父を訪ねて617光年   作:おーるどあっくす

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エアを守る為に
ルビコンの解放者ルートを選ぶ621
  VS
ウォルターの意志に従い
レイヴンの火ルートを選ぶ617

が初期案だったのですが621に勝てる気しなくて展開に迷い中
破綻した見切り発射の妥当な末路だ…


ハンドラー・ウォルター捜索

『着いたか…ここで間違いないよな?』

 

「うん」

 

 俺たちはハウンズの拠点に到着した。

 617はライセンスを使って拠点のロックを解除する。

 

「空いたよ」

 

『じゃあ、行くか』

 

 無事にロックが空いたということはまだ解約はされていないのだろう。もしかしたらハンドラー・ウォルターがまだいるかもしれない。

 

「…ただいま」

 

 拠点内にはまだ生活の痕跡が残っているが、彼女の声に応える者は居ない。

 

『どこかに外出しているのかもな』

 

 その外出先がルビコンで無いことを祈るしか無いな…とりあえず手分けして痕跡を探すことにした。

 

 簡易キッチンに洗い物は無しか。普段から使われている痕跡はあるようだが…ハンドラー・ウォルターはフィーカを好んでいたのかもしれない。

 ゴミ箱にはレーションの袋や缶が捨てられている。しっかり洗ってから捨ててあるのか異臭はしない。

 …617、俺より高いもの食ってるんだな。別に羨ましくは無いが…羨ましくは無いが!

 

 ハンドラー・ウォルターの部屋に向かう。

 寝室兼司令室と言ったところか?最低限のものでまとめられた殺風景な部屋だ。ベッドも綺麗に整っていて、使われた痕跡がない。

 …日記をつけていたりはしないだろうか?ふと思い立ちハッキングを試みるが…セキュリティがしっかりしているな。俺の技術では無理だ。

 

 ここまで見るに、ハンドラー・ウォルターは几帳面な人物なのだろう。この整った部屋やキッチンを見るに、遠出する前にしっかり整理しておいたという印象を俺は受けた。

 

 そして彼は、噂とはやはり違う人物だろう。少なくともこの拠点に居る間、617達は自由に過ごし、身体を清潔に保ち、品質の高い食事をしていたようだ。ハンドラー・ウォルターも617たちと同じ水準で生活していると考えられる。

 

 俺の前の雇い主とは随分と違う。

 

 

 …617は何かを見つけただろうか?

 

 

 

 ハンドラーの部屋の隣は617達の相部屋のようだ。

 その部屋の真ん中で617が何かを手に持って立ち尽くしている。

 彼女の表情変化はまだ分かっていないが、どこか寂しげな雰囲気だ。

 

『617、大丈夫か?』

 

 手に持っていたのは写真立てのようだ。617と3人の少女が写っている。恐らく619と620なのだろうが…それならあと1人は誰だ?

 

 そういえばこの部屋にはベッドが4つ置かれている。俺の知らないハウンズが居るのだろうか?

 

「618、619、620…

 みんなは、意味を果たして死んだ。

 それなのに私はまだ生きてる…

 私は死に損ねたのかな…?」

 

 

 1人だけ残ったんだ…そりゃ苦悩もするよな…

 無責任かもしれないが、彼女に声を掛けてみる。

 

 

『…まだ果たせる「意味」が残ってるんじゃないか?』

 

「…え?」

 

『君はハンドラーから与えられた意味を果たした。

 今の君は、ハウンズの仲間たちに

 意味を託されたのかもしれない』

 

「意味を…託される…

 …もしそうなら…私はルビコンに行きたい。

 まだウォルターの為に戦いたい!」

 

 

 いつまでも立ち止まってはいられない。

 彼女がそう言うなら、俺も覚悟を決めよう。

 

『分かった。君をルビコンに連れて行こう』

 

 

「良いの?」

 

 

 型落ち扱いを受けてからの俺は、燃え尽きたかのように停滞していた。

 きっと、進むなら今だ。

 

 

『ルビコンで傭兵をやれば金になる。俺は利益が上げられるならそれで良い。お前を連れて行くのはついでだ』

 

「…素直じゃないね」

 

 

 

 

 こうして俺たちはコーラルを巡る戦火の惑星、ルビコン3へハンドラー・ウォルターを…そして彼女の「意味」を探しにいくことになった。

 

 

 ハウンズの拠点のテーブルに向かい合って座り、今後のことを話し合う。

 

『さて、ルビコンへの密航方法だが、俺にコネがある』

 

「コネ?どこと?」

 

『アーキバス・コーポレーションだ。傭兵としての中立性を損なうから可能なら頼りたくは無かったが、安全に密航する為なら背に腹は変えられない…』

 

「なんでそんな所にコネが?」

 

『………強化手術を受けた時の縁だ。俺が提出した惑星封鎖機構監視拠点の調査結果を受けてアーキバスは増援部隊を編成した。今回はそれに同行させてもらうという訳だ。偶然にもAC1機程度の積載が余っているらしい』

 

 面倒事が増えそうだな…と頼らざるを得なかった腐れ縁の友人について思考を巡らせる。

 

「COAMは大丈夫?」

 

『相応の対価は払うことになったが…617には関係の無いことだ。到着した後は余った金で君のACを調達しよう』

 

「ありがとう」

 

 

 

 拠点に戻り、出発までにACの調整をしておく。

 節約の為、頭部以外をベイラムのものより高価なアーキバス製パーツに差し替え、頭部は向こうで手に入らないベイラムのカスタムパーツのままだ。武装はそのままで良いだろう。

 

 

 

 

 翌日、アーキバスの所有する輸送ロケットにACで乗り込んで密航。

 ルビコンに到着すれば617の機体が用意出来る。2人で狭いコックピットに乗り込むのもこれが最後のはずだ。

 

 617の機体構成について検討しつつ、俺は仮眠を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トラブルもなくルビコンに無事到着。アーキバスの基地に合流した俺は友人と再会することになった。

 

「私に出迎えられること、光栄に思いなさい」

 

『わざわざ御足労ありがとうございます。

 身に余る光栄です』

 

『ヴェスパー第二隊長スネイル閣下』

 

 我ながら酷い棒読みだ。

 

 

 

 V.IIスネイル。アーキバスのヴェスパー部隊で指揮と作戦立案を担当するやり手だ。第8世代強化人間ではあるが、新しい有用な技術が生まれるたびにアップデートを重ねているため、他の第8世代とは比べものにならない。

 

 第8世代が誕生するまでの間、俺はアーキバスで定期的なデータ提供を行なっていたのだが、スネイルとはその時からの付き合いだ。

 

 

「それにしてもどういう風の吹き回しですか?

 安定志向のあなたが私を頼ってまでルビコンに来るとは…そこまでして稼ぎたいのなら、私の部下として迎えても良いのですよ」

 

『遠慮させて頂くよ。探しモノがあるんでな』

 

 スネイルの部下なんて使い潰されるに決まっている。死んでも御免どころか「ファクトリー」で死体まで再利用されそうだ。

 そう考えつつ617の方を見やる。

 

「カビの生えた旧世代型にお熱という訳ですか」

 

『カビの生えた奴同士気が合うんだ』

 

 せっかく企業の役人サマに会えたんだ。ルビコンの情勢でも教えて貰おうか。

 

『そういえばコーラル争奪戦は順調か?』

 

「ベリウス地方北西ベイエリアで発生したコーラルの局地爆発から指向性を観測し、中央氷原にコーラルがあると突き止めました」

 

『そうか、幸運を祈る』

 

 ハンドラー・ウォルターがコーラル目当てなら中央氷原を探すべきかもしれないな。

 

 

 






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