父を訪ねて617光年   作:おーるどあっくす

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花粉の季節ですね
つらい


新たな猟犬、あるいは自由の表象?

 一仕事終えた俺たちはダメージを受けたACをRaDに預け修理と弾の補充をして貰いつつ、シンダー・カーラと対面していた。

 

「最近独立傭兵に襲撃を受けちまったから警備の補充が追いついてなくてね…報酬には色をつけておくよ」

 

『こちらにとって都合の良い条件を受け入れてもらった以上それに報いただけだ。まさかこの場でメンテナンスして貰えるとは…』

 

 

「うちの整備士に任せたんだ、最高の状態にしておくよ。

 …それで、質問をしたいって話だったね。何が聞きたいんだい?」

 

『では単刀直入に。ハンドラー・ウォルターの行方について何か知らないか?』

 

「…なんでそれを聞きたいのか、聞いても良いかい?」

 

 

 カーラの雰囲気が変わった?俺たちの間に緊張が走る。

 嘘をつく必要はない、素直に話すとしよう。

 

『俺の連れの強化人間C4-617、彼女はハンドラーの傭兵部隊の一員なんだが、ハンドラーと逸れてしまったようで…

 俺は彼女とハンドラー・ウォルターが再会出来るようにルビコンへ追いかけてきたという訳だ』

 

「それについてどうして私に聞くことにしたんだい?」

 

『ハウンズのACはどれもRaDの探査用フレームが使われていた。そこからハンドラーとRaDに何かしらの縁があるかもと当たらせて貰った』

 

 

「なるほどねぇ…」

 

 カーラは少し考え込んだあと、突然笑い出した。

 

「驚いた、まさかウォルターの猟犬が生きていたとは…!」

 

『え、あの…大丈夫ですか?』

 

 

「…悪いねぇ、その事を知ったウォルターの顔を想像したら笑わずにはいられないだろう?」

 

「ハンドラーのこと知ってるの!?」

 

「あぁ、私はあいつの友人だからね…

 あいつからあんたの話は聞いてるよ、617」

 

「ハンドラーは、なんて?」

 

 617は不安そうに尋ねた。もう用済みだ、とか言われていないか不安なんだろう。

 

 

「「仕事をしたさ。おかげでルビコンまでこぎつけた」って悔しそうに言っていたよ。そのハウンズが生きていると知ればさぞ喜ぶだろうね…」

 

 心配は不要だったな。彼女の働きを彼は評価していたようだ。

 

「ハンドラーが…私を…」

 

『大切にされていたようだな』

 

「うん…!」

 

 

 

 

 

「さて、本題だが…」

 

『ハンドラー・ウォルターの所に案内して貰えるだろうか?』

 

「まあまあ、そんな焦らなくても良いだろう。それについて一つ問題があってね」

 

『問題?』

 

 まだ何か依頼があるのか?

 

「私、なんでもするから」

 

「女の子がそんなこと言うんじゃないよ…

 ウォルターのやつ、今は野暮用で連絡が取れないのさ」

 

『野暮用?』

 

「コーラルが中央氷原にあるって話は聞いてるかい?ウォルターは中央氷原に向かう仕込み中なのさ」

 

「そういう訳で私からウォルターに連絡は出来ないから、自分達で引き続きウォルターを追いかけな!」

 

 マジかよ。ここまで来てまだ再会出来ないのか…

 

 

「もちろん情報は渡そう。さっき言った独立傭兵の襲撃者、そいつはレイヴンって言ってね…ウォルターの新しい猟犬なのさ」

 

 レイヴン…というと確か伝説的な傭兵だったよな?コーラル再発見の情報をリークしたのがレイヴンだって噂もあったな…

 自由の表象であるレイヴンがハンドラーの猟犬に?自由とは対極の存在な気がするが…

 そもそもハンドラー・ウォルターは旧世代強化人間を使っているのにレイヴンを雇うのか?

 

 

「レイヴンはアーレア海を越える為の手段を求めてうちに襲撃を仕掛けてきた。つまり中央氷原に向かえば合流できるって訳さ」

 

 それって独断先行じゃ…新しい猟犬は随分と問題児らしい。

 

『つまり、レイヴンを追いかければハンドラーウォルターに会えると?』

 

「そういう事さ、アーレア海を越える手段へは私が案内しよう。

 連絡が取れたらこちらでも会えるように手配するよ」

 

 

 まだまだ俺たちの旅は続きそうだな…ようやく会えると思ったのにお預けを食らった617のしょんぼりとした姿を見ながらそう思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ACの修理と補充も完了し、カーラの案内で俺たちはグリッドの天辺までやってきた。この先に海を越える手段があるらしいが…

 

「警備が厳しいね」

 

〔前に言った通り、既にレイヴンの侵入を許しているからねえ…惑星封鎖機構も必死なのさ〕

 

 そこにいたのは大量の自律兵器。1体1体は大した事ないがこれだけ数が居ると厄介だな…かと言ってこの数だと避けて通るのも厳しいだろう。

 

『目的地まで速攻で飛ばすしか無さそうだ…行けるか、617?』

 

「もちろん」

 

 マルチロックしたミサイルが9体の自律兵器を破壊したのを合図にアサルトブーストを発動。封鎖衛星からの狙撃を躱し、目に映る自律兵器を俺はライフル、617はガトリングで撃ち抜きながら目的地までACで飛ばしていく。

 

 

〔おいおい…2人揃って向こう見ずだね…勢い任せで封鎖衛星も兵器も切り抜けちまうとは…嫌いじゃないよ〕

 

 

 

 

 

 

[侵入者が衛星狙撃地点を突破]

[脅威レベルを引き上げます]

 

 封鎖衛星の狙撃圏内を抜けた俺たちはカーゴランチャーまで辿り着く。そこには巨大な兵器の残骸が転がっていた。

 

〔それはレイヴンが倒した技研の遺産さ、まだ回収されていなかったんだね〕

 

『単騎でこれに勝利したのか…?617、君の後輩は随分とやるらしいな…』

 

「私だって…」

 

 617は新しい後輩に対抗心を燃やしているようだ。

 

 

 

『それでカーラ、ここに輸送ヘリでも手配してくれたのか?』

 

〔この警備の中でそんなものを用意出来る訳ないだろう?カーゴランチャーであんた達を飛ばすのさ〕

 

『はい?え?正気か?貨物用だろ?』

 

〔安全性はレイヴンという前例が保証済みさ!覚悟を決めな!〕

 

「ハンドラーに会えるなら、手段は選んでられない」

 

『待て待て待てって…!?』

 

 別の手段を探そうとする俺は617に無理矢理引きずられていく。

 

 

〔あとはカーゴランチャーにアクセスしてあんたたちがそこに乗り込めば…おや?既視感のある展開だね〕

 

 ACのセンサーが敵性反応を検知。

 

『下がれ!617ッ!』

 

 アクセスしていたコンテナから2人で飛び退く。

 さっきまで俺達がいた場所に大量のミサイルが降り注いだ。

 




◯カーラ
ウォルターにサプライズをした方が面白いので連絡を取れないことにしておいた
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