対巨大生物対処局特殊戦術課   作:火薬好き

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第十二話

特戦課一係

 

「ゲートに対する推測資料?」

 

「はい。どうにも資料からは本当に”ゲート”と呼べるものではないと推察した次第です」

 

「・・・ボスの勘が当たったな。駒込。この資料は出すなら課長に。出さないのであれば、即時関連資料の全てを廃棄し今後一切関わらないこと、これは命令でありどちらかしか選べない」

 

「・・・どういう意味でしょうか?」

 

「・・・一応、俺たちも最近聞かされたんだが、こればっかりは手に負えない・・・というか、下手に探られるよりも最初から答えを聞いた方がいいってことだ」

 

「・・・では課長に提出してきます」

 

「ただし、一人でだ」

 

「了解」

 

疑心を抱いて駒込アズズは局長室を訪れた。

 

『特戦課一係の駒込です』

 

「・・・入れ」

 

「課長、これを」

 

「・・・ゲートか。思ったより早かったな」

 

「思ったより?」

 

「近い時期に駒込がここに近づくと踏んでいたんでね・・・で、真相は聞くか?」

 

「私は近接課程を受けてゲートに近づくことになる二人の友人として聞いておきたいんです」

 

「そうか・・・なら」

 

そこから語られた事実はただ、駒込を驚かせるよりも怒らせた。

 

「そんな・・・こんなことがあってたまるか!!アンタはそれでいいのかよ!?私たちよりも何年も前から戦っていて・・・その結果、目的がこんなためなんて・・・いや、まさか!?」

 

「あぁ、志願した時から知っていたよ」

 

「・・・今はこのこと、誰が知っている?」

 

「ここにいる三人と、お前たちが来る前からいた四期生までと、自衛隊のお偉いさんの一部ってとこか」

 

「・・・一体、私たちはなんのために戦っているんだよ」

 

「逆に、()()()()()戦う目的は変わるのか?駒込アズズ」

 

「!?・・・あぁ、そうだ。私は()()()()()()()()()()()()()()を守るために戦うんだ。どの道敵の正体など、どうでも・・・何時かはケリつけてくれるのか?」

 

「生きている誰かがつけてくれるさ」

 

「そうか・・・。差支えが無ければ、私が来るまで何をしていたんだ?」

 

「駒込、これは今まで敵が出現した位置。そして色が分けられているのは最近出現した位置だ」

 

「そもそも、関東付近にしか現れていないのは置いておいて、意図的すぎないか?」

 

「やっぱ、そう思うか。なら、本命はどこだと思う?」

 

「・・・東京は確実に防衛体制が整っている。襲ったとしても成果は出ないだろう。なら、東海か、さらに西。もしくは穀倉地帯の東北かといったところかだな。ただし、仕掛けてくる時期だけは決定打は出せないな」

 

「できるだけ通常の襲撃で感覚をズラし、できる限り、巣の構築をさせるか。そもそも敵がこちらの戦力補充を把握しているかもわからずじまい。結局、後手か」

 

「・・・天塚には相談しないのか?」

 

「あぁ、さっきは言わなかったが、例外で色々喋ったよ。俺の唯一の()()()なんでね」

 

「で、結論は?」

 

「大体同じ。ただ天塚は穀倉地帯を狙う確率が高いと言っていた」

 

「わかった・・・バカ宮古め、局長室にいるんだから一々連絡するなっての・・・すまない。バカが暴れだしそうなんで下がってもいいか?」

 

「あぁ。資料は廃棄しておけ。サーバーは独立しているが、誰が見ているかが判別できない以上、消しておいた方がいい」

 

「わかった。・・・信じているからな」

 

そういって駒込は局長室を出て行った。

 

「傍から見れば随分と物腰が柔らかかったな」

 

「そうですか?」

 

「あぁ。同年代故といったところか。しかし、全く厄介な敵だ」

 

「えぇ、全くその通りです」

 

~二日後~

 

「一係と俺に加えて陸自のドミネーター適正者が数人の派遣部隊との混合部隊で迎撃だ」

 

「「了解!!」」

 

落ち着いていたのもつかの間、再び巣が出現した。これに対し、陸上自衛隊は防衛戦を想定し、陸自所属のドミネーター適正者を派遣。現地にて合流となった。

 

「お久しぶりです。健軍一佐」

 

「あぁ、お前さんも・・・凪島特将補もお元気そうで何よりです」

 

「・・・やっぱ廃棄すればよかった。階級は無視して大丈夫ですよ。というか無視してください、お願いします」

 

なぜか懇願するように階級を無視するように頼む凪島。

 

「はぁ、統幕副長も言っておられたが、相手が下に出ることを苦手・・・相手にできないとは、相変わらずだな。というわけでお前らもコイツは階級は上官だが、一人の仲間として接してやれ。それが一番だ」

 

「「りょ、了解です!!」」

 

健軍が連れてきた佐官数名は困惑こそすれど、すぐに理解を示した。

 

「さて、話しているよりもさっさと敵を潰さないとな、そうだろ?」

 

「えぇ。では陸自所属の方は中央にて狡噛係長の指揮下にお願いします」

 

「了解だ」

 

「おい・・・丸投げしないでくれ・・・。ただでさえボス、課長も射撃戦オンリーで指揮もしないって状態なのにさらに難題を追加しないでくれ・・・」

 

「どの道ガチの防衛戦になったら俺は別動隊になる。その前の演習だ。しっかりしろ。ほら、さっさと準備準備」

 

ひらひらと狡噛の抗議を放っておくと、今度は縢の番だった

 

「ゲートの方はどうすんの?」

 

「局長とすり合わせた結果、巣の形状から新種だ。その上で敵の出力を見ておきたいとの判断だ」

 

「消耗戦、それも土地すらも消耗か。厄介だねぇ」

 

「だが、ここのレベルで都市防衛レベルの数が出てくる可能性を見ておきたいが、期を見て潰す」

 

「・・・無理はするなよ」

 

「正式にドミネーターの射程が伸びたおかげでラインが長くなったおかげで詰める距離が伸びたのは痛手だな」

 

階級上は全く上の人物を半ば押し付けられつつ愚痴すら言えない状態で狡噛は粛々と配置を指示。ドミネーターの射程上昇と狙撃組の分散によって基本の戦力配置も変更となり慌ただしく動いていた。陸自の建設部隊も粛々と防衛陣地を構築し完成とともに特戦課は動き出した。誘導弾の発射を発端に戦闘が開始した。

 

「・・・やっぱ人が多いと弾幕も厚くなっていいねぇ」

 

「全くだ」

 

「・・・特戦課は余裕ありってか?俺はギリギリ、部下は喋っている余裕すらないって状態だってのに・・・これよりも少ない数であの数と戦ってきただけのことはあるってか」

 

余裕ありの特戦課を見て健軍は今までの特戦課の奮戦を想像しようとするが、それよりも敵が多く、そんな暇はなかった。

 

「・・・結構倒したよね?」

 

「あぁ。既に一時間は経過。なのに敵の戦力は減ることもなく、幼体も出てこない。そして()()()()()()()()()()()()()

 

「凪島、流石にこれ以上はマズイぞ。数こそ東京防衛よりも少ないが、戦闘後に馬鹿でかい空洞を外に晒すのも後々厄介になることはわかってるはずだ」

 

「えぇ。そろそろ、動かせてもらいましょうか。コウ!!」

 

「あぁ、行ってこい!!」

 

狡噛の了承も得て凪島は少し古臭いドミネイトブレイドを取り出した。

 

「技能模倣解放補助、30%」

 

「ん?なんか言った?というかいつもと持ってるのが違う?」

 

縢の疑問はどこへやら、一気に凪島は加速し必要最低限の行動で巣を目指した。

 

「あれが・・・近接戦闘」

 

「私たちが目指す場所・・・」

 

「んなわけあるか!!どんな速度出してんだっつーの!!」

 

巣に肉薄した凪島は目視でゲートと思しき存在を確認。一気に両手のドミネーターのリミッターを解除し周囲の個体を一掃し、狙撃用ドミネーターでデコンポーザーを起動する。

 

≪執行モード、デストロイ・デコンポーザー。対象を完全排除します≫

 

さらに出力が上がったデコンポーザー二発でゲートの存在は肉眼では消滅。それと同時に巣の拡張が止まったと観察部から報告があったのを契機に凪島は一気に陣地へと戻った。

 

その後は供給源を絶たれて残った巨大蟻を殲滅し戦闘はすぐに終了した。

 

「凪島、調子はどうだ?」

 

「今回はしっかりと補助装置を持ってきたので負荷はありません」

 

「倒れるなら完全に勝利してからにしてくれよ」

 

そう凪島の肩を叩いた後、健軍はそのまま自分の部隊と建設部隊を受け持って先に特戦課を帰還させた。

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