異世界と変身ベルト~仮面ライダーとして転生した俺は静かに暮らしたい 作:星たつゆき
勇者達が集う会議室で、数名の勇者達が話をしている。
「あの九知将の一人を、例の男が倒したそうだ」
「話は聞いている。まさかあんなに呆気ないとは」
「元々序列では下位の将軍であるからそうなのかも知れぬが……あの男、ますます気になる」
聞いたか、と話を続けるひとりの勇者。
「腹に埋め込まれている『神々の宝玉』が輝いて、魔物を焼いたと」
「ならばやはりあの『神々の宝玉』は我々の側に有る、と言う事か」
納得しかける勇者の一人に、別の勇者が声を掛ける。
「それなら話は早い。手っ取り早く奴を襲って手に入れるか」
「流石にそれは野蛮過ぎ無いか」
「悪の軍勢に、例の男をけしかけてみてはどうか」
「ふむ。我々としても一切損害を出さずに悪の軍勢も魔物も倒せて、あわよくば宝玉も手に入ると言う訳か」
「しかしそう簡単に事が運ぶだろうか。悪の軍勢も今回の戦いを見ている筈、迂闊に手出しも出来まい」
「ならば例の男の周りから、と言うのはどうか」
そこに一人の勇者が近付きたしなめる。以前セイイチと戦った者だ。
「待たれよ。先程から襲うだのけしかけるだの色々物騒な話をしているが、我ら勇者としての誇りは無いのか」
「ぬっ」
「それも一理ある」
先走ったか、と呟く勇者の一人。
「ともかく、悪の軍勢が今後どう出るか、例の男が今後何をするか、もう少し様子を見ても良いと思うが」
「賛成」
「異議無し」
「では、引き続き監視を続けるとしよう」
一方、整然としつらえられた議場。ここは「悪の軍勢」と呼ばれる者達の本拠地の中に有る。その中に複数の異形の者達が揃っていた。
「まさか我らの『蜘蛛の王』がああも簡単に倒されるとは」
「奴は勝利を急ぎ過ぎた。もっと下調べをしておけば良かったのだ」
「功を焦ったな」
「しかしあの『神々の宝玉』、ますます欲しい所だが」
「蜘蛛の王を焼いたのだぞ、相当注意を払わねば」
「どうする、あやつが居る郷の者を洗脳してけしかけるか」
「いや、我らの暗黒魔法を使っても奴の宝玉の力で解除される可能性が高い」
「ふむ」
「どうする、『仮面の君』? お前も近い存在ではないのか?」
声を掛けられた、議場の隅に居た一人の男。壁により掛かり腕組みして話を聞いていた。オペラ風の仮面を付けて素顔は見えないが口元は何処か険しそうだ。
「さあな。だが手を出すのはまだ早い」
「ふむ、お前もそう見るか」
「もっとも、いざと言う時は容赦せぬ」
それだけ言うと、思うところがあったのか、その場を立ち去った。