対巨大生物対処局特殊戦術課   作:火薬好き

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第八話

防衛省は繁忙の真っただ中にあった。完全な新発見の別種の存在とその後起きるである事象に備えて動いていた。外ではメディアが特別対策室の設置を聞きつけて押し寄せるも報道規制で押しとどめていた。

そして加納は対策室で協議を進めていた。

 

「今回の個体、通称ムカデ。今後も出現するとして、目下次はどこに空洞が接近するかだ」

 

「接近・・・都市部に空洞がと!?」

 

「あぁ。どっちが先かはわからんが結果を見れば東京に接近した巣から出たとされるムカデが東京にまで進出。集団錯覚として処理したが、結果はこれだ」

 

加納は胸元から一つのフォルダーを取り出し中から一枚の写真を出して会議室に映し出させた。

 

「これは・・・先日観測された個体とほぼ同じ形状・・・いったいこの写真はどこで?」

 

「聞くまでもないだろう。撮影者の捜索よりも次にどこに来るか。これを絞り込まんといかん。雲取山を丸ごと潰せたのは大きかったな」

 

「えぇ。おかげで各地に配置できる戦力も増加」

 

「現時点では都市部および無人穀倉地帯の東北一帯。どちらかに接近されるを防ぐことが第一かと」

 

「その他にも特戦課からの映像を分析した結果、どの規模か迄は不明ですが、卵の排出が確認されています。特戦課の予測では当該個体がゲートとしての役割を持ち、敵の移動要塞としています」

 

「イージスの出港準備はどうなっている?」

 

「予定よりかなり早いですが緊急で一隻は稼働可能です」

 

「よし首都圏からすぐに音波レーダーを用いて空洞調査および陸上自衛隊を都市部にも緊急派遣し同行動にて迅速な調査を」

 

「了解。航空部隊による移動支援も併用し進めていきます」

 

「それと、情報部。日本のあらゆる匿名掲示板などを含めたSNSの調査を頼む」

 

「それはどういう意図が?」

 

「こちらが調査を始める前に地中からの金属音が発生しこれを一般市民が先に察知し先の例で拡散などされるとメディアに完全に漏れる。となるとうるさい連中がいるからな」

 

「・・・そうですね。直ちに伝達しても?」

 

「あぁ、事態は急ぐすぐに始めてくれ」

 

「洞窟が見つかった場合、どう動きますか?」

 

「幕僚監部はどこまで想定して立案可能だ?」

 

「航空部隊を利用したドミネーター適正者の最低でも6割の投入及び陸上戦力、沿岸に近いのならば海上からの支援攻撃も想定した作戦計画は複数作成済みです」

 

「よし、対巨大生物対処局を通じて特戦課にその計画すべてを渡せ。経験者の意見も聞いておきたい」

 

「了解」

 

「・・・すんなりと理解してくれて助かるよ」

 

「年齢問わず、国を憂う彼を我らは必要としこれを是としています。国を守るというのであれば駒ではなく仲間として行動するまでのこと」

 

「あぁ、助かる。で、重ねて監査部。政府はどう動くとみる?」

 

「首都圏に近いならば経験上政府機構の安全を理由にした逃亡。近くなければ主導権を握ろうとするでしょう。何せ、東京防衛で逃げた一例で今の内閣は脆い。その上増税やらの不満も多い。こんな中で内閣不信任案を視野に入れて野党が行動中。ともなれば内閣は衆議院の解散を選ぶ。ともなれば政治的空白ができます。最悪、紛争の再開も想定しなければなりません」

 

「・・・周辺国に動きは?」

 

「一応、巨大生物に手いっぱいとしか」

 

「そうか。だが監視は怠るな」

 

「了解」

 

対巨大生物対処局局長室

 

「どうする凪島」

 

「正直、最低でも覚悟はしておくべきです。それから自衛隊と協力して先の雲取山に使った電磁パルス防壁の撤去及び再利用と緊急展開を見越した数の生産体制及び輸送手段の確保を優先すべきです」

 

「空洞の形状はどっちだと思う?」

 

「ゲートの原理を考えれば通常とは違う攻撃的陣地。ともなれば地下深くにあるとみた方が戦力配備は楽かと」

 

「特戦課でゲートに触れされたのは早すぎたんじゃないか?」

 

「少なくとも、理解はしてくれるかと」

 

「父親を戦闘で亡くしている。ともなれば下手にすれば厄介な復讐心を生むことになる」

 

「でしょうね。あなたと同じ方向に向かうことを祈るばかりです」

 

「・・・そうだな」

 

「それから大量人員によるリミッター解除射撃を想定し予備のドミネーターおよび充電装置の増産も提案します」

 

「予備はそのまま次の期生分・・・六期も投入するか?」

 

「まだ研修は一年。恒例だった雲取山一帯での実地演習ができない上、今回は規模が違う。ともなれば最低でも同士討ちの防止、そしてドミネーターごと逃亡し他国に流れることを防ぐ以上、投入は見送るべきです」

 

「臨時の演習もきついか?」

 

「完全な民間からの抜擢が五期生から。最低限の集団行動はできても、恐怖で動けないことを想定すれば・・・。間に合うならば、アメリカ考案の長射程式ドミネーターを六期生に集中配備し第二線からの援護射撃であれば可能かと」

 

「そちらの開発を急がせるか」

 

「しかしいいんですか?次官や統括官より先に自分と会議なんて」

 

「実力があるなら先に聞いている。とりあえず対策案を出してから協議予定だ。一瞬で叩き出せるお前とは違うからな。それと、賭けだが巣と防衛ラインを離して巣の入り口から中間地点までの間を自衛隊の攻撃ヘリでの攻撃で削るのはどうだ?」

 

「下手に伸ばしすぎると逃れた個体が野放しになる可能性もあります。完全に掌握できる戦域で戦うべきかと」

 

「・・・ようやく原案ができたと統括課より来た。とりあえず立場上時間を割く必要がある。その間に今までの案をまとめて防衛省にも出せるようにしておいてくれ」

 

「了解。録音から簡略文書化しウチの課で一気に組み立てます」

 

「頼むぞ」

 

「空振りが一番なんですがね」

 

そう言ってひらひらと凪島は出て代わりに外にいた少し不機嫌そうな統括課の人間や次官が入っていった。

 

「局長。どういうことですか?」

 

「時間がない。今は私事よりも仕事をしろ」

 

「ではまず統括課から・・・」

 

特戦課

 

「どうだった?」

 

「とりあえず考えられることは伝えた。その上で送った録音データから書類化だ」

 

「あぁ、既にやっている。それと雑賀からどれだけ用意すればいいか聞いてきたぞ」

 

「直接行く。その間に書類化を頼む」

 

「わかった」

 

凪島は今度は研究五課に向かった。

 

「わざわざ来んでもいいだろうに」

 

「一応、口頭の方がいいですから」

 

「で、どうする」

 

「ブレードは稼働できる奴全て充電。それからあとからアメリカ式の長射程ドミネーターを求めらる。準備をお願いします」

 

「・・・六期を使うのか」

 

「演習地点を潰した以上、実地に行かねば演習すら不可。その上ムカデが先に現れた以上、どれだけの数これから起きるかも不明なら演習が最悪規模の方が後々楽かと」

 

「お前のブレードも用意か?」

 

「お願いします。それから携帯用バッテリーもお願いします」

 

「あぁ。任せておけ。ぶっ通しでやってやる。俺らにはこれしかできないからな。なんで、規定なんて定めたんだろうな」

 

「・・・全くです」

 

「で、他に何かいるか?」

 

「携帯可能な小型のパラシュートと酸素ボンベを」

 

「やはり強襲も想定か。そっちは俺のコネを通じて自衛隊から用意させる」

 

「お願いします」

 

「条件がある」

 

「・・・勝利以外に何か?」

 

「わかってるならそれでいい」

 

「では」

 

特戦課

 

「とっつぁん、取り合ず戻った」

 

「あぁ、ご苦労さん」

 

「常森さん」

 

「はい」

 

「以前申請した近接戦闘課程の・・・臨時許可申請を局長に出すつもりなんだがどうする?」

 

「ボス、本気か!?」

 

「・・・」

 

「妬んでいるわけじゃない。それよりもここで失敗したら次に受ける人間がいなくなる。そっちを優先すべきだ」

 

「・・・そうか。で、常森さん。どうする」

 

「受けます!!」

 

「わかった。コウ。俺は色々で回る。先達として補助を頼む」

 

「了解だ」

 

「で、早めるわけ。ほかにあるんだろ?そっちが本命に見える」

 

「・・・とりあえず常森さんを理由にウチの全員に耐酸性装備の支給の許可を取るつもりだ」

 

「つまり特戦を主軸にしたい以上、防護装備は必須だと」

 

「あぁ。見つかってすぐには敵が動くかもわからん。その上でこっちは陣地を築く必要がある。そのために俺は特戦課は見つかり次第急行し護衛任務に就くつもりだ」

 

「なるほどな。で、数自体は用意してあるんだろ?」

 

「元々旧式の防護服をそのまま転用して最新式に揃えてある。許可さえ下りればこっちのもんさ」

 

「了解した。となると、体力的な訓練は控えた方がいいか」

 

「あぁ、いつ出動になるかもわからんし、下手すれば現地で休む暇すらないかもしれん。休めるうちに休んでおけ」

 

「了解」

 

「っと、先生に一応・・・」

 

『どうした。追加なら受け付けてるぞ』

 

「ドミネイトブレイドの追加生産を」

 

『追加か・・・確か一人候補者がいたから用意してくれと言われたが、地獄を実践に据えるわけか』

 

「えぇ」

 

『なら全部の防護服の点検に入る。数が足りないならこっちで用意しておく。どうせ幕僚監部も動くだろうから増産は決定事項だろうからな。そこで少し数がズレても問題ないだろう』

 

「察しが早くて助かります。ではお願いします」

 

「さて、揃えるだけ揃えて、盛大に空振りしようか」

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