オリジン・リフレクション   作:ジェームズ・リッチマン

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帝舞台の方がソシャゲに向いてると思う…思わない?


レッツガールズトーク

 

 フレネルネキは、私の想像よりもずっと大人びた容姿をしていた。学生というより大学生と言った方がしっくりくるだろう。

 そのせいで先ほど変な男たちに絡まれていたのかもしれない。発育が良いってのも厄介な面はあるわね……。

 

「フレネルさんが思っていたより陰キャっぽくない見た目で意外でした」

「……なにそれ。私のことなんだと思ってたわけ?」

「もっと分厚い眼鏡かけて、髪とかも手入れなしでボサボサなイメージがありました」

「失礼なイメージを持たれてたってのは伝わった。……私としては、セイラの見た目の方が驚きなんだけど」

「あー、だよな。後から見た目を知るとびっくりするタイプだよなー、こいつ」

「私も言わんとしてることはわかりますけどね」

 

 三人で灯台下からの景色を眺めつつ、雑談に興じている。

 場所を移動しても良かったけど、こうして見晴らしのいい観光スポットにいるのだ。一緒に駄弁るにはなかなか悪くなかった。

 

「……それより、さ。私の名前、フレネルじゃなくて伶那って呼んでくれると助かるんだけど。なんだかリアルでハンドルネームで呼ばれるの、違和感があるっていうか」

「伶那か、良いぜ。あたしも漬桃石じゃなくて百って呼んでくれよな。そっちのが慣れてるし」

「モモさんね。ハンドルネームに名前が入ってるんだ。……改めまして、宮内 伶那です。よろしく……」

「おう、田辺 百だ。よろしくな!」

「私は各務原 星藍です。よろしくお願いします」

「こっちはもっとそのまんまだった……」

 

 フレネル改めて宮内 伶那さんである。せっかく自己紹介したので、お互いにフリスペを登録しておいた。

 友達増えて嬉しい……ウレシイ……。

 

「この場所で二人が来るのを待ってたけどさ。……私が思ってたよりなんか、全然違う人が来て驚いた」

「そうか?」

「田辺さんは……」

「百でいいって」

「百さんは、なんか……レディースみたいな感じだし」

「お、よくわかってんじゃん。似たようなもんだよ」

「ほ、本物なんだ……」

「ああでも怖がらないでくれよ。大丈夫、あたしのことは少し歳が離れてるだけの友達だと思っていいよ」

「……各務原さんは、ギャルだし」

「私は生まれた時からギャルみたいなところがありますからね」

「どんなギャル?」

 

 実際生まれた時点でギャルだったので仕方ない。

 

「それより、せっかく集まったんですからご飯にしませんか。伶那さんは地元なのでご飯美味しいところ知ってますよね?」

「お、いいな。けど生魚は勘弁してくれぇ。今日はもう見たくねぇ」

「ご飯ね、うん。いくつか知ってるから案内する」

「あっそうだ。伶那さんは親御さんに行き先伝えてますか?」

「大丈夫。すぐそこの灯台記念館でお父さんが働いてるから、友達と一緒に行くって声かければ平気……」

 

 伶那さんが私達二人を見比べた。

 

「……だと思う」

「なんだよ。そんなにあたしらが一緒じゃまずいのか」

「真面目な娘がある日突然スケバンと黒ギャルと付き合い始めたら私なら気が気でないですね」

「スケバンじゃねーって!」

 

 それから灯台近くの古い記念館へ入り、伶那さんのお父さんに挨拶しておいた。

 私と百さんの姿を見てかなり呆然としていたが、伶那さんがそれなりにちゃんとした付き合いがあることを説明し、そして私がそれなりに丁寧な口調で真面目に応対すると半信半疑そうに許可してくれた。まぁ心配になるのはすごいわかるわ。行き先と時間はちゃんと守るから安心してくれ……。

 

 

 

「その道を真っ直ぐ。二つ目の信号を右ね」

「はい。百さん、聞こえましたか?」

『二つ目の信号を右な、聞こえてるよ。あたしはそっちの車についていくだけだから』

 

 伶那さんを車に乗せてドライブだ。目的のイタリアンはこの辺りにしてはなかなか洒落た雰囲気で美味しいらしい。なかなかオフ会らしくなってきましたねぇ! 

 

「百さんがいまだに原作アニメ見てくれないんですよね」

「え、まだ見てないの? ゲームやってるのにそれじゃもったいなくない? 前のイベントとかそれだと何もわからないじゃん」

『あたしメインストーリーは見てるけどイベントのストーリーはスキップしちゃうんだよな』

「は?」

「は?」

『な、なんだよ。別に良いだろ。なんか厄介なのが一人増えたな……』

「これは今日本編の上映会ですね」

「私の部屋で鑑賞しよう」

『えー、マジかぁ』

 

 リアルの名前などを教え合ったりはしたものの、繋がりはゲームだ。自然と話はみんなでやってるゲームが中心になる。

 ブル穴もいいけど普通のブルクリもいいぞ。

 百さんはちょっと興味なさげだけど、大丈夫。五話まで見れば完全に引き込まれるから……。

 

 

 

 イタリアンに着いても私たちの話の内容は変わらない。

 というより、伶那さんがブル穴についてよく喋るのだ。今まで語れる相手がいなくて飢えてたのかもしれない。

 

「……あ、香織さんからメッセージ来てます。“アタシも行きたかった”ですって」

「香織を一人だけ除け者にする形になっちゃったもんね……誘えばよかったのかな」

「最近忙しそうにしてたんだろ? 誘うタイミングがないならしょうがねーよ」

 

 三人でデカいペスカトーレを食べつつ、ここにいないもう一人のメンバーについて駄弁る。

 というかさっきまで魚介は嫌と言っておきながら普通にペスカトーレ食ってるし。いやけど生とは違うからなこれ。ペスカトーレならいける。

 

「香織は部活に打ち込んでるみたいだし、今はそっちに集中したいんじゃないかな。私も、香織ほどじゃないけど今が結構大事な時期だし」

「伶那さんは新体操ですよね。大会とかですか?」

「うん。まあ、大した規模ではないんだけど」

「新体操かー、あたし全然わっかんねぇなぁ。リボンひゅるひゅるしたり、ボール使ったりバトン投げたりするんだろ?」

「大体合ってる。私はフープが好きだけどね」

「フラフープみてーなやつか。あとは、開脚もすっげー開かなきゃ駄目なんだろ?」

「うん。開脚は180度できるように目指さないと競技では厳しいから」

「伶那さんもできるんですか?」

「できる。毎日しっかり練習してるよ。やらないと身体が錆びつくし」

「……はぁー……すげぇな、伶那は」

「別に、すごいってほどでもないけど」

 

 私もやろうと思えばできそうなのは言わない方がよさそうだ。

 

「私より、田辺さんの話も聞きたい。田辺さんは学校で何部に入ってるの?」

「うえっ、あたしかよ。あたしは良いだろ……別に何も部活入ってないし」

「部活はいいものですよ。百さんも入ってみては」

「良いってば。……そんなことしてるより、あたしは勉強の方が不味いからな……」

 

 別に帰宅部なのは不思議でもなんでもなかったけど、百さんが勉強に対して危機感を抱いているっぽいのはちょっと意外だった。

 百さんくらいの人だと学校なんて中退してナンボくらいに思ってるんじゃないかと……。

 

「見るからに勉強苦手そうだもんね」

「そうだよ。悪いかよ」

「悪いでしょ」

「ぐっ……はっきり言いやがるなぁ、伶那お前」

「百さんはどこがわからないんですか? って聞き方をしても多分あれですよね。“全部”とか“どこがわからないのかわからない”ってやつですよね」

「星藍、あたしのことよくわかってるじゃねーか」

「開き直りすぎた無知の知ですね……まるで馬鹿のソクラテスみてぇだぁ」

「……躓いてる初歩があるなら、私でも教えられるから聞きなよ」

「……年下に教わるのかぁ」

「別に、いつ誰から勉強するかなんて関係ないんじゃない。それに、私も復習になるから無駄にはならないし」

 

 百さんは情けなさそうに顔を歪め、ややあって堪えるような顔になり……頷いた。

 

「……じゃあ、ちょっとだけ頼んで良い? あたしマジで馬鹿だけど」

「うん。いつでも良いよ。フリスペがあれば勉強のやり取りも簡単にできるだろうしね」

「ありがとう、伶那。……あたしの周り、こういうの相談できる相手がいないから助かるわ」

「私も二人の勉強見てあげますよ」

「……各務原さんは勉強できるの?」

「そりゃ余裕ですよ。全科目大学の範囲まで網羅してます」

「よくわかんねーけどすごいことはわかった」

 

 私の基礎スペックの高さを舐めてはいけない。

 伊達に古代人のリーダーやってないすからね。頭もよくなきゃできないよあんなの。

 

「じゃあ早速伶那さんの部屋に行って必修科目から勉強しますか」

「まじか! バイトの後は勉強会かよ」

「必修科目、ね。……ふふっ」

「ええ。大事なものは頭に叩き込みませんと」

「……あっ! お前らあたしにブルークリスタリアのアニメ見せるつもりだろ!」

 

 チッ、勘付かれたか。

 構わねえ、無理やり上映会見せちまえ! 

 

 




:各務原 星藍
頭脳に関してもなかなかスペックの高いリフレクター。
ペスカトーレうめ…うめ…。

:田辺 百
仕事終わりのご飯が美味しくて気分が良いヤンキー少女。
勉強できないことを年下に打ち明けるのは少し恥ずかしい。
しかし、はっきり言ってくれる伶那なことをいい奴だなと気に入っている。

:宮内 伶那
オフ会に来たら黒ギャルとスケバンが来て困惑している少女。
属性を羅列していくと盛りすぎでちょっと面白いキャラ。
星藍の運転する車がほのかに煙草臭くて不安が強まったのは内緒。
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