「よしアンネローゼ以外に忘れ物をしたマヌケは居ないか?」
「はい」
「申し訳ありません...」
「忘れ物は誰にでもあるからな、女神の試練で勝てればいい。」
しょぼくれてるアンネローゼ可愛いかよ、それにしても唆るな...そろそろ教え込もうかな。
「はい、ですが問題ありません代用は可能なので。」
そういえばスライムでの戦闘術は得意分野だっけ、暗器は誤魔化す為だもんな...確かに要らんな。
「ならよかろう、各自自分の仕事をこなす様に。
くれぐれも事件は起こすなよ?巻き込まれるなよ?」
「「「「は~い」」」」
「それでは封を開く、無論各自で機密は守る様に。」
これは私が提案した情報機密における手段だ、予め命令書を封入しておき現地に着くまで開封しない。
...まあ俗にいう封緘書類ってヤツだ、シンプルながら素晴らしい対処法だと思わんか?何て言ったって情報が漏れたか一目で分かるからね。
透視技術を持つのは私しか居ないからね、まあ凡そ内容の予想はついている。
きっと...
「それでは封書を開封する、国王陛下からの命令は...聖教における汚職の監査だ。」
聖教内部におけるディアボロス教団の捜査か...ん?
「ガサ入れじゃないの?!」
「アレクシア様、些か狂犬が過ぎます。」
「ただのお飾りかぁ、まあ布石を打ったつもりかな。
両天秤ねぇ...碌な事にならなそうだ...」
姉様を教団寄りにして私を反教団にする気かな、両天秤ねぇ。
...よくないな、イタリアや朝鮮半島国家みたいになるのは御免だぞ。
「第二王女とはいえ口が過ぎるかと」
怒るなグレン、これぐらいなら別にいいだろ。
「なにしっかりと仕事はやるさ、ただ...な。」
何だこの違和感、動いてはいけない理由が何かあるのか?国としては聖教のゴタゴタに巻き込まれたくないのか。
...何が起きてるんだ?大司教と陛下の間で何か?
「...何か不安点でも?」
「どうも福音主義者共にしては思慮深いというか何というか、まるで聖戦大好きの原理主義者が迷い込んだかの様な感じがする。
...何かあるのか?」
事あるごとに神の恵みとか謳う奴らにしては現実的過ぎる、頭の中のイメージとズレる。
「何か...とは?」
「逆に私が何かを知っているとでも?な訳ないだろ、何て言ったって何も聞いてねぇんだからな。
...情報がない、何でもいいからこの違和感を払拭したい。」
私に何をさせる気なんだ大司教は、陛下の考えが全然分からん情報を寄越せやカゲノー男爵領の時みたいな目も運も勘違いしてくれる人も居ないんだぞ。
...二度も三度もあんな予想通りに物事が進む訳ない、落ち着け俺は陛下の期待に報いなければいけないんだ。
そうしなければ、いざという時にここを焼けない。
「随分荒れてますねアレクシア様は」
「陛下は慎重だからな、それに比べアレクシア様は聖教関連になると先に手が出るからな。」
時間が無い、そろそろ盤面が変わるんだ...宗教から経済に。
その前に戦争して陣容を決める気か?戦争屋が...聖戦?まあ準備は終わってるだろうな、教団の手下だし常に臨戦態勢だろう。
どことだ?どこで聖戦をするんだ?
...いやどこでもいいんだ、ミドガルでもベカルタでもオリアナでも。
その為に聖教内部での同一性を構築する気なのか?
女神ベアートリクスの福音を信じるリンドブルと、聖書と教義が大事なオルムのどっちが聖戦を主導するかの戦いなら納得がいく。
...なるほどね、大司教に味方しようか。
「私達は大司教に肩入れする、ビジネスの時間だ予定を今直ぐにでも大司教と話したい。」
「それがいいですね」
「グレンもそう思うか」
「はい、盤面をよく見ていますね。
大司教との対談は三日後の予定です」
「善は急げだ、一日一時間一秒が惜しい今日中に準備せよ。
...遅くても明日には準備を整えろ!!時間との勝負だ!!」
オルムとリンドブルで内紛をさせて、リンドブルを焼いてからオルムを焼く作戦を陛下には進言しよう。
...仲間割れをするがいい、派手にディアボロス教団と聖教には内部崩壊してもらおう。
「はっ!!」
「...アレクシア様って結構好きですよね聖教、普通なら憾んでもおかしくないのに。」
「ああ昔から誰よりも聖教に親和的だ、陛下は素晴らしい人を選んだな...これならば聖教と摩擦を生まずにディアボロス教団とやらを探る事ができる。」
「その上で聖教と協力関係を深める事ができる、あの方はどこまで先を見ているのか。」
よっしゃ、聖教の総本山を燃やす為に頑張りしますか。
とうとう分かってくれたのですね国王陛下!!おかげでこのアレクシアが聖教と肩を揃えるべきではない事を議会に示す事ができます!!
と思っていた頃が私にもありました、大司教猊下殺されちゃいました☆ふざけんな。
それでその次の大司教代理がウザい、名前はジャック・ネルソン長いから頭の中ではハゲで統一しよう。
「監査の受け入れを拒否するのですか?」
「どうもこうも、王国の皆様がお目当てにされていた大司教猊下は御覧の通りのご不幸に見舞われました。
我々教会は、この様な暴挙を働いた下手人を一刻も早く捕らえねばなりません。」
「で後釜がアンタみたいなボットン便所みたいな顔をしてるハゲ?オルムの古巣に巣食ってろよ、大司教の鞍替えを要請しますこの地に馴染み深い司教を据えて欲しいですね。」
「...ハゲッ?!」
「そうよハゲ、文句あるかしら。」
私だって今回は一外交官としてここに来たんだ、そっちが私を姫扱いするなら私はお前をハゲ扱いする。
「滅相もない、女神の試練も滞りなく進めるとあらば姫様方の道楽に...おっと失礼!!これまで通り教会の事は教会にお任せあれ。」
「へぇ教会ね...噂の教団ではなくて?」
「姫はそういったお話が昔から大好きと聞いています、私めにお任せくださいませ謎解きは得意なのです。」
「そう?噂の教団とやらを探りたかったのだけど残念ね、まあいいわ。」
「国王陛下には私の方から親書を認めます故、アレクシア姫におかれましてはごゆるりと女神の試練をお楽しみ下さい。」
「任せるわハゲ、それでは御機嫌よう。」
何でこう...自滅への道を突き進むんですかね?
あの横に居た金髪の凄い髪形の人ネルソンを凄い目で睨んでたな、あの人絶対に何か知ってるでしょ。
「アレクシア様いいのですか?」
「何が?別に構わんよ、あの人達は破滅の美学がお好みなのさ。
...残念だなぁ、聖地が残るといいのだけど。」
「...聖地が残る?」
「ああうん、今年は荒れるだろうからね。」
「荒れる...ですか?」
「後がないんだろうね噂の教団は、なりふり構わず暴れるつもりらしい。
...私達は巻き込まれない様に傍観者で居よう、それが国益を人を守る事に繋がるさ。」
それまでは枕を高くして眠るといい、まあゴタゴタが終わったら全部燃やすからね...それまで束の間の安眠に浸ってればいいさ。
「シャドウガーデンとディアボロス教団の...ですか?」
「考え過ぎだってマルコ君、私達は女神の試練を乗り越えればいいだけさ。」
あぁ...
楽しみだな、この美しい街が炎に包まれるその時が。