「ドエム・ケツハット殿、あのジミナという魔剣士は素晴らしいとは思いませんか。」
「ええ...アレクシア様のお眼鏡に叶いましたかな?」
「どこかで見た事がありませんか?」
「はて...?」
「美しいと思いませんか?あの者から剣を習った者達が居る事を知りませんか、闇に巣喰う魔物達を知りませんか。」
「...何を仰っているのですか?」
「所詮剣が多少使えるだけの雑魚か、アホ臭もういいよ話しててつまんなかったから。」
「口が過ぎるんじゃないのかアレクシア・ミドガル、ただ頭が少しいいだけで剣も碌に使えん凡夫が。」
彼女は彼を軽薄にあしらい、右方向を今一度見て何かを確認する。
「来たね主演、いやはやこれから何が起こるんでしょうか。
...何をしますか?何かできますか?貴方に、何ができるんでしょうか。」
その瞬間、周囲からどよめきが上がる。
「おいあれは...」
「まさか?」
「生徒会長~久し振りだね~」
「ご無沙汰しています、アレクシアさん。」
「おう、元気そうで何よりだ。」
主演、ローズ・オリアナ登場である。
「漸く戻られたのですね、陛下もお待ちかねでした。」
「ローズ、よく戻った。」
「お父様、私は謝罪に参りました。」
一人の少女が王座に座っていた男に話し掛ける
「さあこっちへ...おいで...」
「今までの事を、そしてこれからの事を...私は間違いを犯しました。
これからも間違えるでしょう、私はオリアナ王国の王女としてラファエロ・オリアナの娘として...私は信じる道を進みます。」
「お前の罪を許そう」
ラファエロ・オリアナは発する事の出来ないその言葉を発した、ただその一言だけ。
...虚ろな目に一瞬光が宿った様に見えた、親が子に送る最初で最後の奇跡の言葉だった。
「おい!!そんな言葉は指示していないぞ!!何を勝手に...」
「有り難うございます...お父様...」
ローズ・オリアナは飛ぶ、父の下へ。
剣を抜いたローズ・オリアナにドエム・ケツハットが襲われる、そして彼は自らの傍に居た男を盾とした。
ローズ・オリアナは剣を振り抜く、その剣はラファエロ・オリアナごとドエム・ケツハットの腹を刺した。
「ローズ...お前を愛している...」
そう男が言った瞬間、彼女は剣を引き抜いた。
薬物を使って洗脳されたのに娘への愛を忘れなかった王の最後、その娘の決別だ。
この一幕で物語を作れそうだ、ふむベータに送って一筆振ってもらおうかな。
「何だと...躊躇いもなく親を殺すなど人の心がないのか?!貴様!!
...一体誰の為にこの傀儡をぉぉぉ!!」
「これが私の最後の務めです」
「止めろぉぉぉぉ!!」
その瞬間、付近の窓硝子が割られ一人の男がこの場に乱入してきた。
「それが貴様の選択か」
それはジミナ・セーネンだった、ジミナ・セーネンは護衛の魔剣士を全員切り伏せて降り立つ。
「貴様は?!」
「我が名はシャドウ...違った、我が名はシャドウ。」
「スタイリッシュ盗賊スレイヤーさんですね!!」
「え」
「「「「スタイリッシュ...」」」」
「盗賊スレイヤー?」
俺は心の中で爆笑した
「あなただったのですね、あの美しい剣は。
あの剣を見たその時から、私は県の道へと進む事を決めました。
シャドウ、あなたがスタイリッシュ盗賊スレイヤーさんだったのですね。」
これは傑作だ、明日の一面は
シャドウの正体が判明!!それはスタイリッシュ盗賊スレイヤーだった?!
に決定だ。
さあ何しに来た?
「やんちゃな小僧の相手は私がしてもいいんだが...」
いや、あの膨大な魔力を持った黒フードの男が先だな。
「我と戯れる暇があるのか?
三つ巴が好みだと謳うのなら乗っても構わないが?」
黒フードの男がこの場を離れたな、狙いは不明。
...追い掛けるしかないか、シャドウガーデンが武闘派のラウンズと戦うには荷が重そうだしね。
「悪くはないが必要もないか...
うんそれじゃローズ先輩、先輩が玉座に座った後に演芸の場に招待してくれ。」
「あなたはあの頃から子供を恐れず悪と戦い続けてきた、なのに私はすぐに楽になりたくて...死を選ぼうとしました。
まだ戦える筈だったのに、辛くて怖くて...」
聞いてねぇ...まあいいや、うん無視されて悲しくなんてないよ。
「顔を上げろローズ・オリアナ、貴様の戦いはまだ終わっていない。」
「はい!!」
「逃がすな!!
...クソ!!増援はどうした!!誰か居ないのか?」
それに応える者は居なかった、だが武神ベアトリクスとシャドウの剣が衝突し乱闘が始まったのである。
「来賓の皆様の避難は完了しました、ですが城内だけでこの戦闘が収まるとはとても思えません。」
「戒厳令の発令も考えねばならんな...ドエム・ケツハットはどうした?」
「馬車で王都郊外へ移動中です、進路から考えるに大使館を経ずにオリアナ王国へ帰還するつもりかと。」
「ゲールク陛下の御遺体は?」
「無事回収できました」
「扱いはくれぐれも丁重にな、オリアナへの返還はグラント侯爵を通じて行う。」
「反宰相派の重鎮...内乱を誘発する事になりかねませんか?」
「我が国はこの時の為に備えてきた、だが道を見極める為の時間が必要である。
...古より歴史の背後で蠢いていた闇がより一層深みを増している、闇に踏み込む時は選ばねばならぬ。」
「はっ!!」
「...この場は私一人でいい、下がれ。」
「ですが...」
「本気で私を殺しに来ていたのならもう殺されている、私を狙う輩は居らぬさ。」
「...承知しました」
この場に残っていた最後の二名が退出する、そしてその後一人の青年がやってきた。
「クラウス・ミドガルだな?」
「そうだ、貴様は?」
「ナイツ・オブ・ラウンズ第6席フェンリルといえば分かるか?」
「ほう...何用だ?」
「軍とやらの創立に反教団的政策の数々、少々目に余る。
警告だ...そしてあの小娘を寄越せ、あの魔界から来たというあの小娘をだ。」
「生憎、私もあの小娘の事は知らんのだ。
国を世界を揺るがす事だというのに...
私も驚いたのだ、まさか娘が魔界の友人を連れてくるとは思いもしなかった。」
「...何?」
その瞬間指向性の編み込まれた魔力がこの場に顕現した、その顕現したで魔力から成年に向け斬撃が飛び交う。
「久し振りだな、何年振りだったか...まあいい私も成長しきったからね全力でやろうじゃないか。」
「場所は変えろよアレクシア、これ以上の動乱は看過できない。」
「了解です、それとこの美青年私が好きにしていいですか。」
「...好きにしろ」
「それじゃあ味見といこうかな...
天秤は傾いた、楽しもうじゃないかフェンリルとやら。」
「「...」」
この場を中心として、会場が吹き飛んだ。
「力を持て余し過ぎだ、少しは大人しくなっと思ったのだが。」
そう、この場に残されたクラウス・ミドガルは呟いた。