異世界と変身ベルト~仮面ライダーとして転生した俺は静かに暮らしたい 作:星たつゆき
とある日。何もせず家にこもるのは良くないと思いシオンを誘って郷と周辺を散策する事にする。郷の中にも畑や菜園の区画が有るが、外にも多くのそれが広がっている。そこが気になったので歩きつつシオンに聞いてみた。
久々に郷の門を抜け、郷の外に出た。先日も見たが、改めてシオンが丁寧に教えてくれる。
「こっちは麦を各種。色々な料理に使うよ。ちょっと奥には黍、その他雑穀。シチューやスープなんかに使うね。後はキャベツ、にんじん、にら、からし菜、玉ねぎ、根セロリ、アゴ芋--まあアゴ芋は家畜の飼料用かな」
「アゴ芋って何だ?」
シオンが植わってる所を見せてくれた。俺が知っている里芋ともジャガ芋とも違う根菜類の様だが、シオン曰くぼそぼそしていてどう調理しても美味しくないらしい。
「ジャガ芋やトマトは……無いよな」
「何それ」
「いや、何でもない。俺が元居た世界に有った野菜だ」
ジャガ芋とトマトが有れば料理のレパートリーも増えるし何よりジャガ芋は飢饉対策にもなるのだが、この世界にはジャガ芋とトマトは無いらしい。有れば今まで食べた料理に入っていた筈だから。しかし無いモノを無いと嘆いていても仕方ない。
「郷の中にも非常用や家庭用の菜園は有るけど、基本は郷の城壁の外に有る畑で育てるんだ。セイイチもこれまで見たでしょ?」
「ああ。郷の周辺にはほぼ必ず畑が有ったな」
「で、こっちは菜園だね。薬用にもなるものを植えてるよ。サルビア、パセリ、ういきょう、くさのおう、その他ハーブ各種かな。後は果物も幾つか」
「色々有るんだな」
「ここで栽培出来ないものは山や森に行って採取もするね。キノコ類、一部の薬草や香草、その他」
「流石フォレストエルフ、詳しいな」
「褒めても何も出ないよ」
「いや、何も知らない俺に色々教えてくれて本当有り難い。勉強になる」
「やだなあセイイチ、そんなかしこまって。ボク達もうそんなかしこまる様な仲じゃ無いのに」
「お礼は言わないとな。言葉に出して通じるものも有るし、親しき仲にも礼儀ありだ」
「真面目だね、セイイチは。そうだ、近々冒険者ギルドから山に行く依頼が出ると思うから一緒に行こうよ」
「近々?」
「この季節にしか採れない山菜と香草が有るんだ。運が良ければキノコもね」
「なるほど」
「まあ、その時はボクの腕前を見て褒めて欲しいな」
「今から楽しみだな」
「だよね。あ、そうだ。こっちに少し行くとすぐ川が有るよ。魚が結構獲れるんだ」
「へえ」
「ボクは魚にはあんまり詳しくないけど、酒場でよく料理に出て来るし、結構美味しいんだよね」
「ほほう。今度食べてみたい」
「そうだね。楽しみが増えたね」
俺達はふっと笑い合った。