転生して雲雀さん!?   作:クルス@アルマゲドン

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ごわめっ!?

 

 

シャワーから上がるとソファーに座っている蒼那にいつの間にか夏美まで座っていた。

シャワーから上がったことに気付いた2人は僕の方に視線を向け、次の瞬間顔を真っ赤に染める。

 

「「恭弥/委員長!なんで上を着てないんですか!?」」

 

「そんな事よりも堕天使の件どうするつもり?」

 

僕は蒼那に質問しながらクローゼットの中から学ランを取り出し、着替えようとする。

 

「あ、手当てしなきゃ。委員長、恥ずかしいですけどまだ服着ないでください」

 

そう言い、夏美が手慣れた手付きで手当てをしていく。

蒼那は夏美をじーっと見ている。

 

「……で、どうするんだい?」

 

「ハッ!す、すみません。……堕天使の件ですが。恭弥、アナタに依頼しても構わないでしょうか」

 

「分かったよ」

 

「委員長、教会に乗り込みに行くんですね!なら、教会の断面図を持っていってください」

 

夏美はどこから取り出しだしたのか手に教会の断面図を持っていた。僕はそれを受け取り、眺める。

 

「今日中に、と言いたい所だけど。風紀委員の仕事もあるから明日で構わないかい?」

 

断面図を見ながら蒼那に言う。

 

「構いません」

 

そう言い残して蒼那は部屋から出て行った。手当てが終わったのか夏美も雑務を始めていた。

 

「夏美、今日と明日分の仕事を全て持ってきて」

 

「はい!分かりました!」

 

少し眠いから夏美が来るまで仮眠でもとるか。ソファーで横に目を閉じる。

 

◇◇◇

 

部屋の扉が開くと同時に僕は目を開いた。

 

「委員長、書類を持ってきました!」

 

「……それじゃあ、机に置いて」

 

僕がそう言うと夏美は、元気のいい返事をして机に書類を置く。

机に向かい仕事を始める。

カリカリとペンの音だけが響く空間の中、夏美は僕の事をジッと見つめている。

 

「……何か用があるの?」

 

「あっ、い、いえ。その……」

 

突然声を掛けられ慌てる夏美。何か言いたげな様子だが中々喋らない。

 

「…あの、委員長!私にも仕事をさせてください!その、2人なら早く終わりますし!」

「ダメ」

 

「あぅ、で、ですが!委員長1人でその量は─────」

 

「僕は君に仕事を任せた筈だよ?」

 

僕がそう言い放つと夏美は頬膨らませうぅ、と唸る。僕は全く気にせずに仕事を進めていく。

 

「…じゃあ、仕事が終われば手伝ってもいいんですね?」

 

「…………ダメ」

 

そう言うと夏美は何やらギャーギャー言ってくるが知ったことではない。

さっさと仕事を終わらせるために手を動かす事だけに集中するのだ。

 

五月蝿くなくなってから数時間。仕事は今日の分を全て終わらせた。

目を瞑り、数秒休む。すると、急ぎ足で此方に向かってくる足音が聞こえてきた。

足音は扉の前で止まり、ドンと勢いよく扉が開かれた。

 

「委員長、任された仕事終わりました。ですから委員長の仕事を手伝わせてください!」

「……ねぇ、キミは静かに扉を開けることが出来ないのかな?」

 

「仕事を下さい!」

 

表情には出してはいないが内心はどうしようか迷っているのだ。夏美にはオーバーワークとも言っていいほどの仕事量を任せている。本当ならば委員長である僕がしなくてはならない、部下の統率。それを夏美に任せきっている。それに加え、僕個人が与えている裏に関する情報収集の仕事。

 

「…キミは仕事のやり過ぎだからダメ」

 

「それなら、委員長の方がやり過ぎです。1日のうち何時間風紀委員の仕事をしているんですか?」

 

「17時間」

 

それに加えて蒼那からの仕事があるとは言わない。言うと面倒な事になる。

 

「17時間!?半日以上もしてるんじゃないですか!?それなのに私が仕事のやり過ぎっておかしくありませんか!?」

 

バンッと机を叩きつけ、僕を睨んでくる。僕はそんな夏美を見ずに書類を終わらせていく。

 

「そもそも、委員長は授業に出ているんですか!?半日以上仕事ばかりしてるってことはおかしくないですか!?」

 

「理事長公認でやっているから問題ないよ」

そんなやり取りをしているうちに学園の完全下校の放送が流れる。

同時に僕は手元にある書類を片付ける。

 

明日の半分くらい終わったかな。

 

そう思い、視線を夏美の方に向けると涙目で頬を膨らませていた。

 

「帰るよ」

 

「ふぇ?ちょっ!?委員長、待ってくださいよ!?結局、仕事をくれないんですかぁ!?」

 

はぁ、と僕は溜め息を尽き、夏美の頭に手を乗せる。夏美は突然の出来事に戸惑い、固まった。

 

「じゃあ、仕事を与えよう」

 

僕がそう言うとパァ~っと表情が明るくなっていく夏美。丁度今思い出した仕事を彼女に任せようと思う。

 

「はい!それで仕事ってなんですか!?」

 

「それは─────────────」

 

夏美に仕事の内容を教え、僕は教会に足を運ぶ。

 

◇◇◇

 

バンッと勢いよく僕は教会の扉を開けた。

 

「おんやぁ~どうしたんでしょうか?こんな夜更けに懺悔でもしに来たんですか?」

 

目の前にいる白髪の神父がそう口にする。

僕はある程度の距離まで近付き無言のまま自然体で立つ。

 

「ん~何武器なんか構えちゃって……もしかして、強盗だったりしちゃいますん~?なら細切れにしても正当防衛で大丈夫ってね!!」

 

ノーモーションからの光の剣での斬りつけ。数メートルの距離を詰めてくる神父。

その速度は普通の人間は速いと感じるが、僕にとっては遅い。

先日戦った曹操の時よりはつまらない。

 

「ナニナニ!構えただけで防戦一方とか!もしかしてビビってる────がぁ!?」

 

「つまらない。悪いけど潰れて貰うよ」

 

鳩尾に一撃。体がくの字になったところに顎に下から上に打ち上げる一撃。空中に浮き上がった所で腹部に抉り込む一撃。

盛大に吹き飛んでいく神父。壁にぶつかり大きな音が教会に響いた。

そして、大量の神父がわらわらと沸き上がってくる。

一人一人を見ていくが先程の神父よりも弱く再び溜め息を尽き、盛大に威圧する。

 

「全員咬み殺してあげる。皆でかかってきなよ?」

 

僕はそう言い、近くにいる神父に殴りかかる。しかし、光の槍によって攻撃を中断した。僕はニヤリと笑い、上を見上げる。

そこには4人の堕天使がいた。

 

「人間、何が目的で此処にいるのかしら?」

リーダーっぽい女堕天使が僕にそう質問してくる。

 

「キミたちが此処で儀式をするって聞いてね」

 

「ッ!?何故貴様のような人間が───ヒィ!?」

 

リーダーっぽい女堕天使が突然震え出す。周りの堕天使及び神父までもが震えている。

理由は僕だ。

 

「儀式だけならどうでも良かったけれどね……けどね、キミたちは僕の学園の生徒を殺したんだ。なら────」

 

『──殺される覚悟があるんだよね?』

 

純粋な殺意を込めて言い放つ。

そこからは一方的な蹂躙が始まった。射程距離が教会全域に至るまで鎖を増殖させる。

逃げようとする者にはロール(ボンゴレ匣)に球針態になってもらい逃げ道を塞ぐ。

堕天使達には蹴り落とし、地を這わせる。

 

「さて、キミたちを殺してもいいんだけど───」

 

「ギヒヒィ隙ありってな!!」

 

後ろから復活したのか白髪の神父が左肩に剣を突き刺していた。

僕は少し顔を歪め、右のトンファーで殴りつける。神父はそれを見越していたのか、既に後ろに下がっていた。

 

「油断したよ。あれだけ痛めつけたのに……ゴキブリ並みの生命力だね」

 

「あーあー、全然堪えてくれてないでヤンスネ。あと、キミにやられてめっちゃめちゃクラクラしてるゾ」

 

「別にキミたち相手に左腕が使えなくても問題ないしね」

 

「うわぁマジっすか。んーまあ、傷を負わせたからいいっか。んじゃあ、オレッちはおさらばさせて貰うよ」

 

「待ちなさいフリード!私を助けなさい!」

「はぁ?バッカじゃないの?無理に決まってるしょ。オレッちはまだ死にたくないし────っとぉ!?アブなっ!?つーことでバイバーイってね!」

 

逃がす気がなかったのだが思ったよりも左肩のダメージが大きかったのか余り威力がでなく、防がれてしまった。

フリードは近くにあったボロボロの神父を僕に投げつけてきながら逃げていった。

 

「………また」

 

逃げられた。先日の曹操と同じ位の怒りが沸き上がってくる。

取りあえず、この怒りの矛先をこのカラス達に向けて晴らそうか。いや、この程度奴らにやっても晴れないか。尤も殺しても再生する奴がいたら僕の怒りを晴らせるんだけどね。

 

「ロールおいで」

 

そう言うと球針態から戻り、僕の下にトコトコと歩いてくる。

僕はロールを拾い上げ、肩に乗せる。

 

「草壁、コレを堕天使の本部に投げ入れてきな。後、この手紙も置いてきてね」

 

僕がそう言うとどこからともなく大柄な体格とリーゼント、学ランが特徴の男が現れた。

「了解です」

 

草壁はそう言うと堕天使及び、教会にいた神父達をぐるぐる巻きにし、影の中に潜っていった。

相変わらず手際良い。

 

「あ、委員長!連れてきましたよー!」

 

教会の奥から金髪のシスター────アーシア・アルジェントの手を引き、歩いてくる夏美。

アーシア・アンジェルトはおどおどしながら歩いている、距離が数メートルになると血相を変えて僕の下へ走ってくる。

 

「ジッとしていてください!直ぐに傷を治しますので!」

 

「余計なお世話だよ」

 

僕はそう言うとアーシアは首を傾げる。もしやと彼女は日本語を理解していないのか?

僕はそう思い、アーシアに幾つか日本語で話しかけるが首を傾げたまま。

そして、何気なく肩の傷を治していくアーシア。

 

……肩の痛みがほぼ無くなっている。彼女の神器か……

 

肩に手を当てながらそう考える。

そんなことよりも、と僕は夏美に視線を向ける。

 

「夏美、彼女にアレを付けさせてないの?」

「へ?アレってなんですか?」

 

僕はその返答に呆れ顔になる。夏美は仕事が出来る。が、ここぞというところでドジを踏む。分かっていたが此処までとは。

 

「まあいいや。取りあえず手元にあるコレを彼女に付けようか」

 

僕はアーシアに近付き、彼女の耳にイヤリングを付ける。このイヤリングはウチの委員の1人が作り出した物であり、全ての言語を理解出来るというものだ。

 

「僕の言葉が理解出来るかい?」

 

「………はっ!?はい!大丈夫です!」

 

「ちょっ!?ちょちょ!委員長!何やってるんですか!?き、キキキスなんて突然!」

 

顔を真っ赤にしている2人。夏美は何か勘違いをしているようだが、別に今構う必要性はない。

 

「アーシア・アンジェルト。キミはどうしてこの教会に呼ばれたか知っているかい?」

 

首を横に振るアーシア。

僕はそれを見て、彼女に今回の堕天使の件の全てを話す。

顔色が悪くなるアーシア。それはそうか知らないところで自分の命が奪われようとしていたと聞けば顔色も悪くなる。

 

「…そう……ですか…」

 

「アーシア・アンジェルト。キミはこれからの行き先はあるのかい?」

 

「……いえ、ありません」

 

「なら、丁度良いね。ウチの学園に来ないかな?勿論、条件付きだけど」

 

「い、委員長、何を言い出してるんですか?そんな勝手に転入なんて出来るわけないじゃないですか」

 

「それなら大丈夫だよ。蒼那に許可は取ってあるし、仮に拒否されても────」

 

 

 

─────理事長である僕が良いと言ってるんだ

 

 

僕がそう言うと夏美は開いた口が塞がらない状況に陥っていた。

 

 

 

 

 




どうも、クルス@アルマゲドンです。

もう少しで今年も終わりです。残りの時間はおそらく私はガキ使を見て腹筋崩壊しているでしょう。



私の作品を読んでくれた方々に感謝して今年の更新を終わりにしたと思います。

読者の皆様ありがとうございました。来年度もどうかよろしくお願いします。

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