父を訪ねて617光年   作:おーるどあっくす

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再会

 俺たちが見た技研の遺産…IA-02はアイスワームと呼ばれているそうだ。コーラルを守るための抑止力…つまりあの化け物が守る先にコーラルが眠っているのだろう。そのアイスワームと遭遇した通信基地破壊工作の顛末についてスネイルからありがたーいお言葉を頂いたが…そんなことより重要なのは617と彼女のハンドラーが無事に再会出来たという事実だ。

 

 

 

 

 

 現在俺たちはハンドラー・ウォルターの拠点を訪れている。俺たちを迎えたのは杖をついた壮年の男性と617くらいの歳の少女だった。

 

「お久しぶりです、ハンドラー」

 

「あぁ…617 お前を置いて行ってすまなかった」

 

「私の機体反応はアサルトアーマーを使用した事でロストしていました。ハンドラーが死亡したと判断するのは当然です」

 

「ルビコンには…俺を追って来たのか」

 

「はい、イロハに手配してもらいました」

 

「そうか…617への案内、感謝する」

 

『…ルビコンでの傭兵稼業は金になる。彼女を連れて来たのはついでだ』

 

 俺は金の為にここまで来たのであって別に彼女の為では無い。俺に構っている暇があるなら再会を喜ぶべきだろう。

 

「…相変わらず素直じゃない」

 

「お前が無事で良かった…俺にはまだお前の力が必要だ 617」

 

「私はまだ貴方に頂いた意味を果たしていません。これからも貴方の為に仕事をさせて下さい」

 

 

 不器用な父と娘といった感じで微笑ましいな。2人とも表情が和らいでいるように感じる。

 

 ハンドラー・ウォルターはレイヴン…C4-621だけでこれまで目的を果たす為に活動して来たようだ。617がいれば負担も減るだろう。

 

 

『新生ハウンズ結成といった所だな。俺の仕事もここまでか』

 

「イロハはこれからどうするの?」

 

 そういえば見つけた後の事は考えていなかったな。

 

『まぁ、適当に稼いで折を見てルビコンから出るつもりだが…』

 

「それについて提案がある。独立傭兵イロハ、引き続き617達に力を貸してやってくれないか」

 

『それは構わないが…理由を聞いても?』

 

「アイスワームを撃破すればコーラル争奪の競争はより激しくなるだろう。617と621の負担を減らす為にも手札は多い方が良い。

 それに他者との交流は2人にとって良い刺激になる」

 

 

『…分かった、俺もあんたの猟犬として活動させて貰おう』

 

「…感謝する」

 

 

 

 

 

 

 

 カーラと通信を繋ぎ、依頼を確認する。

 

〔無事に再会出来たようで何よりだよ ビジター〕

 

『…最初からウォルターには連絡出来たそうだな、カーラ』

 

〔悪かったねえ…でもそっちの方が面白いだろう?〕

 

『その面白さのせいで俺は危うく死にかけたんだが…?』

 

〔それは…本当に悪かったね…〕

 

『まぁ、生きてはいるからな…笑い事で済んだということにしておこう』

 

〔良いねあんた やっぱり生きてるなら笑うべきだよ!〕

 

『…仕事に戻ろうか、カーラ』

 

〔アイスワームのシールドを破る為にクズのブルートゥを殺して私の秘密道具を取り戻して欲しい 

 目的地はグリッド012 依頼は以上だ〕

 

『…え?終わり?』

 

〔ブルートゥを消すんだ そうすればみんなが得をする〕

 

 …通信が切れた。

 

 

 

 

 

 

〔着いたねビジター!案内は私に任せな!〕

 

 訳も分からないまま俺たち3人はグリッド012に到着。

 

「ようこそビジターたち!

 このような僻地に大勢来て下さるとは…感激だ」

 

 思ってたクズと違う…やけに紳士的だ。

 

〔…ブルートゥ あんたが盗んだものを返してもらいに来た〕

 

「おや…?カーラのご友人でしたか

 素敵だ…ならば私にとっても友人同然です

 新しいご友人…楽しい時を過ごしましょう」

 

 617と621も流石に困惑している…

 

〔…放っておきな ビジター 最奥を目指すんだ〕

 

 

 俺たちは指定された座標までMTを蹴散らし、罠を避け、ACのパーツを拾いながら崩落寸前のグリッドを渡っていくのだが…

 

「遠くから新しい友人が訪ねてくる…

 素敵だ…本当に心が躍ります」

 

「お待ちしていますよ ご友人

 私は貴方と上手に踊れるでしょうか?

 心配だ…けれどそれより ずっと楽しみです」

 

「スロー スロー クイック クイック スロー

 スロー スロー クイック クイック スロー

 待ち遠しいですね ミルクトゥース」

 

 様子のおかしい奴だ。俺以外にも同じ考えのやつがこの場にいるような気がする。

 

『パルスプロテクションか…内側から攻めるぞ』

 

 

混乱しながらも屋内へ辿りついた。

 

「友人ならば もてなしたい

 喜んでもらえたなら…素敵だ…」

 

 …これがコヨーテス流の「もてなし」なのか?隠語かもしれないが…きっとこいつは本気でもてなしているつもりなんだろう。

 

 

「ビジター そこから飛び降りたら終点だよ

 …ブルートゥは掛け値なしのクズだ

 気を抜くんじゃないよ」

 

 カーラの警告を聞きながら目的地に降下。ここは格納庫か?壁の数字が逆さまになっている…ブルートゥは近くにいる筈だ。スキャンをして警戒しつつ進んでいく。

 

 

「新しいご友人! さあ楽しみましょう」

 

『!?上だ!』

 

 上から火炎と共にACが奇襲を仕掛けてきた。

 

〔ブルートゥ!〕

 

「カーラ…貴方はいつも私に新しい出会いをくれる

 素敵だ…」

 

 言動からしてきっとカーラは何度もこいつに刺客を差し向けたのだろう。そして彼はその全ての「ご友人」を撃退した手練だ。人数で勝ってはいるが警戒度を引き上げる。

 

〔黙らせてやりな ビジター!〕

 

「ジェネレータの甘美な調べ…ミルクトゥースも喜んでいます」

 

〔あのACはうちで組んでやった機体だ 侮るんじゃないよ ビジター〕

 

 

 火炎放射の中へ突撃し、アサルトアーマーで炎を振り払う。ブレードを振るい一閃。

 

 

「ミルクトゥースも…レールキャノンも啼いている…

 親元を離れ…カーラを恋しがっていたのでしょう

 不憫だ」

 

〔…かける言葉もないよ〕

 

 お前が盗んだんだろ…この調子だと盗んだとすら思っていないのか…?

 

 

 炎が鬱陶しいな…!再び振り払う為、強引にブレードをチャージして…!?炎の中から飛び出してきたミサイルが無防備な俺に直撃、動揺した所で拡散バズーカをモロに受けてしまった。

 

 

『1人で突っ込み過ぎ!』

 

 チェーンソーを振るうミルクトゥースを617がブーストキックで妨害。

 …俺はレイヴンの時から何も学んでいない。

 

「スロー スロー クイック クイック スロー

 スロー スロー クイック クイック スロー

 素敵なステップです・・・ ご友人」

 

 クイックブーストを駆使して翻弄する621を見ながらACSを復旧し、体制を立て直す。敵の不可解な行動に動揺し、冷静さを欠いていたのかもしれない。

 

『すまない…2人とも、さっさと黙らせよう…』

 

 この場にいる誰かとまた考えを共有しているような気がする。

 

 囲んで叩けば敵の武装は大した脅威にならない。617のパルスブレードで決着がついた。

 

「新しいご友人…贈り物をくれるのですね…素敵だぁ…」

 

〔死んだみたいだね 良かったよ

 さてビジター 吊られてる秘密道具を回収するとしよう

 化け物退治には欠かせない代物さ〕

 

 機体はほぼ万全の圧勝なのに酷く疲れた…

 

「大丈夫…?」

 

『むしろなんで君たちは大丈夫なんだ…?』

 

「何言ってるか分からないし…」

 

『狂人を理解しようとする時点で間違っていたということか…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(私が聞きたいのは敵の言動のことじゃない…)




◯ウォルター
617が生きていたのは嬉しいがわざわざ戻って来ないで自由になって欲しかったという気持ちもある

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