転生したらアウラだった件   作:ちゅーに菌

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番外編です。また、楽しんでいただければ幸いです。




アウラの平日

 

 

 

 

 

 

――5:00――

 

 

 

 

 

「ん……ふぁ…………」

 

 家の中でいつもアウラは誰よりも早く起床する。

 

 元々、人間より遥かに優れた身体を持ち、夜間にも対応している魔族なため、長期間睡眠を取らずとも特に問題はないが、4〜5時間程度の睡眠はしているのである。

 

「………………すー……」

 

「………………」

 

 また、最近は一緒に夫の部屋で就寝しているため、彼を起こさないように音もなく迅速にベッドから抜け出した。

 

 

 

 

 

――5:30――

 

 

 

 

 

Chipi(ちゅぴ) chipi(ちゅぴ) chapa(ちゃぱ) chapa(ちゃぱ)

 Dubi(どぅび) dubi(どぅび) daba(ちゃぱ) daba(ちゃぱ)

 Mágico mi(まじ・かる) dubi(どぅび) dubi(どぅび)

 Bum,(ぶーん) bum,(ぶーん) bum,(ぶーん) bum〜♪(ぶーーん)

 

 起床して直ぐにアウラは、魔法であらゆるものを浮かしつつ通常の魔法には必要ない筈の呪文や呪詛の類いのような何かを吐きながら無表情で朝食の下拵えを行う。

 

 包丁だけは絶対に手に持って料理をしている辺り、魔族として何らかのプライドがあるのかも知れない。

 

 その後、掃除や洗濯などの家事を魔法を用いながら人智を超えた速度で粗方終わらせてしまうのだ。

 

 

 

 

 

――6:30――

 

 

 

 

 

「………………」

 

「すー……すー……」

 

 アウラは夫のベッドサイドに立ち、何をする訳でもなくその寝顔をずっと見つめていた。

 

 

 

 

 

――7:00――

 

 

 

 

 

「朝よ、起きなさい」

 

「……んが……? ああ、おはようアウラ」

 

「はい、おはようございます。それで? 人間の妻だったなら何かすることはないかしら?」

 

 いつの間にか、夫の腕の中に収まる形で寝そべっているアウラが彼を起こし、そのような問いを行う。

 

「…………んっ……」

 

 それに従って夫がアウラに口付けをすると、アウラは無言でぷるぷると少し震え、"まあ、そんなものね"とだけ呟くとアウレリアとフリーレンを起こしにベッドから出るのであった。

 

 

 

 

 

――7:10――

 

 

 

 

 

「すかー、むにゃむにゃ……」

 

「………………」

 

 アウレリアを起こした後、アウラは自身の部屋かつ自身のベッドで寝ているフリーレンを見下ろす。彼女は寝たときと身体の上下が逆になっており、また寝落ちしたのか枕元には読み掛けの魔導書が転がっていた。

 

「は……?」

 

 部屋を眺めると机の上にある皿にカラカラになった果物の皮のゴミが積まれっぱなしになっていることに目が向く。

 

「は……?」

 

 そして、アウラの魔導書の棚から大量の魔導書が抜き取られて部屋中に散乱し、更にフリーレンが持っていた古い魔導書が腐らないように虫干ししていたモノと混ぜこぜになっていることも見て取れる。

 

「やめてよぉ……」

 

「………………」

 

 アウラは無言でフリーレンをパシパシと軽く片手で叩いて起こす。

 

 そして、起こされたフリーレンは眠気眼を擦りつつもアウラを視界に入れると、何処か壁を1枚挟んだ夫の寝室方向を一瞥してから頬を少し染めてポツリと呟いた。

 

「アウラはえっちだ……」

 

「お前、いい度胸じゃんね」

 

 開口一番に煽り散らされたことで、怒りの感情は持つ魔族であるアウラは無表情で青筋を立ててキレ散らかした。

 

 

 

 

 

――7:15――

 

 

 

 

 

「果物の皮のゴミは干枯らびる前に捨てろって、私言ったわよね?」

 

「はい……」

 

「それと散らかした私の本棚と虫干ししたお前の魔導書を片付けとけって1週間前から言っていたわよね?」

 

「はい……」

 

 数分後、そこにはしおしおになったフリーレンと、それを叱るアウラの姿があった。

 

 基本的に自身の非は一切認めないメスガキ気質なフリーレンであるが、魔族らしく正論で淡々と殴り付けてくるアウラには弱いのである。

 

「お母さん、フリーレン様も悪気があったわけじゃないんですよ!」

 

「そーだ、そーだ」

 

「元々、そういう風にしか生きられない生き物ですからより可愛らしいんです!!」

 

「………………アウレリア。後、2回それ言ったら、もうぎゅってさせてあげない」

 

「え……? 死ねってことですか?」

 

 いつの間にか、アウラとフリーレンの間に湧いていたアウレリアが私情100%で止めに入ったが、逆にフリーレンからカウンターパンチを貰うのもいつものことであった。

 

 

 

 

 

――7:55――

 

 

 

 

 

「ハァハァ……フリーレン様ぁ……。ぎゅってしていいですか?」

 

「んー? いいよ」

 

「あぁ、ああ! 堪らない……!」

 

 食後、アウラが仕事場へ行くために自作の魔道具や魔法薬などの準備をし、ペットのミミックの上位種に餌をやっていると、フリーレンを抱き締めてスリスリと身体を引っ付けているアウレリアが視界に映った。

 

「お母さんフリーレン様(これ)ください……!!」

 

「もう家にあるじゃない」

 

「アウレリアは甘えん坊さんだね」

 

 ちなみにアウラは自宅から村の中心にあり、夫も働いている村役場に職場を移したため、魔法で製作した物や魔法素材などを毎日部屋から見繕って持って行っているのである。

 

 

 

 

 

――8:00――

 

 

 

 

 

「フリーレン、いくら田舎だからって外に出るなら戸締まりは確りね。それと幾らお腹が空いたからって食材をそのまま齧らないこと。おやつと作り置きは食べていいし、お金は渡してるんだから外で食べてきなさい。ああ、日が陰ってきたら洗濯物はアウレリアと取り込んでおいてね? 今日は白系の日でトランクに押し込んでた奴も洗ったからお前の服ばっかりだしね。それから商隊が来てるけれど無駄遣いはほどほどにすること。止めろとはもう言わないし、言うのも諦めたけれど、せめて魔法素材のストック以外の理由で、既にある用途の魔道具なんかを幾つも買うのは止めて。無駄に嵩張るのよ。後、アウレリアが常人より遥かに強靭でなんでも言うこと聞くからって人間的に無茶なことは頼まないこと。突然村娘が2〜3週間も村から消えるのはただの事件なのよ。それに――」

 

「そんなに言わなくても大丈夫だよ」

 

「今までだいじょばなかったことを言ってるんじゃない」

 

 自宅の玄関にて、アウラは"後、お前がした口答えの返しよ"とややうんざりした様子で半眼になりながら見つめ返してくるフリーレンに言葉を吐く。

 

 そして、玄関に置いてある櫛でフリーレンの髪を梳いて整えると、既に支度を終えて玄関の外で待っている夫のところへ歩き出す。

 

「じゃあ、行ってくるわね。鍵は締めておいてくれる?」

 

「はいはい、わかったよ。お母さん」

 

「お母さん言うな」

 

 フリーレンが閉める扉を見つつ小さく溜め息を吐いたアウラは、夫の手を握り、まるで人間の恋人のように繋いでみせるとそのまま村役場へと向かった。

 

 

 

 

 

――8:30――

 

 

 

 

 

「こんにちは、ここは村の便利屋兼魔族の魔法雑貨屋よ。今日は何の用事かしら? 村人とそれ以外で対応が違うのは了承してちょうだいね。魔法薬や魔道具なら相談して貰えればオススメを伝えるわ。値引きはしないわよ。魔物が出たなら場所と特徴を教えて、後で対応するわ。急を要さない依頼があるのなら優先度はこっちで考えるからそこに書いて。依頼料は交渉次第よ。急を要する依頼は受け付けていないわ。村外れにいる居候エルフでも頼りなさい」

 

「ほ、本当に魔族が店を開いている……」

 

 村役場の一角が商店ブースになっており、そこのカウンターにちょこんとアウラは座っていた。ちなみに服装は例の魔族っぽい衣装である。

 

 また、村役場の一角とは思えないほどやたら物々しい雰囲気かつガチな魔法雑貨屋であり、魔法使いなら誰しも目を輝かせるような場所でもあった。

 

「しかし、人間の村で働いてる魔族など大した魔法使いではないのでは――」

 

「おい、そこの木っ端魔法使い。貴様、今なんて言った……?」

 

「えっ……?」

 

「表に出なさい。ここじゃモノが壊れる」

 

「えっ、あっ……えっと……ごめんなさ――」

 

 尚、魔族なので魔法についての侮辱は禁句である。

 

 魔法使いの冒険者は数秒で正面から自身の魔法を砕かれて半殺しにされた。

 

 

 

 

 

――12:30――

 

 

 

 

「………………(バリバリボリボリ)」

 

「つっよ……!」

 

「ば、化け物……」

 

「私が悪かったと言ったのですが……」

 

 アウラは午前中に発生した魔法使いの冒険者のクレーム対応の事後処理に追われ、その件でいちゃもんをつけてきた魔法使いの仲間たちを半殺しにしつつ昼食を取っていた。

 

 ちなみにアウラが食べているのは、ふと思い立ったときに何故か大量にフリーレンが作り、ドヤ顔で"いっぱい作ったから食べていいからね?"等と言って来た指輪物語のレンバスのような旅行用食糧らしい。

 

 尚、味は普通だが焼き菓子のように硬い。後、50kgぐらい家にある。

 

 

 

 

 

――13:30――

 

 

 

 

 

「アウラ〜!」

 

「さんを付けなさいよデコ助小僧。それでどうしたの?」

 

「家を掃除してたら"メダル"出て来たからあげる!」

 

「――――!」

 

 

 

 

 

「婆さんや飯はまだかいのう……?」

 

「アイテム屋のお爺ちゃん。ここは村役場だし、息子夫婦が探してたわよ? それにお婆さんはもういないじゃない」

 

「そうだったかのう……婆さんや。それは……寂しいのう」

 

「…………。ええ、お爺さん。じゃあ、家まで帰りましょうか。今日は何が食べたいの?」

 

「おお、そうじゃのう婆さん。それなら儂は――」

 

 

 

 

 

 

「あの、暗黒竜の角ってありますか……?」

 

「あるわよ。ほら」

 

「……わぁ、スゴい! あんな高いところを飛んでるのをよく倒せますね」

 

「まあ、視界に入った奴をアゼり落としてるだけだけどね。そこそこ見掛けるし」

 

「………………?」

 

 

 

 

 

「アウラさん……。武器屋のあの娘が好きなんですがどうしたらいいですか?」

 

「感情の欠落した魔族に恋愛相談なんかするんじゃないわよ。というか、その娘なら明らかにあなたに気があるからとりあえず告白したら付き合えると思うわよ?」

 

「本当ですかアウラさん!? ありがとうございますッ!」

 

「…………? まあ、別になんでもいいけど」

 

 

 

 

 

「アウラ、お腹すいた」

 

「あぁあああ゛あ゛あ゛あ゛――!」

 

 

 

 

 

――19:00――

 

 

 

 

 

「アウラ、ゲームをしよう」

 

「ふーん……。それがさっき所持金を全部叩いて買った魔道具ね」

 

 アウラの仕事が終わり、家族での食事も終わった後、自宅のアウラの部屋にて、ドヤ顔でボードゲームを広げているフリーレンをアウラは半眼で眺める。

 

 それはどう見ても現代の玩具屋で売っていそうな普通のオセロに見えるものだった。

 

「スゴいんだよこれ。魔法で駒が盤面にくっつくんだ」

 

「…………。まあ、確かにスゴいわね」

 

 磁石の力を使わずに魔法でくっついているのだから確かに珍品であろう。

 

「折角買ったから遊ぼうよ。私、リバーシは得意なんだ」

 

「別にいいけど……。たぶん、私が勝つわよ?」

 

「む、やる前から挑戦的だね」

 

「いや、事実だし」

 

 アウラが淡々と当然のように言い、それを聞いたフリーレンは鼻を鳴らす。

 

 

「ふふん、私は500年以上生きたエルフだよ?」

 

 

 そして、フリーレンは白の面を向けてひとつ駒をもち、もう片方の手を腰に当てながらそう高らかに宣言するのだった。

 

 

 

 

 

――19:10――

 

 

 

 

「わァ…………ぁ……」

 

「まあ、そうでしょうね」

 

 10分後、そこには魔族によって全面を黒にされた500年以上生きたエルフの姿があった。

 

「魔族と人間じゃ、脳の構造レベルで魔族の方が遥かに優れてるんだから当たり前でしょうが。運の絡まないゲームで人間が魔族に勝てるわけないじゃない」

 

 "電卓とパソコンぐらい違うわね"とアウラは、誰に言うまでもなく呟く。

 

「それに私は彼と結婚しなければ、七崩賢の断頭台のアウラで、お前に殺されていた魔族よ?」

 

「おのれ、極悪魔族……」

 

「魔族に悪意という感情はないわ」

 

 そんな冗談交じりの言葉を吐きつつ、アウラはフリーレンのオセロ相手に夫やアウレリアを呼ぶのであった。

 

 

 

 

 

――20:30――

 

 

 

 

 

 かぽーん

 

「………………」

 

「………………」

 

 アウラとフリーレンは2人で風呂に入り、湯船に浸かっていた。急速に発展中の村の村長の家というだけはあり、設備は非常に整っている。

 

「アウラ……」

 

「なによ、フリーレン?」

 

「村に温泉って引けないのかな?」

 

「流石にそれを命令して来たら私は自害するわよ?」

 

「ならダメかぁ」

 

 

 

 

 

――22:30――

 

 

 

 

「――♪ ――――♪」

 

「お前、そろそろ寝なさいよね」

 

「えー、今いいところなのに」

 

「子供みたいなこと言ってんじゃないわよ」

 

 ちなみに村には、日中外に置いておくと大気中の魔力や光を効率よく集めて蓄積し、起動すると発光するランプというアウラが製作した魔道具が配られているため、村人は全体的に夜が長めである。

 

 

 

 

 

――23:30――

 

 

 

 

 

「………………(もぞもぞ)」

 

 フリーレンが寝静まったのを確認したアウラは、夫が横になっているベッドに入り込む。決して広くはないベッドに滑り込むように入り、彼と並ぶと動きを止め、魔法を使った。

 

「…………? ああ、アウラ。今日もするの?」

 

「ん……」

 

 魔法で彼を覚醒させ、無表情でそれだけ呟いたアウラは、布団を引っ剥がし彼に乗るように抱き着く。

 

 更にアウラの服装が寝間着姿から貴族の使用人の服装(メイド服)のような装いに変わる。自身の魔力で衣服を作っている魔族はこのように服装は自由自在なのだ。

 

「ねぇ、あなた」

 

「どうしたんだいアウラ?」

 

「……もうひとり欲しいわ」

 

「そうか、ならアウラの好きなようにしようか」

 

 そして、どちらからというわけでもなく互いに口付けを交わす。

 

 

 夜は益々更けていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――24:30――

 

 

 

 

 

『――――! ――!(ギシギシ)』

 

「………………寝ておけばよかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 







〜 魔族のいる村で戦える時期限定ボス 〜

◯魔導雑貨商人アウラ
 魔族のいる村の村役場で"魔族のアウラ"に魔法への悪口を言うを選ぶと戦える連戦ボスの第一形態。主に人間の魔法と店売りの剣を用いて戦闘する。


◯魔法使いアウラ
 魔導雑貨商人アウラの体力を40%削ると突入する第二形態。大鎌を廻す魔法(シュピラーレ)を用いて来る。


◯心折れたフリーレン
◯エルフの従者アウラ
 魔法使いアウラを倒すと現れる"心折れたフリーレン"を交えた2体ボスの第三形態。"エルフの従者アウラ"は前衛で心折れたフリーレンは後衛。
 尚、先に心折れたフリーレンを倒すとムービーを挟み、"断頭台のアウラ"との最終戦となり、先にエルフの従者アウラを倒すと、"葬送のフリーレン"との最終戦になる。


◯断頭台のアウラ
 フリーレンを失い、その弔いのために相手を処刑するか、滅ぼされるまで決して止まらないアウラ。服従させる魔法(アゼリューゼ)を使って来る。


◯葬送のフリーレン
 失ってから彼女が親友だったことに気づき、死力を尽くすフリーレン。



●神話時代のミミック
 村外れの村長の家に押し入ると襲い掛かって来るボス。ドラゴンと同等かそれ以上の体力を持ち、異様に硬く、魔法の効きが極めて悪く、攻撃力が異常に高く、全ての行動が素早く動作が不規則で分かり難く、自動回復持ち。体力を40%削ると"ミミックに食われかけフリーレン"が現れて体力ゲージが出現する。
※先にアウラを倒しておくとミミックに食われかけフリーレンは出現しない

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