オリジン・リフレクション   作:ジェームズ・リッチマン

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過去の伶那さんの年齢に若干ブレがあったので修正しました


白ギャルに缶蹴りされたい気分や!

 

 月ノ宮は以前から治安が悪く、それに比して人のフラグメントも暴走しがちだった。

 その点、星ノ宮は比較的安定していたので手もかからなかったのだが、近頃はよりエーテルの環境が変化したためか、想いを不安定にしている人が増えたように思う。

 

 身内の不幸、恋愛の苦悩、勉学の失敗……年頃の子たちの苦しみは多く、尽きない。

 

「ファースト・ピアッサー!」

「ピギィ」

 

 それでもリフレクターにできるのは一人一人への対処だけ。

 コモンへリープしてモンスターをしばいてフラグメントを固定して終わり! 平定! 

 

「Foo〜↑ 気持ち良い〜」

「あ……あれ? 私……」

「どうしました? 少しふらついているようでしたけど」

「え? い、いえ。なんでもないです。ありがとうございます。それじゃ……」

「お大事に」

 

 星ノ宮女子校の近くで暴走していた子を正気に戻し終えた。

 車に戻り、コーヒーを飲む。うーん……仕事後の一杯はやっぱりウマイ! 

 

 今日はDAT IS GODのメンバーと一緒にバーベキューへ赴く日だ。

 私はここで百さんと香織さんを待っている。トランクにはデカいクーラーボックスに大量の肉が詰まっている。みんなこの手のジビエ肉にあまり乗り気じゃないけど、下味を付けたり色々工夫は凝らしてあるので食べた時が楽しみですねぇ! 

 

「おーい星藍」

「百さん、オッスオッス」

「おっす。遅れてわりーな」

「いえ全然」

 

 百さんがバイクでやってきた。月ノ宮で合流でも良かったのにここまで走ってきてくれたのだ。

 本当に走り屋気質だよなぁと思う。私自身はそこまで頻繁に車やバイクで流したりしたいタイプではないんだけども。

 

「ここにくるまでにフラグメントを暴走させてる人がいてさ。その人を安全な場所まで運ぶのに時間が掛かっちまったんだ」

「おや、百さんもですか。お疲れ様です」

「そっちも?」

「はい、ちょうど先ほど一人を」

「マジか。この街も大変だなぁ」

「そうなんですよね。月ノ宮ほどではないにせよ……」

「やー。大変な仕事だよほんと。やりがいはあるけどさ」

「百さんのおかげで本当に助かってます。ありがとうございます」

「いいっていいって。あたしも良いバイトになってるしさ」

 

 リフレクターとしての活動は決して楽ではないはずだが、百さんは学校と両立してなお生き生きとしていた。

 ちょっと前に百さんのお祖母さんが出所不明の百さんのお小遣いについて「やましいことしてるんじゃないだろうね」と詰め寄ったりして一悶着あったそうだが、今ではなんとかそれも笑い話になっている。

 

「ねえ、間違ってたらごめんなんだけど」

「おっ?」

 

 私と百さんが談笑していると、一人の女の子が声をかけてきた。

 

「ここで待ち合わせしてる百で合ってる?」

「おー、そうそう、あたし百だよ。てことは、香織?」

「うん」

 

 声をかけてきたのはなんと香織さんであった。

 160cmほどの身長。明るく染めた髪。カーディガンにミニスカート。

 なんと白ギャルである。やるねぇボウヤ……。

 

 しかし、思っていた以上に大人びている姿でちょっと驚いてしまった。

 

「香織さん、オッスオッス。はじめまして、私が星藍です」

「……うわ」

「あっははは、やっぱ驚いてら」

「うわって言われましたよ私」

「いやごめん。うん、ちょっと意外で驚いた」

 

 方向性としては私も香織さんも同じ感じなのに驚くことないじゃん。

 

「とりあえず、三人揃いましたし移動を始めましょうか? 」

「おう、行こうぜ。伶那が腹空かせて待ってるだろうしな」

「そういうキャラじゃなくない?」

 

 というわけで、私達は海に向けて出発することになった。

 イクゾー! デッデッデデデデッ

 

 

 

『しっかし、あたしも背は高いつもりでいたけどさぁ。なんか香織もそこそこ高さあるよな』

「うん。最近あまり伸びなくなったけどね」

『マジかー。育ち盛りだ』

「これ以上伸びると服選ぶのダルいからいらないけどね」

『わかるわ』

 

 通話しながらの運転も、三人揃っていれば話すことも多くてなかなか楽しいな。

 香織さんは私たちの中で一番年下で、かなり大人っぽいにも関わらずまだ中学三年生なのだという。部活にも区切りがつき、今では受験勉強とゲームに時間を費やすインドア生活に移行したようである。

 今もちょくちょくスマホを取り出しては、何か私の知らないソシャゲをプレイしている。

 

「星藍はもっと高いよね。何センチあるの?」

「175cmとかですかね。前に測ってもらった時はそんな感じでしたよ」

『たけー』

「何人?」

「ピテカントロプス人です」

『それあたしも聞いたやつだ。どこの誰だよピテカントロプス人』

「ていうか、星藍ってどっかで見たことあるんだけど。前にモデルやってなかった?」

 

 おや。香織さん随分鋭いというか、知ってるのか。

 もはや結構前の話なんだけどな。

 

『モデル? 星藍モデルやってたの?』

「Aliceって名前の凄く綺麗なモデルが何年か前にバズっててさ。ファッションの話だと今でもちょくちょくその話題になったりするんだよ」

「マジですか」

 

 私とネットの棲息圏が違い過ぎてあまりそういう噂はキャッチできなかったな……。

 

「運転しながらの操作は良くないんですけど……えーと、ああ、これこれ。はい、この画像ですよね?」

「あっ、そうそうこれ! ……メイクと服の雰囲気は全然違うけど、やっぱ同じだよね?」

「はい、前に撮影してもらった時の画像ですよ。モデルというか、この時だけのやつなんですけどね」

『おいおい二人して何見てんだよ! 気になるだろ! あたしにも見せろって!』

「ちなみに他にもおふざけで撮った写真もあるんですよ、これとか」

「ギャルピじゃん。Aliceがギャルピしてるんだけど。ウケる」

『なあ見せろよー、気になるだろぉ』

「香織さんや百さんもこういう撮影で映えそうな感じしますけどね」

「そう?」

『いやあたしは良いんだよ。見せろってー』

 

 百さんのわがままにお応えして、近くのICで休憩することになりましたとさ。

 私のモデル画像を見た百さんはなんかすげーとか言っていた。ボキャ貧すぎる。

 

 

 

「まさか星藍がAliceだったなんてね。本当にビックリした」

「香織さんが驚いたのはそういうことだったんですね」

「流暢な日本語喋ってるのも驚いたよ」

『ピテカントロプス人ってのはすげーな』

「逆に私英語とか全然駄目ですからね。読んだりリスニングはできますけど」

『できそうな見た目してんのになー』

「人は見た目じゃわかんないってことでしょ」

『そりゃそうだ』

 

 高速を適度な時速で飛ばしていると、ようやく海が見えてきた。

 う〜ん良い景色だぁ……。

 

「海だ」

『良いねー。やっぱあたしこの道好きだわ』

「百さん海好きですよね」

『そりゃみんな海は好きだろ。なぁ香織?』

「え、まぁそこそこ?」

『反応薄いなおい』

「今の時期はさすがに海に入るのは肌寒くて無理でしょうね。もう秋です」

 

 秋……そう、秋だ。

 これから冬が来て春が来て…………きっとその頃になると、おそらく……原種がやってくる。ダアトさんはそういった見立てを立てていた。

 

 百万年前にも行われた、世界の管理者を定める原種たちの戦い。それに人間達が巻き込まれるのだ。

 

「来年はアタシも高校生か……めんどくさ」

『勉強はもっと厳しくなるんだろうなー……考えたくねー』

「学生の本分は勉強ですから、お二人とも頑張ってください」

『星藍はもう高校卒業してる歳だから気楽で良いよなぁ』

「星藍何歳なの?」

「私は17歳ですよ」

『は? それあたしと会った時くらいの年齢だろ。あたしより歳上のはずだろ』

「私は永遠の17歳ですから」

『は?』

「……じゃあ17歳ってことにしておく」

「そうしてください」

『そうはなんねーだろ』

 

 あ、向こう着くまでに追加の食材とか色々買っておかなくちゃ。

 

 




:各務原 星藍
今回を機に色々と情報を騙して正式な免許証を獲得したリフレクター。
スピードを出すよりも安全運転する方が好み。
切実に個人用のちゃんとした銀行口座が欲しい。

:田辺 百
月ノ宮をメインに活動するリフレクター。
純正品のバイクのパーツを買って少し機嫌がいい。
もう留年したくない。

:三井 香織
長身でスラッとした白ギャルっぽい中学三年生。
最近まで陸上部として活動していたが、夏を終えて引退した。
スマートフォン向けのゲームが好き。

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