対巨大生物対処局特殊戦術課   作:火薬好き

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プロローグ

西暦21xx年。世界中を巻き込んだ局地的紛争の大規模発生を総称して暗黒期と呼ばれている。

ただし、日本という国は特殊で過去に起きた西側と東側における政治戦争と同じ状況に見舞われ、友好を結んでいたアメリカと共同で共産主義をはじめとした勢力と戦い、自衛隊を完全な軍としての一面と災害救助などの国防関連の組織の二つに分離し、国防に努めた。しかし中国やロシアを中心とした東側の支援を受けた反アメリカ武装勢力の共同作戦にアメリカは戦術的敗北、撤退を強いられた。

 

日本は表向きはアメリカなどに協力し紛争制圧を行っていたが、集団的自衛権の行使や島国という利点を生かした空と海の戦力に比重を置き、他国による侵略に対する防衛網を構築し、一時的にアメリカが軍事的影響力を失った空白を狙って完全な鎖国体制に移行し紛争に対する中立を宣言。地理的には西側各国からすれば東側各国に接している拠点を失うことになった。しかし裏ではアメリカと通じ、領海・領空権を主張し海と空での東側の牽制を行い、結果として中立国という立場を利用して東側の戦力を完全に西へと動かすことを防いだ。

 

しかし状況は一変する。局地的紛争が収まりかけてきたころ。その存在は突如現れた。

蟻の姿をした巨大生物。それは国を問わず陸地に地中より現れ、通常兵器では太刀打ちできないでいた。

その上各国は紛争で介入してきた国の支援と巨大生物両方の対応に追われ後手に回っていた。

この上己の領地に次々と現れる巨大生物のものと思われる巣の大量発生。これを理由に世界紛争に関わった大国は国際発表の元、和平調停に調印し紛争は終結へと向かった。

 

しかし紛争から巨大生物へと変わっただけでただ戦争の相手が変わっただけであった。

各国は紛争の影響で分離し、海外派遣などもってのほか。暗黒期以前より抱えていた自国の民族問題などをはじめとした問題も頻発し、自国防衛ですら危機的状況であった。

 

日本は暗黒期に国内の再編も行った。まず東北を完全な穀倉地帯として整備し、人口は首都東京をはじめとして大都市への移住を促進。これには東側の脅威が国民の目に明らかであり、日本海側の地方から順に都市部への移住が進められた。一方、宗教・民族は自由を保障した。ただし思想の流布や強制・政治活用は完全に重犯罪とみなし、あくまで個人が発見することを第一としてバランスをとっていた。

そのうえで巨大生物に関しても研究が進められ、ある戦闘でとある戦闘員が投げた電磁パルス手榴弾の電磁波に拒絶反応を確認したのを契機に刀身に電流を流すことによって切断威力を高めた試作型刀剣が開発され、これを紛争時より戦ってきた自衛隊の戦闘部隊に配備。巨大生物への反撃が始まった。

 

自衛隊はすでに紛争による介入を経て、完全に内外から軍隊として見られるようになった。

よって防衛省は巨大生物との戦闘が完全に終了した場合及び、完全に防衛組織として認識してもらうための組織、対巨大生物対処局を創設。緊急で即席の創設ではあったが、前述の試作型電流刀と自衛隊から選抜された人員および補助人員によって構成され戦果を出し続けた。ただし、その中に未成年の少年が一人参加していた。

 

そして対巨大生物対処局創設から一年。突如として山梨の扇山付近にて大規模な巨大生物による地下洞窟が出現し、大量の巨大生物が一直線に東京を目指し侵攻した。”地獄の東京防衛戦”と呼ばれる過酷な戦闘が行われた。最終的には勝利したものの、日本としても陸上自衛隊の戦闘部隊、対巨大生物対処局の応戦戦力を少なからず喪失。防衛省を始めとした組織再編、同時期に出現した地下洞窟への対処へは後手に回り、日本は最初期の勝利から遠のいていた。

 

そして約一年後、内閣の承認を得て対巨大生物対処局は今もなお出現する巨大生物への電撃戦特化及び戦術研究を目的として特殊戦術課、通称特戦課を創設。課長には前例のない未成年の14歳の少年が据えられた。

そうしてさらに二年が過ぎた3月の特戦課。

 

「課長ー。次に入ってくる五期生の中に美人さんっていないのかねー」

 

「縢。遊びは断ち切ったんじゃなかったのか?」

 

「コウ君。俺は遊びはやめた。だけど、綺麗な花が近くにあるならば眺めるくらいならいいだろ?」

 

「コウ、やめておけ。どうぜ言うだけ言って手を出さないのがコイツだ」

 

「確かにそうだな、ギノ」

 

「それで課長。五期生・・・ウチの戦力補充はどの程度見込めるのでしょうか?」

 

「・・・六人だ」

 

「おいおい・・・まぁ、人数分ドミネーターの砲門の数が増えるわけだが、案外落胆していないところを見るに、何か仕込んだのか?」

 

「監視課にも流れてはいるが、今回は局長と相談して陸自と共同で行う探索課のほうに人員を回した」

 

「探索課?戦闘なんてないってのにいったいなぜだ?」

 

「ウチに比重を置けばそれだけ成果は求められる。だが、そもそも配属場所が首都。政治的判断で地方防衛戦を想定した場合、半数を手放すことになるのなら、逆にノーマークになる方にわざと流した方が後々楽って判断になった」

 

「うへぇ・・・でも課長もいるしコウ君も近接課程の最終段階。で、今期生にはねっかえりはいるのかね?」

 

「いるだろうよ。俺の経歴を見れば、な」

 

課長。凪島祐一はそういってコウと呼ばれている狡噛慎也に視線を移した。

 

「若気の至り。誰でも通り道ですよ」

 

バツ悪そうに言い、それを含み笑いでギノ=宜野座伸元と縢秀星が笑い、唯一の女性六合塚弥生は静かに目を閉じた。ただし一人だけ心配するように征陸智己は話題を振った。

 

「課長。確か五期生着任時期よりちょい前から雲取山あたりの五個洞窟の実地調査だったよな?どうするんだ?」

 

「いかにゃならんし、その上現場にいる監査課と陸自の防衛部隊はモグラ叩きに興じている。位置、それから嫌な推測が当たればアイツらの鼻っぱしをへし折ることができる。ならやるだけの価値はある。つーわけで俺不在の間はとっつぁんに任せるよ」

 

「あぁ、新人もともかく任せておけ。ただ、そっちもしくじるなよ」

 

「あぁ。そのつもりだ」

 

 

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