私セイラちゃん!
外見年齢だいたい17歳のちょっとおませな女の子!
趣味はスマホっぽい謎タブレットいじりとお洋服作りと狩猟と採取と人類の守護!
今日も集落で暮らしている数少ない人類を守るため、頑張って魔法少女に変身しちゃうんだから!
「人の想いよ……私と共に!」
集落に乗り込んできた死神のような見た目の魔物を前に、私は『指輪』の力を解き放つ。
ダアトさんより貰ったリフレクターとしての能力。エーテルを身に纏い、戦闘に最適な姿へと変じるのだ。
白銀の輝きが全身を包み、ガラスが砕けるような音とともに姿が露わとなる。
褐色の肌は作り物めいた色白に。
金髪は青白く、瞳は金色に染まり。
体を覆っていた原始人らしい革の装いは、艶めかしい絹の光沢を放つ、女神のような戦装束に。
左手にはプラチナの
右手には白銀の西洋剣。
いうなればそれは……白ギャルっぽいヴァルキリーだった。
『キシャァアアアアッ』
「はーっ! くたばれ人類悪! 迫真の通常攻撃!」
『ギャァアアアッ』
と、ここまで勿体ぶった変身を見せつけといてなんなのだが、実際のところ剣の一撃でけりがつく。
サッと近付いて銀色の剣でズバーッ。終わり! 平定!
「うーん……これ魔法少女ではないよな」
塵となって消滅してゆく死神っぽい魔物の姿を眺めながら、ヤンキー座りでため息を吐く。
幸いなことに私はドチャクソ強いのだが……雑魚狩りをする時の戦法がゴリラすぎてあまりエレガントじゃないのが最近の悩みである。魔法少女っぽい技を使うまでもないともいう。
「まぁ、あれか。初代プリキュアもそんな感じだったしええやろ……」
完全に魔物が消え去ると共に、背後から歓声が聞こえてくる。
振り返るとそこには慎ましい原始人の集落があり……そこには、私が守るべき数少ない人類が、笑顔で手を振っているのだった。
現状の説明は前にしたから良いだろう。人類ヤバい。
集落は一つだけ。そこで暮らす100人ちょいが地球上に存在する人間の総人口だ。
ウイルスを作って人類を滅ぼすゲームで例えるとほぼほぼ勝ち確な状況だが、そこはウイルス視点での話でしかない。こっちからすると負け確一歩手前過ぎて緊張感しかない状況だ。アダムとイヴに毛が生えたようなもんである。いや、アダムもイヴも毛は生えてるか……。
「セイラありがとー! やっぱりセイラは強いねー!」
「見てたぞセイラ! 一撃だなんてすっげえな!」
「また今度私と試合してよ! 今度は良いとこまで追い詰めてやるわよ!」
しかしそんな絶望的な状況にも関わらず、人々の表情は明るい。
彼らにとって今のこの状況は当たり前のもので、むしろ私がここに加わった分、彼らのテンションは最高潮とも言って良かった。
「まあ、中型の魔物ならこんなものですよ。次また近くに現れた時も、遠慮なく呼び出してください。私はすぐにでも駆けつけますので」
そんな中にあって、私の物腰は常にこんな感じだ。
線を引いてるといえばそれまでだが、ダアトさんに対する姿勢とほとんど変わらない。私は基本的に、人に対しては丁寧語キャラなのである。
「おうよ! ま、本当は今くらいのやつなら俺たちだけでやらなきゃいけないんだけどな!」
「ダメよ無茶したら。セイラの言う通り、素直に頼らせてもらいましょ」
「そうよそうよ! 男はエーテルの扱いが下手なんだから!」
「む、むむむ……そうか……そうだなぁ……」
ちなみに私がさっきも扱っていたこの不思議エネルギーであるところのエーテル。
この力は男よりも女の方が扱いに長け、また年若い方がよりその力が強いようである。
ダアトさんもそう分析していたし、集落の人々自身もそんな傾向にあることを肌で理解しているようだった。
やはり魔法少女システムなのかもしれん……ここはまどマギ時空だった……?
「ほらっ、セイラ! 戦勝記念にご飯食べましょ! 昨日みんなで獲ってきたお肉があるから、ね!」
「えっ、お肉ですか。お肉食べます」
「あははは、セイラってほんとお肉好きだな!」
ここは原始時代。魔物があちこちにいるし、時空が歪んでる場所も多いしで何年前なのかは全く想像もつかないが、情報化社会とは比べ物にならないほどローテクで、あらゆるものがないことだけは確かである。
そんな世界では娯楽など片手の指で数えるほどしかない。食は、数少ない楽しみのひとつだ。
「ルーヤンさん、美味いですねこれ」
「うふふ。もっと食べて良いからね、セイラ」
「ちなみに何の肉か聞いてもいいですか?」
「うふふふ」
ルーヤンちゃんは長い黒髪を編み込んでまとめた美少女だ。
原始人というと頭蓋骨の骨格はかなり現代人と異なっていそうなものだが、どう見ても普通の美少女である。
料理が好きで笑顔が可愛らしい、嫁にしたいオーラ溢れる女の子だ。男にも女にもよくモテる。
調理工程や素材を見せてくれない不穏さはあるけども、人肉じゃないならまぁ別にいいかと思っているので深く追求はしない。肉うめぇ。
「セイラが来てから、集落の人が死ぬことも減って大助かりだよ。前よりずっと安全にお肉が手に入るし、暮らしに余裕ができた。すっごく嬉しい」
「……はい。皆さんのお役に立てたなら、私も嬉しいですよ」
「集落の近くが安全になって、狩りに行くのも楽になったからな!」
「ほんと助かってるよ!」
世知辛い世界である。人がね……ほんとすぐ死ぬんだよね。いや、危険すぎる世界だし当たり前ではあるんだけど……。弱い人間はバンバン死んでいくから、本当に世知辛いったらない。
男の人はエーテルの扱いが下手なせいもあって、現状集落の男女比が崩れてるくらいだ。私がダアトさんによって創り出される前、どれほどの人間が犠牲になったのか……その具体的な数までは、未だ聞けないでいる。
「はい! ミリコ、セイラの勝利を祝って踊ります!」
「いいぞいいぞ!」
「私は歌います!」
「よっしゃ、だったら祭りでも始めるか!」
だというのに、人々はいつだって底抜けに明るい。
死と隣り合わせの世界でもなお、希望を忘れず今を楽しみ、命を謳歌している。
……正直、ちょっぴり温度差を感じる!
まあ、言わないしその場のノリに合わせはするけどね!
「ほらほら、セイラも踊ろう!」
「は、はい」
尊いとは思うし、楽しいっちゃ楽しいけど……転生者が楽しみ切れるかっていうと、それは話が別なんだぜ!
祭りが終われば、人々は疲れて眠りに落ちる。
よくわからない木の実から作った酒を飲み、肉を食らい、踊って歌って、陽が沈む頃には揃って夢の中だ。
「はい。はい。ダアトさん。集落に乗り込んできたのは中型が一匹だけでしたので、すぐさま殲滅できました。おそらくは敵の斥候かと」
集落の外れにある丘陵の上で、私はタブレットを片手にダアトさんへ報告を上げていた。
ダアトさんからもらったこのスマホマジで便利。結構勝手に機能を弄れるのが特に嬉しい。
まぁ一番嬉しいのは、ダアトさんの威圧感バリバリな姿と向き合って会話する必要がないというのがデカいんだけどね……。いや、ほんとビジュアルが怖いのよダアトさん……。
『強大な力が接近すれば、お前の指輪は反応を示す。敵の主力はまだ遠いはずだ。それまではお前も、身体を休めておくが良い』
「あ、お気遣いどうもありがとうございます……」
『他の人間とは造りが違うとはいえ、何日間も続けて動いていれば調子は崩れる。無理は禁物だ』
ビジュアルは怖いけどほんと優しい上司さんですわ……。
最終的にラスボスに回りそうだけど……。
「まあ……はい。無理はしない程度に、頑張りますよ。大丈夫です。皆さんの温かい想いをもらって、今かなり調子が良いですから」
指輪を月にかざすと、嵌められた宝石が青白く綺麗に輝いた。
「私がここにいる間は、ちょっとした事故でも……人を死なせたくありませんからね」
:セイラ
レベルが高いから物理で殴った方が早い系魔法少女。
変身すると黒ギャルから白ギャルになる。
集落のみんなは好きだけど退屈っちゃ退屈。
:ルーヤン
お料理大好きな原始人の女の子。
どんなものでも肉が残っているなら調理しようとする。
エーテルのナイフであらゆる肉塊を手早く解体する。
:ミリコ
ダンスが得意な原始人の女の子。
エーテルの力で自由自在に跳ね回り、ダイナミックな踊りを披露してくれる。
自分の踊りが好きすぎて曲の方がダンスに合わせろと言うタイプ。