異世界と変身ベルト~仮面ライダーとして転生した俺は静かに暮らしたい 作:星たつゆき
数日後。
ギルドでシオンと一緒にこの前の事を話していると、見慣れぬ女性が一人やって来た。頭にいわゆる「ケモ耳」が生えている。以前聖女様が教えてくれたフェルパーとやらか。よく見ると先日救助して連れ帰った女性三人のうち一番元気だった人だ。救助した時はボロボロの姿だったので気付かなかった。
「あ、ここに居た」
そのフェルパーの女性は声を掛けてきた。
「あんたはこの前の。もう怪我は大丈夫か?」
「あたしはまだ連れて来られただけだから特には。後の二人はもう少し施療が必要みたい」
「そうか」
「ともあれ無事に戻れて何よりだよ」
「しかし、どうして奴等に捕まったんだ?」
「あたしら冒険者でさ、依頼で行った先に奴らの一団が居て。だいぶ殺したんだけど結局数で押されてパーティーは全滅。あたしはあのザマ」
「気の毒に」
「どこの郷から? 名前は?」
「ここからだいぶ遠いけどシャルローってところ。聞いた事あるかな? それであたしの名前はラウラ」
「うーん、ちょっと分からない」
シオンですら分からないとは。
「よろしくな、ラウラ。しかしそんな遠くからどうして此処に?」
「とある勇者様からの直々のご依頼でさ。聞いた事有るかな? 『神々の宝玉』ってお宝。それがこの辺に有るらしいって事で探して来いと」
俺はなるべく表情に出さないつもりでいたがいずれバレるだろうと思いつつ、話を聞くだけ聞いてみる。
「ほう。で、そのお宝とやらは見つかったのか?」
「全然。手掛かりが全く無いの。でも今考えれば変な依頼だったんだよ。探すだけで良い、見つかったら場所だけ印して帰って来いって」
「相当危険なモノなのかな」
シオンはまだ俺の腹に有るサイクロイドストーンの別名を知らないのでとぼけるでもなくごく自然に会話している。
「あたしもそうじゃないかって思うんだけど、あんた知らない?」
「俺が知っている位なら郷の他の連中がとっくに知ってるだろう。もう聞いて回ってるんじゃないか?」
「うっ、鋭いね、兄さん」
「で、その宝玉とやらの見た目や特徴は知ってるのか?」
「話を聞いた位。こう、光って魔物を焼くとか、その程度」
「それだけの情報でよく探す気になったな」
「仲間は全滅するわ依頼も未遂で帰れないしで、困ってるんだ」
頭を掻くラウラ。
「帰れない?」
「ええ? そんな状況になったらまず郷に帰って報告すべきだよ」
シオンも心配そうに言う。
「見つかるまで帰って来るなって」
「そんな理不尽な」
「そっちの郷の冒険者ギルドはそんなに無茶な依頼出して来るのか?」
「いや、これはギルド通さずに直接勇者様から頂いた任務だから」
「そっか」
しかし、恐らく勇者様連中も知っているであろう俺のサイクロイドストーンについて、こう回りくどいやり方で探せだの言ってくるのはどうにも理解し難い。見つけた後どうするつもりだ? 俺の体をかっさばいて取り出す? ……いや、あいつらなら平気でやりかねない。
「見つかるといいね」
シオンは半ば他人事の様に言った。
それはそうと、とそのフェルパーは言った。
「二人にお礼をしないと」
「礼なんて良い」
「ゴブリンの巣穴であの後何されたかと思うと恐ろしいよ。せめて一杯奢らせて」
「お金有るの?」
「少し位はまだ残ってるし」