしい。

...と思ったがズタズタだったね、どうやら薬で一命を取り留めた様だ。

 

 

教団の薬優秀過ぎるだろ、一錠で治るのいいなぁ。(宝玉にも治療効果はあるが壊れた場合は普通に死ぬので)

...まあ本調子じゃないらしいが、閉所での1tの誘導徹甲爆弾の連鎖爆発に巻き込まれても普通に動けるのは少しショボくれるね。

 

 

本来の目的は陣地破壊だったからいいけど、何だかんだ1tの爆弾で殺せなかったんだよ?少し心にくるモノがある。

 

 

 

 

 

爆弾ではいずれ雑兵の魔剣士すら殺せなくなるのでは?と危惧せずにはいられない...

 

 

 

 

 


 

 

「ここがどういう場所かわかっていないようですね、魔剣士学園を占拠する?正気の沙汰とは思えません。」

 

 

その時凛とした声が響き渡った、アレクシアが居なくとも抵抗できると皆は考えている。

 

 

たかが銃に負ける魔剣士など脅威ではないから、そう彼女達は思っているのだ。

 

 

一人の少女が腰の細剣に手をかけ、黒ずくめの男と対峙していた。

 

 

たった一人、ローズ・オリアナが彼らに立ち向かっていた。

 

 

「警告だ、武器を捨てろ。」

 

 

「お断りします」

 

 

「見せしめにはちょうどいいか!!」

 

 

黒尽くめの男とローズ・オリアナは剣を構える

 

 

まずい

 

 

僕を除くこの場の全員は、この空間で魔力が使えないことに気付いていない。

 

 

「...ッ!!いったい何が?」

 

 

細を構えたローズの顔に動揺の色が浮かぶ、黒ずくめの男が深く被ったフードの奥で笑った。

 

 

「ようやく気付いたな、アレクシア・ミドガルと比べたらどいつもこいつも程度が低い。」

 

 

まずいまずい、このままだと。

 

 

「だがもう遅い」

 

 

ローズに剣が振り下ろされる、魔力の込められたその剣を。

魔力を封じられた彼女に防ぐすべはない...

 

 

 

 

 

僕は椅子を蹴飛ばし駆けた

 

 

 

 

 

やめろ、それは違う。

...脳の処理能力が加速し、世界の動きが緩やかになる。

 

 

その瞬間、僕の心にあったのは果てしない焦燥と怒りだった。

 

 

 

「...ぁぁぁぁ」

 

 

このままだと、彼女がテロリストに殺される犠牲者一号になる。

...あってはならないことだ、それは絶対に許せないことなのだ。

 

 

「ぁぁぁぁああああ!!」

 

 

テロリストにクラスで最初に殺されるのはいつだって

 

 

 

 

 

モブの役目なのだ

 

 

 

 

 

 

「やめろおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 

 

魂の咆哮と共に、僕は二人の間に割り込んだ。

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