対巨大生物対処局特殊戦術課 作:火薬好き
近接練習室
その中で狡噛は素振りの一振り一振りを集中して振るったり、過去の映像記録を見たりしていた。
「狡噛さん」
「五期生が揃ってどうした?」
「訓練施設は解禁されたわけなんですが、ここだけはなんか入りづらくて・・・それで狡噛さんが入るのを見て追ってい入ってきたんですよ・・・」
「それでここはいったい?」
「俺が受けた近接課程の研修所だ」
「・・・さらに扉があるのは?」
「覗いてみればいい。ボスが鍛錬中だ」
「課長が?」
そう言って入江を先頭に五期生たちは扉を開けた。が、一瞬で空気が変わった。そこにはただ凪島が訓練用の長めの竹刀を振るっていた。が、その速度が尋常ならざるもの、そして室内自体の雰囲気も異常だった。
「あれが・・・人間技?」
「裸足な時点で軽歩装置はない。その上あれでも本気じゃないからな」
「では何割だと?」
「5割程度もない。ボス。とりあえずギャラリーが余興をご所望だ」
「余興って・・・まぁいいか。試したいこともあるしな」
「なんか発見でもあったのか?」
「さて、ね」
そう言って凪島は置いてあった剣道の鎧を立てかけ、頭と広げた籠手の上に紙風船を置いた。
「・・・まさか」
「こればっかりは気まぐれでな。俺でも見せてもらった数は両手の指程度。さて、今はどれだけ追えるか・・・」
そして準備が終わったのか数度竹刀を振ってから、独特な構えを取った。
「・・・っと」
そして構えてから一瞬で設置された三個の紙風船が瞬きよりも速く、全てが割れた。しっかりと防具叩かれた音はしたものの、一度に重なって聞こえてさらに混乱する。
「え・・・嘘、だろ?」
「入江と須郷、常森は剣道経験者だったな。で、どうだ?」
「全然全く」
「自分も」
「・・・狡噛さんは全て見えてるんですか?」
「いや、始動と頭を二個目にしたと判断できるぐらい・・・常森、まさか」
「あぁ、確実に見られてたな。その上で常森さん。俺はどう振った?」
「紙風船は両側面からの横振りと上段から。あと追加で胴に突きを放っていませんでしたか?」
「・・・余興で添えたが、ここまでとはね。天性の才能は恐ろしい」
「その上で課長。私に近接課程の研修をお願いします」
「近接課程を受けたいと?」
「はい。私も剣道を少しは経験済み。その上基準とされる軽歩の測定判定もAAと満たしています」
「・・・とりあえず研修中はどうしていた?」
「一応素振りだけ」
「そうか。他に受けたい奴はいるか?」
いつもとは違う鋭い目にほかの五期生は気まずそうにし、ただ常森だけが見据えていた。
「ま、今はいいさ。興味があるならまたくればいいだけのこと。見るだけは自由だ」
「・・・まず身体から鍛えなおします」
「自分は射撃を」
「訓練内容は自由だし、一度実戦をしたら要領がわかるだろ。で、常森さん。着替えてきな。制服じゃダルいだろ?」
「え、じゃぁ・・・」
「とりあえずコウ、こっちは準備だな」
「了解だ。じゃ、五期生は好きにしておけ」
そう言われると五期生は練習室を出た。その間に凪島と狡噛は練習機材を引っ張り出してきた。そうしている間に常森は胴着に着替えてきた。
「なんですか?これ」
「動体視力・・・は備わってるが、それを使って、動いている獲物を捕らえるための練習だ。こっちが最初の関門だ。まず的が動き出したら即軽歩で距離を詰めて仕留める。これが最低限必要になる」
「ま、経験上、最初は外しても咎められない。まずは瞬時に動くことが大事だ」
「とっちめてやろうか?」
「・・・冗談だ。とりあえずやってみな」
そうして常森は所定位置について竹刀を構え、狡噛が機材の操作にあたった。
「準備はいいか?」
「いつでもお願いします」
的が動き出して二秒程度。
「っ!!」
「外しはしたものの、動くことはできたな」
「というか初見でやられたら・・・それはそれで面白いか」
「・・・遅すぎました」
「運動はできるのに、泳げないタイプ?」
「んなぁ!?」
「先生の真似か?」
「いや、あれは全く真似できん。ただ単に動き方を見ての感だ。実際俺も練習するのに苦労した」
「そういや昔は泳げなかったって言ってたか」
「えぇっと・・・」
「あぁ、続けようか」
こうして常森の近接課程の研修が始まった。