異世界と変身ベルト~仮面ライダーとして転生した俺は静かに暮らしたい   作:星たつゆき

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15.対峙

 翌日。

 見張り台からの知らせで、またも悪の軍勢の魔物が攻めて来たと報告を受けた。押っ取り刀で向かったが何か違和感を覚え、改めて周囲の状況を見る。

 ……居る。この先とは違う場所に、もっと強い邪念と強大な力を感じる。

 その事を周囲の兵士や冒険者達に伝えた。

「何でそんな事が分かるんだ?」

「俺は仮面ライダーだからな。遠くの気配も察知出来る」

「か、仮面……? ともかく、じゃあ俺達はどうすりゃいい?」

「恐らくこの先の敵は陽動だ。本体は反対側に居る。俺はそっちを片付ける。あんた達はこの先の魔物を頼む」

「お前一人だけで大丈夫なのか?」

「むしろその方が動きやすい。では頼んだ」

 俺は走り出し、跳躍した。

 

 敵は多くのモンスターを従えていた。無気味な姿の--腕が六本有る魔物だ。

「そこの異界から来た者よ」

 分かる言葉で話す辺り知性が高そうだと身構える。

「お前はこの世界の異端」

 俺の存在を見抜くとは。しかし--

「悪の軍勢に言われるとは心外だ」

「お前は何故人類に与する? お前の力はこの世界では異端。お前も肌身で知った筈だ。人類から、その手先の勇者から刃を向けられた事を」

「だからどうした」

「お前は人類の同胞たり得ない。我らの軍門に下れば相応の地位と報奨を与えよう」

「断る」

「何故だ」

「俺は人間だからだ。そして俺は仮面ライダー。人類の味方、人類の自由の為に戦う者だ」

「そんな固定概念を持っているとは面白い奴」

「貴様等こそ、何故人類を殺す?」

「それが我々の存在意義だからだ。そして我々は人類が嫌いだ。だからこの手で人類を殺す」

「なら尚更看過出来ん」

「交渉決裂か。残念だ」

 大勢のモンスター達がにじり寄って来る。

 俺は躊躇なく構える。サイクロイドストーンが輝く。

「その腹から出る光……太陽の様な眩しさ」

「それがどうした」

「やはりお前は我々の敵。お前を殺す」

「ならば俺はお前達を残らず倒す! 変身!」

 俺は仮面ライダーになると、モンスターの真っ直中に飛び込んで行った。

 今までに倒したゴブリンやコボルトと言った敵の他、ガーゴイルやサイクロプス、見た事の無い無気味な獣も居る。全部で二十体位は居るだろうか。それぞれ名前は有るのだろうが俺はまだ知らない。

「今日は接触までだ。次会う時は楽しみにしておけ」

 そう言うとモンスターを残したまま六本腕の魔物は姿を消した。

「逃げたか」

 残されたモンスターは一斉に武器を構えると襲い掛かって来た。

 モンスターを片っ端から殺して回る。力の加減等一切お構い無しに、ただがむしゃらに、郷に被害が及ばない様、ここからモンスターが逃げて悪さをしない様、腕を千切っては投げ、頭を潰し、腹を蹴り抜き、鎧毎砕く。中でもすばしこい獣二匹は同時攻撃を仕掛けて来たので、こちらも両手でそれぞれを掴み、空中で猛回転し、そのまま地面に叩き付けた。ぐしゃっと嫌な音がした後、ぴくぴくと数秒痙攣してから爆発した。

 一段落したので辺りを見回す。ぴくりともしないモンスター“だった”肉塊、いくつもの爆発の跡が地面に広がっている。息はあがってないが、先程対峙した腕が六本の魔物は要注意だ。他に比べて強さのレベルが違うだろう事が推測される。次戦う時は、より気を引き締めなければ。

「セイイチ! 大丈夫?」

 シオン達が遅れてやって来た。郷の兵士達も駆け付けて来た。そして辺りの惨状を見て驚いている。

「ああ。そっちは大丈夫だったか」

「うん。セイイチが言った通り、大した数じゃなかった」

「なら良かった」

「で、こっちにはどんな奴が?」

 俺は見た敵の事を話した。あえて交渉云々の事は言わなかったが、言葉を喋り俺に話し掛けて来た事をかいつまんで伝えた。

「もしかしたら……」

 魔物に詳しいと言う魔法使い達がざわめく。

「やっぱり相当強い敵なのか」

 俺の問いに一人の魔法使いが答えてくれた。

「魔王の配下、九知将のうちの一匹やも知れない」

「そんな奴が何で俺に」

「あんたみたいな強い奴が突然現れたんだ。様子見に来たんじゃない?」

「だろうな。そんな感じだった」

「まああんたが居れば百人力だ。俺達も力になるぞ」

 周囲の兵士達や魔法使い達は皆頷いている。

「それは有り難い。勿論俺も全力で奴を倒す」

「頼もしいな」

 他の兵士や魔法使い達は残った肉塊や破片を集めて焼いていた。青の炎で焼き清めている。

「すまん、辺りをとっ散らかしてしまって」

「やっつけてくれただけでも十分だ。気にすんな」

 俺を見た兵士の一人がそう言ってくれた。

 俺の表情を見て察したのか、シオンが皆に提案した。

「終わったら皆で酒場で気晴らしでもする?」

「良いね」

「誰の奢りにするか、何杯ビールを飲めるかで勝負だ」

「俺は酒には強いぞ」

「あんたは酒に強過ぎだから審判役だ」

 何故かその一言で場が和み、笑いが漏れた。何だかんだで少しずつ受け入れている様で嬉しい。

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