...まずいですよ()
I am Taepo-Dong
「僕があの時相対した少女は白髪のお姫様ではなかった筈なんだけど、魔界からの来訪者じゃなかったっけ。」
「それはまあ変装してたからね、それと魔界からの来訪者というのは事実だよ。」
「ならあの小娘は違うのか?」
片方は微笑い、片方は顔を歪める。
「あれは正真正銘、この世界で生まれた人間だよ。
ただ元となった生物が異界の人間だからさ、いや違う私もこの世界で生まれた人間だった。
まあ説明する意味はないけど俺が別の異世界からきた精神体なのさ、そしてあの子は私の因子を刻んで生まれた存在だ。
最初は実験のつもりだったんだけど案外可愛くてさ...分かるよな?可愛いからって絶対手出すなよ!!」
「...あの魔力を使わずに魔法を扱う業がお前本来の力なのか?」
「あれは私の居た世界で先に見たものだけど、身に着けたのはこの世界でだな。」
フェンリルは剣を、今一度構え直した。
「貴様は教団の脅威足り得る存在だ...
だが殺してしまうのも惜しい、私と来ないか?ラウンズの席を用意しよう。」
「いや永遠の命とか要らないんだが...もう手に入ったし...」
「何?戯言を言うな、そう易々と手に入るモノではない。」
「いやまあ正直、永遠の命とか要らないのよ。
...大往生したい派なんだ、むしろ今は永遠から逃れようとしてるというか。
いいか?私の下に付け、したらば真の永遠を与えてやる。」
「君は死んで良い人間ではない、君にはこの世に君臨する資格がある。」
「いやだからさぁ永遠とかどうでもいいのよ?君臨とかもどうでもいいのよ分かる?
正直世界とかもどうでもいいのよ、ラノベ主人公みたいに興味ないとは言わんが...まあ終わりがないとか嫌だし。」
「彼の代わりになれると思ったんだけど、まだ心変わりしないのかな。」
「永遠の命が何で必要なのよ、碌でもないよ~本当に絶対にきっとおそらくめいびー。」
「我々には必要なんだよ、良き者は役目を果たす前に死んでしまう。
ラワガスも死んだ、幸いラワガスの代わりとなる者も居たがネルソンも死んだ。
きっと彼も死んだんだ...」
妖怪に死生観を問われても困るって、いやマジでさ。
...私も妖怪だったわ、そういえば。
「本当に選民思想は嫌になるよ、まったく。
...人は変われない、リソースの限られた存在には限界がある。
優れた人間なんて存在しない、人間には体積と質量分の価値しか存在しないよ。」
そうなると体重が普通の人より一桁多い俺の価値は高いのか...
いやないなうん、重要なのは中身と言いたいけど実際はただの水とクソの塊だしね。
「人は変わり続けられるよ、でも変わり続けられる人間に限ってすぐに死んでしまうんだ。
ラウンズの質は下がり教団は使命を忘れた、だけど君が居れば何とかなるかもしれない。
教団は使命を思い出す為に、使命を果たす為に永遠の命と膨大な力が必要なんだ。」
「あの~私教団の事を敵視してるんだよ?分からない?
私の軍門に下りたければラウンズの名声を捨てな、そして彼とやらを忘れる事だ。」
「ならば彼を越える姿を見せてくれよ」
「君は選ぶ立場じゃないんだよ?何度言っても分からないのかな~」
「頑固だからね、君は教団に入るといい。
教団の事は好きにするといい」
「教団はもういいのかよ、適当だなぁ。」
「君は優秀みたいだからね、考えたんだ君に賭けるのもいいなってね。」
さいですか...
正直嬉しくねぇ、でも教団の技術とかは欲しい。
シャドウガーデンと戦いたくはないけど抑止力は必要だからなぁ、まあ向こうも元教団員が居るんだし多少は引き抜いても同盟は破綻しないよね。
約束は教団を滅ぼす事だけだし、ラウンズは指定されてないからね。
「じゃあ生き残るんだな、そうだね君は何かに優れている存在だと嬉しいな。
今の君には勝てない強さで戦う事にする、くれぐれも死んでくれるなよ。
期限はそうだねシャドウがフィニッシュするまでとする、一分ぐらいかもしれないし一時間かもしれないし...もしかしたら一か月か一年かもしれない。」
「いいよ、そうしようか。」
瞬間上空から雷が降り注いだ、そのエネルギーの奔流に隠れ放たれた魔力の斬撃がフェンリルを襲う。
血牙でフェンリルは雷を受け魔力の斬撃を弾いた
「何なんだ!!お前は何なんだ!!」
「シャドウ、この名この姿こそ我が真実。
他の全ては偽りの中の戯れに過ぎない...」
「私はベアトリクス、前どこかで会ったか。」
「さて、強者ならば忘れぬ筈だが。
貴様を記憶しておく価値はあるかな?」
「待てッ!!」
「魔女の秘術を御見せしよう!!」
シャドウは近くの川へ行き水を操り始める、その水を放ちベアトリクスとアイリスを牽制する。
「吸血鬼の?!」
「何でもアリか!!」
そして水弾が二人を貫ぬくその寸前、地上から雷雲が降り注ぎ水弾とアーティファクトの炎を全て掻き消した。
「「...」」
「随分と楽しそうにしてるじゃないか、私も混ぜておくれ。」
「魔狼はいいのか?」
「いやまあ今ヘバってるしね、死の淵から蘇ったらスカウトするんだ。」
「引き抜くと?貴様に舵を握れるのか?」
「いやまあ...生贄にしようかなって...」
「生贄だと?」
「アレだよアレ、永遠の命とか人に押し付けるに限るじゃん。」
「永遠の命?それ僕が欲しいんだけど」
「面白い冗談だ、神にでもなる気か。」
「まあいい、あの日の続きをしようではないか。」
「すまんどの続きか分からんがー...」
「...ーどうでもいいな」
「貴様とは剣で話すのも悪くない」
川の水が空に昇る、それは渦巻いて電気を生み出し始めた。
「仰ぎ見よ」
「其は夢である」
「そして知るがいい」
「其は一滴の雫である」
「地を砕き」
「其は幾度も零れ落ちた」
「天を穿つ」
「繰り返される検証と実証」
「我が至高にして究極たる」
「果たされてきた夢の数々」
「最強無比の一撃を」
「雫の結晶はここに在り」
「I am・the・all-range atomic」
「其は基幹技術、雫より生まれし威は神の領域に至った...我らが喚びし顕現し奉らえた御力は古に在りし稲魂の恵。」
極限まで蓄電された荷電粒子と甚大な魔力の奔流が打つかった、そして飛散した落雷が幾つも地上に降り注ぐ。
地下から水が再び昇り、それがシャドウを襲う。
だがそれは、シャドウの魔力の圧力で全て弾かれた。
「嵌め技では我は殺せん」
「チッ、直接殺せないから嵌めようとしてんだよ。」
「趣味が悪いな」
「お前が強過ぎるんだよ...
まあいいや、矛を解放しようかな。」
「教えを請え」
「人は求めた」
「集約せよ」
「あの力が必要だ」
「天地を覆い尽くす鉄の群れ」
「天より降り注ぐその力を」
「必要として迫られる自食作用」
「あの力を掴まねばならない」
「避ける事の叶わなわぬ競争からの脱落」
「人々は天より降り注ぐその力を欲した」
「所以は世界が変わり続けるから、全ての生物は概念を世界に重ねているに過ぎないのだ。」
「研鑽を重ね人はそれを手にするに至る、この静寂の世界に降り注ぐ究極の破壊それを生み出すもの。」
「これは自分の夢の為の力だったんだ、初心を思い出す事ができたよ。」
「改めて自分の成すべき事が見えた、だからこれで遊びは終わりだ。」
「spell absolute zero」
「I'm atomic」
周囲で魔力が強力に固定及び飛散させられる、一般人や馬などは五秒以内に魔力の欠乏で意識を失った。
騎士団の面々も中度の魔力欠乏症に罹り、頭痛嘔吐意識混濁などの症状に罹った。
そしてその数秒後、上空から非常に強い風が降り注いだ。
「常識的な範囲での戦闘といこうじゃないか、余計な要素は要らないよね。」
「同意だな」
片方はスライムソードを、もう片方は物質化した魔力の武器を構える。
だがその瞬間、誰も居ない筈の上空から巨大な刃と甚大な熱量の炎が降り注いできた。
「借り物の力で我は倒せん」
「化物が!!」
その瞬間アイリス・ミドガルの後ろに現れたシャドウの奇襲をベアトリクスが剣で受ける、その瞬間を以ってシャドウは彼女を認めた。
「お見事!!
剣技だけなら我らに迫るか、だが惜しいな魔力の使い方がまるで成っていない。
貴様らにも教えてやろう、正しい力の使い方というものを。」
周囲に魔力が奔った、アイリス・ミドガルのアーティファクトでの奇襲は完璧だった。
だがシャドウにアーティファクトの炎が近付くにつれ、掻き消されてしまった...否掻き消えた。
「出来が悪いな」
「ベアトリクス様、私が命に代えてでも奴の動きを止めます。
その隙に奴を...」
「抗ってみせよ」
ベアトリクスは魔力を練り、その魔力を剣に溜める。
アイリス・ミドガルが捨て身の特攻を行なった、だがそれは一歩届かなかった。
「未熟」
動きが止まったこの瞬間、生まれた隙を突きベアトリクスの剣がシャドウを襲う。
それは全て往なされた、そして彼女達はシャドウの一撃を喰らい重傷を負った。
だが彼女達は膨大な魔力で、自らを速やかに治癒する。
「好き勝手に...王都中で暴れ回ってただで済むと思っているのか?!
今頃王都中の騎士に動員が掛かっている、この王都の全てがこのミドガル王国の全てがお前の敵だ!!もうどこにもお前に逃げ場はない。」
「フッフフフ...アッハッハッハ!!
騎士団か!!そうか騎士団か!!空を見よ!!雲の上を見よ!!
空を飛ぶ鉄の怪鳥を見よ!!鉄の龍を見よ!!あれらに貴様らは何もできまい!!騎士団がどれ程の脅威となろうか!!
正しい力を見よ!!あれが正しい力の使い方だ!!」
「何事?!」
「...」
シャドウが空の雲を全て吹き飛ばした、そこに現れたのは100の爆撃機と400の戦闘機だった。
その瞬間露わになったそれらが、その全てが一斉に無数の誘導爆弾や誘導ミサイルを高度2~3万メートルから投射した。
シャドウはそれら全てを高度1万mで吹き飛ばし、放った魔力の斬撃と魔力弾でそれら全てを破壊した。
そのまま炎上し王都郊外の山に全て墜落した
「聞こうアイリス・ミドガル」
「何だ?今のは...」
「逃げる?どこへ?何故?」
「こんな...まさか?こんな...」
「遊びは終わりだ、天を仰げ。
夢は観れよう、手を伸ばせば水泡に帰すだろう。
地を固めるのだ、その足場は崩れ落ちるだろう。
これが極致、始まりにして頂点である。
地を空を!!世界を揺らす!!それが正しい力の使い方だ!!刮目せよ!!」
「待て...やめろ...」
「I-...」
「am-...」
「やめてくれ...私はいい!!でもそれはー...」
「Taepo-Dong」
王都の地盤が破壊された、復旧には地盤を整えるところから始まるだろう住宅や貴族の屋敷も多く破壊されている。
ただ工場や公的サービスに関係する施設は破壊されていないため、復旧は比較的容易であろう。
「あまり囚われ過ぎない方がいい、人では力の及ばない存在は多い。
...ましてや貴女はまだ幼いのだから、またゆっくり頑張ればいい。」
「大丈夫です、私は立ち止まっていられませんから。」
ベアトリクスの忠告を聞かずにアイリスは根拠のない結論を答えた
「そう」
彼女は緊急で運行を開始した列車に入り、王都を出た。
その裏で、二人が話す。
「やり過ぎだと言いたいところだが、大概この被害の大半は私が魔力を急激に飛散させる技を使ったのが原因だから許してやるよ。」
「僕悪くないよね」
「そうだね~
...意向としてオリアナの事変に関わるなと?」
「ごめんね、ローズ先輩の為なんだ。」
「そっ、優しいね。
...感謝しておくよウチの子達の暴走を止めてくれて、ただ将来起きるであろう征伐戦争には介入するからね。」
「ご自由にどうぞ」
中二病に力を与えたらマジで駄目だよね(当たり前)