『少し落ち着いたか?』
『こちらはまだまだバチボコにやってる』
『人気が無さそうなところに潜めばチンピラだらけだな』
『チキ…………』
『改めて治安が悪すぎる、この世界』
『こうして改めてSHOCKERのような超人的力を無造作に与えないほうがマシかもしれない』
『でも、ここではそうではない』
『世界中の人間が残らず個性という特殊能力を持っている』
『もう10人は殺したぞ』
『出現ペースが速いな…………』
『水浴びする暇がないぞ』
『服も結構汚れてしまっているな』
『こっちは砂ばかりだ。砂漠には何もなさすぎる』
『なんで鳥取にいるんだよ』
『せめて森林に居てくれ』
『確かに風は吹いてそうだけども』
『高い所はいい。特に風車の上はとても風が吹く』
『羽に当たらないようにな』
『各地に散らばって、色々と情報が集まって来るな』
『どこに行ってもヒーローの数はかなり多い』
『ヒーロー飽和社会だったか。その割には地下にヴィランが居るが?』
『光あるところにヒーローあり』
『闇しかないところは手が届かないのだろう』
『結局は誰もが人間だ』
『己の力に抗うのは常に理性だ』
『理性に負けるのは致し方ない所もあるが』
『誰かを傷つけていい理由にはならない』
『俺たちがやっているように』
『誰かを殺す理由にならない』
『だが、誰かが泣くというなら』
『俺たちはやるべきことをするのみだ』
『チキッ』
『…………で、服はどうする?』
『洗うしか…………』
『こんな形で無駄に貫禄が出るのは嫌だな』
『最近は物理的に鼻が効く個性を持つヒーローが追跡してくるようになったもんな』
『有名人も楽じゃない』
『何が敵殺しだ、ただの人殺しだというのに』
『それほど世の中が乱れているという証拠だ』
『どこのヒーローも暇そうにしている訳じゃない』
『タレント業のように、しかし命を懸けて戦うことには敬意を表さないといけない』
『…………ところで、俺はいまゴミ捨て場になった海岸に居る』
『いきなりだな』
『急にどうした』
『いや、何か工作で仕えそうなものは無いかと思って』
『そうか』
『だが、ゴミ捨て場に期待できる物はあるのか?』
『いや、大したものはない。が、どれだけ捨ててもいいような工作は出来る』
『ゴミだからか』
『まあ、使えんことは無いものはあるだろうな』
『このついでに自分の器用さを確かめる時が来たな』
『チキチキ!』
『出来る限りは尽くそう』
『力加減だけが問題だな』
『壊さないように、丁寧にだぞ』
『誰に物を言っている、全員自分だろうが』
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「ふう、今日のノルマはこれで終わり…………だけど後で特訓しないと入試に追いつかない!」
ブツブツと独り言を呟きながらひたすらにゴミ掃除をしている少年が居た。
少年の名は緑谷出久、近いうちにオールマイトの個性を引き継ぐ予定である。
地力をつけるためにオールマイトから課せられた海浜公園のゴミを処理する試練により多少の筋力はついてきたものの、未だに全て片付けられていない。
それでも最初に比べたら足の踏み場がないレベルで不法投棄されたゴミがあったのだが、ある程度道ができるほど片付いては居た。
片付けたゴミを処理するために一か所にまとめている最中の事であった。
「ん?あそこに誰か…………?」
視界の端に、本来なら道沿いくらいにしか人を見ない筈なのに未だにゴミが散乱する公園内に人が入っていくように見えた気がする。
普通なら放置しておくに限るが、こんなゴミが散らかっている場所に人が来るのか?
オールマイトも電話で席を外しているため、頼りになるのは誰も居ない。
だが、よーく見ると割と視界に入るところで作業をしているような感じであるため遠目から眺めることは出来た。
こっそり自前のスマホで録画しようと、不自然にならない程度に撮影を始める。
「…………ヘルメットにコート?なんでバイク乗りがここに?」
不審者の服装は顔を覆い隠せるヘルメットに薄汚れたコートと怪しさ満点の風貌であった。
その手には捨てられてゴミとなっていたヘルメットと、自転車の後ろによくつけられている赤い反射板が握られていた。
どうも、視界を確保するためのシールドが割れているようで、そこに反射板をはめ込められないか試行錯誤しているようだった。
いや、全くもって意味が分からない。
反射板を付けたヘルメットは確かに不気味さを増すような気がするが、何の意味があるかは全くもって不明である。
何らかの工作、何かと言えば小学生がやるような図画工作に似ている奇行を続ける不審者に出久は違和感を覚えた。
「どこかで見たことがある気が…………」
あの怪しい姿、言葉通り見た覚えがある。
ただし、直接見たのではなくテレビのニュースでちらりと映っていたレベルでのあやふやな記憶が頭の中をめぐる。
ヒーローに関するニュースは欠かさないのに、こういった違和感を簡単に解消できないのが。
うんうんと頭をひねって考える出久、最後に聞いたのはいつのニュースなのか。
そう、あれは
あまりにも悲惨で、しかし
いや、それは
故に、
「あーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
いや、最初からブツブツと考えを口に出していて第二の不審者となっていたが、幸いにも周囲には1人の不審者しかいなかったためセーフである。
だが、その大声により
「あ、お、おおお、オールマイトぉ!!!」
出久はすかさず助けを呼んだ。
流石に相手が相手だけに自分一人で何とかできる範囲を超えている。
何故なら今の彼は無個性、何の力のないちっぽけな少年である。
オールマイトへの助けを叫んだが、最高の英雄が来る前に
なんという脚力か、下手したら中位、いや上位ランカーのヒーローよりも高く飛んでいるんじゃないかと思うほどの跳躍力と滑空で一瞬で出久の視界から消えてしまう。
「どうした緑谷少年!」
ワンテンポ遅れてオールマイトが電話を中断して走ってきたが、
「いいいい、今!あいつが居ました!」
「誰が居たんだい!?」
「
その単語を聞いた瞬間にオールマイトの顔が引き締まる。
出久に危害は与えなかったものの捕まえなければならない対象である。
「どっちへ逃げた!?」
「オールマイトが来た方向に、空に飛んで逃げました!」
「Shit!入れ違いか!緑谷少年、後で話は聞かせてもらうけど今はいったん帰るんだ!何かあったらすぐに連絡をくれ!無茶だけはしないでくれよ!」
ドォン!と出久の身を案じながらもオールマイトが音速じゃないかという速度で跳躍する。
しかし、時すでに遅し。
幸いにも出久が動画として証拠を残していた為に捜索はされたが、警戒を上げたことで無関係な
『やっべえええええ!オールマイトだ!草むらに隠れて正解だった!』
『なんで逃げ切れるんだよ』『どうやって逃げたんだよ』『よく見つからなかったな』
『途中からずっと匍匐前進で隠れてた。途中で
なお、逃げ込んだ先に居た