雨宮蓮と素晴らしい筋肉   作:鳩胸な鴨

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マッシュル面白かったから筋肉小説を書きたくなった。

続きません(鋼の意志)


なんかムキムキなアルセーヌ

裸の王様が支配する学校という名の城にて。

そこの地下牢に位置する場所にて、青の光と砕けた鎖が迸る。

そこに佇むのは、赤と黒の悪魔。

黒のコートを纏う少年のそばに顕現したそれは、高笑いしながら吹き飛ばされた王と騎士を見下ろす。

ただ一つだけ違和感を述べるとするならば。

 

「………なんか、ムキムキじゃね?」

 

ムキムキだった。

本来目覚めるはずのそれよりもはるかにムキムキだった。

動くたび、びきっ、と筋肉が鳴り響き、周囲に畏怖を齎すくらいにはムキムキだった。

さらに言うなら少年の方もムキムキだった。

制服からはわからなかったが、肌に張り付くようなスーツになった今ならわかる。

素晴らしいキレの筋肉である。

運動神経バツグンを自負する王ですらも若干引くくらいのキレだった。

 

『そ、そいつからやってしまえ!!』

 

多分無理だろうなぁ、と思いつつ、王が騎士に指示を飛ばす。

騎士の体が破裂するとともに出てきたのは、ランタンを持ったかぼちゃ頭の異形。

彼らは半ばヤケクソ気味に少年に襲いかかるが、悲しきかな。

素晴らしい筋肉の前には無力。

青の炎を纏う異形と少年が軽くその頭を掴むと、そのまま握力で握りつぶした。

 

「『えぇ………?』」

「逃げるぞ」

「え?あ…、おう!!」

 

今、筋肉で全てを黙らせるトリックスターが爆誕した。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

雨宮蓮が筋肉に目覚めたキッカケは、両親の心配に歪んだ顔だった。

風邪をこじらせ、生死の境を彷徨っていた彼が朦朧とした意識に見たソレは、彼の生き方を劇的に変えた。

二度と風邪などひくものか。

そう決意した彼は、日夜筋トレに励むようになった。

 

最初こそはまだ常識の範疇だった。

子供らしい背伸びに溢れた、ささやかな無理のない筋トレ。

が、しかし。二度目の風邪が彼の意識を大きく変えた。

 

このままではダメだ。

また風邪をひいてしまう。

ウイルスですら敵わないほどの筋肉を身につけなければ。

そう思い至った結果、彼の筋トレは常軌を逸したものへと変貌した。

そこで悪さを働いたのは、彼の底なしの才能だった。

まるでゲームの主人公のように留まることを知らぬソレは、彼が体をいじめ抜いた分、筋肉のキレをもたらした。

 

だがしかし、どれほど素晴らしい筋肉でも成せないことはある。

ジム帰りに出会した酔っ払いのハゲにより、彼は謂れもない罪を被せられた。

向こうが勝手に転んだだけなのに。

そう主張しても、裁判所が下した「傷害罪」という結果は変わらなかった。

 

「……父さん、母さん、ごめんなさい」

「大丈夫。父さんたちはわかってるさ、お前がそんなことをする人間じゃないって」

「本当にやらかしてたら、あの程度じゃ済まないものね」

「母さん???」

 

「俺はわかってるよ。お前がそんなことする奴じゃないって」

「佐藤…」

「本当にやってたら、リアルアンパンマンの出来上がりだもんな」

「佐藤???」

 

余談だが、彼に近しい人間は薄々、「冤罪だろうな」と勘付いていた。

街の人々が知る彼が築いてきた様々な伝説を挙げれば、そう思うのも無理はない。

曰く、車道に飛び出しかけた女性を庇って、通りがかった車を片手で受け止めた。

曰く、遅刻しそうだったからと十数キロ離れた自宅の窓から校門まで、一回のジャンプでたどり着いた。

曰く、田舎の祖父母の家に出没した熊をワンパンで沈めた。

これ以外にも、暇なく列挙できるほどに盛大にやらかしていたのだ。

彼が怪我をさせたのならば、頭から少し血を出すだけで済むわけがない。

 

閑話休題として。

世間からすれば「前科者」のレッテルを貼られた彼は法律に則り、保護観察処分を受けた。

元いた学校は退学。

受け入れ先の高校として、彼は秀尽学園高校という進学校に通うこととなった。

 

それが筋肉による「鴨志田卓の城」崩壊、ひいては全ての黒幕である神の苦悩の始まりだった。

 

「ようこそ、わたくしのベルベットルーム…」

「ふんっ」

「へ………???」

 

ベルベットルーム。

運命の囚われとなった囚人を閉じ込める監獄と化した、精神と物質の狭間にある空間。

そこに囚人として牢にぶち込まれた彼は、あろうことか筋肉でその檻をひん曲げた。

これには流石の主人…イゴールも困惑した。

ここは精神世界に近い場所。

運命が打破されない限りは絶対に破れない檻だというのに、あろうことかこの男は常軌を逸した筋肉でプリズンブレイクしたのだ。

 

「……ジュスティーヌ。今、何が起きた?」

「……囚人が筋肉でベルベットルームの檻をひん曲げた…、すみません、説明している私でもわけがわかりません」

「えぇ…?怖っ…」

 

看守役の双子もあまりに現実離れした事実に対応できず、ひどく困惑した。

筋肉怖い。そうとしか言えなかった。

このままでは筋肉によって全ての企みが瓦解する。

しかし、この筋肉をイゴールが選んだ以上、もうどうしようもない。

偽物のイゴール…、普遍的無意識の奥底に潜む他責思考が蓄積して生まれた神は、酷く頭を抱えた。

 

『えぇ…?怖っ…』

 

彼に助けを求めた蝶ですらも戦慄した。

コイツを選んでよかったんだろうか。

封じられたイゴールすらも、筋肉を前にそう思わざるを得なかった。

 

これは理不尽なゲームに挑むトリックスターの物語ではない。

理不尽なゲームを理不尽な筋肉でぶち壊す物語である。




雨宮蓮…素晴らしい筋肉で全てを解決する理不尽。ペルソナ全てがムキムキになる。物理反射と耐性を貫通して殴れるとかいうバグ持ち。見た目的にはあまり変化はないが、脱ぐと途端に化ける。地元高校でのあだ名は「リアル範馬勇次郎」。人間ステータスも全てMAXなので隙がない。

ムキムキアルセーヌ…力のステータスがハナから99とかいうバグ。エイハが呪怨属性を纏って顔面パンチとかいう物理攻撃になってる。

偽イゴール…本作屈指の苦労人。筋肉のすごさで心が折れそう。

双子の看守…え?何この囚人。怖っ。

蝶…え?何このトリックスター。怖っ。
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