対巨大生物対処局特殊戦術課   作:火薬好き

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第七話

赤城山山中

 

「うーん、アメリカと比較しちゃうけど、よくもまぁこれだけで戦えるもんだ」

 

「ま、アメリカ式物量戦術を見ればそうだろうさ」

 

と、呑気に会話をする凪島と雅道。だが目の前にはうじゃうじゃと彼らの仕事相手がいた。

 

「課長ー。呑気にしゃべるのもいいですけど、ちったぁ弾幕濃ゆくしてくださいよ」

 

「縢、泣き言を言うより敵を潰した方が早いぞ」

 

「ですよねーっと」

 

「ボス。今回はどうする?」

 

「ゲートはなし。だからさっさと殲滅・・・やっぱ気にしてるか」

 

「・・・すまない」

 

「んじゃ、鬱憤晴らしでもするかい?」

 

「どこで?」

 

「ここで。敵を斬った数で張り合うなら、いい機会だろう?」

 

「わざわざ言うということはそれも不正解か」

 

「何を正解とし、不正解とするか。それは本人の捉え方だよ。さて、行きますか」

 

「・・・どこに?」

 

「敵の中陣。一気に切り込むよ」

 

「どうやって?」

 

「空から」

 

そう言っていた矢先、狡噛の隣に凪島が立っていた。

 

「気配を消さずに来るのはやめてくれ。・・・で、なんだそれ」

 

「強襲用グライダー。多分俺しか使えないけど、積載量は十分だから。んじゃ行くよー!!」

 

「ちょ!?」

 

凪島は狡噛をわきに抱えて片腕でグライダーを構えて、軽歩で一気に滑空を始めた。

 

「まーた課長の奇天烈録追加。これ、何個目?」

 

「数えるだけ無駄。その上増えるぞ。五期生。今のうちに俺たちで数を減らすぞ。課長が突っ込んだのならその分獲物はほぼなくなるからな」

 

「・・・まさか単騎・・・狡噛さんも一緒ですが、無謀ってレベルじゃないですよ」

 

「ほい、コウ」

 

「なんだ、カートリッジ?」

 

「狙撃用ドミネーターの広範囲電磁パルス発生カートリッジの試作型だ。威力よりも遠距離から敵を刺激する、いわばこっちの舞台にひき釣り出す目的で作ってもらった」

 

「無理やり起こして一気に叩くってか。了解と言いたいが、この態勢じゃ無理だ」

 

「んじゃグライダーにつかまっといて。俺が撃つ」

 

そう言って狡噛もグライダーの取っ手を両手でつかんだ。そして代わりに凪島が狙撃用ドミネーターを受け取って足で器用に持って片手でカートリッジを交換しそれが終わるとそのまま片手で構えた。

 

「おいおい・・・腕が折れるぞ」

 

「こんくらいで折れるような軟じゃないんでね」

 

と言って大型ライフルレベルの反動をものともせずに特殊弾を発射。構えていた片腕は反動に微動だにしていなかった。そして巣の入り口に特殊弾を撃ち込まれ、そこから一気に電磁パルスを巣内部へ拡散。一気に卵が孵化した。

 

「さぁ、降りるよ。幼体は一応酸は持ってない。狩るなら大物。通常はドミネーターで近接は幼体相手にやんな」

 

「了解だ」

 

そうして電磁パルス手榴弾で牽制し足場を確保し一気に降下。狡噛はドミネーター二刀流で正面の敵に集中し、凪島は自前の足で跳躍し狡噛の背後を突こうとする個体を優先的に排除していった。

 

「始まったか」

 

「明らかにこちらの数が減っている」

 

「供給源に馬鹿でかいってレベルじゃないほどの壁ができたんだ」

 

「俺たちは引き続き側面警戒っと。おー、コウ君やってるねぇ。課長は、言うまでもないか」

 

「B種、C種。ともに効果ありっと。ただ消滅の形がちょい違う。左右別々にしているから映像を後で解析してもらうか」

 

「そろそろ減ってきたんじゃないか?」

 

「あぁ、幼体が出張ってきた。好きに突っ込んで構わんぞ」

 

「あぁ、背中は任せるぞ」

 

「ついでにちょっと側面も貰ってく」

 

そう言って凪島は装備していた刀を連結しブーメランを作成しぶん投げた。刃さえ触れれば敵は消滅することを利用してドミネーターとは別の殲滅力を誇る凪島独自の戦闘方法。

 

「あらよっと」

 

その上投げた二つのブーメランはワイヤーが繋げてあり、ヨーヨーと同じ原理で回転を維持しそのまま任意の方向に曲げながらの攻撃や回収が可能なのである。今回は単に側面排除ということで直線的に投げていた。

 

「なーんか、さらに魔改造されてら」

 

「玩具を本気で実用化。発想がやはり違う」

 

そして狡噛は一心不乱に近づいてくる幼体の蟻を斬りつけていく。が、近接戦での動きにまだ完全に慣れていないのか軽歩の移動速度制御に苦労していた。

 

そして幼体も本能からか遠距離から酸を発射しようとするもそういう個体はもれなく凪島が容赦なく狩り取っていった。

 

「うひゃぁ・・・何やってるのかわかんないね、これ」

 

「まぁそうだろうな。アメリカにあんな奇天烈な奴はいたか?」

 

「まっさかー。そもそもアメリカは提示した近接戦闘はほぼ笑いものにして放棄。当時三連射式のドミネーターを重点的に改良して最高八連射式。通常式は五連射だけど射程延長に成功してる。アメリカは弾幕制圧を選んだのさ」

 

「お、信号弾だ。終わったようだな」

 

「巣の内部の反応もありません」

 

「課長、ゲートはどうだ?」

 

『ない・・・というよりあったけど先に消えたって感じの痕跡だね』

 

「先に消えた、か」

 

「っ!?」

 

「どうした、常森」

 

「何かが・・・いる!?」

 

『あーららー。そういうことか。ギノさん、戦闘エリア全域に熱源探知!!』

 

「わかった・・・なっ!?」

 

「どうした、伸元」

 

「巣の地下に・・・なんだこの数・・・大きさ、どっちかわからんがバカでかい反応を叩き出した!!」

 

『形状と向きは?』

 

「ちょうど課長たちの真下に横長にある」

 

『博打か。とっつぁん、五期生は動けそう?』

 

「何が起きる」

 

『東京防衛戦の世迷言。≪巨大な蛇≫、そいつがいるね』

 

「・・・完全に新種か」

 

『対処法はある。が、それにはドミネーターを時間かけてぶっ放すか、数を集めて一気に叩き込むしかない。つり出しはこっちでやる。狙撃組も全員通常ドミネーターに持ち替えてとっつぁんたちと合流。その上で全員リミッター解除して射撃待機だ』

 

「マジか・・・」

 

「コウ、先に戻ってろ。流石にコイツの相手は完全に把握してないからな」

 

「わかった。無理はするなよ」

 

そう言って狡噛は先に防衛ラインへ合流した。そして凪島はドミネーターの一丁にデコンポーザーのカートリッジを接続。デコンポーザーを起動した。

 

≪執行モード、デストロイ・デコンポーザー。対象を完全排除します≫

 

「あらよっと」

 

発射直前に跳躍し空中から地面へデコンポーザーを放った。そしてデコンポーザーは真下一直線に進み突然絶叫が戦場に響いた。そしてその後、巨大な影が地中から姿を現した。

 

「・・・集団錯覚と処理されたが、マジで実在していたか」

 

「何あれ、アメリカでも見たことないよ」

 

「・・・ムカデ、でしょうか?」

 

「簡単に分類するならそれが一番だろうよ」

 

そうして身震いすると同時にムカデは側面に大量に空いていた穴から一気に卵を放出した。

 

「なっ!?」

 

『こちらで処理する。全員撃つな』

 

そう言って凪島は先ほどよりも多い八本のブレードから四組のブーメランを作成し一気に落ちた卵ごとすべてを破壊した。流石に産み落とされようとした卵がドミネーターやブーメランで着地すらできずに空中で消されたのを見て徐々に距離を取っていく凪島をムカデは脅威と定め顎で一気に噛み切ろうと頭を突き付けてきた。

 

「かかったな。間抜けめ。リミッター解除。出力最大、ぶった斬る!!」

 

唯一の長物のブレードで一気に地面に突き刺さったムカデの頭部を切断。が、それでは消滅せず体は残っていた。

 

「うそ・・・課長の攻撃でも消えない・・・」

 

『今だ!!総員胴体の断面めがけてぶっ放せ!!』

 

おそらく初めて聞くレベルの凪島の怒号に触発されて全員がリミッター解除のドミネーターのフルバースト射撃を開始。一気に断面に着弾し、切断された胴体は一定量被弾したのを契機に一気に消滅していった。

そして残った頭部はそのまま鹵獲用ブレードを断面に突き付けて電流を流し込みおそらく、命を絶った。念のため顎も切断していた。

 

「勝った・・・のか?」

 

「あぁ・・・多分な」

 

「征陸さん。東京防衛でも出ていたとされるあの個体。当時はいったいどうやって?」

 

「さぁな。対処法を示して実際に討伐したであろうアイツの資料に期待ってところか」

 

『全員警戒体制へ移行。陸自との交代まで戦闘待機だ』

 

一応の凪島の戦闘終了宣言。だが凪島はすぐに局長宛てに緊急回線をつないだ。

 

『何があった。凪島』

 

「例のムカデが出現し、頭部を残してサンプル化し討伐完了」

 

『・・・とても喜べる報告ではないな』

 

「すぐに大臣へ報告を」

 

『わかった』

 

地獄に現れたとされるムカデ。それが現れたということは・・・

 

「アレを見て恐怖はするものの、即座に引き金を引けるか。嬉しい想定外に四、五期生はタフだな」

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