Q.何だこのふざけた野郎は!!A.ミドガル王国第二王女です
「ああそういう...」
賞金首の盗賊が集まってる場所に行けって?
そう上層部に命令されてるんですが、これ殺す気やろ。
「立場に見合った活躍をして欲しい、アイリス様に並ぶ活躍をー...」
「はいはい、じゃあ明日から行ってくるね。」
「明日からね、正真正銘の化け物じゃねぇか。
もしくは何も知らないただの馬鹿か...」
通常軍などの遠征準備には基本一週間、短くても三日は掛かる。
装備の調達や人員の確保、その次に補給の段取りを決め戦闘計画を立てる。
そこから現場行動を決め行動に沿った訓練を行う、そして兵に休息を与え英気を養った後に出撃する。
それらを現場で、もしくは既に済ましていると言っている様なものだ。
...ただの馬鹿だと思うだろう、だが彼女はそれをしてもおかしくない実績を既に上げている。
得体の知れぬ恐怖、それが偶然ではなく彼女の実力だとしたら?武力を前提としたあらゆる組織の立場が揺らぐ。
貴族の騎士団の動員には通常、1~2週間程の時間が必要だ...だが彼女はその動員を一日で済ませると宣言したのだ。
領地を持つ貴族にとっての恐怖、それは動員をしている途中で万全の敵勢力によって領地を実効支配される可能性である。
...そして数多の拠点を持ち軍事力を背景に勢力を拡大する教団にとっては、一日で戦闘準備を整える軍略の天才は排除すべき脅威なのである。
試されている、天才か運がいいだけの愚か者かを。
戦略は考えなくていいかな、戦術から考えよう。
盗賊団が三つ
こちらの兵は私を抜いて8人、数は少ないが少数精鋭と考えれば妥当な戦力だ。
...まあ人間核兵器の私から見たら、どいつもこいつも雑魚なので少数精鋭に含む事はないが。
まあ折角貰った兵達だし、こいつらを基盤に戦うとしよう。
...軍や騎士を普通に動員すれば済む話しだというのに、何で自分の立場を悪くしようとするんですかね。
役割分担をし、適切な規模の軍で掃討したいんだが問屋は卸さないらしい。
コイツら騎士だから剣しか使えん、はっはっはっはっは銃を使える奴を寄越せや。
てかそれどころじゃないんよ...
圧倒的な戦力不足、ふざけんな上層部どこが精鋭だ。
...てかコイツに限っては新兵じゃねぇか、ふざけんなよ。
「銃を使える奴は居るか?」
「ジョンが使えます、成り上がりなもので。」
ジョン君に決めた、お前に功績を擦り付けよう。
因みに成り上がりというのは三等騎士の事である、要するに騎士爵を得た平民。
在任期間中に多くの戦訓を多く立てたら準男爵だったり男爵として昇格する事もある、まあここ十数年そんな事は一度もなかったが。
この世界も才能主義なのでね、魔力が第一だから既に貴族の人達が何だかんだ強いのよ。
...表は魔力量で強さが決まる世界だから、今の時代となっては悪しき慣習です。
私は一等騎士に分類される、因みに一等騎士と二等騎士の違いは魔力量だ。
二等騎士は俺達凄いみたいな雰囲気出してるけど実際は落第なんだよなぁ、将来のクレア・カゲノーが一等騎士で将来のシド・ガゲノーが二等騎士と言えばその差は分かり易いだろう。
...それでもある程度の魔力を持った人間が優秀だったのは事実、新兵は居るが他のは経験は多そうだし一応表世界では精鋭かもしれない。
精鋭の中に新兵の中を混ぜる、実はこれ最悪である。
どうやって一日でジョンを有効的に使える様な作戦を立てようかな...
「それはよかった、頼りにしてるよジョン。
出発は明日の夜だ戦闘に必要な物資などは既に用意してある、我々が殲滅する盗賊団は3つだ。」
「3つですか?1つではなく?」
「無茶な要望ではあるが上層部直々の命令だからな、ノルマは達成せねばならん。
一見絶望的なノルマだが我々の仕事は盗賊団を壊滅させる事だ、その首領と賞金首だけを狩ればいい。」
「お言葉ですがアレクシア様、我々はカゲノー男爵領の騎士ではないのですよ?」
さて作戦としては...そうだね、塩酸を投げ込んだ後にサイトキシンで嫌がらせをしよう。
そして蹲っているところをジョンが撃つ感じ、で他の騎士は狙っている奴の逃走の妨害...よしこれに決めた。
「それは私が一番分かってるよ、我々は意地汚く戦おうじゃないか。」
「意地汚く...ですか?」
まあ忌避するのは分かるよ、君達みたいなプライドの高い騎士様からしたら...ねぇ。
「正面から行っても不利だからな、一日に三つの集団と戦うんだ体力の損耗は少ない方がいい。
醜聞の問題は後から勇猛果敢に戦ったと記せばどうにでもなる、幸い予算は私が王女という事もあってそこそこ多いからね私達は結果を出せばいいのさ。」
「はぁ...それでいいなら我々は従います...
我々は殿下の命令に従え、そう命令されています。」
うわ...上層部側かよ...
「そうか、それでは作戦を説明する。
これは先程私が生成した塩酸...要するに色水だ、この色水の入ったガラス瓶をぶん投げるのと同時にコッチのロケット花火に括り付けられた唐辛子を粉末状にした物を打つける。」
「...は?」
そう、要するに塩酸で表皮の溶けた人間に催涙弾の入ったロケットを使用するのだ。
目などの感覚器官を潰した上で皮膚の溶けた体中に激痛が走る、これ以上ない嫌がらせである。
「効果は保証しよう、屈強な賞金首が痛みでのた打ち回るからね。」
見つけたグループから順々に攻撃して行こうかなと考えている、狙撃のジョンで賞金首を撃ち殺す。
外した時に備えて斬り込み隊は待機、今回の主力はジョンだ。
刺激物に関して普通は片方だけでも十分なんだけど念には念を入れてね、こっちは少数精鋭だから敵を無力化して有利な状況に持ち込む。
...その上で更に有利な戦いを心掛ける、兵の生還を念頭に置かない作戦は指揮官の怠慢であると考えているからね地形を考慮して配置を決めている。
それと今回は兵の装備を金属の鎧から皮に変えさせた、今回彼らには木の上を飛び回って貰う事にしたから。
今回選択した戦術は遊撃戦である、何て言ったって魔剣士はこの戦術に相性がいいからね。
魔剣士は歩兵の姿をした戦車だ、その上普通の歩兵より機敏で小回りが利く。
...人の形のした獣がゲリラ戦を仕掛けてきたら恐怖でしかない、そうは思わんかね。
だからまあ...
何て言うかね?余裕が生まれ過ぎた結果、賊を全員殺す事ができちゃいました。
ただ刺すだけだから安全でした、唐辛子がエグ過ぎですね。
おまんら命令に沿って働けるとかマジの精鋭やん、疑ってすまんかった。
大体こういうのって勝手に突出して無駄死にするもんじゃん?でも全然そんな事ありませんでしたね...
そして何よりジョン君、凄いですね彼。
...粉う事無き銃の天才です、一回も外してないのよセンスがいいですわ。
そして第三群の討伐に向かったのだが、これまで上手く行き過ぎていたからか油断もあってロケットと銃弾を外した。
結果色々とあって...盗賊の首領に私が捕まり、兵と睨み合いになった。
普通に逃げようと思ったら逃げられたし、殺そうと思ったら殺せたんだけど今回は指揮に徹するつもりだった...でも普通に逃げる機会を失ったから捕まった。
雑兵は殺したからね混乱は避けられるだろう、それとまあ...得体の知れぬ間諜と一緒に切り刻むとしようか。
「王女様が危険だぞ?動くなよ!!」
...何で最後の最後で典型的なやられ役がエントリーするんですかね、恐ろしい奴で苦戦したみたいな感じで〆ようと思ったのに。
彼は負けフラグというものを知らないみたいだ、よりによってこの中で一番強い私を人質とするとはね。
「運がないねぇ君」
スライムで取っ捕まえる、そのまま地面に打ち付ける。
剣を抜き首筋に当てる
「俳句を詠め、面白い歌ならば生かしてやってもいい。」
「あっえあっ...」
「時間切れじゃぁ!!」
「「「「...」」」」
今日は薄皮一枚残して綺麗に斬れた、将来は処刑執行人になろうかなと思ってしまう程に美しい斬り跡だ。
「みんな怪我はないかい?」
「はい...
何とか、最後はヒヤッとしました我々全員殺される事を覚悟しましたよ。」
「ハッハッハッハ、みな疲労困憊だな。よく頑張った。
ここだけの話予算を少しちょろまかしてな、美味い物でも食いに行くといい。」
「あっ...ありがとうございます...」
「「「「...」」」」
「それで...その首はどうするんですか?」
どうも生首を持ち歩くヤバい奴です、合計4つ上層部へのお土産ですね。
「残念ながら討伐の印を提出する場所が示されてなかったんだ、だから上層部の人達に直々に渡しに行こうと思ってね。」
「御機嫌よう上層部の諸君、精鋭兵を用意してくれたおかげで楽に討伐できたよ。」
生首が四つ入った袋を置く、"シャドウガーデン"と盗賊の首だ。
「「何だこれは?」」
「生憎引き渡す場所が指定されてなかったからな、君達の振ってきた仕事なんだ君達に渡す事にするよ。」
皮膚が爛れ、地獄で拷問を受けているかの様な顔の生首が二つ。
恐怖に怯えた盗賊の生首が一つ、そして得体の知れぬ切り口の男の首がもう一つだ。
中身を見た人間はそれを落とした
「へっ?」
「大事な討伐証明だ、上の者として下の者が持ってきた証拠を落としてはいけないよ。
しっかり持つといい...」
中身を掴まされた中年の男の腰が抜ける、それを見て彼女は嗤った。
「...そうか、ご苦労だった。」
「どうも、給金は弾むことだね。
...何か言いたい事あるかな?」
「特にないな」
これから彼女の口から放たれるのは警告である、これ以上余計な事をするなという。
「そうかそうか!!
それじゃ最後に私から一つ、私はやりたい事をやる。
...邪魔はするな、そうすれば老衰で死ぬ事ができるだろう。」
「...」
「二等騎士と三等騎士の集まりが精鋭とは、新兵が混ざっていたというのに。」
「強さじゃないんだ...それでは勝てないんだあの悪魔は...」
一人震える、恰幅のいい中年の男。
「ふざけた小娘が...
少し運がいいだけだ、調子に乗っておるただの愚か者だ。
本当の支配者は我々である事を示さなければならない、此方が被害を受ける前に使えるモノは何でも使うべきだ。」
「如何致しましょうか?」
「消さなければならん、今直ぐにでも抹殺するべきだな。」
「どうやって殺すのだ?」
「何でもいい!!毒殺だろうがな!!」
「...もしや毒も効かんのではないか?奴は本物の悪魔だぞ!!この肉の異常!!悪魔の魔力の残滓ではないか?!」
「彼奴は運がいいだけの愚か者だ!!無数の魔剣士で囲めば殺せる!!
それは何かしらの薬品だという報告も上がっている!!魔力と違いガラスは腐食しないただの物質の一つだ!!」
「得体の知れぬ力を使うのだ...悪魔の力と何が違うというのだ!!
あの十数年前に変死した神父...アレを殺したのは彼奴だったのだ!!
もはや我々だけの問題ではない!!悪魔を殺す為に聖教に...」
「そうだな、それだけで大義名分は示す事ができる...我々は死力を尽くそう。」