Dユニット トランスフォーマー:狭間の戦士   作:デ森

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 ついに揃うチームブルー・レッド・ブラック。しかしスカージの悪意はとどまることを知らない。


チームブラック・ホワイト編 第三話

 メガトロンとウルトラマグナスの戦いは熾烈を極めていた。お互い一歩も引くことはない。メガトロンが砲撃を放てばウルトラマグナスも砲撃で応じる。ウルトラマグナスが大剣を振り下ろせば、メガトロンも巨剣ではじき返す。そうした状況が続いたまま、戦況はどちらにも傾くことはなかった。

 

「おぬしのような巨体の持ち主がマトリクスを持っておるとはな!オプティマスはどうしたのだ」

「……我に刃向かうものはすべて壊す」

「まったく話にならんわい!」

 もはやお互いの手の内を知り尽くした両者は自ら攻撃することをやめ、その場から動きはすれど一定の距離を保ったままであった。

 

「トランスフォーム!お待たせしましたああああ!」

  後ろから、物凄い速さで青と銀の残像が突っ込んできた。シルバーストリークである。続けて口々に変身コードを唱え、Dユニットの面々がビークルモードからロボットモードへと変形を始める。

「チームブルー、助太刀に来たんぜぇ!」

「うちのリーダーはいつもそそっかしすぎる」

 ブレーカーとディープカバー。

「うおっ!メガトロンって白いうえになんか翼も生えてるんだな?」

「いいカスタムね!」

「そんなこと言ってる場合じゃないよ……!」

 チームレッド、スピンアウト・ロードレイジ・リフトチケット。

「これで3チーム揃いましたね」

「仕事において重要なのは人員だ」

「ようやく本気で戦えそうだ……」

 チームブラックのロードレンジャー・バーンアウト・ガードが隊列の後方から顔を出した。

「……」

 その時ウルトラマグナスの視線は、Dユニットの9人をとらえる。

 

「おいバーンアウト。ディセプティコンの面々はどこへ?」

 メガトロンは緊張を保った面持ちで、振り向かずに言った。

「ゴールドバグやロディマスの部隊の足止めに対処してくれている」

「そうか……仕方のないことだ」

 

 沈黙を突き破り、ガラスの砕けるような音がした。ウルトラマグナスの後ろに、オプティマスプライムとスカージが空間を突き破って出現する。

 

「っ……!スカージ、オプティマス!?」

 真っ先に奥の二人に気付いたのはスピンアウトである。

「ウルトラマグナスだけじゃねぇのか!」

 シルバーストリークも気づいて叫ぶ。2名と過去に退治したことのある2チームは、とりわけ戦況の不利さに対して緊張感をはしらせていた。

 ロードレンジャーらチームブラックもすぐさま臨戦態勢に移行する。

 

「……!おぬしが噂のスカージとかいうやつだな!」

 メガトロンはスカージに向けて巨剣の切っ先を向けた。

「お初にお目にかけます、破壊大帝メガトロン!いやいや、今はディセプティコン防衛軍指揮官だったかな?」

 スカージの嘲笑うような視線を向けられ、メガトロンが睨み返す。

「メガトロン。この星はもはや私のものだ。ディセプティコンもオートボットの反逆者も異世界からの来訪者も、すべて終わりにしよう」

 オプティマスプライムはメガトロンを諭すように語り掛けるが、メガトロンは聞く耳を持たない。

「オプティマス、貴様この星と心中する気か?歴史すらこの世から葬り去るなど、破滅論者もいいところだ!このワシが、直々に鉄槌をくだしてやる!」

 

 

「相変わらず気性が荒いディセプティコンだなぁ?」

 スカージは退屈そうな顔をしていた。

「相変わらず……?」

 メガトロンが眉を顰める。

「スカージ!貴様何者だ?先ほどから何か知っているような口ぶり。オプティマスと似たその姿。マトリクスも持っているそうじゃないか」

 メガトロンが続けて畳みかける。

「うん?俺か?俺の真の名はネメシスプライム。復讐のプライムだ。これで何のことかわかるよな?」

 スカージの含みのある発言に、メガトロンたちが言葉を詰まらせる。

「ははははははは!じきに俺の言葉の意味が分かる時が来るから焦ることはねぇよ!」

 スカージは興奮して、顔を抑えながら笑いをこらえようとするも、感情の高ぶりが止まることはない。

 笑いの止まらぬスカージが、胸部を開放しマトリクスを露出させた。オプティマスプライム、ウルトラマグナスのマトリクスも共鳴し、マゼンタ、ダークレッド、ライムグリーンの禍々しい光が迸る。

 

「まずい!!あの光、洗脳光線とでもいうのかな。あれを浴びると操り人形になっちまう!みんな伏せろ!」

 そう言いながら、先刻同じ攻撃を受けたばかりのスピンアウトが、地面に飛び伏せる。Dユニットの面々も急いで光から逃れようと動き始めるが、光の届く速度がこの世で最も速いという事実から逃れることはそう容易くはない。

「トランスフォーム!」

 メガトロンも危険を感じ、瞬時にジェットモードに変形して光の届く距離から離脱する。

 

「ふははははははは!また面白いショーの始まりだ!」

 オプティマスとマグナスはまったく顔色一つ変えないが、対照的にスカージの笑いが収まる様子は無かった。

 

「大丈夫か!」

 光の消失を感じて、スピンアウトがあたりを見回した。

「ディープカバー。問題ありません」

「こちらロードレンジャー!異常なしです!」

 呼びかけに応答したのは、スピンアウトのダイブに運よく巻き込まれた二人であった。

「こちらも問題ないぞ、スピンアウト!」

 背面のビルの屋上でメガトロンも返事をした。

 

「アアア……」

 うめき声があたりを埋め尽くす。スピンアウトたちは息を呑んだ。シルバーストリーク、ブレーカー、ロードレイジ、リフトチケット、バーンアウト、ガードは目をマゼンタに光らせこちらににじり寄ってくる。

 

「こんな攻撃、まったくチートすぎるぜ……」

 スピンアウトは頭脳回路がショートしそうな感覚に陥り、頭をかかえた。

「みなさん!僕です!やめてください!」

 ロードレンジャーはブラスターを味方達に向けながら必死に訴える。

「くそっ、この数じゃステルスを使っても抑え込むには多すぎる!」

 ディープカバーはそういいながらも気配を消してその場から走り出すしかなかった。

 

「どうだいオプティマス?またお友達が増えた気分は?」

「これも宇宙統一のため、真の自由のため。こんなことで一喜一憂してなどいられない」

 スカージがオプティマスの首の後ろに手を回し、肩を組む。しかしオプティマスはあくまでも冷静に、目の前の光景を見つめていた。

「いいね~。理想に燃えるその姿……。俺はもうそんなことどうでもいいけどなぁ!ははははは!」

 

 洗脳されたDユニットの面々が、残された三人に襲い掛かる。6対3。スピンアウトも、ディープカバーもロードレンジャーも、苦戦を強いられていた。

 スカージはそんな光景を楽しそうに、観賞している。オプティマスはもちろん、ウルトラマグナスも動く様子は無い。

 

 メガトロンも遠くから同じ光景を見つめて、思うところがあった。これが、世界の縮図である。強い者が弱い者をコントロールし、反逆者を抑え込む。いつの世も変わることはない。だからこそ、自身が強い者になることで世界を変えようとしたのだ。しかしどうだろう。この星を支配していた有権者を倒したところでさらに上位の存在に今脅かされている。己の理想を成し遂げるためには、目の前のマトリクス保持者たちをまとめて消さねば、この世界はいつまでも強さに屈する弱い世界のままだ。

 このままでは時間の問題だろう。彼らには悪いが、融合カノンでこの場を焼き払うほうが早いのではないか、という考えが頭をよぎった。

 

≪メガトロン様、こちらスタースクリーム。応答願います≫

 強い意志のこもった声が、メガトロンの思考を遮った。

「どうだ。オートボットのチンピラは片付いたのか?」

≪はい。今しがた収監を終えたところです。そちらのご様子は?≫

「ご苦労だったな。異世界人たちに恨みはないが、この街ごとオートボットもまとめて消し飛ばそうかと思っていたところだ」

 

 スタースクリームが一瞬、沈黙した。

≪なんですって!?彼らもろとも!?≫

「そうだ。今スカージの洗脳を受けてDユニットの三分の二はオートボットの支配下にある。この戦況を覆すのは彼らには難しいだろう。しかしワシとて9人も相手どれるほどエネルギーが残っておらんわい」

≪そうかもしれませんが……。数が足りないというなら。我々もそちらに向かいます!≫

「馬鹿者!そうやって援軍を呼べば相手はまたワープして逃げるに決まっておるのだ!相手と同じ、数で圧倒する考えではこの戦いは終わらせられんのだぞ!」

≪なるほど……。しかし俺は認めませんよ。Dユニットにだって正義があったはずだ。あんたその意志すら消そうとしているってことをよく考えた方がいいですぜ≫

 無線は一方的に切られてしまった。

「ワシに口答えするなど、偉くなったものだな」

 メガトロンはエネルギーを充填しはじめていた右手の融合カノンを、そっと元に戻した。

 

 

 一方、サイバトロン衛星のDユニット基地。コルドンはデータをモニターに展開しながら語り始めた。

「ウルトラマグナス……。本来の彼には、真の姿がある。白いオプティマスのような姿をした、まるで伝説上のノヴァプライムによく似ているのだよ。強大な力をセーブするための姿、鎧を脱いだノヴァメジャーと呼ばれるものだ。すなわちプライムの歴史には、常に鎧を纏うことを前提としたシステムがつきものということだ」

 

「しかしウルトラマグナスはマトリクスを受け継ぐことは無かった。それは、あくまでもウルトラマグナス自身が、シティコマンダーの役割として鎧のシステムだけを転用して生まれたため、マトリクスのパワーを引き出すことがないようなセキュリティをかけられていたからであるな」

 

「それからダイアクロンの地球に我々のスパークが迷い込み、サイバトロンに帰還した時。それを導いたのは他でもない、我らがマグナコンボイであるが。彼のスパークが宿ったボディには、そのマトリクスと鎧に相当する力が宿っていたのだよ。これはデルタアーマーと呼ばれて、それを見つけたマグナコンボイはデルタマグナスという名を使っていた。これは私とデルタマグナスでしか共有しえない機密事項だ」

 

「そして、デルタマグナスとしての彼にはある使命があった。それはプライマルヴァンガードという組織において、マトリクスを守護するというものだ。マトリクスは複数存在し、地球にもマトリクスは存在した。彼が守護していたのが、そのマトリクスなのだよ。しかしマトリクスはスパークを生み出す力と吸収する力があるといっただろう?何者かがあの地球へと時空をつなげたときに、我々のスパークが迷い込んだのはこの地球のマトリクスが原因だったのだよ……」

 

「な、なぜそれを今思い出したでありますか……?」

 クランプダウンがデータのスキャンを止めて、挙手した。

「わからない……。この情報を開示する必要が出たということは、やはりマグナコンボイを救出する鍵になりうる、ということな気がするのだ。まったく論理的な見解ではないが」

 コルドンは腕を組み、うつむいていた。

 クランプダウンも返す言葉が出ず、沈黙が会議室を満たしていた。

 

「おいおい!スカージ、というかDユニットが向こうで暴れ散らかしてるぜ!このままだと全滅しちまう!」

 モニタールームにいたはずのエグゾーストとバグバイトが会議室へ飛び込んできた。

「なるほど。なら話は早い。すぐに出撃しよう」

 コルドンの足はすでに会議室の外へと向かったいた。

「スカージのつくる時空の穴というのは、まるでインセクティコンの巣のようにそれぞれが繋がっているのだ。すなわち。我々のワープ方法はそれを利用させてもらっているわけだから、彼を追うことは比較的容易いということだ」

 

第三章 第三話 終

 




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